サブウーファーとオーディオ

オーディオ愛好家のためのサブウーファー

サブウーファーの現状

今回は、オーディオ用のサブウーファーについて考えてみたいと思います。

サブウーファーの主な市場と使われ方

サブウーファーは、現状、AV用途のアンプ内蔵サブウーファー(アクティブ型)が主流です。また、市場サイズ的には、カーオーディオ用の方が主流かもしれません。

これらの場合、低域は指向性が低いという理由で、1ch分の追加がほとんどです。また、オーディオ用途でも、SACDマルチなどは、5.1chで、やはりサブウーファーは1ch分です。

たまにAVアンプで、左右それぞれにサブウーファー端子があるケースがありますが、実は、元信号が同じ0.1chからなので、左右同じ信号ということがほとんどです。

 

アクティブ型サブウーファーについて

一般的なアクティブ型サブウーファーの構成を示します。

アクティブ型サブウーファーの場合は、通常、内部にローパスフィルターとパワーアンプが内蔵されています。そのため、外部電源への接続が必須です。家庭用の単相100Vが多いようです。

ローパスフィルターは、設定した周波数(カットオフ周波数)以上の中高域の信号をカットして低域側の信号のみを通すフィルターです。機種によっては、このカットオフ周波数を調整することができます。また、フィルター特性を、ー6dB、ー12dB、ー24dB、ー36dBなどと変えることができる機種もあります。この機能はスロープ設定ともいいます。

入力信号としては、カーオーディオ分野などでは、プリアンプ出力やサブウーファー用出力を用います。これを通常RCA端子で受けます。また、カーオーディオ用アンプにそれらの出力がない場合は、スピーカー用の出力をハイ/ローコンバータという機器を使ってラインレベルに信号を変換して用いることがあります。

AVアンプなどでは、サブウーファー用の出力端子が1つまたは2つあります。この場合は、既に低域のみの信号が出力されていますので、ローパスフィルターは本来は不要です。また、2つある場合は、前記のように同じ信号が出力されています。

 

オーディオ用のサブウーファーとは

ステレオ対応

ここでは、あえて、オーディオ愛好家のためのサブウーファー、ということで、左右それぞれの音源をベースとしたステレオ構成について検討したいと思います。パワフルな低域の音が、左右それぞれから別個に発せられるという音源が、音楽のジャンルを問わずあるからです。

 

パッシブタイプ

また、ローパスフィルターとアンプなしのパッシブタイプについて検討したいと思います。接続方式とも関係しますが、サブウーファー用のアンプや、フィルター、スロープ特性、イコライザ機能など予算次第で構成を変えることができ、その結果システム全体の音質もさらに向上する余地があるからです。

これは、ある意味、それぞれのスピーカーを専用アンプで駆動するというマルチチャネルの考え方を極低域に特化することと同じです。

そうすると、メインスピーカー側の低域側を、場合によってはハイパス・フィルターでカットする、という考え方もあるかと思います。

その場合は、サブウーファー用のローパス・フィルターのカットオフ周波数とスロープ、またパワーアンプのゲインの調整を行った特性と、メインスピーカーのもともとの周波数特性(通常は、低域側で音圧が低下する)にハイパス・フィルターのカットオフ周波数とスロープ特性を加味した特性との互いのクロスオーバー周波数をどこに持っていくか、などの検討が調整するためには必要です。

さらに、位相が周波数で変わりますので、どの周波数に着目して位相を合わせていくかということも大事になります。極端な場合、位相がメインスピーカーとサブウーファーとで逆相になれば、その周波数の音はキャンセルされますし、正相になれば、音圧は各々の和となります。理想的には、位相調整がフレキシブルにできるのが望ましいということになります。

 

目標とする音

さらに、オーディオ用としてメインスピーカーの低域側の再生帯域をできるだけ自然に広げるという鳴らし方を目指したいと思います。

これは、スーパーツィータで、できるだけ自然に超高域成分を付加し、音の立ち上(下)がり成分等、本来の音の波形再現性などのクオリティを向上させるといった考え方と、ある意味同じです。

それを実現するためには、メインスピーカーの低域側とサブウーファーの受け持つより低い周波数帯域との聴感上のつながりを考慮する必要があります。クロスオーバー周波数とゲイン調整、また位相の調整が大事になってきます。

これには、試聴する部屋の定在波などの存在も関係してきます。

 

Z506-Livornosubと、その使いこなしレポート

音工房Zの新しいスピーカーであるZ506-Livorno-subは、そのようなコンセプトのサブウーファーです。

本稿は、本スピーカーのユーザー様に無償提供する予定の使いこなしレポートから一部内容をピックアップして御紹介するものです。

なお、ここでの記載内容の多くは、自作のパッシブタイプサブウーファー、つまりアンプなしの低域再生用の自作スピーカーにも、転用できます。自作スピーカーファンの皆様へなんらかのご参考になれば幸いです。

 

パッシブ型サブウーファーの接続方法の考え方

メインスピーカーとパッシブ型サブスピーカーの接続の考え方

メインスピーカーとパッシブ型サブウーファーの接続の基本的な考え方を下図に示します。


図1. メインスピーカーとパッシブ型サブウーファーの接続の基本スキーム


プリアンプ出力を2つに分け、①メインスピーカー系は通常のパワーアンプへ接続し、こちらはメインスピーカーに接続します。

最近のプリ出力のあるプリメインアンプでは、内蔵のメイン(パワー)アンプにプリ信号が別途内部で接続されていることが多く、この場合、実質2系統のプリ出力に相当します。

プリアンプ出力が1系統しか無い場合は、別途プリアンプ信号スプリッター装置を用いて分割することができます。これについては後でご紹介します。

もう一つの②サブウーファー系は、サブウーファー用のパワーアンプに接続します。これには、ローパスフィルタが内蔵されており、プリ信号の低域成分のみを通します。逆に言えば、中高域をカットするわけです。その信号を内蔵のパワーアンプに出力して、それをサブウーファーに接続します。

全体のマスターボリュームは、プリアンプで調整します。メインスピーカーとサブウーファーとのボリューム比率は、それぞれのボリュームを適宜調節して設定します。

これが基本的な構成ですが、サブウーファー系のパワーアンプ関連機器のバリエーションがいくつかあります。

次にそれらの例をご紹介します。

パッシブ型サブウーファー用の機器構成の例

代表的な4種類の機器構成例を示します。

A. プリ信号が取り出せない場合への対応

プリ信号が取り出せない場合、スピーカー信号を、ハイ/ロー・コンバータで、ライン信号レベルに引き下げ、プリ出力の代替とします。次にBのタイプと同様にサブウーファー用パワーアンプに接続します。

このAの方法は、カーオーディオでよく行われる方式で、カーオーディオ用の機器が何種類か販売されています。また、今回ご紹介するようなオーディオ用と記載しているモデルも出ています。

 

構成機器の例

・ ハイ/ロー・コンバータ: HLC-04J (FX-AUDIO製)
・ サブウーファー用パワーアンプ: M03(FOSI Audio製)

HLC-04Jは、アマゾンで ¥6,080 で販売されています。また、M03は、アマゾンで1万円程度で販売されています。M03はモノラルですので、ステレオ対応のためには2台必要です。

計 約2.6万円 程度となります。

価格は、今後変動があるかもしれません。

 

各機器の接続フローの例

プリメインアンプのスピーカー出力をハイ/ローコンバーターに入力します。その出力をL/Rそれぞれ、サブウーファー用パワーアンプ(モノラル)に接続し、それをサブウーファーに接続します。

一方、プリメインアンプのスピーカー出力をメインスピーカーに接続します。

 

サブウーファー用パワーアンプについて(M02 vs M03 ; Fosi Audio)

なお、以前、シングルユニットタイプのパッシブ型サブウーファーの使いこなしでは、同社のM02をご紹介していました。

今回、改めてM02とM03とを比較試聴してみたところ、今回ご紹介するM03の方が、サブウーファー領域である極低域の音が充実していました。

この差が、デバイスによるのか、そもそもの電源等などの違いによるのかは、現時点ではわかりません。ただ、パワーデバイスとして、M02は、TI社(テキサス・インスツルメント)のTPA3116D2、また、M03は同じくTI社のTPA3255D2と異なったデバイスを用いています。

TPA3116は2012年のリリース、TPA3255は2017年のリリースのようです。

特性を比較すると、例えば、THD + N @ 1 kHz (%);高調波歪率が、TPA3116D2は、0.1%で、TPA3255D2では、0.006%となっています。さらに、SN比も、前者が102dBに対し、後者のTPA3255D2では、112dBとかなり向上しています。

また、TPA3255D2には、その変換効率が、90%で、さらに開始時と停止時にクリック音やポップ音が発生しない、という記載もあります。

各デバイスの基本仕様とリリース年とを考慮すると、TPA3255D2を用いたM03の方がパワーがあることに加え、基本特性も優れているようです。

 

 

B. プリ信号→サブウーファー用パワーアンプを接続
(アナログローパスフィルター内蔵)

プリ出力からの信号を、サブウーファー用パワーアンプに接続して用います。このサブウーファー用パワーアンプは、ローパスフィルタ(LPF)機能をアナログ処理で行い、その後、その信号をパワーアンプに内部接続しています。

構成機器の例

・ サブウーファー用パワーアンプ: M03(FOSI Audio製)など

M03は、アマゾンで1万円程度で販売されています。(32V/5A電源付属)
2台必要ですので、計 2万円程度となります。

 

各機器の接続フローの例

プリアンプまたはプリメインアンプのプリ信号出力をサブウーファー用パワーアンプ(モノラル)にL/Rそれぞれ接続します。そのSP出力をサブウーファーに接続します。

 

プリアンプ出力を増やしたい場合(信号スプリッター)

なお、プリアンプとパワーアンプがセパレートで、プリアンプ出力が1系統しかない場合など、プリアウトを増やしたい場合は、信号スプリッターを用いることで信号を複数に分割することができます。

・ ライン信号/プリアンプ信号スプリッター: LS-01J(FX-Audio製)

LS-01Jは、アマゾンで \5,530 で販売されています。

なお、価格は今後変動する可能性があります。

 

C. プリ信号→デジタルフィルター機器→パワーアンプ

ローパスフィルタ機能などの様々な事前の信号処理機能をもつデジタルチャネルデバイダー等の機材と、別途、パワーアンプを組み合わせる使い方です。

構成機器の例

デジタルクロスオーバー : DCX2496(Behringer製)など
・パワーアンプ: 通常のパワーアンプを用いることができます。

たとえば、D級のデジタルパワーアンプなどが価格的には、お勧めです。
・FX1002J+(FX-Audio製)、DA-8s(S.M.S.L製)、PA3s(TOPPING製)など

 

D級デジタルパワーアンプについて

この分野は、技術革新が進行中で、デバイスの世代交代も進んでいます。

前項で、例として挙げたFX1002J+(FX-Audio製)は比較的旧世代となります。これは、デジタルアンプICとしてSTマイクロ製のTDA7498Eを用いています。このデバイスは、変換効率が85%で比較的発熱量が多いようですが、音には定評があります。低域も充実しています。
旧世代のLSIで、配線幅が比較的太いことが音の良さに影響しているのかもしれません。

価格は、メーカー(NFJ)の直販店であるYahooショップでは9,150円ですが、品切れのことが多く、アマゾンでは、1万円以上で販売されているようです。なお、電源が別売で、19V-32Vの比較的大容量なタイプが必要です。

DA-8sは、比較的新しく、ドイツのインフィニオン(infineon)のD級アンプデバイスを用いており、変換効率が92%と高く、ほとんど発熱がありません。なお、デバイス名の記載はないようです。

PA3sもinfenionのMERUSブランドであるMA12070をD級オーディオアンプデバイスとして左右独立で2つ用いており、高効率、低歪を特徴としています。
MA12070は、2019年5月に発表されています。

価格は、アマゾンで、DA-8sが18,500円、PA3sが14,000円で、共に電源アダプタが付属します。音質的にも、それぞれ評価が高く、メイン用としてもお勧めできます。

 

接続のフローについては、各機器の入出力と機能によりいくつか想定できますので、ここでは割愛します。

 

D. プリ信号→デジタルフィルター内蔵パワーアンプ

Cで示した各フィルター機能等とパワーアンプとの一体型の装置を用います。
内蔵のADC(アナログ・デジタル・コンバーター)でプリアンプからのアナログ信号をデジタル信号に変換することで、ローパスフィルタ機能などの様々な信号処理をDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などでフルデジタルで行い、処理後のデジタル信号をDAC(デジタル・アナログ・コンバーター)を経てアナログに変換後、内蔵のパワーアンプに出力するという構成となります。

 

構成機器の例

・デジタル信号処理サブウーファー用アンプ: APA1200DSP(DaytonAudio製)

 

各機器の接続フローの例

APA1200DSPのプリアウト出力を用いる場合を示します。
この場合は、APA1200DSPのハイパスフィルター機能や遅延機能を使うことができます。

ASA1200DSPのコントロールは、単体で可能ですが、PCやスマホ、タブレット等で行う事もできます。

その場合は、次のようにAPA1200DSPと無線LANルーターを有線のLANで接続し、各機器を無線LAN経由で接続します。ブラウザ経由で、GUI画面を見ることができます。

メインスピーカーへの出力をオリジナルのプリアンプ信号をベースとする場合は次のようになります。PC等の各機器との接続は、上の図と同様の考え方となります。

 

各接続方式の特徴と比較

価格は、 C>=D>>A>B また、音質は、D≒C>B>A という傾向となります。

Cは、機器として様々なケースが有り得ますので、フィルター機器とアンプ機器の選択次第では価格が高くなります。さらに接続や設定はやや煩雑となります。

導入コストや機器の入手のしやすさ等を考慮すると、Bが一般的かと思われます。
この方式は、以前紹介しましたシングルユニットのサブウーファーの運用例と同じです。

ただ、今回、低域の質感を考慮し、例として提示した機器を変更しています。

予算が合えば、Dが最もおすすめです。Cに比べて、一台で処理ができるので、接続や設定がはるかに容易です。また、サブウーファー用の位相調整やフィルター特性調整などの様々な機能がプリセットされているので使いやすいと思います。

 

なお、Aについては、H/Lコンバータ用の追加コストが必要で、さらにそれによる音質の劣化もないとは言えません。ただし、今回ご紹介した機器は、トランス方式ではなく、オペアンプを使った方式で、音質の点で、他の機器よりは推奨できます。

 

次回以降は、カットオフ周波数や様々なフィルターの組み合わせなど、細かな設定が比較的容易なDの方法を中心に具体的な組み合わせ事例等を御紹介したいと思います。

このシステムの運用設定データ等(カットオフ周波数、フィルター特性等)は、デジタルで再現性も高いので他の組み合わせの場合でも参考になると思います。

 

 

参考リンク

パッシブ型サブウーファーをアナログLPF(ローパスフィルタ)内蔵のサブウーファー用パワーアンプで駆動する例を下記で示しています。

 

長岡鉄男先生設計のサブウーファーの試作例を、下記にてご紹介しています。

 

 

 

 

 

 

 

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