はじめに

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FE-NSシリーズとFE208NS

 FE-NSシリーズは、2018年12月に、16cmのFE108NSが、先行して発売開始されています。さらに、2020年7月、10cmと20cmのユニットであるFE108NSとFE208NSの追加が発表されました。2020年8月31日に各販売店から発売開始となり、FE-NS系は、現在3ユニットの構成となっています。

FE系全体のラインアップとしても、FE108NSとFE208NSが最新機種ということになります。

 FostexによるFE-NS系の紹介では以下が共通しています。
以下引用します。(下記で、xxxには、型番が入ります。各々、108,168,208)

” FExxxNSは、Sol シリーズの開発理念と独自技術を継承し、新たに開発されたフルレンジ・スピーカー・ユニットです。質と量のバランスのとれた低域とクオリティの高い中高域の音質は、2 層抄紙と低歪みフェライト外磁型磁気回路に支えられ繊細で表現力豊かな音楽の再生を実現します。 ”

 ということで、本シリーズは、限定販売されたsolシリーズの技術が継承されているとのことですが、比較的発売時期が近いxx8-sol系などと比べると磁気回路が異なるなど、違うところも見受けられます。

 また、本シリーズの各リリースの間となる2019年7月に、FE-NVシリーズのFE83NVとFE103NVが発売開始され、さらに2019年11月に、同、FE126NV, FE166NV, FE206NVが追加されています。

 FE208NSは、FE-NS系として最初に発売されたFE168NSとは、約1年半の時間が経過しており、他のラインアップとの関係などからも、やや指向が異なってきているかもしれません。

 これらについて、実際に、エンクロージャーに入れて音を聴き、また、諸特性を検討して、確認していきたいと思います。

 

FE208NSの価格と概要

標準価格    : ¥30,900+消費税(1台)

発売年     : 2020年 8月

スピーカー形式 : 20cm 口径フルレンジユニット

 

FE208NSの音質評価

FE208NSのエンクロージャー評価

  FE208NSをバスレフ箱に入れた場合の音質評価を行いました。さらに、スーパーツィーター(Z501)を追加してみた場合の効果を検討しました。

 なお、評価の際に試聴した曲のリスト及び、その関連リンク先を、この節の最後にご参考までに、記載していますので、御覧ください。

試作バスレフ箱(43L)

  FE208NSを43Lのスリットタイプのバスレフ型のエンクロージャーに入れ、試聴してみました。

 FostexのホームページにあるFE208NSのページでは、ダウンロードできる資料として、推奨箱であるBK208NSとは異なった設計のバックロードホーンエンクロージャーの設計図と板取り図面が記載されていますが、バスレフ箱は記載されていません。このQtsは、0.22です。

 ちなみに、FE206NV(Qts=0.26)には、29Lのバスレフ箱が紹介されています。
また、FE206NVの前機種となるFE206En(Qts=0.19)では、45Lのバスレフ箱が紹介されています。

 


 写真  試作バスレフ箱(FE208NS)

 

 試聴した第一印象は、能率が高く(音が大きい)、クリアで張りのある音という感じでした。中域の押出しが印象的です。また、これまでの10cmと16cmの場合に比べ、バスレフ箱でも、低音が出てきています。43Lとこれまでの箱に比べ、箱が比較的大きいためもあると思われます。

 この音を聴いて、FE108NSとFE168NSを、より内容積の大きなバスレフに装着した場合の音にも興味がでてきました。

 Hotel Californiaでは、存在感のある張りのあるギターが、いい意味で強く響きます。また、バスドラもそこそこ低音が出てきており、極低域の片鱗を感じさせます。ただ、ボリュームを上げていくと、ライブでの口笛や、歓声の一部に少しピーキーな音が聞き取れます。嫌な音というほどではないのですが、やや気になります。

 Rock You Gentlyでは、イントロの張りのあるベースが印象的で、ボーカルは爽やかです。
Take Fiveのサックスも、柔らかくいい響きです。カプリースのバイオリンは伸びやかです。ただ、僅かですが、やはりピーク音が聴こえてきます。水上の音楽でのトランペットでも、少し癖のある尖った感じの音が少し聴こえます。

 いずれも、嫌な音というほどではないのですが、ちょっと癖があるな、という印象でした。

 

標準バスレフ + Z501(スーパーツィーター

 試作バスレフ箱では、中高域で、ピーク音を感じることがあったので、スーパーツイーターのZ501を並列接続して追加し、試聴しました。


写真  試作バスレフ箱(FE208NS)+Z501


 同じようにバスレフ箱でピーク音を感じた他ユニットの比較試聴においてスーパーツィーターの追加によりピーク音を感じなくなった例もあります。

 なお、Z501のネットワーク用のコンデンサは、標準の2.0μFから、0.82μFに変更しました。これにより、カットオフ周波数を上げる方向で、かつスーパーツイーターとしての出力の減衰量を増やす方向となります。

 FE208NSでも、Z501(スーパーツイーター)の効果は大きいようです。

 Hotel Californiaでは、角がとれ、音がすっと入ってきます。バスドラのドンという音も、より響きます。口笛や歓声の少し尖った感じもなくなりました。むしろ粒立ちがよく、それぞれがよく分離して聴こえるようになりました。

 Rock You Gentlyでも、イントロのベースに、なぜか、より低音を感じます。また、全体に落ち着いた感じがしてきました。Take Fiveでは、サックスのバックでリズムを刻むスネアがよく聴こえるようになりました。また、シンバルとスネアがきちんと分離して聴こえます。

 カプリースでは、バイオリンに余裕が出てきました。先程感じたピーキーさはありません。水上の音楽でも、トランペットが伸びやかに鳴っています。また、それを低音パートがしっかりと支えている感じがします。全体の力強さはそのままで、さらに落ち着きが出てくるようです。

 

 

試聴に用いた曲のリスト

 今回、音質評価用に試聴した曲を、ご参考までに下記に示します。
なお、各曲の詳細については、当サイトのブログにてそれぞれ紹介していますので御覧ください。
 既に公開している場合は、リンク先を表示しています。また、作成中の場合は、近日公開予定ですので、すみませんがお待ち下さい。

1. Hotel California :リンク先  https://otokoubouz.info/hotel-california/ ‎
オーディオチェック用としても有名なロックバンドイーグルスの名曲です。
アルバム「HELL FREEZES OVER」の6曲目を試聴しました。ライブ盤です。

2. Rock You Gently :リンク先  https://otokoubouz.info/rock-you-gentry/ ‎
 Jennifer Warnes の1992年のアルバム”The Hunter”の最初の曲です。
本曲では、大陸的なおおらかさを感じさせる、いわば、カントリーのポップスバージョンのような、さらりと流れる彼女のクールなヴォーカルを聞くことができます。
また、実は、50-60Hzが全帯域の中で音圧のピークとなっており、40Hzでもその音圧が1kHzの音圧と変わらないレベルで録音されています。低音域の再生能力が比較ポイントでもあります。

3. Take Five  :リンク先  https://otokoubouz.info/take_five/ ‎
 デイブ・ブルーベック・カルテットの有名なジャズナンバーです。
 この曲は、低音が、案外下まででており、ベースやドラム、の再生に90-150Hz、それに部屋の雰囲気等の再生には、40Hzぐらいまでの再生能力があったほうが良さそうです。また、中音域の500-2.5kHzぐらいの再生における分解能力がサックスなどの再現性に関係して来そうです。この曲では、この領域の音圧が高くなってもいます。

4. カプリース :リンク先  https://otokoubouz.info/caprice/
ニコロ・パガニーニの24の奇想曲(24Capricci)です。ヴァイオリン独奏曲、すなわち無伴奏曲です。難易度の高い強烈な技巧が随所に盛り込まれており、難曲として知られています。
ピエール・アモイヤルの名器の響き ヴァイオリンの歴史的名器、に収録された演奏を試聴用に用いました。

5. 水上の音楽  :リンク先      https://otokoubouz.info/suijo_no_ongaku/ ‎

 水上の音楽は、ヘンデルの作曲による管弦楽曲集で、弦楽合奏と管楽器からなる管弦楽編成です。試聴では、第2組曲の第2曲のアラ・ホーンパイプを用いました。オルフェウス室内管弦楽団による演奏です。
 本録音では、約30Hz~5kHzの広い範囲で、-40dB以上の音圧を持って録音されています。聴感上は、フルオケのような比較的広い範囲の音域として感じられると思われます。
 高い周波数の倍音成分も、20kHzのカットオフ周波数まで、なだらかに下がりながら検出されています。おそらく実際の演奏では、20kHz以上も入っているものと推定されます。

 

FE208NSの諸特性の検討

他のユニットとの特性比較

Fostexの20cmフルレンジユニットの特性比較表

 Fostexから公開されている各データを用いて、FEシリーズの現在の定番4つと旧型(En) 及び限定版(sol) 1つの計6ユニットの値を一覧表にしました。ここでは、FE208NSを太字にしてあります。

 なお、この表で、FE208NSのマグネット重量の値は、マグネットの直径と厚さ及びボイスコイル径が同じであるFE208EΣの値からの推定値です。また、FE203NVのマグネット重量の値は、FE203Enのマグネットと直径と厚さ(実測値)が同じ寸法ですので、同じ重量と推定されます。

また、FE208NSの瞬間最大入力の値は、記載がありませんでした。

その他の値は、Fostexの公表値を用いています。有効数字は公表値のままです。


   表 1.   Fostexの20cmフルレンジユニットの特性比較表

 

 次に、この一覧表の上段の規格値と、下段のTSパラメータについてそれぞれ比較検討したいと思います。

規格値の比較

 規格値について、それぞれを比較すると、他のサイズと同様、FE系は総重量の値が2群に分かれているのがわかります。それぞれ、鉄フレームとアルミダイキャストフレームに対応します。

 価格もそれに応じて約2倍異なっています。

 FE208NSは、後者のグループとなります。
ちなみに、後者のグループでもFE208solの重量は別格で、8.7kgあります。マグネットが20mm厚が2段重ねで計40mm厚となっており、FE208NSの2倍の厚さで、直径もφ180mmとFE208NSのφ156mmよりも一回り大きく、それを支えるフレームもより丈夫で、これらの結果により2倍近い重さとなっているようです。

 FE208NSのマグネット重量は説明書等には記載されていませんが、FE208EΣと外形は、直径と厚さが同じ寸法となっています。ただし、FE208NSの方が、ボイスコイル径が0.5mm大きいため、マグネット重量は少し軽いかもしれませんが、磁気回路的には、ほぼ同等と思われます。表中には有効数字2桁で推定値を記載しました。

 Fe-FF系の20cmユニットの場合、その取り付け穴の数は、鉄フレーム系が4箇所とアルミダイキャスト系が8箇所ですが、さらに、10cm系や16cm系と異なり、対応する4箇所の取り付け穴の位置も異なっており、アルミダイキャスト系の方がわずかに内側の位置になっています。しかしバッフル開口寸法は同じです。

 定格入力の値を比べると、40WとFE-FFシリーズの中で、FE208EΣとともに最も大きな値となっています。なお、瞬間最大許容入力の値は、公表されていません。一方、出力音圧レベルは、94dBで、同じマグネットサイズのFE208EΣより3dB低くなっています。

 

TS-パラメータの比較

 カタログ上のTSパラメーターの値を比較していきます。まず、最低共振周波数Fsは、45Hzと記載されています。ちなみに、今回試聴に用いたユニットのインピーダンス特性の実測値では、下図のようになりました。この図からは、40Hzと読み取れます。仕様よりも低いのは、本ユニットが、まだ新しく、エージングが不十分ということもあるのかもしれません。

図    FE108NSのインピーダンス特性測定値(実測値:軸は右側)

 

 次に、Qtsの値を比較すると、0.32となっています。各ユニットを順番に並べると、

FF225WK(0.35)>FE206NV(0.26)>FE208NS(0.22)>FE206En(0.19)>FE208EΣ(0.18)>FE208sol(0.15)

 Qtsの値によるエンクロージャーのおおよその目安として、
バスレフ型→0.3~0.6
フロント・バックロードホーン型→0.2~0.4と言われます。

 ざっくりと、Qtsが大きいのはバスレフ指向、小さいのはバックロードホーン指向と見れば、現状のFostexの20cmフルレンジのラインアップにおける ” WK>NV>NS>EΣ ” という順番は、なんとなく製品イメージと合っているような感じもします。

ちなみに、10cmと、16cmでは、この順番は異なります。

10cm: NV(0.48)>WK(0.41)>NS(0.32)>EΣ(0.3)
16cm: NS(0.39)>WK(0.34)>NV(0.27)>EΣ(0.26)

 NS系に着目すると、2018年と出荷時期の先行した16cmは、どちらかというと、バスレフ指向だったのが、2019年にでた10cmと20cmは、バックロードホーン指向に方向を変えたようにも見えます。特に20cmのユニットの場合は、バックロードホーン用にフォーカスしているようです。

 なお、Fostexからは、FE208NSの専用箱として、バックロードホーンタイプのBK208NSが用意されています。また、それとは異なる設計のバックロードホーンの図面もホームページからダウンロードすることが出来ます。

 

周波数特性と高調波特性(2次、3次高調波)

ユニットの周波数特性測定結果の比較と検討

 最初に、FE208NSの周波数特性とインピーダンス特性の測定値を示します。

 これは、弊社簡易無響室でユニットをJIS箱に入れて10cmの距離から測定した値の比較になります。測定装置は、エタニ電機のASA-10mkⅡを用いました。


図      FE208NSの周波数特性(左側の軸;dB)

 

 FE208NSの周波数特性で、特徴的なのは、400Hz-1.5kHz付近までが、窪んでいることです。この周波数帯域は、人間の声の領域ですので、最も聞こえやすい音域です。さらに、1.5kHz以上では、音圧が立ち上がって3kHzぐらいまでフラットとなっています。この2-3kHzは、人が最も反応しやすい音域で、赤ちゃんの鳴き声にも相当します。相対的に、2-3KHzが、耳に入りやすいようなプロファイルとなっており、ピーク音を感じるような特徴的なサウンドになることが予想されます。

 ちなみに、この傾向は、同時期に発売されているFE108NSも同様です。また、1年8ヶ月程前に先行発売されているFE168NSでも、より帯域幅は狭いですが、同様の傾向があります。参考データとして、FE108NSの周波数特性を示します。


図      FE108NSの周波数特性:10cm(左側の軸;dB)

 

 この周波数帯域は、長岡式のバックロードホーンにより、特性が持ち上げやすい領域でもあります。標準箱として、Fostexより、バックロードホーンタイプが用意されていますが、このエンクロージャに入れた場合、全体としては、よりフラットになっている可能性があります。

 さらに、FE208NSでは、3-7kHzでは、再び減衰しています。そして、6kHz -17kHz程度まで、また音圧が高くなっているわけですが、これらは、メインコーンの高域特性のカバー範囲が、4kHz弱程度までで、6kHz以上をサブコーンが分担しているためではないかと思われます。

 88鍵のピアノの一番高い音が、C8(4.186kHz)ですから、基音をギリギリですがカバーしているということにはなります。サブコーンで、波形補正の効果をだしている、ともいえそうですが、3-7kHzの減衰をみると、スーパーツィーター追加の効果はありそうです。

 次に、本NS系は、”Sol シリーズの開発理念と独自技術を継承”ということですので、同じ20cmのユニットであるFE208solとFE208NSを比較してみます。周波数特性の比較のために、FE208NS(実線)とFE208sol(点線)との周波数特性の値を下図に示します。測定条件と装置は、前記と同様です。

 


  図 .  FE208NS(実線)とFE208sol(点線)の周波数特性(10cm)

 この2つの形状を比較して見ると、FE208NSとFE208solの周波数特性は、かなり似た傾向にあるようです。

 

本ユニットの周波数特性と高調波特性の測定結果

次に、FE208NSの周波数特性と高調波歪の測定データを下図に示します。

図.  FE208NSの周波数特性と高調波特性(2次;オレンジ、3次;緑)

 

 いずれも、弊社簡易無響室でユニットをJIS箱に入れてユニットから10cmの距離で測定した値です。それぞれの高調波は、オレンジが2次高調波。緑が3次高調波です。なお、2次と3次高調波と歪については、FE168NSのブログでコメントを載せていますのでご覧ください。


 なお、縦軸は、ユニットの周波数特性と同一画面に収めるために、高調波特性の値は、2次、3次共に、+20dB嵩上げして表示しています。

 具体的に高調波歪率の計算例を示します。たとえば、500Hz での周波数特性の音圧は、上の図より約107.5dBです。2次高調波の値は、97.5dBと読み取れますが、20dB嵩上げ表示していますので、実際は、77.5dBであり、差は、30dBとなります。30dBの差は、31.62分の1となります。すなわち、ここでの2次高調波歪率は、1/31.62=約3.2%です。

 同様に、3次高調波は、74.5dB@500Hz ですので、実際は、54.5dB、周波数特性の値107.5dBとの差は53dBですから、約447分の1となります。3次高調波歪率が約0.22%に相当します。

 この3.2%や2.2%の高調波歪率というのは、高い値と言えます。
周波数特性の形状から、300Hz付近から600Hz 付近の中域において、2次高調波が比較的高くなっています。ただし、2次高調波は基本波の2倍ですので、これはいわゆる”歪”としては感知はされず、むしろ豊かな音、場合によっては、力強さを感じさせる要因ともなり得ます。

 

高調波測定結果の比較検討

 比較のために、FE208solの周波数特性と2次と3次の高調波の周波数特性を示します。
こちらも先と同様、オレンジが2次高調波。緑が3次高調波です。また、縦軸は、周波数特性と同一画面に収めるために、歪特性の値は、2次、3次共に、+20dB嵩上げして表示しています。


 図.  FE208solの周波数特性と高調波特性(2次;オレンジ、3次;緑)

 

 こちらの2次、3次高調波と周波数特性の関係も、FE208NSと似たような傾向を示しており、2次高調波が、400-500Hzと4kHz付近で突出しています。ちなみに、500Hzでの2次高調波歪は、110.5-(98.5-20)=32dBで、39.8分の1となり、約2.5%となっています。

 

FE208NSの外観のレビュー

フレーム

  FE206NVとFE208NSとを並べて側面からみた写真を示します。


写真  FE206NV(左)とFE208NS(右 )

 

 FE208NSは、高剛性アルミダイキャストフレームが採用されています。伝統的な鉄フレームのFE206NVよりも、がっしりとして分厚い印象で、総重量比が1.3倍です。 ユニットの取付穴の位置はFE206NVよりもやや内側となっていますが、バッフル開口寸法は、同じ値です。

 

振動板とエッジ

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図  FE208NSのエッジ(コルゲーションエッジ)

 

 FE208NSのエッジは、FE208solと同様、コルゲーションエッジが採用されています。コーン紙とは材質が異なるフリーエッジ方式です。ちなみに、NS系は、FE108NS、FE168NSも含め、全てコルゲーションエッジが採用されているのが共通しています。

 また、FE系の伝統でもあるサブコーンがあります。これも、10cm、16cmと共通です。

 メイン、サブともに、2層抄紙コーンです。
 Fostexによると、” FE-NSシリーズでは、基層に長繊維パルプを主材として使用し、十分な厚みと内部損失を保有させています。表層には短繊維のパルプを配合し、振動板表面の伝搬速度を高めています。これにより、中音域の明るく張りのある音色はそのままに、立ち上がりが良く、切れのある高音と厚みのある低音再生を可能にしました。” とのことです。

 Sol系から継承された技術として、このコルゲーションエッジと2層抄紙コーンがすぐに目につきます。

 

ダンパー等の振動系


写真   3点接着方式(ハトメレス)

Fostexによると、ここでは、3点強調されています。

1. ハイ・コンプライアンス コルゲーションダンパー:リニアリティ向上のため、ハイ・コンプライアンスでありながら微小入力時から大入力時まで硬さの変化が少なく動きの優れたコルゲーションダンパーを採用。

2. 3 点接着方式:コーン紙とダンパー、ボイスコイルの接着を同一箇所で行う3 点接着方式を採用。コーンネックの強度を高めることで、高域特性が向上。

3. ファストン205 金メッキ端子:入力端子にはファストン205 タイプの低損失金メッキ端子を採用。スピーカーケーブルの確実な接合と音質劣化を防ぐため。

 FE206NVでは、ハトメレスポケットネックダンパーという用語が強調されていますが、こちらでは、それは語られていません。

 しかしながら、3点接着方式が、それらと同等な技術で、表現もしくは視点の違い、と思われます。また、ダンパーの写真も外見はほぼ同様です。

 従って、ダンパー周りの振動系は、FE206NVとほぼ同様の技術が採用されていると思われます。これは、FE208solも同様です。FE206NVと見た目が異なるのは、コルゲーションダンパーに、孔が空いている点です。

 


図  FE208NSのダンパーにある孔

 

 この孔は、写真で4個見え、奥にもう一つあるので同一円周上に計五個です。Fostexのホームページ等では、特に説明がありませんが、振動時の空気抵抗を低減するためではないかと推察されます。これによって、過渡特性が向上しているのかもしれません。

 なお、この孔はFE208solにも同様にありますので、これも継承された技術もしくはノウハウと思われます。

磁気回路

写真  FE208NS と FE208sol のマグネットの比較

 



写真  FE208NS と FE208sol の側面

 

 磁気回路にはΦ156mm / 20mm tのフェライトマグネットが採用されています。さらに、” ポール部に銅キャップを追加し電流歪みを低減し、力強い音楽再生と中高音域の音質向上を実現しました ”、とのことです。

 ちなみに、このマグネットの外寸は、FE208EΣと同じです。

 なお、FE208solでは、Φ180mm / 40(20☓2)mm t となっており、写真でわかるように見た目の印象が両者ではかなり異なり、FE206NVとの比較では、ずっしりとして見えたFE208NSが、こちらでは軽そうに見えます。

 

まとめ

 FE208NSは特性的には、周波数特性の400Hz-1.5kHz付近が鍋底状に落ち込む特性となっています。全体に高域に向かって音圧が高くなる傾向や、Qts=0.22などのTSパラメータの値から、BHBSやバックロードでも本領を発揮させることができると思いますが、今回は、本ユニットを43Lの試作バスレフ箱に入れ、試聴しました。

 結果は、能率が高く(音が大きい)、クリアで張りのある音が、まず印象的でした。また、当然ではありますが10cmと16cmのNSに比べバスレフ箱でも多く低音が出てきています。

 しかしながら、周波数特性分析からも予想されたように、中高域でピーク音が感じられました。音としては、嫌な感じではないのですが、超高域がハイ落ち気味にはなります。やはりフルレンジですと、16センチまではツィーターなしでも良いものが20センチではどうしてもスーパーツィーターがないとバランスを取るのが難しくなる傾向があります。

 バスレフ箱にZ501スーパーツィーターを追加したところ、まずピーク音がなくなりました。さらに、全体に伸びやかでキレのある再生音となりました。低音も一層弾んで聞こえます。全体としては、角がとれ、落ち着いた安心感のある音です。

 FE208NSは能率が94dB/Wなので、Z501では少々役不足で、本来100dBまで対応しているZ502かFOSTEXさんのホーンツィーターが好ましいでしょう。