Take Five / The Dave Brubeck Quartet

 

曲の概要

 デイブ・ブルーベック・カルテットの有名なジャズナンバーです。
1959年のこの曲は、ちょっと変則的な5/4拍子。曲名の由来ともいわれています。

英語を勉強されたことのある方は、Take Five=小休憩という意味もあるのは、ご存知の方も多いかもしれません。

※レコーディング時にOKがでるまでの回数をテイクと呼びますが、5回目のテイクでOKが出たのでこのタイトルになり、その曲が偶々5拍子だったという話もユーザー様より教えていただきました。

 さて、今では、古典とも言えるこの曲は、比較的音域は狭く、ダイナミックレンジもあまり広くはありません。従って、F特ベースでスピーカーを考えると、物量差が出にくいと予想されます。

 小型の小口径スピーカーでも大型ウーファーを搭載したハイエンドスピーカーに勝つことができる可能性のあるソースで、フルレンジとの相性も良さそうです。
勝負になるのは音場感のリアルさ、出だしのアルトサックスの味わいなどの再現性や解像力など、割合細かいところが、再生能力の差を計るポイントかもしれません。

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

 実際のイントロ部分のピーク値の周波数特性を下図に示します。

 


図  Take Five のイントロ部分のピーク値の周波数特性

 

 グラフの縦軸が音圧、横軸が周波数で、20kHzまで表示しています。
音圧の値が-60dB程度で、実際は、ほぼ無音状態です。

 低音は、案外下まででており、ベースやドラム、の再生に90-150Hz、それに部屋の雰囲気等の再生には、40Hzぐらいまでの再生能力があったほうが良さそうです。また、中音域の500-2.5kHzぐらいの再生における分解能力がサックスなどの再現性に関係して来そうです。この曲では、この領域の音圧が高くなってもいます。

高域は3KHzあたりから落ち始めていまして、超高域帯域である約12KHz以上ぐらいでストンと音圧が落ちています。つまりスーパーツィーターとかは使っても効果は感じにくいソースかと思われます。

しかしながら、急峻な波形再現に関係する可能性はあります。いわゆる倍音成分の再生能力に関係するからで、測定値にある3kHz以上の高音域のノイズのようなピークは、これら倍音成分を示しているかもしれません。

スーパーツィーターの追加の効果は、Z1で実験してみます。

音工房Zスピーカーでの比較試聴

 

Z601-Modena (V2)での試聴

 アルトサックスの音が柔らかく、いい雰囲気で再生されました。

 Z601は、音工房Zのエントリーモデルという位置づけの製品で、スピーカーユニットには、8cmのZ-Modena mk2を使用しています。もともと、オリジナルのZ601(V1)を、2018年のムック付録のマーク・オーディオ製のユニットOM-MF5用に開発した箱がベースとなっています。

 Z601は、バックロードホーンの要素を設計に取り入れたダブルバスレフ型で、ユニットサイズ以上の低音再生が特徴です。

 この曲では、その応答性が高く素直な高音域と、サイズを超えた豊かな中低音とがバランス
よく鳴ってくれます。
ソースに入っている低域が50Hzぐらいから急峻に落ちていて、そこまで低域の再生能力も必要ないことからZ601との相性抜群のソースと言えます。

このZ601で、この曲を聴いた場合、かなりの方に満足いただけるのではないかと思います。

 音量をあげると、追随してスケール感も増します。

 

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Z701-Modena (V5)での試聴

 

 Z701は、Z601と同じZ-Modena mk2のフルレンジ一発のモデルですが、箱が異なります。

 BHBS(バックロードホーンバスレフ)といういわばバックロードホーン(BH)とバスレフ(BS)の良いところ取りをしたエンクロージャーですが、8センチ1発とは思えないローエンド再生が可能です。Z601よりも、高さと奥行きがあり、全体の体積が、約2.17倍となります。

 試聴してみると、Z601の良さに加え、ホール感・音場感がさらに加わって聞こえ、JAZZホールの雰囲気が出てきました。
 Z-modena mk2の強力な磁気回路による、ややオーバーダンピングな特性が、BHBSにより高速応答性の高い中低音再生力に活かされているのが実感出来ます。

Z601-modenaとの低域の差はホテルカリフォルニアのような低域モリモリのソースではないのでそこまで大きくは感じません。しかし、Z601に比べ、一段と応答特性の良い豊かな中低音が再生され、ひとクラス上のゆったり感を醸し出してくれています。

 

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Z-1-Livorno (S)での試聴

 Z-1は、2ウェイのバスレフでウーファー、ツィーター、ネットワークを使っています
が、全て音工房Zのオリジナルです。

ユニットをゼロから作ったのはB&W805の音質を低コストパフォーマンスで実現するためです。

 試聴すると、Z701の少し明るい音とは、傾向が異なり、中低音のふっくらとした、癖のない柔らかい音が響きます。

サックスはうるさくなりそうで、うるさくならない絶妙の調整がされています。

聴き疲れしにくいという意味ではマルチウエイであるこちらに軍配があがりますが、音のリアルさ生々しさにおいてはフルレンジに良さがあり甲乙をつけるのが難しいソースです。

 

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Z800-FW168HRでの試聴

 

 Z800は音工房Zのマルチウェイ最上位モデルです。2ウェイ、バスレフ型となります。

 Z601、Z701、Z-1、の試聴では、それぞれ良く鳴っているように思えましたが、Z800では、新たな気付きがありました。

 これまでの音に加えて、サックスを吹いてる時の”ゆらぎ”のような感じが、再現されてきています。特に、各節の終わりのビブラート感の表現力は、他の機種では感じられなかったものでした。Jazzyな音です。

 Z800-FW168HRのマグネシウムドームツィーターとサックスの金属音が絶妙にマッチしています。

 

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Z-1-Livorno (S)+Z501 での試聴

 Z-1にスーパーツィーターZ501を組合わせて試聴しました。

 ネットワーク用のコンデンサは、試聴の結果、標準の2.0μFから、0.82μFに変更してあります。

 試聴の結果、Z800で感じられた、サックスの吹いてる微妙なニュアンス、ビブラート感などが、ノーマルに比べ出てきました。その点ではZ800にはやや及びませんが、一段再現力が向上した感じがしました。

 さらに、Z-1で感じたふっくらとした中低音に若干のキレも加えられ、Jazzを聴くには、こちらの方がいいかもしれない、とも感じました。

 

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まとめ

 この曲は、比較的Fレンジが狭く、ダイナミックレンジもあまり広くはない印象でした。

しかしながら、測定してみると、低音域が案外下まででています。
これは、録音の際の部屋の残響音などと推定されます。従って、プレイヤーや部屋の雰囲気などの再生には、40Hzぐらいまでの再生能力が必要なようです。

 高音域では、3kHz程度までの再生能力が重要ですが、それ以上のスーパーツイーターの再生能力に関わる超広域も、低い音圧ではありますが録音はされており、波形再現性などに関わってくると思われます。

 試聴すると、それぞれの機種の持ち味が発揮される結果となりました。

 Z601では、応答性が高く素直な高音域とサイズを超えた豊かな低音域とがバランス良く鳴ってくれます。ボリュームとともにスケール感も増します。

 Z701では、ホール感・音場感が、さらに加わって聴こえ、Jazzホールの臨場感がでてきました。

 Z-1では、やや傾向が異なり、中低音のふっくらとした癖のない柔らかい音が、この曲にマッチします。さらにスーパーツイーターのZ501を追加することによって、一段と音の再現力が増すのが感じられました。Jazzに浸ることができます。

 Z800では、ワイドレンジの再生能力が、サックスの音のわずかなゆらぎやビブラート感を一番良く再生してくれました。

 本曲は、音楽を聴く満足感と音のクオリティといったものを、それぞれの再生能力に応じて色々教えてくれるようです。

CD情報

 

 

 

 

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