水上の音楽 組曲 ニ長調 HWV 349 12. 
 Alla Hornpipe

曲の概要

 水上の音楽は、ヘンデルの作曲による管弦楽曲集で、弦楽合奏と管楽器からなる管弦楽編成です。今回ご紹介するのは、オルフェウス室内管弦楽団による演奏です。 今回は、その中でも、引用されることが多い第2組曲の第2曲のアラ・ホーンパイプの試聴コメントになります。

 本曲の初演は、ドイツのハノーファー選帝侯がイギリス王ジョージ1世として迎えられた後、テムズ川での王の舟遊びの際に行われた、とのことです。王は、往復で3度も演奏させたとか。

 その由来や、楽器の編成からも、本曲は、超低域や、広いダイナミックレンジなどを要求されるものではなく、水上の流れるような調べを楽しむ音楽、ともいえそうです。

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

 本曲の始まりの部分のピーク値の周波数特性を下図に示します。


図  水上の音楽(Alla Hornpipe)の始まりの部分のピーク値の周波数特性

 

 グラフの縦軸が音圧、横軸が周波数で、20kHzまで表示しています。
 曲によってもやや異なりますが、音圧の値が-80dB程度で、聴感上は、ほぼ無音状態です。測定値は、-120dBまで、取れていますが、グラフを見やすくするために、ここでは、-80dB以上を示しています。

 本録音では、約30Hz~5kHzの広い範囲で、-40dB以上の音圧を持って録音されています。聴感上は、フルオケのような比較的広い範囲の音域として感じられると思われます。
 高い周波数の倍音成分も、20kHzのカットオフ周波数まで、なだらかに下がりながら検出されています。おそらく実際の演奏では、20kHz以上も入っているものと推定されます。

 豊かな倍音成分の含まれた高品質の録音であることが伺えます。高い周波数音域の再生能力が活きる曲、と想定されます。
 また、左側には、50-60Hzと100Hz前後に2つのなだらかなピークがあります。録音した場所の雰囲気や、ホルンやオーボエなどの低音成分と思われます。このパートを再生するには100Hz以下の再生能力が必須となります。

 感触的には弊社の8センチのBHBSで十分再現可能で25センチのサブウーファーなどは
あってもさほど大きな効果は感じられないと思われます。

 なお、200Hz~3kHzの、基音の領域は、同じレベルにならんでいますので、各楽器が、バランスのとれた音量で録音されており、突出したのがない分、比較的穏やかな音楽という印象をあたえるのではないかと推測されます。

 逆に言えば、この領域の再生能力がフラットであれば、癖のない、素直な音として聞こえる可能性があるのかもしれません。

音工房Zスピーカーでの比較試聴

 

Z601-Modena (V2)での試聴

 Z601は、音工房Zのエントリーモデルという位置づけの製品です。

この箱は、バックロードホーンの要素を設計に取り入れたダブルバスレフタイプです。
スピーカーユニットには、8cmのタイプを、使うことができます。Z601-Modena (V2)は、音工房Zのオリジナル8cm のフルレンジユニットであるZ-modena mk2を用いたスピーカーとなります。

 弦楽合奏から始まり、オーボエ、ホルン、トランペット、フルート、リコーダーなどの管楽器とからなる管弦楽編成のこの曲は、比較的コンパクトな本機に合います。つややかな弦の音色と、比較的柔らかなトランペット などはもちろん、中低域もしっかり再生してくれます。

 高域に特に気になる癖はなく、まとまりのいい音です。

 

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Z701-Modena (V5)での試聴

 

 Z701は、Z601と同じZ-Modena mk2のフルレンジ一発のモデルですが、箱が異なります。

 BHBS(バックロードホーンバスレフ)といういわばバックロードホーン(BH)とバスレフ(BS)の良いところ取りをしたエンクロージャーですが、8センチ1発とは思えないローエンド再生が可能です。

 試聴すると、弦楽合奏の始まりの部分から、部屋の雰囲気といいますかホール感が漂います。バランス的に、中域にややふくらみを感じますが、悪い感じではありません。少し、押し出しが強いかな、という感じです。良い言い方をすれば、こちらはZ601よりも、伸びやかさがあります。

 これは、Z601と同じユニットですので、高音域は、おそらくほぼ同等ですから、BHBSによって生み出される豊かな中低音によるものです。

 

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Z-1-Livorno (S)での試聴

 

 Z-1は、音工房Zオリジナルユニットから成る2ウェイのバスレフスピーカーです。
バスレフポートは、テーパー状で、後ろ側に配置されています。各専用ユニットとシンプルなネットワーク構成をバランス良くチューニングすることで、コストパフォーマンスと、高級機に匹敵するクオリティを両立させることができました。

 視聴すると、本機は、弦楽器の中低音パートである、チェロやコントラバスなどがゆったりと響きます。また、ホルンの低音域の残響音が心地良く響きます。これらは、Z1-Livornoが中低域を気持ち膨らませ気味に作っている部分の効果と思います。

 ただ、管楽器のパートなどでは、ややベールをかぶったような、といいますか、少し、モワッとしているように感じるところもありますが、、フルレンジ系のZ601,Z701と比較すると中域から高域にかけての分解能は高く、このソースに関しては総合的にはマルチウエイが上かなという気がします。

 

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Z800-FW168HRでの試聴

 

 Z800は、音工房Zの最高峰のスピーカーです。 2ウェイのバスレフタイプで、形式的にはZ-1と同じです。ツィーター、ウーファー共に、フォステクスの最高のものを使っています。それぞれ、市販の300万クラスのスピーカーに普通に採用されているユニットです。
 ツィーターのT-250Dの再生周波数特性は、カタログ値で、900Hz~50kHzとなっています。

 試聴してみると、この管弦楽曲全体で、各パートが、クリアに分離して聞こえます。特に管楽器は、粒立ちよく、伸びやかです。これらの効果は、高性能のツィーターにより豊富な倍音成分が、きちんと再生されていることによるものと考えられます。

 また、今回試聴した中では、おそらく最も低い低音域を再生しているという印象です。

 最低音の管楽器の音が、最もきちんと再生されます。中域の膨らみは感じずスッキリしているので、Z1と比較すると解像度が高く感じますが、これはソースによって良し悪しが分かれます。

 フラットに、下まで伸びている低音再生能力と、波形の切れに通ずる高音域の倍音成分の再生能力が相まって、倍音成分の多い管楽器の音の再現性に発揮されているようです。

 

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Z-1-Livorno (S)+Z501

 

 Z-1にスーパーツィーターZ501を組合わて試聴しました。ネットワーク用のコンデンサは、標準の2.0μFから、0.82μFに変更しました。
 Z-1には、質の良いツイーターが既についていますので、Z-501を、よりスーパートゥイーター的に働かせるために、標準よりも、カットオフ周波数を高くして、周波数が下の方の減衰量も増やす方向に変更しました。

 試聴の結果は、一言で言えば、Z-1が纏っていた薄いベールをとった、という感じです。

 また、豊かな中低音と筋のいい高音域のそれぞれの過渡特性がよくなったように聞こえます。

 本曲に録音されている約10kHz以上の高音域の豊富な倍音成分が、よりキチンと再生される様になり、原音の再生能力が向上したためではないかと考えられます。

 本曲のような低域も超高音域もきちんと録音されている場合には、Z-501は効果的に力を発揮してくれるようです。

 

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まとめ

 弦楽合奏と管楽器からなる管弦楽編成からなるこの曲は、ピーク値の周波数特性をみると、約30Hz~5kHzの広い範囲に渡って-40dB以上の音圧で録音されています。弦楽器、管楽器ともに豊かな倍音成分を含んでいるためです。また、100Hz前後までの再生能力で、楽器の低音パートの再生が可能と考えられます。

 さらに特徴として、あまり突出したピークのない比較的フラットで、穏やかな印象をあたえる曲と言えます。 これらの特性から、今回試聴の各機種で、それぞれの持ち味が生きた再生音を聴くことができました。

 Z601では、くせのない、まとまりのいい音楽をきくことができます。

 Z701では、さらに伸びやかな中低音により、ホール感を感じ取ることができるようになります。

 Z-1では,特に中低音パートの楽器が活きます。たとえば、チェロやコントラバスなどがゆったりと鳴り、ホルンの低音域の残響音も心地よく響きます。
管楽器のパートは、音の構成のバランスのせいか、やや解像度が下がる感じもしますが、
スーパーツイーターのZ501を加えることで、それは解消されます。
スーパーツイーターが効果的に効くようです。

 Z800では、超低域を含む低域が解像度よく再生するのを聴き取ることができます。また、超高域の再生能力が、豊かな倍音成分をもつ管楽器と弦楽器の音の再現性に発揮されます。傾向としては、Z-1に比べると、モニター的なスッキリとした感じに聴こえました。

 

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