目次
THE BLUE CAFE / Chris Rea
規格品番:[ 3984-21688-2 ]
本アルバム について
概要
今回ご紹介するのは、クリス・レア(Chris Rea)の ” THE BLUE CAFE "です。
ワーナー・ブラザーズ・レコード系の英国のレコード/レーベルであるMagnet Recordsから1998年にリリースされました。規格品番は、[ 3984-21688-2 ]です。
前作の『エスプレッソ・ロジック』 - Espresso Logic (1993)の後、胃潰瘍、腹膜炎と健康を害し、ほとんど死にかけたとのことですが、その後14枚目のスタジオ・アルバムである本作で復活しました。UKトップ10に入っています。
本アルバムの後、The Blue Cafe Tourという名前のツアーをドイツの各地で行っています。
クリス・レアについて
クリス・レアは、本名クリストファー・アントン・レア、1951年3月4日生まれの、英国のロック及びブルースのシンガー・ソングライターでギタリストです。スライド・ギターの名手としても知られています。
活動はヨーロッパが中心で、英国ではトップ10入りを何度もしていますが、米国ツアーはしたことがありません。また、上記の腹膜炎の後、33歳で膵臓ガン、その治療の副作用として糖尿病、65歳で脳卒中など、深刻な病気からの復活を何度かしていることから、 "rock's ultimate survivor" 「ロックの究極のサバイバー」、などとも呼ばれているようです。
クリス・レアは、25のソロアルバムを出していますが、例えば有名な2005年のアルバム、 " Blue Guiters "は、11枚のCDと1枚のDVDからなります。他にも複数枚から成るアルバムがありますので、CDの実際の数は多く、ほとんど自作ですので、かなりの作品数を作り出しています。
彼は、世界中で累計4,000万枚以上のCD/レコードを販売しているとのことです。
音楽の特徴
本アルバムの第一印象は、大人のロック、です。
厚いベースの音と、少し重めなドラムスに支えられ、スライド・ギターなどが奏でられる中、彼の渋い少ししゃがれたボーカルが、浮わつくこと無く淡々と始まります。
そして、曲はだんだんと、少しヒートアップしていきます。しかし、クリス・レアのボーカルは、腰が座っています。
音域は、かなり広い印象です。低域が、下にかなり伸びているようです。また、ハイハットなどのキレもいい。
The Bandほど土臭くはなく、でも、やや重めでかつキレの良いサウンドとクールなクリス・レアのボーカルは、夜、一人で聴いてもしっくり来る感じです。
本アルバムの情報
収録曲
収録されているのは、次の12曲です。
- "Square Peg, Round Hole" – 3:58
- "Miss Your Kiss" – 4:05
- "Shadows of the Big Man" – 4:49
- "Where Do We Go from Here?" – 4:32
- "Since I Found You" – 4:37
- "Thinking of You" – 3:31
- "As Long as I Have Your Love" – 4:44
- "Anyone Quite Like You" – 4:49
- "Sweet Summer Day" – 4:45
- "Stick by You" – 4:05
- "I'm Still Holding On" – 4:55
- ”The Blue Cafe" - 4:49
また、日本で販売されたバージョンには、次の3曲のボーナス・トラックが収録されています。
- "Kyoto Blue" – 4:44
- "Ameno Nakano Kiirono Herumetto" – 4:12 (雨の中の黄色のヘルメット)
- "On the Beach" – 5:03
プレイヤー
本アルバムのプレイヤーは、次の4人です。
- Chris Rea – vocals, guitars
- Max Middleton – keyboards
- Sylvin Marc – bass
- Martin Ditcham – drums, percussion
アルバム制作
また、アルバム制作関連のキーパーソンは次の4人です。
- Chris Rea – producer
- Frédéric Blanc-Garin – engineer
- Ian Cooper – mastering
- Tommy Willis – guitar and amplifier technician
各曲の周波数特性の特徴
各曲の周波数特性をPCのFFTアプリで測定し、その特徴を検討しました。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。
" Square Peg, Round Hole "の周波数特性について
まず、 "THE BLUE CAFE "の1曲目の、" Square Peg, Round Hole"の全曲のFFT解析結果の周波数特性を、連続データ形式で示します。
ちなみに、" Square Peg, Round Hole"とは、丸い穴に四角い杭を打つ、つまり、合わないものを無理に一緒にする、木に竹を接ぐ、と言った意味のようです。
図 1. " Square Peg, Round Hole " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。
高域は、20kHzまで、しっかりと高い音圧で録音されており、倍音列が豊かなことを示しています。また、これだけの音圧ですから速い立ち上がりの音の割合が多いことがわかります。低域は、60Hz 前後に大きなピークが2つあり、また、42Hz 付近にも大きなピークがあります。
さらに、30Hz付近にも小さなピークがあり、録音自体がワイドレンジで、スタジオの雰囲気を醸し出しているようです。
" Anyone Quite Like You "の周波数特性について
次に、8曲目の”Anyone Quite Like You ”の全曲のFFT解析結果の周波数特性を、連続データ形式で示します。
" Anyone Quite Like You "とは、本曲の歌詞の最後の ” Ain't been anyone quite like you "から来ていると思われます。”あなたのような人はいませんでした”と言った意味です。
図 2. ”Anyone Quite Like You ” のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
全体的に、1曲目よりも音圧が低く、若干おとなしい感じの曲という感じが見えます。15kHz 以上の倍音域の音圧も低く、比較的ギターなどの高音楽器が控えめな印象です。
低域側のピークは一番低いのがD1の36.7Hz、またその上が、41Hz付近の4弦ベースの第4弦の開放弦、その上が、55Hzで、4弦ベースの第3弦の開放弦に相当するようです。それぞれ、印象的な高い音圧で録音されています。
" Stick by You " の周波数特性について
次に、 10曲目、" Stick by You "の全曲のFFT解析結果の周波数特性を、連続データ形式で示します。
図 3."Stick by You "のピーク値の連続データの周波数特性
本曲の全体の音圧は、先程の8曲目よりもさらにやや低く、さらにピークがあまり目立たない印象です。特に低域側では、目立つピークはないのですが、40Hz台の音圧が高くなっています。前の2曲でのベースの代わりにドラムス系が低域を支えていると思われます。約30Hzでも-40dBと高い音圧となっています。
高域は、7kHzあたりに緩やかな山があり、15kHzあたりからストンとおちていますが、20kH zまで、-80dB以上で録音されています。
" The Blue Cafe " の周波数特性について
次に、12曲目、アルバム・タイトルの" The Blue Cafe "の全曲のFFT解析結果の周波数特性を、連続データ形式で示します。
図 4. " The Blue Cafe " のピーク値の連続データの周波数特性
全体に音圧がやや高く、1曲目と同じ程度でしょうか。ただし、こちらの方が、極低域の30Hz前後で、-30dB程度のピークがいくつか見られます。全体に低域のレベルが高く、ベースや、シンセベース、ドラムスなどが曲を太く支えているという感じです。
超高域も、20kH zで、-60dB弱と高い音圧となっています。一音一音のキレがよい、鮮度の高い録音と思われます。
この広帯域で、キレのよい各楽器の音と、クリス・レアのしゃがれた渋いボーカルとのコントラストが、本アルバムでも大きな魅力となっています。
比較試聴の設定
今回、低域が豊かに録音されており、さらに低い周波数まで伸びていますので、サブウーファーのZ506-Livornosubを組み入れたシステムをまず想定しました。
また、超高域も高い音圧ですので、キレのよいベースやドラムスを期待して、スーパーツィーターを組み合わせることにします。
組み合わせとして、次の2つを設定してみました。
① (Z1-Livorno)+(Z506-Livornosub)+Z501
② (Z702/1000-Bergamo)+(Z506-Livornosub)+(Z502/Z501)
また、サブウーファーとスーパーツィーターの有無による効果についてもチェックします。
Z1000(Z702)-BergamoとZ502タモ版について
Z702-Bergamo とZ502タモ版については、こちらで比較的詳しくご紹介しています。
なお、Z-702-BergamoとZ502タモ版とを組み合わせた場合は下記のようになります。
このZ702-Bergamo は、未塗装の状態です。
比較試聴のレイアウト例
今回の比較試聴の際のレイアウトの例を示します。ここでは、右チャネルの場合です。
右側が、Z1000-Bergamo +Z502タモ版、左側が、Z1-Livorno+Z501(上)+Z506Livornosub(下)となります。
なお、Z506-Livornosubは、試聴毎に、Z1-Livorno系または、Z1000-Bergamo系に接続します。
サブウーファーの接続方法
チャネルデバイダの使用
今回の接続は、下図のように、デイトンオーディオ製のDSP-408をデジタルチャネルデバイダとして用いて、サブウーファー用の信号を作成して、D-級アンプのSMSL製A300に送り、Z506-Livornosubを駆動しました。設定は、WindowsPCの専用ソフトウェアで行います。
使用した機器
チャネルデバイダ: DSP-408(Dayton Audio)
アンプ: A300(SMSL)
今回は、SMSL社のA300をサブウーファー用のパワーアンプとして用いました。
本機種については、たまたま手元にあった、というのが使用した理由です。この下位機種となるA100などでも充分かと思われます。
最新のD-級アンプについては、SMSLとSabajの製品の比較説明を下記ブログにてご紹介しています。
サブウーファーの設定
サブウーファーの設定は、DSP-408専用のPCソフトウェアで設定します。カットオフ周波数は、40-60Hz程度と低い値として、メインスピーカーをできるだけ邪魔せず、極低域のみを付加するような設定とします。
今回は、フィルタータイプをバターワース、スロープを24dB/Octとしました。
なお、今回用いた接続方法については、下記の別ブログで詳細にご説明します。
以上で、本アルバムのご紹介と事前準備の説明を終わります。
次回、実際に比較試聴した結果をご紹介します。
CD情報
アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)
関連リンク先
次回、Blue Cafeの試聴結果
最新のD-級アンプのご紹介、SMSLとSabajの製品の最新動向
デジタルベースの負帰還により、低歪み率と高SN比を達成した製品が、従来の負帰還技術を導入したD級アンプと比べると驚異的な低価格でリリースされています。
オランダのAxign社のAX5689というデバイスと従来型のD級アンプデバイスを組み合わせた技術が導入されています。本ブログでは、それらの動向などをご紹介しています。
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