目次
What Is This Thing Called Love ? / Richie Beirach Trio
規格品番:[ VHCD-1202 ]
本アルバム について
アルバムのバリエーションについて
今回ご紹介するのは、音工房Zの試聴会にてお客様に持参頂いたCDになります。
リッチー・バイラーク・トリオ(Richie Beirach Trio) の " What is this thing called love ? " (Disc1)です。
ご持参頂いたのは、この単体のアルバムでしたが、今回は、これと、" Summer Night "(Disc2)との2枚組がありましたので、そちらをベースにご紹介します。
本2枚組は、ヴィーナス・レコード(VENUS RECORDS)から2016年にリリースされました。規格品番は、[ VHCD-1202 ]です。
なお、単体のアルバムは、通常版とSACD盤とがあります。" Summer Night "も同様です。SACD盤は、音質的には、一層期待できると思われます。
なお、音工房Zの試聴室には、SACD対応のCD再生機器が設置しています。従って、今回は確認できていませんが、試聴会にて持参頂いて試聴した場合と、今回のは異なっている可能性があります。
ただ、本2枚組は、Amazonでは、1,722円で販売されており、かなりお買い得と言えます。上記SACD盤2枚合計の4分の1以下となっています。
リッチー・バイラーク・トリオの入門編として、お勧めです。
なお、オリジナルの録音は、前者(Disc1)が、1999年6月18日、19日、ニューヨークのシアー・サウンド・スタジオ、また、後者(Disc2)が、2007年9月4日、5日、ニューヨーク、ザ・スタジオでした。
リッチー・バイラーク・トリオについて
リッチー・バイラーク・トリオのメンバーは、次の3人です。
リッチー・バイラーク(Richie/Richard Alan Beirach:1947年5月23日-;ピアノ)
ジョージ・ムラツ(George Mraz:1944年9月9日-2021年9月16日;ベース)
ビリー・ハート(Billy hart:1940年11月29日- ;ドラムス)
それぞれ、Wikipediaの日本語版にバイオグラフィーが載っているほど、有名なプレイヤーの組み合わせです。
ほぼ、同世代とも言えますが、ピアノのリッチー・バイラークが一番年下で、それがこのトリオとしての演奏が続いた理由かもしれません。特にリッチー・バイラークとジョージ・ムラツとの共演は多いようです。
残念なのは、そのジョージ・ムラツ(ムラーツ)が、2021年に77歳で亡くなったことです。母国のチェコでは、共和国大統領栄誉賞として勲章を授与されるほど、有名な英雄的存在で、酒豪としても様々なエピソードがあり、また、数多くのプレーヤーと共演しました。
各アルバムの概要
Disc.1の " What is this thing called love ? "は、この表題が示すように、スタンダード・ナンバーを中心に、リッチー・バイラークの曲(2曲目)と、ウェイン・ショーター(7曲目)、マイルス・デイヴィス(9曲目)が入り全10曲です。
ただ、題名はスタンダード・ナンバーだったりしますが、原曲が分からないほど即興が進みます。曲によっては、通常のテンポとも異なります。リッチー・バイラークの作曲家、そしてジャズ・ミュージシャンとしてのスタイルが、他の二人とよく絡み合った、じっくりと聴きいってしまう演奏といえます。
Disc.2の" Summer Night "は、10曲中、マイルス・デイビスの曲が4曲。バッハが1曲というのが、まず大きな特徴。そして、こちらの各曲も、それぞれの原曲のイメージのテンポと、まず異なったり、など題名からの思い込みが覆される感じがする演奏です。
各アルバムで、共に言えるのは、3人のインプロヴァイゼーションを支える音質の良さ。
中域のしっかりしたピアノのタッチ、極低域まで伸びたベース、バスドラ、そして空間を感じさせるハイハット等の高域。
リッチー・バイラークのHubrisなどの代表的なソロピアノ作品に感じられる、高域が特に印象的なきれいなイメージの音のつくりとは大分異なります。
これらの音の存在感がそれぞれの即興の音楽性をさらに際立たせているという印象を受けます。
各曲のピーク値の周波数特性の特徴
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。
" What is this thing called love ? "のピーク値の連続データの周波数特性について
まず、 " What is this thing called love ? "の1曲目、本アルバムのタイトル名である" What is this thing called love ? "の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。
図 1. " What is this thing called love ? " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。
約63-75Hz付近から、周波数が上がるにつれ、なだらかに音圧が下がるような形状です。さらに、ベースの最低音E1に相当する約41Hz付近等、40Hz台にピークがいくつかあります。また、その下の白いカーソルで示した付近の36Hz-42Hz付近に小高い丘があります。
周波数で約30Hz以下では、-40dB以下となっています。
これから低域の再生音を推測すると、大体のスピーカーは、60-80Hz付近のバスドラ等は再生可能と思われます。その下の40Hz台とそれ以下のピークの再生の可否で、音の深みの感じ方に関係するかもしれません。
中域の200Hz-1kHzの領域は、ピーク高さがほぼ同じで推移しており、中域の音圧が比較的高く、しっかりとしているようです。
高域側は、CDの限界の20kHzまで-80dB以上で録音されています。高調波成分が豊かで、波形の再現性がよく音の立ち上がりが速いキレのある音と聴こえると推定されます。
" Autumn Leaves "のピーク値の連続データの周波数特性について
次に、5曲目の”Autumn Leaves”(枯葉)のピーク値の連続データの周波数特性を示します。
図 2. ”Autumn Leaves” のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この曲も、細かな形状は1曲目とはやや異なりますが、先に指摘したポイントはほぼ同じです。良い録音と言えます。
ちなみに、枯葉、を連想させるのは、ほぼ冒頭の30秒程度のみといっていいようなインプロヴィゼーションの展開をします。
次に、本アルバムでは、Disc2となっている”Summer Night "のデータを示します。こちらは、録音の時期も、スタジオも異なっています。
" Impressions Intimas No.1 " のピーク値の連続データの周波数特性について
次に、”Summer Night " の8曲目、" Impressions Intimas No.1 "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。
図 3." Impressions Intimas No.1 "のピーク値の連続データの周波数特性
低域側をみると、ベースの最低音の約41Hzから、100Hzまでの音圧がずっと高く、かつ、離散的ですので、音程を出す楽器、この場合はベース、の存在感がとても大きいことが見て取れます。それ以下はストンとおちていますが、さきほどよりも20Hz台の音圧は高く、録音自体はされているようです。部屋の雰囲気、楽器の筐体等の低調波なども録音されていると推定されます。低域については、Disc.1よりも優れていると言えそうです。
中域は、先程と同様音圧は高く、存在感があります。
また、高域は、やはり20kHzまで、高い音圧で録音されており、高速応答性に優れた録音と推定されます。
" Milestones " のピーク値の連続データの周波数特性について
次に、”Summer Night "の9曲目、" Milestones "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。
図 4. " Milestones " のピーク値の連続データの周波数特性
本曲の場合も、先程の" Impressions Intimas No.1 "と同様の傾向を示しています。
少なくも、低域については、Disc.1よりもDisc.2の方が優れた録音であるようです。再生限界が50Hz付近のスピーカーでも、録音の音圧が高いので、Disc.1よりも聞こえやすく、低域が豊かに感じると思われます。中域についても同様で、今回の構成では、ピアノの音がしっかりと太く感じられると推定されます。
高域についても同様です。管楽器や高域の弦楽器が無いケースとしては、かなり高い音圧を維持しています。これは、ピアノとシンバル、ハイハット等の打楽器音のシャープさにも繋がります。
とても良い録音と思われます。
比較試聴の設定
今回、Z702ーBergamo 単体と、さらにZ502タモ版を組み合わせた場合とを中心に試聴を行いました。また、比較対象として、最近改訂したZ702-Modenaにスーパーツィータキットを組み合わせたケースとを比べてみました。
Z702-BergamoとZ502タモ版について
Z702-Bergamo とZ502タモ版については、こちらで比較的詳しくご紹介しています。
また、Z702-Modenaにつきましては、こちらでご紹介しています。
なお、Z-702-BergamoとZ502タモ版とを組み合わせた場合は下記のようになります。
このZ702-Bergamo は、未塗装の状態です。
また、完成版であるZ1000-BergamoとZ502タモ版との組み合わせは、次のようになります。
Z1000-Bergamoのホワイトシカモア仕上げとZ502タモ版とは、トーンが比較的近い感じとなっています。
Z702-Modena+スーパーツィータキットについて
以前試聴したZ702-Modenaにスーパーツィーターキットを組み合わせた場合、とてもバランスがよかったので、比較試聴としてこの組み合わせを設定しました。
なお、Z702-Modenaは、8cmユニットで、エンクロージャーもZ702-Bergamo に比べ、小さくなっています。当然、低域の再生能力は、劣ります。ただ、8cmのスピーカーシステムとしては、低域再生能力も高く、また、音域のバランスも優れています。
並べた時に、それぞれどのように聴こえるか色々な音源で試してみたい、ということで比べてみました。
Z702-Bergamo(+Z502タモ版) とZ702-Modena+Z501との比較試聴の結果
試聴環境の設定
試聴にあたっては、比較対象として、Z702-Modena+スーパーツィーターキット(1μF)と聴き比べてみました。
前回の、AKOKAN / Roberto Fonsecaと同様、比較対象として、
①Z1000-Bergamo単体
②Z702-Bergamo +Z502タモ版(目盛り5)
③Z702-Modena+スーパーツィーターキット(1μF)
の3種類を並置し、随時切り替えることができる環境にして、聴き比べてみました。
比較試聴の結果
Disc.1 " What is this thing called love ? "、"Leaving"
1曲目では、①の第一印象は、少し全体に柔らかな感じがしました。それが②になると、ピアノのキレが良くなった、という印象です。シンバルもクリアです。③の場合、ピアノは案外同等、とも思えるkンジもしましたが、ベースが全面にでてくるとそもそも存在感のレベルが異なる、という印象は否めません。3分20秒過ぎの高音のグリッサンドのキレの良さは②が出色です。
次の"Leaving"は、リッチー・バイラークのオリジナルです。ソロ・アルバムの " Hubris "などにも収録されています。ソロのテイクでは、高域がキレイに鳴るのが印象的ですが、トリオではどのように録音されているかも興味があります。
まず、③ですが、本曲のエッセンスをバランスよく良く再生してくれています。エコー感もあり、ピアノの中域、ベースの低域、いい感じに聴こえます。まずこの時点で、ソロよりもこちらのテイクの方が、いいと思いました。
次に、②で聴いてみると、低域の深みが違います。これは、また違う世界です。また、①に比べると出だしのピアノのエコー感もより自然に広がって聴こえます。また、ベースのキレが①よりも②の方がいいようです。
Disc.2 " Impressions Intimas No.1 "、" Milestones "、など
インプレッションズ・インティマスを作曲のF.Mompouは、バイラークがお気に入り、とのことです。ピアノとベースのコンビーネーションが印象的な曲です。それを、ドラムスが効果的にバックアップしています。比較的メロディアスで、ややドラマチックな雰囲気です。
②は、①に比べ、まず、ピアノの音がしっかりとしている印象です。ピアノの音も力強く、低いベースの音とよく絡み合っています。シンバルなども効果的に空間を創り上げます。また、②の方がベースの音がパルシブで、輪郭がはっきりします。
マイルストーンズは、おなじみのフレーズが次々と繰り出されます。まず、ベースがリズムを刻みます。③でも、このベースのランニングはよく聴き取れ、より低域の片鱗も感じ取れます。これが、②になると、ベースの弾むような感じが前面に出てきます。この弾むような感じが、①では弱いようです。
①、③は、各曲、それぞれ単独で聞く場合には、それなりに納得できる音に聴こえます。
さらに、②の場合、Z502を並列接続した場合は、圧倒的な低域の再生能力に加え、各楽器の音の輪郭をはっきりとさせてくれる効果が有るようです。
例えば、上記では記載しませんでしたが、Disc.2の最後の曲の"So What"のような速い展開、、本当に速いです、、では、そのタイトさが粒立ちよく、より一層際立つのがよくわかります。
CD情報
アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)
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少なくともCDクオリティーです。