これまでの、マルチチャンネルオーディオ(Multi Channel Audio)の記事について、下記の目次ページに一覧をまとめました。

記事のリリースの順番は、目次の順番と異なっていることがあります。

 

#オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオ ブログ記事一覧

 

 

また、マルチチャンネルの高音質オーディオソース(SACDマルチ)のご紹介をはじめました。

リンク先の例をいくつか示します。
なお、これらは、各リンク先の右側に表示される”カテゴリー”の”高音質オーディオソース”をクリックして頂くと一覧(通常のCDとSACDマルチ)をご覧頂く事ができます。

 

 

4.5畳でのMCAで認知される仮想の空間を広げられるか?

はじめに

前回、マルチチャンネルオーディオ(MCA)の基本的な条件を変えたときに、マルチチャンネル再生がどう変わるかを検討する、ということで、それまでと異なり、狭い部屋、かつ、比較的小型のスピーカーとの組み合わせを試行してみました。

2つの大きな要因を一度に変えたときにどうなるかを比べてみる、というちょっと乱暴なトライアルです。

 

設定した部屋の広さは、四畳半相当の空間。また、スピーカーは、フロント左右に、Z701-Modena、センターに、Z1-Livorno、リアに、Z601-Modenaの組み合わせです。

イメージの図を示します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その結果、音質については、小型のスピーカーの組み合わせにもかかわらず、再生周波数帯域が比較的広く、クラシックのオーケストラや弦楽四重奏、ジャズ、フュージョン系など広い範囲の音楽ソースへ対応することができそう、という感触を得ることができました。

ただし、感じる空間が、どうやら狭く感じられるようです。

現時点でのリファレンスともいえる20畳以上の部屋でのZ800(F+R)+Z1(Center))での再生音、これを仮にCase-1と呼びます、これに比べて、今回の4畳半相当の空間でのスピーカーの組み合わせ、Case-2では、その再生音により認知される仮想の空間の広さの感覚が異なり、狭く感じられました。

また、特に前後の音の分離性が低いようです。

これらについては、原因として、次の2つの要素が仮に想定されます。

1. 指向性の強い高域の特性の違い

2. 周囲の環境、特に壁面の特性の違い

また、今回の組み合わせにおけるセンタースピーカーの役割の違いというのもあるかもしれません。Case-1の場合よりも、センターの定位が一層安定しているように感じられました。これが空間認知に影響を及ぼしていることも考えられます。

 

今回は、まず、 1. 指向性の強い高域の特性の違い について検討してみます。

 

スーパーツイータの付加と試聴

Case-1とCase-2とのスピーカー特性の相違について

前記で挙げたCase-1とCase-2の違いは、部屋の広さとスピーカーシステムが異なることですが、Case-1では、Z800-FW168HRを用いています。

特に、このZ800-FW168HRで用いているツイータのT250Dは、カタログ上の再生周波数帯域が、900Hz~50kHzとなっており、表示されている周波数特性のグラフでは、100kHzまで出力音圧レベルがプロットされています。
つまり、通常のスーパーツイータの範疇のスペックをも超えています。

この超高域の有無が、Case-1とCase-2で、まず圧倒的に異なります。

そこで、Case-2の各スピーカーにスーパーツイータを付加して、その超高域特性の及ぼす効果を確認しました。

 

比較試聴のための再生システム構成

再生システムは前回と同様です。

AVアンプ       

TX-RZ830(ONKYO)

ユニバーサルプレーヤー 

UBP-X800M2(SONY)

スピーカーシステム

前述

 

リアスピーカーへの付加

設定

前後のセパレーション向上のために、リアの超高域特性の強化を目的に、まず、リアのLとRに、スーパーツイータキット(STK)を付加しました。

STKは、コンデンサーのみのネットワーク構成で接続しました。要は、直列に片側の配線にコンデンサを挿入しています。

コンデンサの値として、1.8,1.5,1.2,0.82 [μF]を検討しました。

今回は、1.2μFを選びました。この辺りは、好みの部分もあります。また、どうやら前方と後方の特性のバランスの問題でもあるようです。

 

試聴結果

STKを追加するとリアのZ601の存在感が増します。

お、鳴ってるな、という感じです。コンデンサの値が大きくなるほど、その存在感が増します。
1.8μFを、1.5μFに下げると、より大人しくナチュラルな感じがします。今回は、最終的に1.2μFにして試聴してみました。

空間が広がり、左右のチャンネル間と前後のセパレーションが、よくなりました。

例えば、スティーリー・ダンのバビロン シスターズでは、全体の音のキレが良くなった感じがします。かといって、高域がうるさいということはありません。

女性コーラスが、STK無しの場合よりも、後ろに定位しています。
エフェクター的なサイドギターも横に広がり、音がまわりを囲んでいる感じがしました。

リアスピーカーへのSTKの追加は効果がありました。

さらに、本曲での試聴結果を基に、さらにフロントとセンターにSTKを追加したらどうなるかを検討しました。

 

フロントスピーカーへの付加

設定

リアに加え、フロントにもスーパーツィーターキットを付加してみました。
フロントスピーカーL/Rへのスーパーツイータキット(STK)の付加の方法も、リアの場合と同様です。

こちらの、コンデンサの値は、リアの当面の値と同じ1.2μFと、少し値の低い0.82μFの2種類で試してみました。

 

試聴結果

まず、1.2μFで試聴しました。

エコー感といいますか、最初から空間が一段と広がっている感じがします。
ただし、サイドギターなどが、先ほどより後ろから少し前にでてきたように感じました。
前後の音場が少し狭くなったような感じです。

そこで、フロントのSTKの効果を少し抑えるために、0.82μFに変更してみました。

音の広がりと、艶が増した感じは、ほぼそのままで、後方の定位感がやや強くなり、前後のバランス的には、よくなったようです。

逆に、フロントのSTKを外して、もう一度聴いてみると、高域が伸びていない感じがして、ちょっと詰まったような印象を受けます。どうやらSTKを付加した方が、伸びやかに聴こえるようです。

フロントへのSTKは、音質的にも、空間表現的にも効果的でした。ただ、後ろよりも、ややフィルターを強くする(コンデンサの値を下げる)方がいいようです。

当面、フロント;0.82μF、リア;1.2μFとすることにしました。

ただ、フロントにSTKを入れた場合、リアのコンデンサの値をもう少し上げてもいいようにも感じました。これは後で試してみたいと思います。

 

センタースピーカーへの付加

設定

最後に、リアとフロントへのSTKの付加に加え、センターにもスーパーツイータのZ501を付加してみました。
なお、コンデンサの値は、フロントと同じ0.82μFにしました。

実は、これまで、センターのみに同Z501を付加したことはあります。
その場合は、音質の向上(音の艶感の向上など)が感じられました。

そこで、それ以後、Z1をセンターに用いる場合は、ほぼ、Z501(0.82μF)を付加して試聴してきています。

 

試聴結果

音のシャープさ、伸びやかさ、の向上とともに、空間の広がりといいますか、奥行きが増します。
センターに定位する男性ボーカルが前方、少し奥に下がって聞こえます。

全体の印象として、余韻もより一層感じられるようになり、こちらの音を聴いたら戻りたくない感じがしました。

結局、フロント、センター、リアのすべてのチャンネルにSTKを追加するのが、音場の広がりからも音質からも効果的で、一番いいようです。

この組み合わせで、他のいくつかの曲も試聴してみました。

 

各曲での試聴結果

いくつかの曲で、試聴してみました。

Duke's Lullaby / The Gadd Gang     Multi-5.1ch

最初から、周囲に音が広がっている感じがします。
STK無しの場合に比べ、空間が広がりました。パーカッションが、無しの場合、横方向からだったのが少し後方に定位が変わりました。

また、コンガは、後ろから聞こえます。

リア(Z601)方向から、音が鳴っているのがわかるようになりました。

 

ヴァイオリン協奏曲 / シベリウス / 諏訪内晶子 :SACD 5.0ch

すでに、リンク先をご紹介している諏訪内晶子(ヴァイオリン)とバーミンガム市公共楽団/サカリ・オラモ指揮によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲ニ短調作品47とウォルトンのヴァイオリン協奏曲ロ短調 [UCGP-7009 470622-2]、からシベリウスの第1楽章の試聴結果です。

センターへのスーパーツイーター(ST)の追加は、効果的です。
バイオリンの響きが艶やかで、オーケストラの広がり、雰囲気が出ています。

バイオリンソロ+フルオーケストラで、倍音成分が特に多いことを考慮し、リアのコンデンサを1.2から1.5μFに、値をあげてみました。よりスーパーツイーターの高域がでる方向です。

全体に伸びやかで、オーケストラの包み込むような感じが出てきました。

せせこまい感じがなく、広がりがあります。余裕のある程よい空間の感覚で、音楽をゆったり聴けます。
さらに、5つのスピーカーから音が出ますから、ピアニシモとフォルテシモの差が大きく、空間の広さと相まって、ダイナミックレンジが広く聴こえます。

So What / Miles Davis SACD Multi-5.1ch

こちらも、冒頭でご紹介したMIles Davis のアルバム"Kind of Blue" [SICP10083]の一番目の曲、”So What" の試聴結果です。

この録音は、オリジナルが3チャンネルのマイクで録られています。

特に、センターに定位するトランペットの音は、ほぼセンタースピーカーからのみ再生されます。センタースピーカーがトランペットの音を決めています。

また、アルトサックスは、FLとその残響がRL、対照的に、テナーサックスは、FRとその残響がRRに主に入り、センターにもわずかに入っています。

全体のテーマのフレーズをベースが奏でます。センターです。
ピアノは、やや左からです。

この曲は特にセンタースピーカーの役割が重要です。

スーパーツイーターの追加で、Case-1の ”スタジオ感" ほどではありませんが、だいぶ空間が広がりました。また、音がシャープになったようです。トランペットの音も抜けが良くなりました。

 

まとめ

5.0ch再生のときに感じる空間を拡げることと前後の音のセパレーションを向上させることを目標に、各チャンネルにスーパーツイーター(ST)を付加して試聴してみました。

スーパーツイーターの接続には、コンデンサ1個直列接続の簡易フィルターを用いました。

その結果、空間の広がりの拡張と前後の音のセパレーションの向上を聴き取ることができました。また、STの付加により、音質の向上も図ることができました。

マルチチャンネル再生において、超高域特性の再生力が低いシステムにおいては、STを各スピーカーに付加することにより、各チャンネルのセパレーションの向上と仮想的な空間の拡がりを得ることができるようです。また、音質も向上するようです。

なお、STに同一のユニットを用いる場合、前方(フロント、センター)と後方とのフィルター特性を変えたほうが効果的でした。

今回の組み合わせにおいては、前方に、0.82μF、また後方に、1.2または1.5μFのコンデンサを付けた組み合わせが良く聴こえました。

後方の高域特性の向上が特に重要なファクターと考えられます。

 

なお、この改良でも、Case-1 での音場ほどの拡がりを感じることはできませんでした。

さらに、壁面などの音質特性(ライブ、デッド、拡散等)の検討が必要かと思われます。

 

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