#オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオ ブログ記事一覧

上記ページに、目次として本シリーズの構成を示しました。また、それぞれの記事へリンクを貼っていますので、各回を直接クリックしてご覧頂くことも可能です。

 

マルチチャンネルオーディオの今

マルチチャンネルオーディオ、再び

    話を、オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは?、に戻したいと思います。

 

参照:オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは? その2

 

 日本のオーディオの世界は、なぜか、2chのいわゆるステレオが普通で、マルチチャンネルは、あまり普及していません。

これは、もしかして、1970年代ごろの4chブームが盛り上がった後のマイナスの印象が要因の一つかもしれません。

 この時は、4chによる、音の動きの面白さと、包み込まれるようなサラウンド感による感動は確かにあったのですが、2chのリソースをベースに、専用アンプなどによるアナログ処理で4chのマトリクス音場を生成していたのが多かったこともあり、音の定位感が低下し、さらに、アナログ処理により音そのものの質が落ちていたことも確かです。

逆説的なことに、結線による擬似マトリクスの方が、音の鮮度が良い、という評価もあったりしました。

 実は、それとは別に、4トラックテープなどの各チャネル毎に音が録音されていた本格的な4chのリソースがあり、一部のハイエンドのマニアには、とても評価が高かったのですが、録音に手間がかかり、再生機材もリソースそのものも高額で、流通も限られていたので、一般家庭でのリスニング用としての普及は困難でした。

マルチチャンネルリソースの現状と今後

 ところが、今、改めて見渡してみると、4トラックテープ(それも38cm)のようなかつてのハイエンドのマルチチャンネルに匹敵する音楽リソースが、実は普通にたくさん出てきています。

 メディアタイプでは、Blu-rayの7.1ch、DVDの5.1ch、また、SACDの5.1chなどがあります。
ただ、メディアタイプは、一般にやや高額なのが、普及のためには難点です。

 ところが、SACDのマルチチャンネル録音のCDは、特にヨーロッパを中心に、クラシックジャンルなどで既にかなり多くでているため、輸入品では、1000円程度のものもあります。安い中古もかなり出回っています。

 Auro3Dといった最新のマルチチャンネルの規格が、ベルギーの会社から提案されてきたりするのは、そのような土壌があるからかもしれません。

 確かに、人の耳は、2つだから、2つのスピーカーで充分、ということをおっしゃる方もいます。

 一方で、私達は、360°の聴覚をもっているのだから、平面(2D)のマルチ音源はおろか、3Dへの発展で、よりエンターテイメント性が高まる。
それを表現する、すなわち360°に音源を配置する、のは、至極自然な流れである。という意見もあります。

後者が、Auro3DのAuro Technologiesがいうイマーシブ・オーディオの基本的考え方でもあります。

 このような考えがでてくるのは、コンサートホールなどでのライブ視聴の豊富な経験とSACDマルチで、ライブに近い本当のマルチチャンネルを体験しているからだと思われます。

 既にお持ちのCDをよく見たら、通常のCDとSACDとのハイブリッドで、さらにマルチチャンネル対応だった、ということもあるでしょう。

SACD Surround Sound、Multi-ch,Multichannel、などの表記があるCDです。結構控えめな小さな文字ですが。

例を2つほど示します。

 ということで、” オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは? " の検討を、高音質で比較的安価、かつ入手しやすい(もしくは既にもっている)という観点から、まずは、SACDマルチの5.1chもしくは、5.0ch版の音を再生して評価してみる、ということから始めてみたいと思います。
また、録音によっては、3.1や3.0chというのもあります。この場合は、3つのマイクを並べて録音しています。比較的古い録音が多いようです。

SACDの特性上、かつては編集ができませんでしたから、このタイプは、いわゆる一発取りのケースが多く、いわゆる優れた演奏と録音として高評価の場合が多いようです。ステレオと比べた場合の、センタースピーカーの効果を検討するのにいいのではないかと期待できます。

今どきの”マルチ”としては、5.x(x=0,1,2)chというのは、かなり控えめですが、SACDの場合は、この内5.1chが最大となります。

さらに、最新のドルビーアトモスなどのイマーシブな音源の再生も、第1歩として可能と言われてもいます。

ということで、5.xの再生環境について検討し、まずは、実践してみます。

 次に、もっと良い音にするための検討を行いたいと思います。
また、その際に、試聴するSACDマルチでいいリソースがあれば、ご紹介もしていきたいと考えています。

さらに、その次のステップとしては、PCオーディオまたはストリーミング配信からのマルチチャンネル再生について検討していきたいと思います。

まずは、SACDマルチの再生からです。

SACDマルチを、”いい音で” 再生する

 ここでの、お題は、” SACDマルチ(ディスク)を、できるだ「いい音」で再生したい ” ということでしょう。

その前提で、SACD(DSD)ディスクの再生ということになると、実は機器構成はかなり限られてくるようです。

SACDマルチの再生機器

 まず、SACDマルチの再生機器です。

 マルチチャンネルということですが、日本のいわゆるオーディオ用のSACDプレーヤーは、その殆どが、2ch(ステレオ)しか、対応していません。海外に目を向けると、かつてはOPPOなど、比較的手頃な?価格帯でも、対応しているのはありましたが、今は欧米の高級機を除き、ほとんどありません。

 ところが、マルチチャンネル対応という点では、画像に対応したいわゆるユニバーサルプレーヤーの一部の機種にSACDの再生機能があります。そしてSACD対応可能な場合は、ほとんどがマルチチャンネル対応です。これは、BDにせよ、DVDにせよ、音声部分は、マルチチャンネル仕様が普通だからです。
SACDは音声信号のみなので、おまけともいえるかもしれませんが、処理的には同様ということなのでしょう。

SACD信号の出力端子

 ここで、接続できる端子によって、ユニバーサルプレーヤーは、2種類に分類されます。

 背景には、著作権保護などの理由で、通常、オーディオ用のデジタル伝送でよくつかわれている同軸ケーブル(coaxial cable)のSACDプレーヤーからの出力に制限がかかっていて、本来のDSDの信号が、リニアPCMの48kHzかつ2chにダウンコンバートされてしまう、ということがあります。

 つまり、オーディオの世界では一般的なこの端子出力(コアキシャル端子)だと、せっかくのSACD(DSD)マルチチャンネルの高音質が活かせません。

したがって、出力端子は、2つの方法に絞られます。

1.アナログ出力のマルチの端子
2.デジタルの場合は、HDMI端子

現状は、この2つのみとなります。

SACDマルチをアナログ出力で再生する

 この2つの端子を用いたそれぞれの構成について、ご紹介したいと思います。

1.アナログ出力のマルチの端子を用いてSACDを再生

1と2の場合では、機器の価格が通常かなり違います。実は、1の端子がある機種は、2の端子もあります。

1のアナログ出力がある、ということは、デジタル→アナログ変換するオーディオ用のDAコンバーターが、チャンネル数に対応して内蔵されていて、その処理結果を出力している、ということです。従って、一般に高額です。

 現時点で、本端子のある代表的なユニバーサルプレーヤーとして、PanasonicのDP-UB9000(Japan Limited)があります。Amazonで18万円前後です。
ただ、残念ながら、本機種は、DSDには対応しているのですが、SACDには対応していませんので、SACD再生用の候補からは除外されます。

 なお、ネットをみると、通常、ハイエンド指向のマルチチャンネルオーディオ再生用としては、この方式の系統を採用されている方が多いようです。

この後の信号の流れとして、たとえばRMEのようなミキサー機能をもったオーディオインターフェースに直結して、5.1chを4.0chにミックスダウンを行い、2台のパワーアンプにつなぐ、などの少し凝った方法などがあります。

この方法は、確かに、信号の劣化が少なく、オーディオ的には、魅力的です。

この方法は、PCオーディオでもできますので、後日SACD以外のリソースで試してみたいと思います。

SACDマルチをHDMI出力で再生する

 次に、1の場合です。これは、HDMI端子ということで、いわゆるAVアンプへの接続となります。

前回提示したAVアンプの音声処理のブロック図にHDMI端子の接続を加えて再び示します。

 

 

 ”いい音” のための前提は、出力のディスクプレーヤーが、HDMIでDSD信号を流せることと、それぞれのHDMI端子が、DSD信号を流せること、そして、受け手のAVアンプがDSD信号をダイレクトに処理できることです。

 最後のDSDダイレクト処理については、少し注意が必要です。
能力的には、DSDダイレクト処理ができる場合でも、著作権への対応の各メーカー毎の考え方で、SACDのDSD信号をあえてDSDダイレクト処理を行っていない場合があります。この場合は、一旦PCMに変換してその後の処理をおこなっています。

最も、この場合は、192kHz/24bitへの変換であり、DSDとの音質差については、色々な意見があるようです。この違いを最終的にスピーカーの音で聞き分けることができるのか、興味深い課題ではあります。

いずれにしても、DSD信号のままだと音声信号のデジタル編集をしにくいので、DSPなどで信号処理をする場合は、PCMに変換しておく必要はあります。

逆に言えば、SACDのDSDダイレクト処理の場合は、リソースの音源を比較的色付けの少ない状態で聴くことができる可能性が高い、とも言えそうです。

 なお、音楽業界に比較的近いと思われるSONY、YAMAHA、ONKYOなどの少し高いレベルの機種では、SACDのDSDダイレクトに対応している場合が多いようです。

いずれにしても、先に示した簡単なブロック図では、これらは、AVアンプ内でのデコーダ部分での処理となるわけです。
次に、アナログのサウンド処理を経て、パワーアンプ、そしてスピーカーに接続するわけですが、ここで、AVアンプの内蔵パワーアンプにスピーカーをそのまま接続する方法と、AVアンプのプリアンプ出力であるプリアウト端子を別のパワーアンプに接続して、そこにスピーカーをつなぐ方法があります。

 

 後者の場合、センタースピーカーはAVアンプの出力を使うか、または4ch出力の設定があれば、それを使って、AVアンプ内部で、センターの信号をミックスダウンさせます。

0.1chのサブウーファの出力については、無視してよいか、検討課題です。

または、先程のRMEのようなデジタルミキサーを使うという凝った方法もあります。この方法であれば、センターに加え、0.1chの信号もミックスダウンできます。

いずれにしても、このAVアンプを少なくともプリとして使うという方法は、別のメインアンプを接続した場合でも、全チャンネルのボリュームの一元管理ができる、という点で、使いやすい方法でもあります。

これからの実践課題、について

 実は、先に挙げた、1と2の方法は、デジタル信号を、どこでアナログ信号に変換するか、という選択でもあります。

PCオーディオなどの場合、DAコンバータ(DAC)で音が変わる事実からすると、それぞれのDACの性能に着目して選ぶ、というのも、有りなのかもしれません。

これは、ケースバイケースとも言えます。

 

 さて、前置きが相当ながくなりました。

次回からは、実践編として、上記の方法のいずれかでシステムを組み、音出しをしてみたいと思います。

スピーカーの組み合わせでも、大きく音は変わるでしょうから、楽しみです。

 

 基本は、できるだけ低コストでいい音の再生、めざせハイエンドオーディオ、ということで進めていきたいと思います。

 

本記事に続く実践準備編は、下記リンクとなります。

 

本記事に直接関係するSACD系のセッティングについての記事は下記となります。

 

上記のマルチチャンネルオーディオ5でセッティングした組合せでのSACDの試聴記事をアップしていますので、いくつかご紹介します。

 

 

人気記事一覧