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上記ページに、目次として本シリーズの構成を示しました。また、それぞれの記事へリンクを貼っていますので、各回を直接クリックしてご覧頂くことも可能です。

 

マルチチャンネルオーディオシステムの準備

マルチチャンネルリソースとシステム構成

   今回から、マルチチャンネルオーディオ(Multi Channel Audio)を聴くための準備をしていきたいと思います。
まず、システム構成を検討し関連の機器の選定をします。次にそれらの機器を接続し、音出しをするための設定をするところまで記載したいと思います。

 特に、最近の機器は、マイコンや場合によってはLinuxなどのOSベースの小型コンピュータが内蔵されており、設定やファームウェア次第で、機能が変わります。
したがって、極端に言えば、下手な設定だと音が出ません。また、機器間で連携するための設定もありますので、接続環境により変わってくる設定もあります。

 それらも確認しつつ、システムを組んで行きます。

 

 前回までで述べたように、音源リソースの種類によって関連機器や組み方は変わってくるわけですが、それについて、最初に簡単なおさらいをしていきたいと思います。

 

参照:オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは? 

マルチチャンネルオーディオのリソースについて

 システムを検討するにあたって、検討対象とするマルチチャンネルリソースについて、まずおさらいをします。

 マルチチャンネルのリソース(音源)として想定しているのは、下記のような1~3のリストになります。

1. ディスク系
  1-1. SACDマルチ
  1-2. Blu-ray系
  1-3. DVD系

2. 配信サービス系
  2-1. ダウンロードタイプ
  2-2. ストリーミングタイプ

3. テレビ放送
  3-1. 地上波・BS
  3-2. 4k・8k

各リソースと再生用の機器について

これらのリソースの再生に必要と想定される機器を表で示します。

 

        表  マルチチャンネルの音源リソースとその関連機器

 

 SACDマルチを含むディスク系の再生のためには、ユニバーサルプレーヤーが必要です。逆に言えば、これがあれば、マルチチャンネル関係のディスク再生は基本的には可能です。

 ただし、SACDが再生可能かどうかや、Blu-rayでオプションとなっている仕様でどれが再生可能かなどは、機種ごとに確認が必要です。

 こちらについては、後段で具体的な実施例をご説明します。

配信系リソース用のシステム構成例

配信サービス系への対応

 配信系に対応したシステムについては、PCオーディオやNAP、ミュージックサーバーなど、様々な機器や用語がシステムの構築にあたって関係してきますので、今回は、その考え方をざっと御説明します。具体的な実施例については、後日アップする予定です。

ダウンロード系とストリーミング系

 配信サービス系については、ダウンロード系とストリーミング系があります。それぞれで必要な構成は少し異なりますが、PCをはじめとする様々な機器で再生可能です。

 こちらは、選択肢がたくさんあるので、どれを選ぶかは、それぞれの既設の環境やコスト、パフォーマンスなどを考慮し、検討が必要です。

 ここでは、配信系の機器について、ダウンロードとストリーミングの違いと信号の流れを簡単に説明します。

ダウンロード系について

 配信系のダウンロードタイプは、配信先から、ファイルを一旦ダウンロードして、保存します。従って、何らかの保存する手段を設定しておく必要があります。

 このために必要な回線速度という観点では、一度ダウンロードして保存したファイルの再生となるので、回線速度が遅いと保存までの時間がかかりますが、特に、最低必要な速さなどの制限はありません。

 保存先としては、例えば、PC(パソコン)のHDDやSSDの保存用ディスク、DAP(Digital Audio Player)のメモリー、NAP (Network Audio Player)の外付けディスクや、NAS(Network Attached Storage)などです。ミュージックライブラリーとか、ネットワークオーディオサーバーなどという名称の、いわばディスク付きの音楽専用PCを用いる方法もあります。これの場合は、画面として、iPadなどを用いることができ、専用アプリやウェブアプリで、音楽ファイルの管理もできるようになります。

ストリーミング系について

 一方、ストリーミングタイプの場合は、各社のクラウドサーバーから随時ダウンロードしながら再生しますので、保存手段は特には必要ありません。ただ、基本的にリアルタイム再生ですので、再生速度よりも早い速度のネットワーク接続が必要となります。CATVや光接続ならば、通常は問題ありません。

 速度的には、データ配信のほうが、再生速度よりも早い(必要がある)ので、データを一時的に溜めるバッファー領域をメモリー上に確保して、アプリに渡すという手順になります。アプリは、ブラウザ経由のウェブアプリか、専用アプリです。

配信系データの再生までの流れ

 ダウンロードタイプとストリーミングタイプのいずれにしても、各機器はデジタルファイルを受け取りアプリで変換(デコード)して音楽再生用データを流します。それを受けて、DAコンバーター(DAC)がデジタル~アナログ変換をします。さらに、そのアナログ信号を、プリアンプで受け、パワーアンプでスピーカー(またはヘッドホン)を鳴らします。

 これらの一連の機能をどこで担うかで、機器構成が変わってきます。

PCオーディオでの構成例

 例えば、PCオーディオの場合は、パソコン(PC)のブラウザまたは専用アプリで、データを受信して、デコードします。デコード後のデータをUSB経由でUSB-DACに信号を渡し、DA変換します。USB-DACにヘッドフォンアンプ機能があれば、ヘッドフォンで聴くことができます。また、プリアンプ機能があれば、メインアンプに接続してスピーカーを鳴らすことができます。

ステレオ(2ch)の場合のPCオーディオの例を図に示します。

 

 

 

 ここで注意しなければいけないのは、市販されているUSB-DACには、USBの入力とDAC機能のみの機種と、ヘッドホンアンプ等のアンプ機能を内蔵した機種とが混在しているということです。

最終的には、ヘッドホンかスピーカーで音を聴きたいわけですから、購入予定の機種がどの機能をもっているかを確認しておく必要があります。

USB-DACにアンプの機能が無い場合は、別途それぞれのアンプを購入し、接続する必要があるわけです。

なお、最近は、USBではなく、LANで信号を受けるDACも出てきています。
こちらの方が、音がいい、という評価があるようですが、規格が新しく、まだ対応している機種は少ない状況のようです。

マルチチャンネル対応のPCオーディオ

 マルチチャンネルの場合は、ステレオとちょっと異なってきます。

 5.1chや7.1chのマルチチャンネルの信号をDA変換する必要がありますので、通常のDACではステレオ=2chですから、不足です。

5.1chなら6ch分、7.1chなら8ch分のDAコンバータを用意する必要があります。

 この場合は、少なくも、2つの方法が考えられます。
それぞれ用いるインターフェースがUSBかHDMIかという違いがあります。

USB接続について

 USBの場合は、USB2.0,3.x、やThunderboltの場合も信号の流れは同様です。ただし、それぞれ、どの規格に対応しているかは機種毎に確認が必要です。

 また、上記ハード的な規格とは別に、USB Audio Class 2.0 というドライバーの規格があります。これが、PCM24bit/192kHzやDSDのマルチチャンネル対応には必須です。
Macの場合はかなり前から対応しているので問題はないのですが、Windowsはしばらく対応していませんでした。
Windows10 Creators Update (ver.1703、2017)以降で、対応を開始しています。

 このあたりが、かつてWindowsPCでのハイレゾ再生環境の構築を少し難しくしていた要因と思われます。

オーディオインターフェースとは

 それらを踏まえ、USB系の場合は、いわゆるオーディオインターフェースを使うという方法があります。

 オーディオインターフェースとは、もともとは、楽器演奏/録音用の機器で、複数の入力のインプットを持ち、それを内蔵のミキサー機能で複数の出力先へ適宜アサインすることができます。

この場合、入力と出力は、アナログですが、ミキサー機能などの内部処理は、デジタルで行います。ちなみに、楽器用ですので、エコーやリバーブなどのエフェクト機能を持っていることが多く、この処理も、デジタルです。

 つまり、DAコンバータとADコンバータが入出力のチャンネルの数だけそれぞれ用意されています。さらにエフェクト機能用などの信号処理用DSP(Digital Signal Processor)が通常入っています。さらに言えば、トーンコントロール機能やプリアンプ機能、ヘッドフォンアンプも付いているのが普通です。楽器用なので、音もよく、コスパはとてもいいとも言えます。

 難点は、あまりに機能が多く、使いこなすのがやや難しいということでしょうか。また、DAコンバータ等のデバイスは、安定動作重視という観点からか、いわゆるオーディオ用の最新機器よりは、1-2世代古い場合が多いようです。

 これはこれで、とても種類が多く、選ぶのに困るぐらいですが、マルチチャンネルオーディオで有名なのは、RME社のFireface UCXやBabyface Pro (FS)を用いた例です。
音の良さに加え、関係するミキサー用のアプリや、専用のドライバーインターフェースのASIOなどの安定性が非常に高く、安心して使えるところが評価されているようです。
RME社のサイトに行くと、マルチチャンネルオーディオへの適用事例が掲載されています。

AVアンプのHDMI接続

 もう一つの方法は、AVアンプを使う方法です。

 こちらは、HDMI端子を使います。
つまり、この次にご紹介するディスク用のユニバーサルプレーヤーを使う場合と同じ構成になります。

 

 一つ共通で注意が必要なのは、PC用のアプリの選定です。

 これにはマルチチャンネル出力に対応したアプリケーションを選ぶ必要があります。有名なところでは、例えば、Audirvana があります。

これは、もともとは、Mac用のアプリでしたが、現在では、Macに加え、Windows10への対応版もでています。
ちなみに、Audirvanaには、CD(16bit/44.1kHz)クラスの音源をDSD512などへアップサンプリングする機能や各種フィルター機能などもあります。音質についての評価は高いようです。

 

リソースとしてのテレビ放送

 さらにテレビ放送についてですが、オーディオ的な評価対象としては、4k・8k放送用の新しい規格がもっと普及するのを待ってもいいかと思います。
なお、現時点で最新の音声の規格は、MPEG4-AAC対応となります。
2020年発売開始の最新のAVアンプで、本規格へ対応した機種が出始めているという状況です。

テレビ放送のトレンドについては、下記をご参照下さい。

 

 いずれにせよ、ディスク系とは再生機器が異なりますので、これらについては、別途検討することとしたいと思います。

 

 次回は、ディスク系、とりわけSACDマルチの再生について、具体的にそのシステム構築の実施例を示します。

 

 

 

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