SACD用マルチチャンネルシステムの構築

SACDマルチ用システムの基本的考え方

 SACD用マルチチャンネルオーディオの最初のシステムを組むにあたって、前提条件を次のように設定してみました。

1. リソースは、当面SACDマルチ(5.1ch) とする

2. SACDをユニバーサルプレーヤーで再生する:SACDマルチ対応は必須

3. AVアンプで、SACDユニバーサルプレーヤーの信号を受ける

4. 3の接続は、HDMI2.0ケーブルで行う(TVとのARC連携を考慮)

5. ユニバーサルプレーヤー~HDMI~AVアンプでの処理をDSD信号で流す
  AVアンプは、SACDのDSDダイレクト対応

6.スピーカー出力は、5.1ch対応 とする

 

 全体の信号の流れは、下図のようになります。

 

 

 次に今回選定した機器の概要について説明します。

なお、以下では、選定した機種固有の記載はありますが、選定基準や用語の説明など、できるだけ、汎用的な内容にしたいと思います。

構成する機器について

ユニバーサルプレーヤー

 前記の条件の内、2と5を考慮し検討しました。

2. SACDをユニバーサルプレーヤーで再生する:SACDマルチ対応は必須
5. ユニバーサルプレーヤー~HDMI~AVアンプでの処理をDSDで流す

その結果、SONYのUBP-X800M2を選定しました。

上記の条件を満たす機種では、比較的安価で、評判もいいようです。
実際の販売価格は、4万円台前半の価格帯となっています。

なお、アナログのマルチ出力端子のあるパナソニックのDP-UB9000(Japan Limited)は、DSDには、対応していますが、SACDには、対応していませんでした。

現在販売されている機種で、SACDマルチ対応のアナログマルチ出力端子がある、というのは、どうやら、日本国内では販売されていないようです。

これにこだわるのであれば、OPPOの中古品を探すぐらいしか手段はなさそうです。

 

AVアンプ

 AVアンプへの要件は、前記6項の内、下記になります。

3. AVアンプで、SACDユニバーサルプレーヤーの信号を受ける
4. 3の接続は、HDMI2.0ケーブルで行う(将来の拡張性も考慮)
5. ユニバーサルプレーヤー~HDMI~AVアンプでの処理をDSDで流す
  AVアンプは、SACDのDSDダイレクト対応
6.スピーカー出力は、5.1ch対応 とする

また、それに加え、今後の検討課題を考慮し、

7. 少なくとも5.1ch分のプリアンプ出力端子があること、

を加えました。

これらの条件の中で、5.1ch対応は、AVアンプはすべて対応、と言っていいのですが、下記条件は、中レベル以上で、メーカーも限られてきます。

5. SACDのDSDダイレクト対応
7. 5ch(以上)のプリアンプ出力端子がある

特に、5は、著作権等に対するメーカーのポリシーが関係するようで、これを適用すると極端にメーカーが限られてきます。

要は、DSDダイレクトとPCM変換した音との違いにこだわるか、どうか、ということになりますが、これは、難しく興味深い課題です。当然、機器や部品の様々なクオリティにも関係してきますので、一概に言えないのではないと思われます。

今回は、様々なテストの一貫でもありますので、DSDダイレクト可能な機種としました。

以上を満たしたAVアンプとして、ONKYOのTX-RZ830を選定しました。

これは、定価が¥14,8000ですが、購入当時に既に新機種が出ていたことなどもあり、8万円台で入手することができました。
マルチチャンネル再生に関連する特性は下記のようになります。

・ SACD DSDダイレクト(マルチ)に対応。(2.8MHz)
・ ファイルベースであれば、11.2MHzまでのDSDダイレクトに対応。
・ 3D規格としては、Dolby Atmos、DTS:Xに対応。
・ HDMIは、ファームウェアのバージョンアップにより2.1に対応可能で、eARC対応。ただしその際は、HDMI2.1対応のケーブルが必要。なお、MPEG4-AACには未対応。
また、HDMIがDSD2.8MHz伝送に対応。

 ちなみに、接続にあたっては、HDMI2.1対応ケーブルは、上位互換ですので使えます。ただし、こちらは、対応が始まったばかりですので、現状かなり高額です。
8k対応やeARC対応にしたいという場合は必須ですが、7.1chまでのオーディオ用途であれば、TVとのARC連携も考慮し、2.0対応のケーブルで十分かと思います。

・ プリアンプ出力;11.2ch対応。

 これらの諸特性で、当面想定されるマルチチャンネルオーディオの検証やテストには充分使えそうです。

なお、同社は、一時オーディオ事業の売却を発表しましたが、条件が合わなかったということで、2020年11月現在、事業を継続しています。
従って、本機種用の最新のファームウェアバージョンアップは、2020年9月となっています。この点は、ユーザーには安心できるところです。

 

 ちなみに、上記5,7の条件を満たす同クラスの機種としては、YAMAHAのRX-A1080、RX-A2080などがあります。こちらも、発売開始が2018年8月ですから、そろそろ新機種が出るタイミングかもしれません。
それと、価格帯は少し下となりますが、ソニーのSTR-DN1080もDSDダイレクトに対応しています。ただし、この製品も生産完了品とのことで、在庫限りの販売という状況のようです。

 

モニター用TV

 上記のブロック図には記載しませんでしたが、AVアンプの設定や、ユニバーサルプレーヤーの設定のために、モニターとしてのテレビは、必須です。

 今回は、ARC対応の24インチ液晶テレビを1台モニター用に用いています。

 

スピーカーシステム

 サブウーファー用の出力は、パワーアンプ内蔵タイプを前提としているため、プリアンプ出力にアサインされています。

 今回は、基本系としてサブウーファーは導入せず、5.0chの構成を基本形として、様々なスピーカーの組み合わせを試していきたいと考えています。

 もともと、サブウーファー出力は、本来の信号に、低音をさらにブーストさせるのが目的なことが多く、映画の再生時には効果的です。
ただし、音楽用としては、特にヨーロッパ系のクラシックなどでは、不必要として、5.0ch録音版もあります。
なお、本アンプには、スピーカーセッティングで、サブウーファー無しの設定がえらべますので、5.0ch用の補正、つまりサブウーファーのフロントチャンネルへのミックスダウン、も期待できるかもしれません。(未確認です)

 スピーカーの組合わせについては、フロント、センター、リア、それぞれの役割も確認しながら、検討していきたいと考えています。

 ステレオ再生の場合でも、やはり曲との相性のようなものはありましたので、意外と効果的な組み合わせもあるかもしれません。

また、ウーファーシステムであるZ505-Trentや、スーパーツイーターの効果の有無などの評価も興味深いところです。

 

 

参考データ1:
https://otokoubouz.com/z800/fw168hr.html

参考データ2:
https://otokoubouz.com/z1/livorno.html

 

マルチチャンネル機器の接続と事前準備

機器の接続

 今回の接続は、SONYのユニバーサルプレーヤーに接続例として記載のある下記のように行いました。

                     マルチチャンネルオーディオ5.1ch

なお、今回の機器間の接続には、4k対応のHDMI2.0ケーブルを用いています。
要は、HDMIケーブル2本で機器間を接続するだけで、極めてシンプルです。

 

ファームウェアのバージョンアップ

 今回の関連機器は、先に上げた4点となります。
 これらの内、少なくも、次の2つは、接続の前にファームウェアをアップデートしておく必要があります。これは必須です。
また、TVもバージョンアップの確認をしておいたほうが良いですが、単なるモニターとして用いる場合は、通常不要です。

1. ユニバーサルプレーヤー
2. AVアンプ

 今回、選定の機種は、いずれも無線LAN機能があったので、いずれも、まず、無線LAN接続の設定を行い、LANネットワークに接続します。
次に、それぞれのマニュアルの記載に従って、ファームウェアのバージョンアップを行います。

ちなみに、これらの操作のためには、TVでのモニターが必須なので、事前に各機器間の接続は済ませておきます。

 なお、AVアンプのTX-RZ830のネットワーク接続が、ファームウェアファイルのダウンロードやファームウェアバージョンアップ実施の際に、途切れることがありました。
その際は、一旦電源を切り、再び電源をいれると、途切れたところから再開しました。

 ただし、これは、本来やってはいけないことなので、推奨はできませんが、他に手段がないので、仕方なく行った次第です。
商品サイトをみるとWiFiの接続不安定性がよく投稿されているようです。

機器の設定

 SACDマルチの再生環境の設定にあたり、今回留意したいのは、次の2点です。

1. DSDダイレクトの環境で再生する

2. できるだけ音に色付けしない設定とする

 今回選定したユニバーサルプレーヤーのSONY製UBP-X800M2と、ONKYO製のAVアンプ、TX-RZ830の場合は次のように設定しました。
なお、記載のない場合は、初期設定値のままです。

他機種の設定の場合に役立つように、それぞれ用語の簡単な説明等を記載します。

ユニバーサルプレーヤー UBP-X800M2の設定

【音声設定】

■デジタル音声出力・・・[自動]
これは、HDMIとコアキシャル(同軸)端子の出力信号の設定となります。相手の機器に応じてデジタル信号を出します。ちなみに、もう一つの設定は[PCM]で、こちらを選ぶと信号はPCMで出力されます。

■DSD outputモード・・・[自動]
これは、HDMIの出力信号の設定となります。本機種の場合、HDMI出力にDSDとPCMの出力が可能で、この設定により、相手(この場合AVアンプのTX-RZ830)がDSDの処理が可能だと自動的にDSDで出力されます。ちなみに、もう一つの設定は[切]で、こちらを選ぶと信号はPCMで出力されます。
ちなみに、コアキシャル端子からはDSD出力は出ません。(著作権への対応で制限)

■オーディオDRC・・・[切]
DRCはダイナミックレンジコントロールです。
音を聞き取りやすいように、また、安全のため、大きな音は、抑えて、小さな音はやや上げるという動作を自動的にする機能です。
HiFiの観点からは不要なので、切ります。

■ダウンミックス・・・[ステレオ]
Dolbyのプロロジックや、DTSのNeo:6のような、ステレオ音声をベースとした疑似サラウンドに対応した機能です。こちらの機能の選択は[サラウンド]になります。
今回は、疑似サラウンドは使わないので、上記の[ステレオ]にします。

 

【ミュージック設定】

■Super Audio CD再生層・・・[Super Audio CD] 
この設定で、SACD層の再生指定となります。

■Super Audio CD再生チャンネル・・・[DSDマルチ]
この設定をしないとマルチチャンネル層の再生になりません。
工場出荷時の設定は、[DSD 2ch]になっていますので、この設定は必須です。

 

これらの設定を変えることにより、SACDの2ch層とマルチチャンネル層と通常のCD層を指定できますから、各層の音を聴き比べる、ということもできるわけです。

 

UIの観点で言えば、音声設定とミュージック設定の2つに分かれているのは、使い勝手が少々悪いような感じがします。ここは、オーディオ関係として、一つのメニューにまとめてもらったほうがいいと思います。

 

AVアンプ TX-RZ830の設定

AVアンプについては、
(A) 前記の1,2の音関連の設定  
(B)   スピーカー構成の設定
があります。2.0  3.0  4.0  5.0  5.1  7.0  7.1など、スピーカー配置を設定、または位置を変更した場合は、付属のマイクを使った Accu EQ Room Calibration により都度再設定が必要となります。

(A)音関連の設定

こちらは、ユニバーサルプレーヤーの設定により、DSD信号は自動的に検知され、対応します。従って入力フォーマットは自動的にDSDになります。

ここで、MUSICボタンを押しとリスニングモードを選択できます。
[Pure Audio] または、[DSD] を選択します。前者のモードは、表示部とアナログビデオ回路がオフとなります。従って、より低ノイズ化が期待できます。
Blu-rayディスク等の場合は、[Direct] を選択します。

(B)スピーカー関連の設定

リモコンのENTERボタンの下の左側❂の形状のボタンを押すとセットアップメニューが出ます。
ここで、スピーカーを選び下の2つを設定します。

①サブウーファー
 サブウーファーの有無を設定します。今回は基本[無]です。
 従って、次のスピーカーチャンネルでは、4.1, 5.1、7.1などのように0.1がついた選択しかありませんが、ここで、実質4.0、5.0,7.0ということになります。

②スピーカーチャンネル
 上記のサブウーファー以外の選択をします。
通常のステレオの場合も設定が必要です。

5.1chや7.1chの場合は以上です。Dolby Atmosなどの3Dオーディオの場合は、さらにハイト1、ハイト2の設定が必要となります。

ボタンによる設定は、以上です。

次に、付属のマイクをカメラスタンド等に取り付け、自動キャリブレーションを行います。

マイクをリスニングポジションに設置したら、フロントパネルのマイクジャックに挿します。
後は、画面の指示に従います。

測定は3ヶ所で行います。違う場所にマイクを設置するよう指示がでるので、例えば、人が座る範囲の左前方に置きます。次に、同じく右後方に置きます。

この作業は、スピーカーの構成を変えた場合や位置を替えた場合に、やり直す必要があります。

位置は変わらない場合でも、スーパーツイーターを追加したり、外したりした場合も同様にやり直しです。

 

ユニバーサルプレーヤーとAVアンプの設定は以上です。

次は、スピーカーセッティングについて説明したいと思います。

 

 

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