はじめに

本レビューについて

 本レビューに訪問頂きありがとうございます。
直接ここに御訪問頂いた方に、このレビューについて、少しご説明したいと思います。

本レビューは、音工房Zのブログ記事の一つです。

 音工房Zは、スピーカーのキットや完成品、音響関連の部材の開発、製造、販売を行っている会社です。
https://otokoubouz.com/

本レビューを始めとするブログ記事をいくつか掲載していますが、これは、スピーカーや部材をより良い音で聴いていただけるよう、少しでもご参考になれば、ということや、スピーカーを自作される方への情報提供の一助になれば、などという意図に基づいています。

 記事の内容としては、たとえば、マトリクススピーカーや共鳴管の原理などのちょっと変わったスピーカーについてのご紹介や、自作用スピーカーユニットの”辛口”評価、また、音工房Zで製品の評価などに用いている録音の優れた曲やアルバムのご紹介なども行っています。この中には、お客様にご紹介頂いたアルバムなどもあります。

リンク先の例: 

 

 本レビューは、これらの中でも、”オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは?" シリーズの関連記事となります。

 

 従って、AVアンプの評価を行いますが、ちょっと偏っています。
主にAudio部分の、それもマルチチャンネル音源の再生のための装置としての評価が主です。そのためVisualの部分の機能のご紹介はしますが、たとえば最近のAVアンプの流行りでもある4K・8kの画像評価などは行いません。

その点、Visualの部分の情報を求めて来られた方には、申し訳有りませんが、この場では、あくまでオーディオ用機器の評価の一環として記事のアップを行っていきたいと考えています。

また、メーカーカタログとは違いますので、”出来ないこと” をできるだけ指摘していきたいと思います。

           

DENON  AVR-X1600Hについて

 

 

 

 AVR-X1600Hは、2020年12月現在、人気商品になっており、価格.comの売れ筋ランキングで1位です。最安価格が約3割ダウンと下がっているのも一因かと思われます。
発売開始が、2019年6月ですが、上位機種が2020年に入って8k対応したバージョンアップ版に切り替わっていますので、本機種も改定が近いのかもしれません。

本機種のクラスとなると、7.2ch対応で、Blu-ray DiskのオリジナルサウンドのリニアPCM(7.1ch)をフル再生することができます。また、Dolby AtmosとDTS:Xに対応しているため、5.1chベースにハイトスピーカーを加えた5.2.1chの3Dサウンドにも対応しています。

さらに、5.1chの場合、フロントスピーカーのバイアンプ接続が可能です。


HDMIは、ver.2.1対応で、eARCに対応していますので、テレビからの7.1chのロスレスオーディオ信号や、DolbyやDTSのロスレス信号、さらにDolbyAtmos信号などを受けることができます。

 なお、DENON独自のアップコンバータ機能であるAL 32 Processing Multi Channelは搭載されていません。これは、新モデルの上位機種であるAVR-X2700Hも同様で、AVR-X4700H以上の機種から搭載されています。

また、画像処理は、4kに対応しています。ただし、8kと最新の音声フォーマットであるMPEG4 AACには対応していません。

無線LAN内蔵で、AmazonMusicHDなどのストリーミングにも対応していますので、最近のAVアンプの流行を一通り取り入れた入門機種といえるかと思います。

さらにこのネットワーク対応をベースにHEOSというアプリをiOS、Android、Amazon機器にインストールしてネット上で音楽情報の表示や機器のコントロールを行うこともできます。

なお、以上で示した機能の一部は、ファームウェアのバージョンアップで対応していますので、色々と使いこなしたい場合や動作の安定性の向上に、バージョンアップは必須と言えます。

 

AVR-X1600Hの価格と概要(マルチチャンネル関連)

標準価格    : 59,600円(税抜)

発売年     : 2019年 6月中旬発売

 

チャンネル構成 : 7.2ch

プリアンプ出力 : サブウーファ用(0.2ch)のみ

無線LAN    : 2.4GH/5GHz対応(IEEE 802.11a / b / g / n 準拠)

Bluetooth           :  4.1 (A2DP 1.2、 AVRCP 1.5)

HDMI      : 入力6,出力 1(4K、HDCP 2.3、eARC 等対応)、8K未対応
          対応音声フォーマット(2ch及びマルチチャンネルリニアPCM)
          =32kHz-192kHz, 16/20/24bit  、MPEG4-AAC未対応DSD未対応

DSD対応    : 2.8MHz、5.6MHz
         (著作権保護のないファイルに対応;SACDは不可

ストリーミング  : AmazonMusicHD*、Spotify*、tunein、AWA、AirPlay2 など

マルチチャンネル規格   :     Dolby Atmos、DTS:X 対応済、Auro系;未対応

 

サイズ      : W434 × H151 × D288mm (アンテナを寝かせた場合)
                                    注:端子と全面のつまみの厚さを加えた奥行き;339mm

重量       : 8.6kg

 

:ファームウェアアップデートにて対応済

AVR-X1600Hの外観と機能のレビュー

外観のレビュー

前面パネル

 

 

 

 前面パネル外観でまず目につくのは、左右にそれぞれ配置されている大きなつまみです。DENONのAVアンプに共通するデザインです。

YAMAHAの最新の中級AVアンプなども、真ん中に大きなつまみと、右側にやや小さなつまみを配した構成となっており、シンプルな印象を与える最近はやりのデザインと言えるかと思います。

高さもあるので、いかにもAVアンプと言う印象も受けます。
ただ、重量は、8.6kgと、持った感じは、案外軽いと感じました。

他機種との比較

 AVR-X1600Hの基本仕様は、マランツの一つ前の薄型モデルのNR-1710とよく似ています。

 現在、DENONとmarantzは、共にディーアンドエムホールディングスの参加にあるわけですが、高級機種は、それぞれ独自路線を保っているようです。DENONでいうとAVR-X4700H以上、marantzでいうと、SR6015以上の機種でしょうか。

 ただ、直前の例で上げたこの両モデルで言えば、使用説明書のフォーマットは、ほぼ、同じです。営業部門が統合されているせいかと思われます。

それが、このAVR-X1600HやNR-1710のクラスとなると、説明書の目次はほぼ同じで、さらにハードウェアについても、両社で、基本となるDACチップなど主要部品が共通しているところもあるようです。

ただ、背面パネルの端子の数とフロントの外観、それとおそらく、L,C,Rなどと、電源やアナログ部分が異なっているのだと思います。

 

        写真  AVR-X1600H(DENON) と NR1710(marantz)

 

AVR-X1600Hが、典型的なAVアンプのルックス(高さ:151mm、横幅434mm、奥行:288mm)なのに対して、NR-1710は、高さが105mmと薄型で、スリムです。AVアンプに見えないデザインということで、話題にもなりました。ちなみに、横幅は、440mmとほぼ同じです。

AVR-X1600Hの方が、標準価格が安いのですが、体積が大きく色々と余裕があるせいか、定格出力は、80W(8Ω負荷)と、NR1710の50W(よりもむしろ大きくなっています。ちなみに、全高調波歪率のカタログ値は、0.08%と同等です。

実際のところ、この出力差が、実用的にどう違うかということはともかくとして、日本のこの価格帯のアンプでは、一般に機種が上がると出力も上がる、というのが普通ですから、その理屈で言えば、AVR-X1600Hは、かなりお得と言えます。
いわゆる音質の比較が興味深いところです。

この2機種は、薄型と音質?を重視するか、価格を重視するか、という選択だとも言えるのかもしれません。

なお、NR-1710の方が、HDMI端子が一つ多くなっています。
また、各種アナログ関係の端子もかなり多くなっていますので、背面はぎっしりと端子が並んでいます。

さらに、最新機種のNR-1711になると、8K対応、MPEG4-AAC対応、かつパーツの見直しによる音質向上とのことですので、こちらは、同価格帯のAVR-X2700Hが機能的には対抗となってきているようです。
1710から1711と数字が一つあがっているだけのようですが、大きなバージョンアップに見えます。

 ただし、NR1711アンプ出力は変わっていませんので、AVR-X2700Hの95W(8Ω定格)に比べると約半分となっています。

 

接続端子について

フロントパネル 

フロントパネル側には、次の端子が付いています。

・ヘッドホン端子(標準プラグ)
・測定用マイク端子(ミニプラグ)
・HDMI端子(AUX)
・USB端子 (USBストレージ、USBメモリー)注 PCとの接続はできない

最後のUSB端子は、フロントのこの一つのみです。ストレージやメモリーを接続して音楽ファイルの読み込みをすることができます。

ただし、PCとの接続は想定されていません。PCオーディオを行いたい時は、HDMI端子を用いるか、LAN(無線/有線)経由で行うことになります。

リアパネル

上級機種にあって、本機種に無い端子としては、サブウーファー以外のフロントchやリアchなどのプリアウト端子が挙げられます。従って、外部のパワーアンプを接続して音の向上を図ったり、チャンネル数を増やすといったことはできません。

また、本機では、外部機器の接続は、HDMIを想定しているようです。
アナログ信号の入力端子は少なく、レコードプレーヤー用のPhono、セットトップボックス、DVD/ BDプレーヤー接続用の端子と、古い型のビデオデッキを接続するためのビデオ端子がそれぞれ1系統ずつあります。

逆に言えば、かなりシンプルな構成となっています。

 

マルチチャンネル関連の機能について

 SACDマルチ関連

 本機種は、SACDマルチへのリソース対応については、あまり重視していないようです。

 SACDからのDSD信号を直接処理するDSDダイレクトには対応していません。

 まず、HDMI端子が、DSD伝送には対応しておらず、PCM伝送対応のみとなります。したがって、ユニバーサルプレーヤーからのSACDのDSD信号を本機はうけることができません。プレーヤ側の出力は、リニアPCMに変換されたデータとなります。

今回、マルチプレーヤーとして、ソニーのUBP-X800M2を使いますが、これは、SACDマルチの信号をDSDのマルチチャンネルで出力することができます。ただし、相手(この場合、AVR-X1600H)のHDMI端子がDSD伝送に対応していないと、SACDのマルチチャンネルの信号をPCM信号に自動的に変換して出力されます。

この時、アンプ側(AVR-X1600H)では、接続機器名と、Multi-ch Inと表示されマルチチャンネル信号が伝送されてきていることが示されます。この受けている信号が既にPCMなわけです。

なお、DENONのAVR-4700H以上の機種では、HDMIがDSDに対応しています。ただし、DSDダイレクトにはいずれの機種も対応していません。

従って、ソニーのUBP-X800M2から、DSDマルチでデータを伝送され、アンプ内部で、一旦PCM変換し、その後、PCMのマルチ信号をDA変換して再生する、という流れになります。
これは上位機種においてはPCM信号にすることで、DENON独自のアップコンバータ機能であるAL 32 Processing Multi Channelを使えるようになるというメリットがある、ということなのかもしれません。

 また、AVR-X1600HはDSD信号の5.6MHzまで対応していますので、配信サービスなどからのDSD5.6MHz相当のファイルは、DA変換することができます。対応しているファイル形式は、.dsfと.dffの二種類です。
採用されているDACは、ネット記事などによるとAK4458VNで、これにはDSDの直接変換機能があり、8chのマルチチャンネル対応です。従って7.1chには対応できます。

 ただ、DENONの取扱説明書に著作権のあるファイルには対応していない、と明記されていますので、SACDのDSD再生はいずれにしてもできないようです。

ダウンロード型配信サービスへの対応

 一般的なAVアンプで、ブラウザ機能はありませんので、音楽ファイルのダウンロードは、別途PC等で行い、ファイルを保存管理する必要があります。その際のインターフェースは、PCであれば、LAN(無線、有線)または、HDMI端子経由で行います。

I/Oデータのfidata や Soundgenic、バッファローのDELAなどのミュージックサーバー系は、LAN接続で行います。

対応するマルチチャンネルリソースは、PCMであれば、リニア、Dolby系、DTS系共に、24bit/192kHzまで対応しています。また、DSDファイルについては、前記のように、DSD128(5.6MHz)とDSD64(2.8MHz)となります。

 

ストリーミング型配信サービスへの対応

 基本機能として、LAN(無線、優先)に対応しており、各種のストリーミングサービスに本体のみで接続が可能です。iPhone,iPadやandroid用に準備されているHEOSアプリで連携してコントロールできます。ファームウェアのバージョンアップにより、AmazonMusicHDにも対応しています。

ただ、今の所、AmazonMusicHD-3Dの5.1ch再生はできないようです。

AVR-X1600Hの設定

現時点では、音源との兼ね合いもあり、今回は、SACDマルチのリソースの再生関連のみ説明します。

マニュアルについて

 本機には、マニュアルが付属していません。その代わりにGoogleなどの検索サイトで、”型番”+”webマニュアル”、で検索すると、ウェブ上でマニュアルを表示できます。左側には目次が表示され、そこから見たい画面に飛ぶことができます。
なお、目次は、大項目が表示されていて、プルダウンでその下位の項目が表示されますので、一番最初は、右上にある目次ボタンで目次全体を見ると全体が把握でき、わかりやすいかもしれません。

またそのほかに、PDFファイルも用意されています。このwebマニュアルの目次のメニュー、または、DENONのホームページから、参照して、ダウンロードすることができます。

プリントアウトも可能ですが、パワーポイントのような横長の形式で、283ページあります。2ページ/片面の両面印刷にしても、71枚分となります。結構ボリュームがあります。

マニュアルの後ろのほうに用語集や、簡単な索引もあり、これらは親切と言えます。

ちなみに、このフォーマットも、Marantzとほぼ同じです。

ファームウェアのバージョンアップ

 ネットワーク接続を行った上で、マニュアルの手順に従い、ファームウェアをアップデートします。アップデートが始まると、接続しているTV画面が消えます。ただし、本体のディスプレイに、進行状況とあと何分という表示がされますので、不安になることはほぼ無いと思います。ダウンロード後、インストールに約15分かかります。

2020年12月現在、過去に8回バージョンアップが行われています。
アップデート作業は、必須事項で、まず最初に行うべきです。

なお、DENONのホームページにアップデートの履歴が掲載されています。

マルチチャンネル用の音場設定

Audysseyセットアップ

 本機には、自動的に音場を補正する機能として、Audyssey MultEQ XTが搭載されています。付属のマイクをフロントパネルのマイクジャックに入れると起動します。

これは、画面で指示されるとおりに実施すると8点の測定が行われます。

ちなみに、marantzのNR-1710では、6点。ONKYOのTX-RZ830では3点でした。本機がこれらでは、最も価格は低いのですが、音場の自動設定は、一番いい測定用アプリが内蔵されているようです。

ディスク系マルチチャンネルの再生

 今回は、前記のようにSACDマルチの音源は、PCMマルチに変換した環境での試聴となります。

PCMのスペックは、192kHz /24bitと思われます。

機器の接続

接続は、モニターとユニバーサルディスクプレーヤーの2点となります。

モニターの接続

ARC対応TVの場合

1. メニューの”HDMIコントロール”をオンとする。”ARC"をオンとする。
2. 背面、一番右端のHDMI out端子とテレビのHDMI in(ARC)をHDMI2.0ケーブルで接続する

ユニバーサルプレーヤーの接続

背面の 3Blu-ray と記載のHDMI端子に、プレーヤーのHDMI端子をHDMI2.0ケーブルで接続する

AVR-X1600Hの設定

ディスク再生の場合は、リモコンの入力ソース選択ボタンの”Blu-ray"を選び、続いてリモコンの一番下に並んでいる4つのボタンの右端、”PURE”ボタンを押して、”Direct" を選びます。

 

 

各種サーバーのファイル再生

  準備中

PCオーディオの場合

  準備中

Windows10のノートPCに、音楽再生アプリのAudirvanaをインストールしたケースを例にして説明予定です。

ミュージックサーバーの場合

  準備中

I/OデータのSoundgenicをミュージックサーバーにした場合の接続と設定について説明予定です。

 

ストリーミングサービスの受信と再生

AmazonHD-3D(Dolby Atmos)について

  検討予定

 

NetFlix(Dolby Atmos)について

  検討予定

 

 

AVR-X1600Hの音の評価

音質の評価用リソースについて

今回の試聴は、以前のブログに記載したSACDマルチのディスクを使用しました。

リンク先を示します。

 

音質と音場の評価

今回は、オンキョーのTX-RZ830(以下、RZ830)との比較試聴を行いました。

同機種は、基準価格が148,000円ですので、現行機種で言えば、DENONのAVR-X4700Hや、marantzの、SR6015と同クラスとなります。DENONで言えば2段階上位となりますので、同列の比較とはならないと思います。RZ830をレファレンス的に比較した結果をメモしておきたいと思います。

 

まず、スティーリー・ダンのアルバム Gauchoの最初の曲babylon sistersからです。
この曲は、出だしのドラムとベースギターが印象的ですが、AVR-X1600Hは、特にバスドラ領域の低域に量感を感じます。周波数でいうと、100Hz前後ぐらいでしょうか。ここの領域がややブーストされているような印象です。

そのせいもあるのか、RZ830に比べると全体に音が鈍っているというか、やや切れが悪い感じがします。マルチチャンネルで形成される空間の広さも少し狭く感じられるようです。

低域中心の比較と、前後の音の分離という点で、次に、The Gad Gangの5曲目 Duke's Lullaby (2007 Mix)で比べてみました。
これは、スティーブ・ガットのドラムソロが基本の曲で、途中からパーカッションが入ってきます。5chの場合、パーカッションは、基本後方から分離して聞こえてきます。

タイコという表現がぴったりなほど、ドラムの音に張りを感じる録音ですが、1600Hの場合、前後のセパレーションが少し悪いようで、空間がやはり少し狭く感じるようです。RZ830のほうが空間に奥行きを感じます。
本来、5chそれぞれに音がもともと入っているのにセパレーションの違いを感じるというのは不思議なような気もしますが、2chステレオでも、セパレーションや定位感の違いというのは、機種により違って聞こえますので、5chでも当たり前なのかもしれません。

次に定位感ということで、マイルスデービスのKind of Blueの一曲目、So Whatを聴いてみました。この曲は、やや陰鬱な感じのセンターのベースから始まり、順々と左からピアノ、右からドラムのスネア、さらにセンターにマイルスのトランペットが響きます。しばらくしてコルトレーンのサックスがやや左から絡んできます。次に、キャノンボール・アダレイのアルトサックスがセンター右に登場します。これが、5chできくと、やや広い空間のなかにそれぞれの音が、定位しつつも広がりを持って聞こえてきます。

それぞれの音は、古い録音にもかかわらず鮮烈です。

AVR-X1600Hは、それをほぼほぼ再生してはくれるのですが、RZ830と比べると、静けさとの対比、という点でやや劣る印象でした。音の鮮烈さの表現力の違いからそのように感じられるようにも思われます。

また、定位感という点でも、AVR-X1600Hは、ややぼやけた印象です。特にアルトサックスがセンターとFRの間にひろがっているように聞こえます。

比較的低域の要素が多い楽器は、定位感が落ちて聞こえるのかもしれません。

まとめ

 AVR-X1600Hは、発売開始が、2019年6月で後継機種はまだ公開されていませんが、実売価格は、下がっており、それもあってか人気機種となっています。

特徴としては、7.2ch対応で、Dolby AtmosとDTS:Xに対応しているため、5.1chベースにハイトスピーカーを加えた5.2.1chの3Dサウンドにも対応しています。

さらに、5.1chの場合、フロントスピーカーのバイアンプ接続が可能です。

HDMIは、ver.2.1対応で、4kとeARCに対応していますが、8kと最新の音声フォーマットであるMPEG4 AACには対応していません。DSDの伝送にも対応していません。DENONは一般に、DSD信号は一旦PCMに変換して処理する方針のようです。

無線LAN内蔵で、AmazonMusicHDなどのストリーミングにも対応しており、HEOSアプリをiOS、Android、Amazon機器にインストールしてネット上で音楽情報の表示や機器のコントロールを行うことができます。今回は評価できていませんが、日常生活の普段使いでは、これがとても大事な点かもしれません。

このように、価格の割には、仕様のレベルが高く、アンプの出力も各chが80W(8Ω)と、十分な値となっています。

音質的には、中低域をややブーストしたような印象で、ウォームな音という感じです。
ただし、そのせいもあるのか、5chにおける各楽器の定位感と空間の表現力がやや劣るようです。

SACDマルチのオーディオ再生用としては、少し実力不足と思われます。

ただし、基本仕様や、価格を考慮すると、現在(2021年1月)価格.comのAVアンプランキングで1番になっているのも納得ができるようにも思います。

 

 

 

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