As Long As There's Music / Charlie Haden & Hampton Hawes

As Long As There's Music

  規格品番:[ UCCU-45050]

本アルバムについて

概要

今回ご紹介するのは、チャーリー・ヘイデン(Charlie Haden)とハンプトン・ホーズ(Hampton Hawes)のデュオ、 " As Long As There's Music " です。

2022年がチャーリー・ヘイデンの生誕85周年になるのを記念して、2022年8月にUHQCD版として復刻、発売されました。規格品番は、[ UCCU-45050]です。

オリジナルは、1976年1月と8月に録音され1978年にリリースされました。レコード版でした。

ちなみに、アマゾンでは、1993年リリースのCDが、11,143円、中古でも4,675円の価格がついています。今回のUHQCD版の価格は、1,980円です。

なお、今回、かつて同時期に録音された、"The GOLDEN NUMBER"; [UCCU-45049]などの10タイトルも同様にリリースされています。

彼ら2人のバイオグラフィーを、簡単にご紹介します。

チャーリー・ヘイデンのバイオグラフィー

チャールズ・エドワード・ヘイデン(1937年8月6日-2014年7月11日)、通称チャーリー・ヘイデン(Charles Edward "Charlie" Haden)は、アメリカのアイオワ州シェナンドーに生まれました。ジャズコントラバス奏者、バンドリーダー、作曲家、教育者、でした。
2014年に亡くなっています。

音楽一家に育ち、ヘイデンファミリーとして、地元のラジオ局で、カントリーミュージックやフォークミュージックを演奏していたそうです。そこで、チャーリーは2歳のときにプロ歌手としてデビューしました。

ただし、その後、15歳にポリオの発症で、歌えなくなります。それが結局、長い時を経て、死因にも繋がったようです。

それと前後して14歳のときに、ジャズに興味を持ち、ベースの演奏に集中し始めます。音楽的関心はバッハなどのクラシックにも広がります。

後年、彼は、音楽をカテゴリーに分類することには、抵抗を示します。後にロックバンドのクリームのギタリスト、ジンジャー・ベイカーらとトリオを組んだり、クラシック作曲家のギャビン・ブライアーズから曲の提供を受け、イギリス室内管弦楽団と共演したのも、その音楽哲学の現れと思われます。

話を戻します。

彼は、20歳、1957年に、ピアニストのハンプトン・ホーズを求めてロスアンゼルスに引っ越した、と語っていたそうです。そしてLAのウェストレイク音楽大学に入学します。

その後、ピアニストのポール・プレイやアルトサックスのアート・ペッパーなどとのプレイを経て、オーネット・コールマン・カルテットでプレイを始めます。フリー・ジャズの始まりです。

彼のベースへのアプローチの考え方は、ベーシストは従来の伴奏の役割から、グループの即興演奏における、より直接的な役割に移行する必要がある、というものです。

私見ですが、彼とのプレイは、相手のプレイを変えます。お互いの即興演奏が絡み合い、有機的に昇華する、といいますか、音に若しくは無音に内省的な深みを感じさせられるようになります。
チャーリー・ヘイデンとプレイすると相手の音楽が変わるのです。

これは、本アルバムで特に顕著に出ているように思います。

ハンプトン・ホーズのバイオグラフィー

ハンプトン・ホーズ(Hampton Barnett Hawes, Jr., 1928年11月13日 - 1977年5月22日は、ウェストミンスター長老派教会の牧師だった父、ハンプトン・ホーズ・シニアと、ウェストミンスター教会のピアニストだった母、旧姓ガートルート・ホルマンとの間に、カリフォルニア州ロスアンゼルスで生まれました。

母のピアノの練習の際、膝の上に座って聴いたのがピアノとの出会いでした。

10代で、デクスター・ゴードンや、アート・ペッパー、ショーティ・ロジャーズなど西海岸の主要なジャズ・ミュージシャン達と既に共演しています。チャーリー・パーカーと一緒のバンドでの実績等を踏まえ、19歳の頃には、スタジオ・ミュージシャンとして活躍を始めます。

1952年(24歳)から1954年まで、在日米軍で従軍します。
この間、植木等や秋吉(穐吉)敏子などとの交流が有名です。馬(ウマ)さん、と呼ばれていたそうです。

除隊後、ベースのレッド・ミッチェル、ドラムのチャック・トムスンとトリオを結成します。1955年にコンテンポラリーレコードで録音した3枚組の「TRIO」は、非常に高い評価を受けます。
1956年の全米ツアー後は、いくつかの賞も得て、翌年には、ニューヨークでチャールス・ミンガスとのレコーディングも行います。

転機は、1958年に起こります。ヘロイン中毒だった彼は、連邦政府の覆面捜査の標的になりました。結局、捜査に協力しなかったため、最小量刑の倍の10年の刑を受けます。
しかしながら、後のケネディ大統領による恩赦で、5年後の1963年に出所します。周囲のかなりの努力があったようで、奇跡的、だったようです。

その後、(10年の刑により)伝説上の人物となっていたことを知った彼は、海外ツアーで成功を収めます。

これらの経緯も含め、1974 年にHawes の自伝である"Raise Up Off Me"が出版されます。この本は、『The Penguin Guide to Jazz』により、「ミュージシャンによって書かれた回顧録として最も感動的なものの一つであり、ジャズに関して書かれた古典といえる」と評されてもいます。

本アルバムについて

本アルバムは、結果的に、ハンプトン・ホーズの遺作と言っていい位置づけとなっています。

本アルバム以前のホーズのスタイルは、”並ぶもののないほどのスウィング感”、”ハーモニーへのユニークなアプローチ”、といった当時のビバップを代表するものでした。

言い方を変えれば、勢いはあるが定型的になりつつあった、といえば言い過ぎでしょうか。
今、彼の他のアルバムを聴くとやや古いスタイルのプレイヤーという印象を受けるのが多いように思います。

その見方は、本アルバムを聴いていただければ、全く違うのがわかります。

深みのある、融通無碍なタッチ、それでいてメロディアスで、時にリリカルでもあり、そして内省的なピアノの響き。これこそ、チャーリー・ヘイデンによって引き出された、新たなハンプトン・ホーズの実力と言えるかと思います。

残念ながら、本録音の翌年1977年に脳出血のためハンプトン・ホーズは亡くなります。
父であるハンプトン・ホーズ・シニアの葬式の5ヶ月後、父の隣に埋葬されました。
享年48歳です。

なお、本アルバムのリリースは、その翌年の1978年でした。
Raise Up Off Meは

 

各曲のピーク値の周波数特性の特徴

 各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。

" IRENE " のピーク値の連続データの周波数特性について

 本アルバム1曲目の" Irene " 、この全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。


      図 1. " Irene " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。

本曲の録音は、カリフォルニア州バーバンクのケンドン・レコーダーズで行われました。

全体をみると、60Hz付近と100Hz付近をピークに、なだらかに左下がりの形状をしています。高温側は、10kHz付近で-80dBとなっており、あまり高い周波数までははいっていないようです。

低音側は、ベースの第3弦の開放弦であるA1に相当する55Hz付近のピークがかなり大きくなっています。また、43Hz付近まで-40dB程度の音圧がありますので、少なくとも約40Hz程度までの再生能力がほしいところです。

" As Long As There's Music " のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、アルバム4曲目、アルバム・タイトルでもある" As Long As There's Music "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。

       図 2. " As Long As There's Music " のピーク値の連続データの周波数特性

こちらの、ピーク値の周波数特性も1曲目とほぼ、同様の傾向を示しています。

低域側も、約55Hz付近にピークを示しているA1の音までが、基音で、それ以下の40Hz台のピークは、何らかの要因による低調波と思われます。ただし、これらは-40dBをやや下回る比較的高い音圧ではいっていますので、これが再生できるかどうかは、本曲にとって大事であると思われます。

なお、本曲の録音は、1曲目とは異なり、ロスアンゼルスのヴィレッジ・レコーダーズで行われました。

" Shepp's Way  " のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、今回同時期にリリースされた別のアルバム、The Golden Numberの2曲目、" Shepp's Way "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。

こちらの " The Golden Number "は、録音時期は、 " As Long As There's Music " とほぼ同様ですが、今回取り上げる2曲目と、4曲目は、ニューヨークのジェネレーションサウンドでの録音とのことです。

音楽性は、ともかくとして、音の鮮度でいうと、こちらの方が優れているように感じます。

       図 3. " Shepp's Way " のピーク値の連続データの周波数特性

 

本曲は、アーチー・シェップのテナーサックスとチャーリー・ヘイデンのベースとのデュオです。

この曲は、チャーリー・ヘイデンの長いソロで始まります。約4分27秒後、シェップのテナーサックスが突如始まります。かなり印象的なテナーサックスと様々な奏法のベースとの絡み合いが続きます。ピチカート、スラップに加え、弓で弾くアルコ奏法でしょうか、時には唸るような地響きのように響きます。これは、先程の2曲にはなかった音です。

本プロファイルで特徴的な50Hz以下20Hzまで見られるサイン波のようなピーク値の形状は、そのような奏法による低調波を含む音と思われます。

テナーサックスとベース由来の音の高低の対比の再生がどの程度リアルにできるか、再生装置の能力が問われる曲と言えます。

Z702-Bergamo(+Z502)での試聴

Z702-BergamoとZ502タモ版について 

音工房ZのフルレンジフラッグシップモデルZ1000-Bergamoと同じユニットを使ったZ702-Bergamoを使いレビューします。改定しましたZ502タモ版と並列接続して試聴しましたので合わせてレビューします。

なお、Z702-Bergamo とZ502タモ版については、こちらでご説明していますので、御覧ください。

高音質オーディオソース*Brahms String Sextets / Belcea Qualtet, Tebea Zimmermann, Jean-Guihen Queyras

 

Z702-Bergamo単体での試聴の結果

今回、比較試聴の対象として、次の2つを用意してみました。
① Z1+Z501(1.6μF)
② Z702-modena+スーパーツィータキット(1.2μF)

まず、” Irene ”と" As Long As There's Music "の2曲の試聴です。ベースとピアノのデュオになります。

①での印象は、まず、雰囲気が良く、ベースもピアノも比較的マイルドで、心地良い感じがします。ただ、ベースの音は、ナチュラルですが、ちょっと芯といいますか弾むような勢いが欠けているような感じもします。

②では、しっかりとベースが鳴り響き、ピアノの中高域もクリアで、なかなかやるな、というのが第一印象です。スリムなサイズからは想像できない豊かな低域です。

ただし、連続したアルペジオ的なベースを聴くときに、一部にやや強調される音程があるようにも感じられました。
①が割合フラットな印象なだけに、比較すると気付かされるということでしょうか。これ単体で聴いているときには、これまで、あまりそのような印象はなかったのですが。今回の曲がベースのソロが多く、低めのはっきりした音程が多いためだと思われます。

とはいえ、①も②もそれぞれいい雰囲気をだしているのですが、Z702-Bergamo で同じ曲を聴くと、その差は歴然です。

まず、低域側の圧倒的なボリューム感と芯のあるベースの音に魅了されます。ピアノも存在感があるのですが、ベースが曲の中でより一層存在感が増し、①、②とは違った曲にすら感じます。なにより、より低域側に沈んだズーンという音を感じます。

なんども聴いているはずなのですが、それでも曲に聞き入ってしまう魅力を感じました。

Z702-Bergamo+Z502タモ版での試聴

シングルユニットベースのZ702-Bergamo に、スーパーツィーターのZ502タモ版を並列接続して試聴しました。Z502には、ネットワークとアッテネータが内蔵されています。今回は、目盛りを4の位置にしてみました。

 

” Irene ”と" As Long As There's Music "のピアノとベースのデュオを聴いた第一印象は、ピアノの音の分解能が増した、ということでした。一音一音が粒立って聴こえます。

また、ベースのキレと立ち上がり速度が向上します。
もともと豊かな低域にシャープさが加わり、一段上の再生能力、といった印象です。

ピアノの中高域では、ピアノのタッチが、いやみなくくっきりとします。強調、という感じではなく、解像度が増した、という感じです。つまり、全域にわたって解像度と音のキレが増したという印象です。

 

次に、The Golden Numberの2曲目、" Shepp's Way "。これは、テナーサックスとベースのデュオです。

まず、約4分27秒という長めのベースのソロですが、深い音に魅了され、聴き入ってしまいます。そして、そこにテナーサックスが突如、突き抜けます。芯があり決して煩い音ではありません。キリっと定位します。

この印象的なテナーサックスの登場に続き、ベースが今度は唸りだします。弓で弾いているのでしょうか。なにやら、ゴーー、っという地響きを連想させる音を感じます。

このテナー・サックスの突き抜け感、スピード感、さらに開放感、それとベースのスピード感、キレの良さ、さらに低域の響き、これらが、Z502を加えると全て向上しています。

Z702-Bergamo とZ502、この2つの組み合わせは、とても素晴らしい相乗効果とクオリティを産み出すようです。

CD情報

アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)

アズ・ロング・アズ・ゼアズ・ミュージック (UHQCD)

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