AKOKAN / Roberto Fonseca

Akokan by Roberto Fonseca

  規格品番:[ VQCD-10131]

本アルバムの概要 について

今回ご紹介するのは、ロベルト・フォンセカ(Roberto Fonseca)の " AKOKAN " です。
enja(エンヤ)レーベルから2009年にリリースされました。規格品番は、[ VQCD-10131]です。

ロベルト・フォンセカは、既にご紹介済みです。
彼のバイオグラフィー等は、高音質音源をご紹介している本ブログシリーズの、"zumazu"を御覧ください。

本アルバムは、国際デビュー作の "zumazu" の2年後で、エンヤレーベルからの第2作目となります。

この”AKOKAN"(心から・・)で、フォンセカはライブ ショーのマジック、強さ、即興性をスタジオにもたらしたいと考えた、そうです。

その結果でしょうか、本アルバムの各曲のピーク値の周波数特性を測定すると、非常に周波数帯域が広く、特に低域側で、通常の測定範囲ギリギリである20Hz付近まで、-40dB以上の音圧で音が入っています。なかには20Hz台に-30dB以上のピークがある曲もあります。

つまり、本アルバムには、通常のスピーカーでは再生できない領域の”音”(雰囲気?)が、高い音楽性とともに収録されています。これは、前作の”zumazu"にはないオーディオ的な特徴と言えます。

 

また、本アルバムには、女性ボーカルと男性ボーカルが参加した曲がそれぞれ1曲ずつ収録されています。

4曲目の"Siete Potencias"(7つの力)は、ゆったりとしたマイラ・アンドラーデ(Mayra Andrade)のボーカルで始まります。

マイラ・アンドラーデは、ポルトガル語、カーボベルデ クレオール語、フランス語、英語など多言語を話すコスモポリタンですが、その歌声にも現れているように、ベースは、ファドやブラジル音楽(サンバ、ボサノバ、ショーロ、、、)などのポルトガル語圏の音楽のようです。

彼女は、カーボベルデ共和国の外交官の娘として1985年2月13日に生まれました。録音当時は、24歳です。同国は、アフリカの西にある小さな群島から成る人口約50万人の国です。かつてポルトガルの植民地でした。

生まれたのは、キューバのハバナ。その後、セネガル、アンゴラ、ドイツで育ちます。ただし、1年の内、2ヶ月はカーボベルデのサンディアゴ島で、過ごしたそうです。

16歳でフランス語圏協議大会のソングライティング・コンテストで優勝し、17歳のときにパリに移りボイス・トレーニングを始めます。その後、ポルトガル語圏の各国で公演を開始します。

ちなみに、子供の頃、初めて歌った曲として覚えているのはブラジルのミュージシャンの曲だったそうです。

2015年から、ポルトガルのりズボン在住です。

 

11曲目の、" Everyone DeservesA Second Chance"で歌っているのは、ラウル・ミドン(Raul Midon)です。本曲では、ボーカルとギターで参加しています。

彼は、アメリカのニューメキシコ州で1966年3月14日に生まれました。未熟児で不適切な保育機の環境のため盲目となりました。

5歳でパーカッションを始めます。スティービー・ワンダーやジョニー・ミッチェル等の影響を受けたそうです。マイアミ大学でジャズコースを学んだ後、音楽活動を開始します。

フリオ・イグレシアスやホセ・フェリシアーノなどのラテン系歌手のセッションアーティストとして活動を始めます。その後ハービー・ハンコックや、スティービー・ワンダーのアルバムに参加するようになります。2006年に日本での初公演を行っています。

本アルバムのスペシャルゲストとして、この2人がクレジットされています。

 

広い帯域で録音されたラテン系リズムをベースとした各楽器の演奏、ロベルト・フォンセカの力強いタッチと印象的なフレーズのピアノ、そして男声と女声の情感を感じさせるボーカル。

今回は、録音された周波数帯域の広さも考慮し、前回とは異なるスピーカーをメインとして本作の試聴を行いました。
その試聴結果の一部をご紹介します。

各曲のピーク値の周波数特性の特徴

 各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。

"AKOKAN" と " zmazu "のピーク値の連続データの周波数特性の比較

 まず、先程述べました2つのアルバムの録音された周波数特性の相違を比べてみたいと思います。この2作の前半の構成は似ており、1曲目にアカペラの女声ボーカルが短く入り、2曲目から、実質的なスタートとなっています。

そこで、共に2曲目同士を比べてみます。

まず、今回の"AKOKAN"の2曲目、" Lo Que Me Hace Vivir " 、この全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。


      図 1. " Lo Que Me Hace Vivir " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。

次に比較のため、前作である" zamazu "の2曲目、” Tierra En Mano "の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。

 

 図 2. " Tierra En Mano " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

後に示した" zamazu "の2曲目、” Tierra En Mano "の低域側のピーク値の周波数特性もかなり低い周波数まで録音されており、約30Hzで-40dB程度と高い値を示しています。ただ、約40Hzあたりからなだらかに下がっています。" zamazu "のブログで提示している他の曲でも同傾向で、約40Hz以下でなだらかに減衰し始め、30Hz以下では、-40dB以下に急激に減衰する形状に録音されているようです。

ところが、先に示した"AKOKAN"の2曲目、" Lo Que Me Hace Vivir " では、30Hz以下も音圧が高く録音されており、すっと横ばい傾向です。この曲では、さらに26.3Hzにピークがあります。

本アルバム"AKOKAN"では、他の曲でも同傾向で、20Hzより少し高い周波数まで-40dB以上の高い音圧で録音されており、23Hz以下で急に下る傾向です。とても特徴的な形状となっています。

 

" Siete Potencias (Bu Kantu)  " のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、アルバム4曲目、" Siete Potencias (Bu Kantu) "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。

       図 3. " Siete Potencias (Bu Kantu)  " のピーク値の連続データの周波数特性

本曲は、マイラ・アンドラーデのボーカルで始まります。2曲目とは異なり、ゆったりとしたリズムとトーンをほぼ保ちつつ曲は進行します。深いベースと、時折ドスンと沈むようなバスドラム、そしてピアノが彼女のボーカルを支えます。

低域側をみてみると、2曲目の" Lo Que Me Hace Vivir " で示したように、低域側にのびています。24.2Hzで、ほぼ-40dBです。コントラバスの最低音であるE1がほぼ41Hzですが、それよりも低い領域です。バスドラムの音も時折聞こえますが、おそらくベース等が由来の低調波も含むと思われます。

" El Ritmo De Tus Hombros  " のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、アルバムの11曲目、" El Ritmo De Tus Hombros "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。

       図 4. " El Ritmo De Tus Hombros  " のピーク値の連続データの周波数特性

本曲は、全体にドラムスの比率が高いのが特徴です。チャーリーとチョコレート工場で原住民が踊りながら出てくるシーンのように、タイコがドンドコドンドコとリズミカルに鳴り響きます。お祭りのノリです。ただ、結果的に得られるピーク値の形状を見ると、比較的穏やかな印象の4曲目の" Siete Potencias”とあまり変わりません。ただ、最低域の20Hz台での音圧はやや高いようです。

さらに高域側をみると、20kHzまでの測定域の全範囲で、-80dB以上の値となっており、録音されている周波数範囲が広いことがわかります。これは各楽器からの倍音成分が豊富だということを示しています。

フーリエ展開的には、立ち上がり速度の早さに関係する高い周波数成分を含む、とも言えます。つまり立ち上がりの速度が早いシャープな音が予想されます。

ちなみに、この対極は、例えばパイプオルガンの録音で、-80dB以上の音圧は10kHz以下程度となるようです。

このように、本アルバムでは、今回取り上げた曲以外も、低域側のピーク値の値は、-40dB 以上、また高域側は20kHz まで-80dB以上のことが多いのが普通です。

Z702-Bergamoのチューニング方法と比較試聴結果

今回、Z702ーBergamo 単体と、さらにZ502タモ版を組み合わせた場合とを中心に試聴を行いました。また、比較対象として、最近改訂したZ702-Modena+Z501のケースを比べてみました。

Z702-BergamoとZ502タモ版について

Z702-Bergamo とZ502タモ版については、こちらで比較的詳しくご紹介しています。

また、Z702-Modenaにつきましては、こちらでご紹介しています。

 

なお、Z-702-BergamoとZ502タモ版とを組み合わせた場合は下記のようになります。
このZ702-Bergamo は、未塗装の状態です。

Z702-Bergamoのページ

また、完成版であるZ1000-BergamoとZ502タモ版との組み合わせは、次のようになります。

Z502のページ

Z1000-Bergamoのホワイトシカモア仕上げとZ502タモ版とは、トーンが比較的近い感じとなっています。

第2ダクトのチューニングについて

Z702-Modenaの説明の際に、第2ダクトのチューニングについて簡単にご説明しました。
Z702-Bergamo についても、正面バッフルに配置している第2ダクトについては基本的に同じことが言えます。

つまり、まず、完成版のZ1000-Bergamoでは、現行では、塗装との兼ね合い等のため、ダクトは通常固定しています。

一方、本製品はキットですので、このダクトの長さの変更が可能です。それぞれのお好みで、ダクト長さを調整頂けます。以下、先程の引用先で記述した基本的な考え方を再掲します。

ダクトチューニングの基本的な考え方

「 この場合の第2ダクトの共振周波数は、ダクトの断面積をダクト長さで割った値の平方根に比例すると予想されます。従って、ダクトが長いと共振周波数の値は、小さくなる方向となります。

つまり、ダクトが長い方が、より低い音が出せるようになるわけですが、ユニットの駆動能力などとの兼ね合いもありますので、限界もあります。また、再生音のバランスが変わってきます。
無理に低い方にチューニングすると、共振周波数より高い中低域領域の勢いが減ったりもします

作業的には、複数のダクトをペアで別途入手頂き、長さの違うダクトの音を比較試聴して決めて頂くのがお勧めです

曲によっても、これと思うバランスが異なったりしますので、なかなか悩ましい場合が多いのですが、正解はありません。各々のオリジナルの設定と比較を、楽しんで作業と試聴をやっていただければと思います。」

斜体字:オリジナルの記述を修正、追記

具体的なチューニング手順の例

Z702-Bergamoに付属しているダクトは、Amazonで音工房Zが販売している68mmΦ-160mm(長さ)と同一です。

ここで、チューニングの際は、70mm-130mm程度の範囲をお勧めします。

もっともこれより長かったり短かったりしてもスピーカーが壊れるわけではありませんので、お好きな音となる長さにしていただければいいわけです。まずは、一度、最長の160mmでの音を聞いて頂くのもいい機会かもしれません。

チューニングの方法としては、本キットには、160mm長さのダクトが1セット付属していますので、それを段々と短くして都度ヒアリングを繰り返し決定する訳です。
ただ、音は比較試聴してみないとなかなかわかりません。また切りすぎた場合は、後に戻れません。

そこで、少なくとも、2種類の長さを用意して比較試聴する、という方が、より納得しやすいかと思います。

そこで、例えば、次のようなやり方もあります。
まず、ダクトを、もう1セット購入して2セット用意して頂きます。

1セット目を、100mmにカットします。この音をレファレンスとして、次のを130mm程度から段々と短くして聴き比べ、設定します。

または、はじめに2セットを購入し、3セット分用意します。
まず、2セットを各々80mmと130mmにしてしまいます。後は、残りの1セットを短くしていって3つを比較試聴し、自分の最も気に入った長さにする、などというやり方もあろうかと思います。

3種類の設定を用意して楽しむ

いっそのこと3サイズを初めから用意して、パイプオルガンなど極低域重視の音源には、130mm程度、ポップス系や弦楽四重奏などには、80mm程度、交響曲やベースが豊かに入ったJazz系など比較的低い周波数が含まれ、かつ中低域の弾力感も必要な音楽には、100mm程度、などと切り替えて楽しむというのもあるかもしれません。切り替えは少々手間ですが。

余談ですが、130mmでのパイプオルガンの再生音を聴いていただくと、10cmというユニットサイズが信じられないという印象を持たれると思います。

チューニング(ダクト長さ)により、中域から低域にかけて、結構バランスが変わり、また、そもそも再生最低周波数については音が出せる出せないといったように、音が違ってきますので、楽しみながらトライして自分のZ702-Bergamoを創り上げていただければと思います。

Z702-Bergamo(+Z502タモ版) とZ702-Modena+Z501との比較試聴結果

試聴環境の設定

試聴にあたっては、比較対象として、Z702-Modena+Z501(1μF)と聴き比べてみました。

前々回と前回の高音質音源(CD)紹介のブログで、Z702-Bergamo とスーパーツィータのZ502タモ版とを組み合わせて試聴した結果、高域の伸びやかさの向上はもとより、低域のベースやバスドラの音にキレがでるといったこれまでスーパーツィータを付加した場合に感じられた効果に加え、中高域の音像の明確化が聴き取れたことを記載しました。

例えば、ビオラの音が、くっきりと存在感を持って感じられるようになったとか、テナー・サックスが一段とシャープに定位感を持って聴き取れた、といった効果です。

その結果、スピーカーシステムの解像度が一段増したという印象を受けました。

 

今回は、そのような経験に基づき、比較対象として、①Z702-Modena+Z501(1μF)と、②Z1000-Bergamo単体、③Z702-Bergamo +Z502タモ版(目盛り5)の3種類を並置し、随時切り替えることができる環境にして、聴き比べてみました。

比較試聴の結果

本作”Akokan”も、前作の”zamazu”同様、ロベルト・フォンセカの母親であるメルセデス・コルテスのアカペラで始まります。"Fragmento De Misa"です。ライナーノートには、敬虔なミサ曲、とありますが、言語がわからないせいか、中南米のフォルクローレのようにも聴こえます。

静かな、でも力強さを感じる、エコーが効果的なアカペラです。

この帯域では、Z702-Modena+Z501もZ1000-Bergamoも、エコー感よく、雰囲気良く再生します。

 

続く2曲目、前作の”zamazu”では、雰囲気がガラッと変わり、いきなり走り出しますが、”Akokan”は、1曲目の雰囲気を引き継ぐように、控えめなタッチのピアノで始まります。どこかピアノの練習曲を連想させるようなフレーズです。
約45秒後、左手の力強いリズミカルなパッセージが引き金となり、リズム・セクションがスタートします。ベースとシンクロしたバスドラムなどがさり気なく入ってきます。

このあたりから、①、②、③の能力の違いが現れてきます。

①Z702-Modena+Z501で聴いていても、低域も感じられますし、違和感はありません。ただ、②Z1000-Bergamo単体で聴くと、特に、ベースやバスドラムなどで、かなり低い低域側の各音が録音されていたのに気付かされます。かつ弾みを感じるそれらの存在感がかなり異なります。

また、③では、まずハイハットなどのクリアさで、その存在を改めて気付かされます。終盤に向かうに連れ、楽器数が増えていく感じですが、それぞれの音がくっきりとしており、ただ、それが煩い自己主張ではなく、それぞれの存在感として聴き取れます。

 

3曲目の"Drume Negrita" は、どこか南の島でゆっくりとくつろいでいるような印象を与える曲です。ロベルト・フォンセカにとっては子守唄だった曲だそうです。ときおり聴こえるバスドラム由来と思われるドスンという音がさり気なく印象的です。この沈みこむような低音は、Z1000-Bergamo では印象に残るのですが、Z702-Modenaではあまりにさり気ないので特には気づかないと思います。

4曲目も3曲目のゆったりした雰囲気を引き継いで、マイラ・アンドラーデのボーカルで始まります。Z1000-Bergamo では、彼女のわずかにハスキーな感じがアンニュイな雰囲気をゆっくりと醸し出します。Z-Bergamoは女声ボーカルをいい感じで再生してくれます。

Z702-Modenaでは、そのボーカルが変に誇張されていない素直ないい感じではあるのですが、ちょっとキレイというか、ハスキーさがあまり感じられないようです。
また、3曲目と同様、ドスンというのが時折入るのですが、これも軽くフラットな感じで、全体にとても穏やかなトーンの曲に聴こえます。

一方、③Z702-Bergamo +Z502タモ版では、ゆったりした中にも、ベースやドラムのメリハリやバーカッションの存在感があり、ゆるやかに時が進むなかでの躍動感を感じます。中盤のピアノが登場する場面では、なおさらです。

 

次に、11曲目の" El Ritmo De Tus Hombros "では、軽いイントロの後、サックスが本曲のテーマのフレーズを繰り返します。Z502が付加されていると、このサックスの音に、芯を感じます。お祭りの開始のファンファーレです。

この後のドラムでも同様です。芯がはいってキリッとしています。ドラムというよりも、タイコというイメージでしょうか。

なお、Z702-Modena+Z501でもドラムの音は、バランスよく聴こえます。
ただ、Z1000-Bergamo に切り替えると、ドラムの存在感が全く異なります。

さらに、Z702-Bergamo+Z502で、タイコの音像がキリッとします。より解像力が増します。

 

Z1000-BergamoZ702-Bergamo 単体での場合、低域の量感と弾力性が素晴らしく、また、女声ボーカルもいい雰囲気で再生してくれます。
さらに、先の2つのアルバムや、本アルバムのような録音の優れた音源では、Z702-BergamoZ502タモ盤を追加した場合、解像度向上などで特に効果的なことが改めて確認できました。

CD情報

アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)

Akokan Roberto Fonseca.jpg

 

関連リンク先

 

・本アルバム同様、極低域が豊かに含まれる音源集です。

・パッシブ型サブウーファーの使い方をご紹介しています。

・PCオーディオ入門編 2023です。音工房Zのスピーカキットをいくつかご紹介しました。
今や入手が困難なCD音源などが、サブスクなら聴くことができる、かもしれません。
少なくともCDクオリティーです。

人気記事一覧

データはありません