はじめに

2021年にリリースした、PCとパッシブスピーカーの接続方法、という記事は、今でもたくさんの方にご覧いただいています。

そこでは、PCとアンプとスピーカーをつないで、音をだすための基本的な方法を何種類か丁寧にご紹介しました。

今回は、2023年の機器や音源の最新情報を踏まえ、手軽で高音質な音源と簡単な機器の接続方法とを両立させたPCオーディオの入門編の2023年版をご紹介したいと思います。

最初に、簡単接続のPCオーディオ!2023 その1、として、簡単接続の中心となるDAC内蔵型アンプと高音質のサブスク音源について、まず、フォーカスします。

 

PC~アンプ~スピーカーの接続

接続フローのイメージ

新たな接続方法(ケース1)

今回ご提案するPCとアンプ、そしてスピーカーの接続のイメージを下図に示します。

PC~アンプ~スピーカー、とそのままです。
これ以上シンプルな構成は、ないと思います。さらに音源として、音楽サブスクサービスをお勧めします。これをケース1と呼びます。

似たような接続構成は、2021年の ” PCとパッシブスピーカーの接続方法 "  でもいくつかご紹介しました。その一つを再掲します。こちらをケース2とします。

他の方法も、2021年版では、ご紹介していますが、比較しやすいので、これを取り上げました。

ケース2は、次の図です。

 

ケース2の方法

一般的なスピーカーへのつなぎ方[パッシブ型](例)

ケース1と2、2つの違い

これら2つは、アンプとスピーカーとの接続は同じですが、PCとアンプとの接続方法が違います。また、以前の図では、はっきりとは示していないのですが、今回は、新たに音源についてもご提案します。

 

PCとアンプの接続方法

ケース1の方法では、PCとアンプとをUSBケーブルで接続しています。
それに比べて、ケース2では、3.5mmステレオケーブルで繋いでいます。

USB接続=デジタル

USBケーブルでつなぐというのは、デジタル接続ということです。
3.5mmステレオケーブルは、アナログ接続です。

この違いは、受けのアンプによります。通常は、DAC(デジタルアナログ変換器)を内蔵することで、デジタル信号であるUSB信号の入力が可能となります。

また、内部処理がフルデジタルのデジタルアンプの場合もUSB入力が可能です。

あとで、もう少し詳しくご説明します。

 

なお、実は、ケース2の写真にあるNobsound NS-01G proには、USB端子もあります。
元のブログ記事では、その接続例もご紹介しています。DACは、48kHz/16bitのようです。
ハイレゾには対応していません。また、D級アンプデバイスは、TIのTPA3116です。

今回ご紹介するケース1は、その進化系とも言えます。

その進化は素晴らしく、次にご紹介するどのアンプにおいても、元の記事にあったポップノイズの発生や無音時のホワイトノイズなどは皆無となっており、音質の点でもクオリティレベルは相当向上しています。

 

お勧めは、サブスク音源とPCの組合せ

音源

もう一つの音源について、今回ご提案するのは、音楽サブスクサービスです。
Amazon MusicやApple Musicなどがその代表例です。

既にスマホなどでお使いの方も多いと思います。実は、図のPCではなく、スマホやタブレットを音源とすることもできます。有線でも無線でもできます。

でも、ここではあえて推奨例としてPCを選んでいます。

PCを選ぶ理由

というのも、例えばスマホを音源とすると、たとえば電話がかかってきた時に、少しややこしいことになります。ブルートゥースなどで接続すれば、両立することはできるのですが、、その他にも、スマホは、ゲームしたり、検索したり、スケジュールを確認したり、生活で結構色々使います。固定で使うには多用途過ぎます。

それならば、音楽用に専用のPCを使った方が、むしろ楽です。普段はあまり使わない(かもしれない、、)PCの活用にもなります。また、ミニPCという超小型デスクトップタイプのPCが高性能でかつ低コストになっており、新規導入もしやすい環境になっています。

インテルの最新MPUであるN95と16GB/ 512GB(メインメモリー/NVMe)のメモリー構成で、OSがWindows11ProのミニPCが3万円以下で購入できます。
Windows11Proが比較的安価なDSP版ですら1万5千円程しますので、驚異的なコストパフォーマンスです。

また、PCであれば、これまでのPCオーディオの主流であるfoobar2000やRoon、JRiver、Audirvana、などのPC用アプリを用いた再生にも対応できます。
既にWAVやFlacなどの音源を持っているのであれば、こちらも楽しめます。

 

各構成要素の説明

先程のケース1の各要素をご説明します。

PC(サブスク音源)→アンプ→スピーカーとなるわけですが、まず、要となるDAC内蔵型アンプの説明をします。次に、音楽サブスクサービス、のご説明をします。

次回、ハードウェア関連として、、、PC、PCとアンプの接続、さらに、スピーカーの説明を予定しています。

 

アンプについて

はじめに

今回、第一歩としてご提案するのは、DAC(デジタル・アナログ・コンバータ;デジタルをアナログに変換する機能)を内蔵したアンプを使う、ということです。

通常は、PC→(USB)→ ( DAC → アンプ) → スピーカー というフローですが、( DAC → アンプ)が一台となっているわけです。
SMSLやToppingなどの製品が音がよく安くて高機能なのでおすすめです。

なお、最近、2023年4月にTopping社が、驚異的な仕様のDAC非内蔵型のアンプを発表しました。今後、同社からは、この基本形をベースに新たに製品群がでてくるのかもしれません。

また、今回ご紹介する製品よりもやや価格の高いランクとはなりますが、Sabaj社とSMSLは、実質フルデジタルといっていい高性能なアンプをリリースしています。

 

ここでは、仕様等を検討するための目安として、DAC内蔵のSMSLの製品の一部をご紹介します。特に中華アンプでは、製品の入れ替わりが早く、また仕様がわかりにくい、、、場合によっては記載がまちがっている?、、、ので、製品購入の際には、今回ご紹介する仕様などを基に比較検討されることをお勧めします。

 

SMSLの例

入門用の、低価格で比較的新しい製品を3機種リストアップします。
いずれも、DAC機能が内蔵です。従ってUSB入力端子があります。

互いに型番が似ていて、ややこしいのですが、仕様等は少し異なります。

以下、簡単に選び方、特徴などについて述べますが、詳細は、このリンク先を御覧ください。

 

お勧め3機種の違いと選び方

SA300

まず最初に、ちょっと細かい話ですが、この3機種でSA300のみ(表の真中)、ACアダプターが外付けです。A100とA300は、電源モジュールが内蔵です。

実は、電気的には、外付けの方が、電源ノイズの影響を受けにくく良いのですが、扱いがやや煩雑となるせいか、見た目のためか、電源部分を内蔵化の傾向にあるようです。

つまり、外付けのSA300は、設計が少し古い。この機種は、近々改訂の可能性があります。

しかし、機能的には、結構優れています。
なにより、DAC機能が、384kHz/32bitと明記されています。内蔵タイプとしては、かなりハイクラスです。

これにより、Amazon MusicやApple Musicの最高の規格である192kHz/24bitを余裕を持って再生可能です。

また、D級アンプ用デバイスも、インフィニオン社の、MA12070という、2019年にリリースされた比較的新しいデバイスを採用しています。このデバイスを用いたアンプは、各社からリリースされていますが、基本的な音質については、評価が高いようです。

今、DACをもっていなくて、これから始めるのであれば、この機種はかなりオススメです。リモコンもついています。

また、ブルートゥースのコーデックも、aptX/AAC/SBCに対応しているので、AndroidとiPhoneは少し高音質で受信できます。

 

A100

この機種のD級アンプ用デバイスは、SA300と同じインフィニオン社のMA12070です。音質には、定評があります。さらに、同じデバイスにも関わらず、高調波歪率(THD)やSN比の値が、SA300より少し良くなっているのは、プリント基板の回路設計等に改良が加えられたのかもしれません。

ただ、中華アンプの場合、初期の製品/ロットの方が良い部品を使い、加減がわかってきたら品質の低いパーツを使ってコストダウンをする、というのがよく行われるようなので、全体の音質については、なんとも言えません。結果的に同程度だろうと推察されます。むしろSA300の方が、良いパーツを使って、少し良い音かもしれません。

いずれにしても、同じアンプデバイスで、USB入力が可能で、約1万円という価格から言えば、この機種はお買い得に見えます。

DACのスペックが不明ですが、おそらく48kHz/24bitぐらいと思われます。
この点が、SA300に劣りますが、CDが44kHz/16bitであることを考えると、一応ハイレゾ対応で、一定の基準は満たしている、とも言えます。
ただし、192kHzなどの高サンプリングレートの音源の再生はできないので、少し寂しい感じがするかも、です。

まずは、ある程度のクオリティで音が出ればいい。または、後でDACを買い足す楽しみを取っておく、という考えであれば、この機種はかなりお買い得です。外観上、デザイン的にもスッキリとしていて評判は比較的いいようです。

少なくとも本機のアンプとしての基本仕様の値は、旧来のD級アンプデバイスを用いた製品とはレベルが違うと言えるかと思います。

 

A300

まず、この機種のDACは、詳細不明となっていますが、おそらくA100と同じです。

SA300に遥かに劣ります。では、なぜ、価格が高いかというと、D級アンプデバイスが、最新(2022年)のMA5332Mだからです。出力が、A100とSA300が40Wx2(8Ω)なのに対して、85W x 2(8Ω)と高く、さらに音質も向上しているという評価が多いようです。

つまり、パワーアンプ部分の基本性能が高い、といえます。重量がやや重いのも、内蔵電源モジュールの性能が高出力に対応しているからだと思われます。結果、コスト高の要因にもなっているはずです。

また、入力端子がやや多く、コントロール機能も、SA300より高いといえます。なお、EQやトーンコントロール機能は、SA300と同等ではないかと思われます。これらはDSP制御です。デジタル制御ですので、アナログ回路とは異なり音質の劣化はかなり少ないと言えます。

音質は、ややウォームな余裕のあるゆったりとした印象で、デジタルの冷たさや、小さな筐体から連想されるイメージとは大分異なります。さらに、ノイズ感は皆無で、普通の価格帯のAB級アンプのレベルを超えていると言っていいかと思います。

ただ、A100の場合とは異なり、このクラスの基本性能であれば、内蔵DACは明らかに見劣りします。DACも、年々コスパが良くなっています。デバイスの供給体制も復活しつつありますので、そのような状況を鑑み、近い将来、よりよいDACを追加する、今回はアンプの基本性能を重視する、という考えであれば、この製品はお勧めです。

ちなみに、USB入力以外にRCA入力が2系統あるのは、DACの追加を見越してのことかもしれません。

 

音楽サブスクサービスについて

音質的にお勧めの音楽サブスクサービス

音楽サブスクリプションサービスは、月単位、または年単位で、定期的に会費を支払うことで、音楽が聴き放題というサービスです。1億曲以上のサービスが何社かあります。

主なサービスでも10以上あり、競合しています。むしろ選択に迷うほどです。月額が¥1000前後ですが、競合しているので、キャンペーンや割引が色々あります。都度、比較検討したほうがいいかと思います。

一方、これらのサービスは、スマホやタブレットへの対応が基本です。PC(Windows, Mac)でも使えるサービスで、ブラウザだけではなくアプリが使えて、ダウンロードできるのは、次の4つとなります。なお、通常は、アプリのほうがダウンロード対応など、機能が多くなっています。

  • Amazon Music
  • Apple Music
  • Spotify
  • Youtube

この中で、AmazonとAppleの2社のサービスは、ロスレス・ハイレゾに対応しています。
ロスレスは、圧縮された音源データを元の音質と同じ状態まで復元できるデータ圧縮方式のことで、ハイレゾは、CD(44kHz/16bit)の仕様を超えた48kHz/24bit以上とか96kHz/16bit以上の仕様のことです。

従って、音質にこだわる場合は、この2社がおすすめです。

この場合、Amazonは、Amazon MusicUnlimitedという名称のサービスとなります。
Appleは、Apple Musicですべての品質の音源が可能です。

また、両社は、空間オーディオに対応した音源のサービスもあります。

ただし、現時点(2023年4月)では、Amazonの空間オーディオは、スマホによるヘッドホンへの対応のみです。PCでは対応していません。PCでスピーカーによるマルチチャンネルオーディオに対応しているのは、Mac版(AppleTVも含む)のApple Musicのみとなります。

AmazonMusic

Amazon Musi Unlimitedは、2023年5月5日までキャンペーン中で、3ヶ月の無料期間があります。
更に4ヶ月目からは、prime会員と同じ、880円/月となっています。キャンペーン期間後は、別の料金体系となるのでご確認下さい。

 

Apple Music

Apple Musicは、Apple製デバイスを購入すると、6ヶ月間無料です。
また、通常1ヶ月間の無料トライアルができます。学生、個人、ファミリーなどいくつかのプランがあるので、ご確認下さい。
また、AppleOneというApple Musicを含む4つのサービスがセットになったパッケージがあります。

 

以上、気軽で、コスパがよくて、さらにいい音で、音楽を聴くための方法、2023年版として、音楽サブスクサービスまでをご紹介しました。

 

次回は、アンプ以外のハードであるPCやスピーカーのオススメや、PCとアンプの接続の注意点などのご紹介をしたいと思います。

 

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