Z700W-OMMF4MICAのスピーカー端子接続について

はじめに

Z700W-OMMF4-MICAには、正面側のスピーカー用と背面側のスピーカー用に端子がそれぞれプラスとマイナスで計4つあります。

これらの端子とアンプのスピーカー端子との接続の仕方で動作が異なってきます。

今回は、あらためて、この接続方法についておさらいをします。
特に、低域を増強するのに効果的か、という観点で、それぞれを整理しつつ検討してみたいと思います。

 

正面と背面ユニットの接続方法について

Z700W-OMMF4-MICAのスピーカー端子のオープンショートをベースとした組み合わせには下記のA-Eの5通りが考えられます。

A.並列正相接続  ユニット2つに接続
B.並列逆相接続  ユニット2つに接続
C.直列接続    ユニット2つに接続
D.背面側を開放  前面ユニットのみに接続
E.背面側を短絡  前面ユニットのみに接続

それぞれについて、以下ご説明します。

 

A. 並列正相接続

これは、前面と背面のプラスとマイナスの端子にそれぞれアンプからのスピーカー端子のプラスとマイナスを接続します。

例えば、下図のようになります。ここで点線で示した配線は、エンクロージャーの内部の配線です。

 

前面と背面とが、同じユニットの場合、合成インピーダンスは半分の値になります。OM-MF4-MICAの公称インピーダンスの値は8Ωですので、4Ωとなります。

なお、異なるユニットの場合は、各インピーダンスに周波数依存性があったりするので、動作はやや複雑になりますが、考え方は基本的に同じです。合成インピーダンスの値は、各インピーダンスの逆数の和の逆数となります。

この結果、全体の見掛けの能率が約2倍となります。つまり同じアンプのボリューム位置で約2倍のパワーとなります。

実際には、エンクロージャー中のバスレフダクトの空気抵抗があったり、2つのユニットが、空気を介して互いに動作をジャマしあったりする、などなど、様々な阻害要因があり単純に2倍にはなりません。

また、ざっくり言えば、エンクロージャー内の空気を押したり引いたりする力と空気の量が、両方向から押したり引いたりするので、それも約2倍増加することになります。それによりバスレフの効果が増すことが予想されます。

 

実際に音出しした結果

この接続については、Z700W-OMMF4MICAの使いこなし その1 で既に実験済みで、低域の増強という点で、実際に効果的でした。またバスレフダクトも、シングルの場合に比べ、長くしたほうがより効果的でした。

 

なお、参考として、本接続例の実際の端子の写真を示します。

 

B.並列逆相接続

前面のユニットのプラスにアンプのスピーカー端子のプラスを接続し、同じく前面ユニットのマイナスにアンプ側のマイナスを接続します。また、背面側のユニットは逆で、ユニットのプラスにアンプのスピーカー端子のマイナスを、ユニットのマイナスにスピーカー端子のプラスを接続します。

接続例を下図に示します。

ここで、前面と背面とが、同じユニットの場合の合成インピーダンスは、先程と同様、半分となります。

ただし、動作は前後で逆になります。つまり、前面側の振動板が前に出ているとき背面側は、後ろに引っ込み、また、前面側の振動板が後ろに動く時、背面側は、表側に出ます。

つまり、動きが相殺されることになるので、エンクロージャー内部の空気はあまり動かないことになります。従って、バスレフの効果が減じることが予想されます。

つまりバスレフダクトによる低音のブーストはほとんど期待できないことになります。

 

音出しの結果

実際に試したところ、やはり予想どおりで、低域は激減しました。
この接続は、特にメリットがないので、おすすめしません。

 

C.直列接続

前面のプラス端子をアンプのスピーカー端子に接続します。また、前面のマイナス端子と背面のプラス端子を接続します。さらに、背面のマイナス端子をアンプのスピーカー端子のマイナスに接続します。

接続例を下図に示します。

 

前面と背面とが、同じユニットの場合、合成インピーダンスは倍の値になります。これにより全体の見掛けの能率が約半分となります。つまり同じアンプのボリューム位置で約半分のパワーとなります。音が小さくなるわけです。

これも前面と背面とが正相接続なので、シングルの場合に比べ同じ音量になるようにボリュームを倍にすれば、バスレフダクトでの空気の流れは、シングルの場合の倍となります。

この場合、スピーカーの入力インピーダンスとアンプの出力インピーダンスの比(より正確には、スピーカー用配線の抵抗の値が分母側のアンプの出力インピーダンスの値に加算されます)であるダンピングファクターの値は、倍の値となります。従って、アンプの制動力が増すことになります。

これは、出力インピーダンスの非常に小さい半導体系のアンプの場合には、関係ない場合がほとんどですが、出力インピーダンスの高い真空管アンプ系の場合には有効な場合も想定できます。

そもそも真空管アンプの場合、インピーダンスマッチングの端子があるケースもありますので、この場合はためしてみるのもいいかもしれません。

半導体系アンプの場合は、並列正相接続に比べ、ほとんどメリットは無いといえます。

 

D.背面側を開放

前面側のスピーカーユニットのプラスとマイナスにそれぞれアンプのスピーカー出力のプラスとマイナスを接続します。

背面側には、何も接続しません。

下図のようにします。

 

この場合は、背面側のスピーカーは、前面側のスピーカーの動きで動くドロンコーン(パッシブラジエータ)的な動作となります。

 

検討事項など

エンクロージャーの形式が、もともとバスレフ型ですが、その場合、バスレフダクトの長さの最適化が必要と思われます。具体的には、ユニットが一つで駆動力が小さいので、もっと短くする、ということです。

また、エンクロージャーを密閉型とした場合との比較も興味深いところです。

 

E.背面側を短絡

前面側のスピーカーユニットのプラスとマイナスにそれぞれアンプのスピーカー出力のプラスとマイナスを接続します。

背面側の端子は、短絡(ショート)します。

 

この場合は、前面側のスピーカーの動きにつれて、背面側のスピーカーユニットが、ドロンコーン(パッシブラジエータ)動作で、振動板が動きます。ただし、その時に、スピーカーのコイルと磁石で逆起電力が発生します。従って、動きが抑制されることになります。この割合は、抵抗を間にいれることによって加減を変化させることもできます。

このケースも先程と同様、バスレフダクトの調整、若しくは密閉型エンクロージャーにした場合の動作などの検討が考えられますが、先程の背面側を開放した場合のほうがドロンコーンとしての効果は期待できますので、検討に値するかは、その結果次第ということになります。

 

ユニット2つを駆動する場合についてのまとめ

以上、5つのケースについて、その動作を検討してみました。

そのうちの次の3つのケースについては、通常の半導体系アンプを用いる場合、低域の増強という観点で、A.並列正相接続 が最もおすすめです。

A.並列正相接続  ユニット2つに接続
B.並列逆相接続  ユニット2つに接続
C.直列接続    ユニット2つに接続

真空管アンプについては、ダンピングファクター等を考慮すると、C.直列接続(正相)の音の方がいいかもしれません。

 

背面側がパッシブの場合(上記D、Eのケース)

先程のD.背面側を開放する、と、EDE.背面側を短絡する、とでは、共に、背面側ユニットにアンプ出力を接続しないわけです。

これは、いわゆるドロンコーン(=パッシブラジエーター)機能となります。ここで、Eの場合は、コーンが動く時に逆起電力による抵抗成分が発現し、制動力が効いてその効果が減少することが予想されます。

ここをショートではなく、抵抗を入れるとさらに制動力が調整できます。

ただ、低域の増強という観点では、D.背面側を開放する、の方が効果が大きいといえます。

 

次回は、このドロンコーン機能について、さらに検討したいと思います。

 

 

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