Z700W-OMMF4MICAについて

Z700W- OMMF4MICAの概要

音楽の友社の新しいONTOMO MOOKが、2022年9月15日付でリリースされました。2022年版マークオーディオ編として、6cmフルレンジユニットのOM-MF4-MICAが特別付録となっています。

左が、2022年のOM-MF4-MICA、右が2020年のOM-MF4です。

 

Z700W- OMMF4MICAは、同ユニット用に限定販売している音工房Zのスピーカーキットです。また、完成品のZ700WS- OMMF4MICAもあります。

ここでは、Z700W- OMMF4MICAと、その使いこなしのポイントを御紹介します。

 

Z700W(S)- OMMF4MICAの特徴

概要

本スピーカーキット(及び完成品)には、ユニットがついていません。
ユニットは、ご自身で購入し取り付けて頂く必要があります。これは完成品も同様です。

まず、OM-MF4-MICAを正面に取り付けた例を2つ並べてみます。

 

前面/背面へのユニットの取付

本エンクロージャーは、実は、背面にもユニットを取り付けることができます。

ユニットをつけない場合は、付属の開口カバーでスピーカー開口部を塞ぎます。この場合は、基本的にバスレフ箱として機能します。

エンクロージャーの構造イメージとインピーダンス特性

なお、内部にはスピーカーとダクトとの間に仕切り板が入っており、わずかにダブルバスレフ的な作用もあるかもしれません。

仕切板のイメージ図を示します。

このような構造でシンクルユニットの場合の、インピーダンス特性の測定例を示します。

ユニットが前後2つの場合

次に、2つユニットを取り付けた例を示します。

ダクト側には、Z700W(S)- OMMF4MICA、背面側には、音工房Zの8センチユニットであるZ-Modena mk2を取り付けてみました。前後は、各々このような外観となります。

 

もちろん、正面、背面共に同じユニットを取り付けることもできます。

ただし、正面側の開口径が65mmに対し、背面側の開口径は75mmとなっています。
Z-Modena mk2の推奨開口径は、76mmですが、75mmで取り付けは可能です。

FostexのFE83NV2とFF85WKも取り付け可能です。

OM-MF4-MICA用としては、隙間は生じませんがマージンが小さいため、取り付けの際はスポンジテープ等で対策をした方がいいかと思います。2021年版のOM-MF4も同様です。

また、開口カバーに65mmの穴を開けて取り付けるという方法もあります。

 

背面ユニットのバリエーションイメージ

背面側の開口径は、75mmとなっています。
下の写真で示したような、背面用スピーカーとの組み合わせができます。

 

 

接続端子について

配線用の端子は、上面についています。
ここで示したケースでは、2つの端子を各々ショートしていますので、前後のユニットを正相に取り付けていることになります。

こちらも、バリエーションが想定でます。
①正相、②逆相、③背面側を開放、④背面側をショート、⑤直列、の5通りなどがあります。

 

Z700W- OMMF4MICAの遊び方いろいろ

Z700W(S)- OMMF4MICAは、音出しにあたって、様々なバリエーションが考えられます。色々、ご自分で試して音の変化と原理をいろいろと試すことができます。

ここでは、バリエーションの例についていくつか御紹介します。まず、考えられるバリエーションや調整する点を列記してみます。

  1. スピーカーユニットの数(1or2)
  2. バスレフダクト調整(ユニットが1つの場合と2つの場合の違い)
  3. 正面/背面の配置(どっちが正面?)
  4. 正面/背面の電気的接続方法(5通りの組み合わせ等)
  5. 背面側のユニットの変更(組み合わせ例による調整点、音の違い)

などが挙げられます。

今回のブログ記事では、まず、1と2、3についてご説明したいと思います。

 

ユニットの数、1つと2つの比較

ユニットが1つの場合と2つの場合を比較してみます。

ユニットが1つの場合

1つの場合は、原理的には、前記のように、ほぼバスレフ動作となります。
この場合の調整箇所は、ダクト長さとなります。

ダクト長さの調整については、後述します。

 

ユニットが前後2つの場合

次に、前後2つの場合です。その配置の結果想定される効果について列挙します。

ここでは、2つのそれぞれのスピーカー端子をプラス同士、マイナス同士で接続した正相接続の場合を考えてみます。

 

駆動力の増加→音圧が高くなる

2つにすると、まず駆動力が増します。これにより、音圧が増します。
実際に聴いてみたところ、シングルの場合に比べ、この組み合わせでは、2-2.5dB程度のボリュームの差があるようです。

つまり、ダブルの方が、約1.6-1.8倍ぐらい音が大きくなる、ということです。

これは、全く同じ特性をもつ2つの理想的なユニットを並列接続したときに、その合成インピーダンスが半分になることから推論できます。実際には、同じ型番でも個体によって特性は異なりますし、ましてや異なる型番のユニットでは、その特性は全く異なります。さらにユニット同士の干渉など、様々な要因もあります。真面目に考えるとその動作は結構複雑です。

ただ、並列接続の場合、合成インピーダンスが単体よりも小さくなるために、駆動力が増すということは、まず言えます。

 

駆動力の増加→より長いダクトの駆動ができる

次に、駆動力が増すので、より長いバスレフダクトの駆動が可能となります。
つまり、より低い共振周波数のダクトを使うことができます。

本来、共振による低域のブーストを目的としたバスレフ用のダクト(ポートともいいます)にはスピーカーユニットの振動による空気の出入りのため、空気抵抗が発生します。
この空気抵抗は、ダクトが細く長い方が大きくなります。

ユニットの駆動力が小さいと、この空気抵抗に負け、空気の出入りがしにくくなります。つまりバスレフ用ダクトによる共振が生じにくくなります。

その結果、低域が伸びないという現象となります。

ユニットを2つにするのは、空気の吸排出のポンプが1台から2台になるイメージで、その結果、駆動力が増すわけです。

その結果、ユニットがシングル(1つ)の場合と、ダブル(2つ)の場合は、適切な、といいますか、駆動できるダクト長さの限界が異なってきます。

同じ太さであれば、ダクトが長いほど、より低い共振周波数となりますが、必ずしも低い方がいいというわけではなく、実際に音を聴いてみて自分の好みのバランスで長さを決めるという地道な作業手順となります。

 

音場効果

正面側と背面側にユニットを配置することで、音場を広げる効果、もしくはエコー感の増加が期待できます。

ただし、背面側の壁の影響を大きく受けますので、音響パネルなどを使い適度に音を分散させる、などの工夫が効果的です。ある程度測定による推定は可能ですが、これまた、カットアンドトライの世界です。

また、設定の仕方によっては、定位感が低下するというマイナス現象も想定されます。

 

正面側/背面側の置換

前後で異なるユニットを取り付けた場合は、正面側と背面側を逆にすると、特に中高域の音が各ユニットの特性を強く受けるために変わります。どちらを正面側にするかは、音を聴いて好みで決めるということになります。

 

バスレフダクトの調整について

付属のダクトについて

Z700W(S)- OMMF4MICAに付属のバスレフダクトは、完成品、キット共に、長さ110mmが付属しています。前面/背面にユニットを取り付けた場合、後述しますが、この長さ程度がお勧めです。

前面/背面のユニットの組み合わせにより、この推奨長さは変わってくる可能性がありますが、組み合わせ例の詳細等は、別途、御紹介する予定です。

 

ユニットが1つの場合(OM-MF4-MICA)

ユニットが前面にOM-MF4-MICAのみの場合は、添付の110mmよりも短くすることをお勧めします。60-80mm程度にすると、低音の量感がかなり増します。

OM-MF4-MICAがシングルの場合は、駆動能力が不足のため、110mmでは空気抵抗の点で長すぎ、低音が得られないようです。

ただし、その結果、共振周波数は高くなります。

 

ユニットが2つ(正面+背面)の場合

ユニットがダブルの場合は、駆動能力が高いので、110mmのダクトを駆動することができます。

ただし、長さにより音は変わりますので、好みで長さを変えて頂くのがいいかと思います。

ユニットの組み合わせでも若干異なりますが、80-120mm程度の範囲がお勧めです。
ちなみに、本ダクトのオリジナルの長さである143mmの場合、駆動しきれないようで、低域の再生能力はかなり低下します。

なお、すでに記載しましたように再生音のボリューム量も全く違います。ダブルの場合は、高能率となり、約2-2.5dB程度音量が大きく再生されます。

これは、比較的大音量で聴きたい場合に大きな差となります。OM-MF4-MICAは、6cmと小径ですが、ストロークが比較的長く低域の再生能力が比較的高いのですが、やはり、耐入力的には限界が低いようです。つまりあまり大きな音で鳴らすことができません。

特に30Hz-40Hz 台などの極低域を含む音源を音量を上げ無理に再生しようとすると、コーンがフラフラと大きく動き、最悪破損します。当然、その場合の再生音は影響を受け歪みます。

これをダブルユニットで用いると再生の音量にかなり余裕が出てきます。正面に見える6cmのサイズのイメージ以上の低域の量感を感じることができると思います。

 

次のブログでは、Z700W(S)- OMMF4MICAで、今回の組み合わせのケースに合っている曲、また、ちょっと不得手な曲の傾向などについて検討してみたいと思います。

 

 

人気記事一覧