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Tong Poo (東風)/ YMO
規格品番:[ MHCL 10107 ]
本アルバムの概要 について
今回は、YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)の1stアルバムのリマスター版から "Tong Poo " (東風)を取り上げます。
このアルバムのオリジナルは1978年、レコードでしたが、SACDと通常のCDとのハイブリッド版が2018年にリリースされ、規格品番が[ MHCL 10107 ]です。
なお、SACD層は、マルチチャンネルではなくStereoです。
このアルバムは、YMO結成40周年記念としてアルファレコード時代の全オリジナル・アルバムをボブ・ラドウィック(Robert C. Ludwig)によるリマスタリングで発売する、という企画の第1弾でもあります。
現在のレコード会社は、ソニーミュージックです。SACD(DSD)の所以です。
なお、2018年に2種類(33rpm,45rpm)のレコード版もでていますが、アマゾンで¥8,636という価格となっています。
YMOは、セカンド・アルバムが大ヒットし、ブレークしましたが、この1stアルバムは、その頃には既に廃盤になっていたとのことで、幻の・・・とも言われているようです。
要は、1作目は、当時の音楽シーンの中ではあまりに新しくて、従来のカテゴリーに入らず、マーケティング的にも試行錯誤で、当初想定していた匿名的なディスコ(ダンス)バンド路線では全く売れなかった、からということのようです。最高69位でした。
本CDのライナーノーツによると、”それまでの細野晴臣のソロやプロデュース作品の延長線上にある音楽を予想していた(社長の)村井邦彦は、コンピューター・ゲームの音から始まるイエロー・マジックオーケストラのアルバムに頭を抱え” たそうです。
そこで、路線を変更して(身を晒す)ライブ活動を開始しました。独自のコスチュームやMoog-IIIなどの、当時かなり高額なシンセ群を並べるスタイルなども受け、それらが突破口となっていきました。
また、1stは、その後US版として、一部別録音でリマスター版が発売されます。
それが、USA、英国などで受け、逆輸入のような形になっていきます。
そのような実績を基に、2作目の ”ソリッド・ステイト・サヴァイバー " で、大ブレークした、ということのようです。2作目、3作目は、断然の1位です。
そのような背景もあり、その後テレビにも、様々な形で出演していくようになります。
このYMOについては、今更、という感もしますが、、、今から44年前ということは、大半の方には昔からの常識かもしれませんので、、、メンバーだけ簡単におさらいをしておきます。
まず、YMOの企画、立案、ネーミング、曲のアレンジそしてベースを担当するのが細野晴臣、1947年生まれです。ドラムスとボーカルが高橋幸宏(1952年生)、キーボードとオーケストレーションは、本曲の作曲者でもある坂本龍一(1952年生)です。
なお、クレジットの担当欄には、全員に"electronics"という文字が入っています。機材として、シンセドラムを含む各種シンセがクレジットされており、それぞれがプログラミングとオペーレーションを担当していると思われます。
また、ライブではプログラマブル・シーケンサーのMC8+Moog-IIIのオペレーター/プログラマーとして、松武秀樹が加わっています。第4のメンバーとも言われています。
本曲のピーク値の周波数特性の特徴
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等は、ヘッドフォンのSennheizer/HD-660SとSONY/MDR-M1STを用いました。
" Tong Poo " のピーク値の連続データの周波数特性について
" Tong Poo " の全曲のピーク値の周波数特性の連続データを、下図に示します。
図 1. " Tong Poo " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が、音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が、20Hz~20kHzとなります。
全体に、録音レベルが低く最大のピーク値で約-20dBとなっています。
ところどころに、-20dBを突き出たピークが見られます。
本アルバムはリマスタリング版ですが、アナログ時代のオリジナルのダイナミックレンジ等を活かす、などの理由で平均音圧を上げるというようなことはしていない、ということでしょうか。
一方、横軸方向、周波数特性をみると、全体に右肩下がりで、左側は、比較的低い方まで、伸びています。
図中の左側の白い点線で示したあたりでストンと落ちていますが、ここは41.7Hzで、-21.42dBと高い音圧となっています。
この曲は、出だしのシンセベースのメロディラインが印象的ですが、このソロパートの最初の12秒のピーク値の周波数特性は、次のようになっています(赤線)。
このシンセベースは、倍音成分を結構豊富に含んでいることがわかります。分厚い音に聞こえる所以かと思われます。
図 2. " Tong Poo " の0-12secのピーク値の周波数特性
ここで、白いカーソルで示した一番低い周波数のピーク値は約55Hzです。A1の音程に相当します。
先程の図1での、40Hz-60Hz付近の低域の高原状態のピーク特性は、その後に登場する生のドラムスに主に起因するようです。
" Fire Cracker " のピーク値の周波数特性
参考データとして、本アルバムの2曲目に入っている” Fire Cracker " のピーク値の周波数特性を示します。
この曲は、YMOの結成時の目標でもあったマーティン・デニーの ” Fire Cracker " のディスコバージョン です。
低域側の特性は、先程のTong Pooよりもむしろ低い周波数まで、じわっと入っています。この曲の再生には、30Hzぐらいまでの再生能力が必要なようです。
なお、白い点線で示した33Hzのピークは最後に響く爆竹のような音で出てきます。
Z1000-Bergamo+スーパートゥイーターZ501での試聴
Z1000-BergamoにスーパーツィーターZ501を組合せて試聴しました。
ネットワーク用のコンデンサは、1.0μFとしました。
Z1000-Bergamo+Z501からは、活き活きとしたサウンドが鳴り響きます。40年以上前の音とは思えません。ワイドな音域とダイナミックレンジの高い音を堪能出来ます。
改めて聴くと、最近の音楽に比べ、案外音数が少ない印象も受けますが、セパレーションがよくくっきりとしています。さすがはKingです。
ヘッドホンでの、やや冗長な感じが、スピーカーで聴くと様々な音の工夫を聴き取ることができ飽きることがありません。そして煩くはありません。ともかく楽しい。ぎっしりと詰まったアイデアを一音一音聴き取ることが出来ます。
ちなみに、FireCrackerでは、出だしから低域が伸びているのがよくわかります。
Z1000-Bergamoは、本アルバムの高いポテンシャルを、実によく表現してくれました。
CD情報
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