弦楽四重奏 第16番/ ベートーベン / Hagen Quartett :SACD SURROUND 5.0

規格品番: [MYR009]

曲と演奏者の概要紹介

今回ご紹介するのは、SACD multi-ch のアルバムです。
5.0 suround録音のご紹介になります。

ハーゲン・カルテット(Hagen Quartett)の演奏によるベートーベンの四重奏のSACDで、規格品番は、[MYR009]です。

この中の、弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調作品135(String Qualtet No.16 in F Major op.135)の第一楽章(1.Allegretto)を取り上げたいと思います。

 

本アルバムは、2012年10月と11月に録音されました。
ドイツのmyrios classics レーベルからでています。

ちなみに、本レーベル創立者シュテファン・カーエンは、良い音楽を高音質、高品質のフォーマットでリスナーに届けるためにレーベルを立ち上げた、とのことです。
SACDハイブリッド関連のレーベルといえるでしょう。

 

演奏しているハーゲン弦楽四重奏団(Hargen Qualtett)は、もともとは、4人の兄弟(ルーカス、アンゲリカ、ヴェロニカ、クレメンス)によってオーストリア・ザルツブルクで1980年に結成されました。

しかし、その後、第2バイオリンだった長女のアンゲリカ・ハーゲンがソロ活動のために抜けて、現在は、次のようなメンバー構成となっています。

ルーカス・ハーゲン(Lukas Hagen):第1バイオリン
ライナー・シュミット(Rainer Schmidt):第2バイオリン
ベロニカ・ハーゲン(Velonika Hagen):ビオラ
クレメンス・ハーゲン(Clemens Hagen):チェロ

なお、彼らのお父さんも、ザルツブルグのモーツァルテウム管弦楽団のヴィオラ奏者という弦楽奏者の一家として知られています。

4人とも、使用する楽器は日本音楽財団より貸与されています。かつて2013年12月 - 2017年  8月に貸与されていたのは、ストラディヴァリウスの「パガニーニ・クァルテット」でしたが、現在は、貸与品が変わっているようです。

1983年に、室内楽の分野で最高峰を誇るエヴィアン国際コンクールで第1位となるなど、数々の受賞歴があり、現在、世界屈指の弦楽四重奏団といえます。

また、この4人は現在モーツァルテウム音楽大学の教授でもある、とのことです。

東京でも、彼らは何度かコンサートを実施しています。

彼らの演奏は、コンサートにおいても、ともかく息がぴったりと合っており、そのタイミングが実に見事で、それによって聴衆の集中力も一層高まり独特の緊張感があります。
そのためもあるのでしょうか、無音の静けさに対比して響く4人によるフォルテシモの力強さは特に印象深く秀逸です。

優秀なドラム奏者の音が、手足すべての完璧なシンクロによりパンチ力があるのと同じ原理かと思われます。

 

今回取り上げる 弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 作品135は、ベートーヴェンが1826年に作曲した室内楽曲で、死の5か月前に完成しました。
これが、ベートーヴェンのまとまった作品として、生涯最後の作品となります。

本曲は、今年2021年7月1日に予定されている彼らの東京でのコンサートのプログラムにも予定されています。

 

なお、ハーゲン・カルテッドについては、下記でもご紹介していますので、ご覧ください。

 

音工房Zの真木礼様の特別CD紹介ページ
http://makirei.z-sound.biz/contents/002.html

 

特性測定と評価

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

本アルバムの弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調作品135の第一楽章のピーク値の周波数特性を示します。
グラフの縦軸が音圧(dB)、横軸が周波数(対数表記)で、96kHzまで表示しています。

なお、本曲の試聴は、SACDマルチ(5.0ch)で行っていますが、この測定データは通常のCDフォーマットデータをWAVに変換したものを用いています。従って、SACDの周波数特性とは、特に超高音域が異なっていると思われます。

曲全体の周波数特性に関する特徴

  図  ピーク値の周波数特性

 

 また、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、ヘッドフォンにより行っています。このモニター用のヘッドフォンには、主にSennheizerのHD-660Sを用いました。

DACには、GustardのX16、ヘッドホンアンプには、同H16を用いてヘッドフォンも含めフルバランス出力でモニターしています。

 

グラフの文字が小さいので補足しますと、縦軸は、最大が0dBで、以下、-20,-40,-60,-80と表示されています。

横軸は、緑色の表示が、左から、20、100,1K、10kとなっており、右端は、96kHz(192/2)です。このグラフでは、約30kHzまでデータが表示されています。この領域はほとんど-70dB以下ですので、何らかのノイズ成分と推定されます。

 

本曲のピーク値の周波数特性は、低い領域では、約60Hz以下でストンと落ちる特性となっており、超低域の成分はありません。50Hz 以下の成分は暗騒音と思われます。

また、高い領域は-60dB以上のピーク値が約20kHzまで入っており、豊かな倍音成分をふくんでいることがわかります。
そして、人が音程として判別できる約4kHz 弱までの範囲では、ほぼ同じ高さの音圧で入っています。基音のフォルテシモの音圧が広い音域で入っているダイナミックレンジの高い録音であるといえます。

最高の値は、約1.18kHz(D6?)における-10.4dBと、録音レベルとしてはかなり高い値となっています。また、比較的近傍の1.7kHzのピークの値が、-37.4dBと近傍のピーク値同士にもかかわらず、27dBの差があり、かなり特徴的です。
ここからも、大小の音の大きさの差が大きいダイナミックレンジが高い録音であることが伺えます。

 

弦楽四重奏曲 第16番 第一楽章 5.0chの試聴

Z800-FW168HRS(Front) + Z-Liborno(Center)+Z800(Rear)での試聴

 

ホールといいますか、どちらかというと大広間にいて、自分の眼前で演奏が奏でられているというような印象を受けます。ぱっと部屋が広がり、それが自然に響いてきます。2chで感じるのよりも、ここは広い空間です。

静かで穏やかな中に、時折、強いフォルテ、そして瞬発的ですが、弦楽器特有の余裕のあるフォルテシモ。

5つのスピーカーからの音圧が、その時に集中するためでしょうか、2chよりも、静けさからの瞬時の大きな音にインパクトを強く感じます。ダイナミックレンジが広い印象です。

ただ、大きな音のときの高域にややくせのようなものを感じるような気がしました。これはアンプの能力によるものでしょうか。

ともかく、音は自然に伸び伸びと響きます。

通常のポジションで聴いていると、後ろからの音を意識することはないのですが、あえて、後ろのスピーカーに耳を近づけてみると、右後ろのスピーカーからチェロの低音が響いていたりします。

この時、左からはそれが聴こえません。

この曲の場合、サラウンドスピーカーからは、高中音成分のみならず、低音成分も出力されており、定位感と響き、そして量感に寄与していることが伺えます。

試聴に用いた製品の紹介

 今回の試聴に用いた主な製品を、ご紹介します。

〇AVアンプ      : TX-RZ830(ONKYO)

〇ユニバーサルプレーヤー: UBP-X800M2(SONY)

〇スピーカー:

1.  Z800-FW168HR 
https://otokoubouz.com/z800/fw168hr.html

2.  Z-1-Livorno (S)
https://otokoubouz.com/z1/livorno.html

3.  Z501(C=0.82μF):センタースピーカーのZ-1と組み合わせ
https://otokoubouz.com/z500/501.html

 

CD情報

 

関連リンク集

 

 

 

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