#オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオ ブログ記事一覧

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センタースピーカーとリアスピーカーの役割

 前回、スピーカーセッティングの例をいくつか提示しました。

今回は、それらを用いて、各チャンネルの役割について5.x chで標準となっているセンタースピーカーとリアスピーカーの役割について検討したいと思います。

 

4.0ch vs 5.0chそして2.0chとの比較試聴

 結論を最初に言えば、4.0chと5.0chとは、音の定位感が全く異なる印象です。

いずれも、録音がいいせいか、2.0chステレオで聞くと、定位感、つまりそれぞれの発音体(声や楽器)の位置、をはっきりと前方方向で感じることができるのですが、4.0chにすると、あれ?、という感じになります。

後ろ(正確に言うと、斜め後方)から音がきこえるせいか、定位感という点では、ふわっとしたような感じになるのです。

それが、5.0chにすると、前方方向の定位感がはっきりとします。

マイルス・デイビス/Kind of Blue/So What の場合

 例えば、マイルス・デイビス/Kind of Blueの一曲め、So What では、5.0chの場合、マイルス・デイビスのトランペットが真ん前で伸びやかに鳴って、そのやや左で、コルトレーンのテナーサックスが響き始めるのがよくわかります。その後の右側、キャノンボール・アダレイのアルトサックスも同様です。
また、広々とした空間を感じる一方、定位感もきまり、ライブハウスで聴いている感じになるのです。このテイクのオリジナルは、1959年で、3トラックのスタジオ録音です。リミックスの際、リアの音をアドオンしているのでしょうか。つまり、前回の分類で言えば、①ホール(演奏スタジオの場)再現 とも言えます。
ちなみに、2chは、CDもSACD2chも同様に3chから、2chにミックスダウンされているようです。
モード奏法を発掘し磨き上げたマイルス・デービスは、音質へのこだわりも相当高かったのでしょうか。当時としては、最先端の録音技術だったのではないかと推察されます。

 この5.0chでの空間の広がりは、2chでは、得られないものです。
2chステレオの場合だと、プレイヤー達と対峙しているような感じ、つまり、ちょっと大げさに言えば緊張感をもって聴いていた感じがありますが、空間の広がりを感じることで、気分も伸びやかになり、よりゆったりと音楽に入り込めるように思います。前方方向での各パートの定位感もよいのが落ち着きと満足感を増してくれます。

 さらに、音質の点では、4.0chに比べ、5.0chでは、中低域が分厚い感じになり、ドラムやベースの音に芯が出てきます。Jazzの再生音として、とてもいい雰囲気です。
これが、センタースピーカーそのものの効果なのか、センタースピーカーにZ-1を使った効果なのかどうかは、わかりません。別途、センタースピーカーに、他と同じZ800や、他のスピーカーを組み合わせた場合と比較してみると、センタースピーカーの役割が一層分かってくるように思いました。

Steely Dan /  Gaucho / Babylon Sisters の場合

 このアルバムは、②楽器サラウンド型に相当します。
傾向は、やはり、前記のマイルス・デイビスの場合と同様で、4.0chに比べ、5.0chでは、定位感が大幅に向上します。また、低域の厚みが、かなり増し、迫力があります。
ちなみに、0.1chに相当するサブウーファーは、無しに設定していますが、このチャンネルの音がフロントにサブミックスされているかどうかは定かではありません。しかし、2chSACDの音と比べても、低音不足を感じることは、ありません。
どうも、2chSACD録音の音よりも、明らかに音圧が高く再生され、そのせいかむしろ低音が増して感じているようにも思われます。アンプが5台vs2台ですから、当然でしょうか。
この低音域の傾向は、マイルス・デイビスの場合も同様でした。
サブウーファーを使っていないにも関わらず、むしろ、低域が豊かに聞こえるようです。

少なくとも、このアンプの場合は、サブウーファー成分は、フロントなどにダウンミックスされているように思われます。

鐘の音などの効果音などのいくつかは、自然に後方から聞こえてきます。2.0chに比べ、空間の広がりも感じます。
逆に言えば、2.0chの音を聞くと、前方からしか聴こえないためか、やや集中して聞く感じになります。耳に気持ちを集中させてしまう、というか気持ちのゆとり感がなくなるように思います。

 

Francis Poulanc/ Organ Concerto/ Andante の場合

 この曲は、前回のブログで、サン・サーンス他のアルバムとしてご紹介した中に入っています。アルバム全体で、2トラック目となります。
プーランクは、1899-1963ですので、比較的近い時代の人ですが、この曲の出だしは、古典的な教会音楽を思わせるオルガンの極低域が響き渡ります。WaveSpectraで、スペクトラムを測定すると、グラフの最低周波数である20Hzでの音圧が、全録音周波数帯のなかで音圧の最大値である-10dBとなっています。他の人の測定によると周波数が16Hzの下まで音が入っているとのことです。

この曲の場合は、4.0chと5.0chを比べると、定位感というよりも、低域の量感が4.0chに比べ5.0chの方が増しているのが印象的です。また、2.0chと比べると、空間の広がりの有無が、この曲の魅力に直結しているように感じます。5.0chでの再生は圧倒的です。
ただ、Z800では、この極低域が再生されてはいますが、わずかに感じられる程度です。フロントスピーカーにTrentを付加して、聴いてみたいと感じました。

 

 

まとめ

センタースピーカーの役割

 センタースピーカーには、どうやら少なくも2つの機能があるようです。

 1つ目は、定位感の向上です。
2.0chから4.0chにすると、定位感が希薄になる感じになるようです。これは、リアスピーカー設置の影響と考えられます。オーディオ的には負の影響と言えます。
どうやら、それを、センタースピーカーが補います。リソースによっては、その違いはかなり大きいものがあります。

 2つ目は、中低域から低域の音圧の向上です。
いわゆる音の厚みが増します。
ドラム系やベースなどがセンター寄りの場合は当然ですが、それらの低域主体のリズム楽器の音が、FR(フロント右)やFL(フロント左)のみに入っているということは、むしろ稀で、センターにも幾分かは入っていることが多いと思われますので、センタースピーカーの音質の影響は大きいと考えられます。

こちらについては、今後、スピーカーやリソースを変えてみることで、その役割がより一層はっきりとしてくると考えられます。今後の検討課題でもあります。

いずれにせよ、当面は、5.x chのリソースについては、センタースピーカーが必須と考えたほうが良さそうです。

リアスピーカーの役割

 リアスピーカーの役割も、少なくとも2つあります。

 まずは、これらにより、空間を感じ取れるようになるということです。
いわゆるコンサートホールやジャズハウスのような場所で聴いている感じが、かなり再現されてきます。一度これを聴くと、2chでの再生は、それらの音楽環境で聴いていたのとは異なるものであることがよくわかります。

また、なぜか、聴感上、ゆったりとした気分にもなります。
これは、癒しの効果にも繋がるのかもしれません。

 次に、音の分散による音楽的表現力の向上です。
ただし、こちらは、リソースによっては、逆効果になる危険性も否めません。記載はまだしていませんが、今回選んだ10アルバムでは、全て各音の存在感が増す、いい方向の録音で、逆効果やうるさいと感じるリソースはありませんでした。ただ、これは主観によるので、聴いて判断して頂くしかない事柄ではあります。

 また、その他に、世の中でよく言われることで、音が各スピーカーに分散することで、スピーカーひとつあたりの再生負荷が減り、混変調歪が減る、ということがあります。これについては未検証ですので、現時点ではよくわかりません。これをどのように評価するかも含め、今後の検討課題かもしれません。

 いずれにせよ、上記の2つだけでも、メリットは相当あります。

 自宅で、コンサートホールやスタジオの雰囲気が再現できるとしたら、素晴らしいのではないでしょうか。
こちらについては、狭い部屋でも、広い空間を感じ取れるようになるのか、とか、逆に広い部屋だと、音がスカスカにならないか、など、今後の検討課題もいくつかあると思われます。

サブウーファについて

 サブウーファについては、今回試聴した2曲については、特に必要性を感じませんでした。ただし、20Hz以下の音を含むアルバムについては、その音域の再生能力の有無について必要性を実感しました。これは、フロントスピーカーの再生能力によるものとも考えられます。
 やはり、50Hz以下を再生できるか否かは、曲によっては、大きな意味をもちますので、サブウーファをうまく使うというのは、オーディオ的にも、大事なことなのではないかと思われます。

 

SACD試聴のブログ記事をアップしましたので、ご紹介します。

 

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