Language Barrier / Sly and Robbie

Language Barrier by Sly & Robbie

  規格品番:[P35D-20004 ]

本アルバムの概要 について

今回ご紹介するのは、スライ&ロビー(Sly and Robbie)のランゲージ・バリアー(Language Barrier)です。規格品番は、[P35D-20004 ]で、1985年の録音/発売です。

その他、USA版で、[90286-2] [7 90286-2]/1985年、 [PALMCD 2123-2]/2003年、またLP版で[ILPS-9831][R25D-2011]/1985年などもあります。

スライ&ロビーは、ジャマイカ出身の2人によるリズム・セクションです。ドラマーのスライ・ダンバー(本名:ローウェル・チャールズ・ダンバー;Lowell Charles Dunbar/1952年5月10日生)とベーシストのロビー・シェイクスピア(本名:ロバート・シェークスピア;Robert Shakespeare/1953年9月27日生)が1970年代半ばにチームを組み、活動を始めました。

2人のコンビは途切れることなく続き、リズムセクションとして、ボブ・ディランミック・ジャガーローリング・ストーンズグレイス・ジョーンズジルベルト・ジルジョー・コッカー、スティングなど有名ミュージシャンの数多くのアルバムにも参加しました。彼らが製作に携わった楽曲は20万曲にものぼると言われているようです。

なお、ロビー・シェイクスピアは、2021年12月8日に68歳で亡くなっています。

本アルバムは彼らがルーツのレゲエからサウンドの幅を広げ始めた時期の作品と言えます。これは、その後1987年にリリースのアルバム、”リズムキラー” に繋がります。
USA版のウィキペディアでは、この時期の彼らを、1980年代:デジタルへの移行、と表現しています。

 

本アルバムは、当時ヒップ・ポップ・ミュージックで活躍し始めていたビル・ラズウェル(Bill Laswell)がプロデュースしています。

ビル・ラズウェルは、本アルバムの直近の1983年にハービー・ハンコックのアルバム『フューチャー・ショック』をプロデュースしており、これがヒップホップの名盤として高い評価を受け、第26回グラミー賞で最優秀R&Bインストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞しています。

本アルバムでも、全6曲中の5曲にハービー・ハンコックが参加しています。また、2曲目では、ハーモニカ担当としてボブ・ディランが参加しています。

その他、ビル・ラズウェル人脈のプレイヤーとスライ&ロビーのレゲエ系プレイヤーが多数参加しており、本アルバムは、当時としては、ヒップポップ系の実験的なアルバムという位置付もされているようです。

 

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

 各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。

" Make 'Em Move "のピーク値の連続データの周波数特性について

 本アルバム1曲めの" Make 'Em Move " の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。


図 1. " Make 'Em Move " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。

全体に、録音レベルがやや低く最大のピーク値で-30dB程度で、全体に右肩下がりとなっています。

低域側に白い縦軸のカーソルがありますが、ここが、38.4Hzで音圧は約-36dBです。また、それよりも低域側にもピークがあり、相対的に30Hz付近まで、-40dB以上の比較的高い音圧で録音されているのがわかります。

さらに高域側をみると、CDの録音限界である20kHzで、すっぱりと切られているのが見て取れます。CD版よりも、LP版の方が高域側の再生帯域が広くなっていることが予想されます。

 

" No Name on the Bullet "のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、 本アルバム2曲めの" No Name on the Bullet  " の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。

図 2. " No Name on the Bullet " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

ピーク値の周波数特性は、先程の1曲目と似たような傾向となっています。
低域側の白いカーソルでマーキンした小さなピークは、32.3Hzで、約-38dB です。
全体の最大ピークが、-30dB 前後であることを考慮すると、かなり高い音圧と言えます。低域側の音圧が高い傾向にあります。

高域側は、20kHzで、約-80dB となっています。

 

" Miles (Black Satin)"のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、 本アルバム3曲めの" Miles (Black Satin) " の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。

図 3. " Miles (Black Satin) " のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

本曲は、比較的、極低域の領域の音圧はさほど高くありません。実際に聴いてみると、鋭いハイハットと流れる水の音が印象的です。ドラム、ベース由来のアナログ系とシンセ、ボコーダなどのデジタル系の効果音が、特に高域側において、見事に一体化したサウンドとなっています。

CDでは、20kHzでばっさりと切られていますが、おそらくマスターテープには、CDの録音限界を超え、かなり高い周波数の音も録音されていると予想されます。

これは、アルバム全体のキレのよさにも関係していると思われます。
つまりフーリエ解析したときの立ち上がりに相当する高周波成分をちゃんと含み、オリジナル波形の再現性が高いということだと思われます。

本アルバムについては、LPの方が音がよい、というパターンの典型なのかもしれません。

 

Z1000-FE108SSHP+スーパートゥイーターZ501での試聴

 

 フォステクスの限定ユニットを用いたZ1000-FE108SSHPにスーパーツィーターZ501(ウォールナットエディション)を組合せてみました。

ネットワーク用のコンデンサは、0.82μFを用いました。正相接続です。

1曲目、" Make 'Em Move "、スライのドラムスでスタート、音が活きて弾んでいます。ロビーのベースが、40Hz台でしょうか、かなり低い音域で、これまた、いいリズムを刻みます。
後半、やや破壊的ともいえるようなドラムスの怒涛の如きサウンドをやすやすとかつ刺激的に再生してくれます。

3曲目、” Miles (Black Satin) "、マイルス・デイビスのアルバム、オン・ザ・コーナーに収録されているBlack Satinをベースとして、スライ&ロビーとビル・ラズウェルが補作した作品です。同アルバムもビル・ラズウェルのプロデュースで、スライ&ロビーとハービー・ハンコックも参加している、という繋がりのようです。

効果音の水の流れの音が、生々しく、これまた活き活きとしています。先程示したように、この曲には、極低域の成分は少ないのですが、いわゆる重低音の領域の音はたっぷりと入っていますので、高域側の様々な効果音との対比がタイトにクリアで、クールに聴こえます。ボコーダ的な人の声も含め、ものすごく色々な音源が入っているのですが、ごちゃごちゃせず、クリアです。

定位感の良さが印象的でもあります。

アルバム全体に言えるのが、幅広い音域と高ダイナミックレンジなサウンド。ともかく、色々な音が詰まっているのですが、定位感もよく、それらがある意味整理されて目の前に広がるという印象です。

それをZ1000-FE108SSHP+Z501は、見事に再生してくれました。

 

Z501のページ

CD情報

アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)

ランゲージ・バリアー

 

関連リンク先

・本アルバム同様、極低域が豊かに含まれる音源集です。

・パッシブ型サブウーファーの使い方をご紹介しています。

 

・PCオーディオ入門編 2023です。導入しやすく高音質のオーディオ環境のご紹介です。
サブスク音源、驚きのminiPC、最新D級アンプ、音工房Zのスピーカキットなどをご紹介しました。
今や入手が困難なCD音源なども、1億曲のサブスクなら聴くことができる、かもしれません。

 

 

 

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