はじめに

 

ODYSSEY

曲の概要

 Jupiter(ジュピター)は、2003年に発売された平原綾香の最初のシングルで、デビュー曲でもあります。彼女のいくつかのアルバムに入っていますが、ここでは、ファースト・アルバムの " Odyssy " 版を試聴しました。

 ホルストの惑星の第4曲である木星(Jupiter)のメロディーに日本語の歌詞(吉本由美作詞)を付け歌っています。この案は、平原自身によるものとのことです。
また、歌詞のフレーズの一部、たとえば、“私の両手で何ができるの?” “ありのままでずっと愛されている” “いつまでも歌うわあなたのために”など平原自身によるものが織り込まれています

 洗足学園音楽大学に在学中、クラシックの授業でホルストの曲に出会った時のことを、J-WAVEでのインタビューで、平原はこう語っています。

 ” 先生が『木星』をかけてくれたときの衝撃を今でも忘れないです。初めて聴いたのに懐かしい気がして涙がポロポロ出て、「やっと探していた人に出会えた」みたいになっちゃって。授業が終わってすぐにスタッフに電話して「ホルストの『木星』という曲をカバーしたいんですけどいいですか?」って言って、やってみようって。そこから制作がはじまったんです。”

 リリース当初は、ノンタイアップでしたが、その後、様々なテレビ番組やドラマ、CMなどに採用されています。また、新潟県中越地震の際、被災者を勇気付ける応援歌として新潟県内のラジオ局で多くリクエストされたこともあり、2005年より長岡まつり大花火大会で打ち上げられている復興祈願花火『フェニックス』では、この曲がBGMとして使われています。

 その後も様々なシーンで使われ、ロングセラーとなっていますので、ご存知の方も多いと思います。

特性測定と評価

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

 本曲全体のピーク値の特性を示します。
縦軸は、dB(デシベル)単位の出力で、上が0dBで、下が-80dBとしています。
また、横軸は周波数で、対数目盛となっており、一番左端が、20Hzで、緑の目盛りは、10kHzが記載されており、実線の枠で囲まれた一番右側の点線は、20kHzとなっています。

 なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、ヘッドホンにより行っています。このモニター用のヘッドホンには主にSONYのMDR-CD900STを用いました。


図  Jupiter のピーク値の周波数特性

 ピーク値の周波数特性をみると、ワイドレンジな録音となっています。

 特徴的なのは、超低域~低域を除き、150Hz程度から、20kHz近くまでのピークの記録が、ボーカルの発声時にされていることです。ボーカルと音域のかぶさるバックのストリングスなどは、リアルタイムでピーク値の動きを見ていると、ボーカルのピーク値よりも低い音圧で録音されているようです。また、ボーカルでは、特にサ行の音が、かなり高い周波数の山のいくつかに関係しています。例えば、8kHzから10kHz付近 や18kHz付近などです。

 また、超低域~低域では、32Hzや43Hz、54Hz、97Hzなどのベース系や100Hz前後のドラムス系の音が入っていますが、中域と同程度かやや低い音圧となっています。この音域では、人間の聴覚は、周波数が低くなるほど感度が低りますから、控えめな音圧に聴こえます。
 したがって、結果的に基音が中域のボーカルが強調される録音となっています。
このあたりは、最近のダンス系やヒップポップ系が超低域~低域を強調する傾向とはやや異なる音作りとなっています。

 このような特徴により、実際は広い周波数レンジとダイナミックレンジの録音ですが、メリハリを感じるというよりは、ボーカルが主体のきれいな流れるような雰囲気の音楽に聴こえてくるものと思われます。

 

Jupiter の試聴

Z-1-Livorno (S)+スーパートゥイーターZ501での試聴

   写真   Z-1-Livorno (S) 


     写真  Z501 

 

 比較試聴は、Z800-FW168HRS+Z505Trent、Z1000-FE103A、Z701-Modena(V5)などで行いました。
 Z800-FW168HRS単体では、低域も超低域も音としては、きちんと再生するのですが、再生音がクリアすぎるといいますか、ちょっと軽い感じです。そこで、Z505Trentoを追加接続すると、流石に、音の傾向は自然なまま、ラウドネス効果を付加したような感じで、低音がよく聴こえ、ゆったり感も出てきます。
ただ、劇的によくなったかというと、それほど大きな効果ではありませんでした。

 また、Z1000-FE103Aは、中域の力強い再生力がいい感じで、ボーカルをいきいきと再生してくれます。こちらも、おすすめです。ただし、本機は、既に生産中止となってしまっていますので、あくまで参考ということになります。

 Z701については、最もコストパフォーマンスが良く、期待できます。ボーカルの再生はとてもいいです。ただし、この曲の再生の場合、一部の音が強調されすぎる感じも受けました。

 以上のことも踏まえ、Z1-LivornoとZ501(スーパーツイーター)との組み合わせが、この曲については、最もしっくりときました。Z501の追加により、もともとの豊かな中低域の再生音に加えて、ナチュラルでよりクリアに平原綾香の歌声を聴くことができます。

 バックのサウンドがやや控えめで、ボーカル重視の音作りということもあり、中高域の分離がよく、中低域の比較的豊かなZ1のサウンド傾向がこの曲に合っていました。

 Z1は、Jazz系も含め、ボーカルを味わいよく再生してくれるようです。

比較試聴に用いた製品の紹介

 今回の比較試聴に用いた製品を、紹介します。

1.  Z-1-Livorno (S)
https://otokoubouz.com/z1/livorno.html

2.  Z501(スーパーツイーター)(C=0.82μFにキャパシタを変更)
https://otokoubouz.com/z500/501.html

3.  Z800-FW168HR 
https://otokoubouz.com/z800/fw168hr.html

4. Z505Trent
https://otokoubouz.com/z500/505trento.html

5.  Z701-Modena (V5)(Z701と略称)
https://otokoubouz.com/z700/701modena.html

 

CD情報

 

 

関連リンク先

・本アルバム同様、極低域が豊かに含まれる音源集です。

・パッシブ型サブウーファーの使い方をご紹介しています。

 

・PCオーディオ入門編 2023です。導入しやすく高音質のオーディオ環境のご紹介です。
サブスク音源、驚きのminiPC、最新D級アンプ、音工房Zのスピーカキットなどをご紹介しました。
今や入手が困難なCD音源なども、1億曲のサブスクなら聴くことができる、かもしれません。

 

 

 

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