目次
竜とそばかすの姫 - Belle -
規格品番:[ BVCL 1173 ]
本アルバムの概要
今回は、音工房Zのお客様 からご紹介頂きましたアルバムとなります。
” 竜とそばかすの姫 ” は、2021年7月18日に公開された日本のアニメーション映画です。細田守が監督、脚本、原作を担当しました。本アルバムはそのサウンドトラック盤になります。
規格品番は、[ BVCL 1173 ]です。
本作品のストーリー設定
本作品の主人公は、女子高生の ”すず" です。歌うのが本来好きなのですが、トラウマを抱えており、現実世界では歌うことができなくなっていました。
友人からインターネット空間の仮想世界<U>を紹介され、"ベル"というアバター名で参加します。
仮想世界では、歌うことができるようになり、そして自作の歌を披露し、歌姫として<U>で注目を集めて、、、、という基本設定から、物語が進んでいきます。
そして、仮想世界で、ベルに否定的な態度をとる、"竜”と言う存在と、現実世界との関係とが物語を紡ぎ出していきます。
主なプレーヤーの紹介
主人公が歌姫ということで、声優として、シンガーソングライターでミュージシャンの中村佳穂が配役されています。中村佳穂は、本アルバムでは、自らが歌っている曲の作詞も担当しています。
他に主な音楽プレイヤーとしては、Ensemble FOVE(指揮;坂東祐大)がオーケストラを担当しており、このEnsemble FOVEとDAW(Digital Audio Workstation)ソフトの音源との組み合わせとが本アルバムの音源のメインリソースとなっているようです。
本アルバムでは、最近の映画音楽らしく、25-50Hzの極低域がかなり高い音圧で入っている曲が多いのですが、この極低域側の音圧は、主にDAWソフトの音源が担っているようです。ただ、音の構成としては、生オケとの繋がりが自然に聴こえます。
さらに、興味深いプレイヤーが数多く演奏しています。
2曲目の " Sling shot " では、マーチバンドで有名な、京都橘高等学校吹奏楽部が、軽やかに演奏しています。
また、8曲目の " いざ、リラを奏でて歌わん ( Traditional ) " では、" 森山良子+中尾幸世+坂本冬美+岩崎良美+清水ミチコ+中村佳穂 "、のアカペラのコーラス編成となっています。この組み合わせ、”???”、という感じですが、流石に見事なハーモニーです。テイクが短いのがちょっと残念に感じます。
中村佳穂以外のこの5人は、" すず " の母親が所属していた合唱隊員で、その母の死後、" すず " を母親代わりのように見守ってきたメンバーという設定で、合唱隊をまとめるリーダーを森山良子、その他のメンバー役として清水ミチコ、岩崎良美、中尾幸世、坂本冬美が声優として演じています。
本アルバムでは、その他にも、曲ごとに、有名なプレイヤーが各々参加しています。
作曲・編曲・音楽監督
作曲、編曲も、最近”パプリカ”の編曲でも有名となった若手の現代音楽作曲家の坂東祐大や、ゲーム音楽でも知られるLudvig Forssell、さらに本作全体の音楽監督でもある岩崎太整が担当しており、音楽的にも高いレベルとなっています。
その他、作品の関連情報
本作は、2021年7月開催の第74回カンヌ国際映画祭に選出され、18日にワールド・プレミア上映されました。
また、中村佳穂は、2021年の第72回紅白歌合戦に初出場し、竜とそばかすの姫のメインテーマの " U " を歌いました。
なお、本作品のBD/DVDや動画配信サービスの開始は、一部のファンからは2022年1月頃と予想されていましたが、未だに正式アナウンスはありません。
1月末の最新情報では、動画配信の開始が、3月2日に決定とのことです。
本作品については、動画配信のみになるのではないか、という憶測も流れているようです。
クレジット
本アルバムは、全32曲です。各タイトルと主なプレイヤーをご紹介します。なお、下記リストで " Programming " とあるのは、DAW(Digital Audio Workstation) ソフトのプログラミング担当と思われます。
- ささやき 歌;中村佳穂
- Slingshot 演奏;京都橘高等学校吹奏楽部、Alto Sax;加納奈実、Tronbone;半田信英
- 遠い音色 Harp;池城菜香、 Piano&Programming; 岩崎太整
- Blunt Words 歌;ermhoi、Programming; Ludvig Forssell
- 歌よ 歌;中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- 儚い日常 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- 導き 歌; 中村佳穂、他(大勢)
- いざ、リラを奏でて歌わん 歌; 森山良子、中尾幸世、坂本冬美、岩崎良美、清水ミチコ、中村佳穂
- Fama Destinata 歌; 中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell、他
- 竜 Violoncello; 小畠幸法
- ジャスティン Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大
- アンベイル Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大、Choir; London Voices
- 電網鼓動 Programming; Ludvig Forssell
- 竜の城 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大、、Choir; London Voices
- 心のそばに(鈴) 歌; 中村佳穂
- 手のひらの戦乱 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell、Choir; London Voices
- 強襲 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大
- 心のそばに 歌; 中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove
- #UnveilTheBeast Programming; Ludvig Forssell
- 倨傲の権力 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- 竜の城、燃ゆ Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大、Choir; London Voices
- 潜む真実 Programming; Ludvig Forssell
- 心のそばに(知くん) 歌; HANA
- 不信 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- はなればなれの君へ Part1 歌; 中村佳穂、 Piano&Programming; 岩崎太整、Orchestra;Ensemble Fove
- はなればなれの君へ Part2 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 岩崎太整
- はなればなれの君へ Part3 歌; 中村佳穂、Piano&Programming; 岩崎太整、Orchestra;Ensemble Fove、他
- はなればなれの君へ Part4 Piano&Programming; 岩崎太整、Orchestra;Ensemble Fove、Drums;玉田豊夢
- 糸口 Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- 素顔 歌; 中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove、Programming; 坂東祐大
- 辿り着いた空 歌; 中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove、Programming; Ludvig Forssell
- はなればなれの君へ(reprise) 歌; 中村佳穂、Orchestra;Ensemble Fove
本アルバムのピーク値の周波数特性について
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、ヘッドフォンにより行っています。このモニター用のヘッドフォンには、主にSennheizerのHD-660SとソニーのMDR-M1STを用いました。
歌よ
最初に、5曲目の ” 歌よ " の全曲のピーク値の周波数特性を、下図に示します。
図 1-1. ” 歌よ" のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
図 1-2. ” 歌よ" のピーク値の周波数特性(Wave Spectraによる測定値;連続値)
この図では、縦軸横軸のオリジナルの数値が小さく、殆ど見えないので補完しています。
縦軸が、音圧で、0dB~-50dB、また、横軸が、25Hz~40kHzとなります。
本曲のように、低域側の音圧が高く、高域側が下がっているのが、本アルバムの曲の通常のパターンです。これは、いい音に聴こえるパターンとも言われています。最新の優良録音盤は、このパターンが多いように思います。
特に、本曲では、低域側で、25Hzでも-15dB以上の高い音圧が測定されています。
低域が伸びている曲の場合でも、通常、25Hz付近でこのような音圧はあまり見ません。25Hzとなると普通はもはや暗騒音の領域ですが、本曲では、音源がかなり高い音圧で録音されています。
25Hzですと、音というよりも、ほとんど地響きレベルです。隣の列の31Hzでも、通常のスピーカーでは再生が困難な領域ですが、-10dB以上と一層高い音圧。また、40Hzではそれ以上の音圧と、かなり強烈に極低域がはいっていることがわかります。
本アルバムをご紹介頂いたお客様から、映画館によっては、低域が充分に再生できていないところがある、とのご指摘がありましたが、おそらく、この領域の再生能力の問題ではないかと推察されます。
心のそばに
次に、18番目の ” 心のそばに ” 全曲のピーク値の周波数特性を、下図に示します。
本曲のクレジットには、中村佳穂と、Ensemble FOVEのみがクレジットされており、プログラミング(=DAW;Digital Audio Workstation )は記載されていません。アコースティックのみの構成となります。
図 2. ” 心のそばに ” のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
ストリングスとピアノ、ハープシコードなどの柔らかな音色をバックに、中村佳穂のボーカルが印象的な曲です。低域のコントラバスも効果的です。
この不連続データでは、よくわかりませんが、Wave Spectraの連続データですと、35Hz付近に打楽器由来の大きなピークがあるのがわかります。
12.5kHz前後のピークは、ボーカルと連動して発生しているようです。ボーカル用のエフェクターによるものと思われます。
はなればなれの君へ(reprise)
本アルバムの最後、32番目の " はなればなれの君へ " の全曲のピーク値の周波数特性を、下図に示します。
本曲のクレジットも、中村佳穂と、Ensemble FOVEのみです。
図 3. ” はなればなれの君へ ” のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
中村佳穂のアカペラで始まります。
前半は、中村佳穂のボーカルが中心ですが、300-400Hz付近の基音と、4kH z-10kHz付近のエフェクターによる倍音成分が主となり、全体の形状とはかなり異なっています。
曲全体の形状は、160Hz付近をピークに、ほぼなだらかに下がる形状となっています。
基本的には、” 心のそばに ” と同じようなプロファイルとなっています。
ただ、本曲では、40Hz付近(35.7Hz)でも約-10dB程度と比較的高い音圧で録音されています。
これは、最後にでてくる打楽器によるものです。低域側では、最終的には、隠れてしまっていますが、コントラバスによるピークが、44Hz、49Hz、55Hzなどにあります。
Slingshot
主人公”すず”のリアル世界での同級生で、”すず”とは対照的な明るいキャラの " ルカちゃん " の所属する吹奏楽部が演奏する曲、という設定です。" ルカちゃん " は、アルトサックス担当です。
本曲は、本アルバムの概要でもご紹介した京都橘高等学校吹奏楽部による演奏です。同吹奏楽部は、オレンジ色のユニフォームのマーチング・バンドとして有名です。
” オレンジの悪魔(Orange Devils) " 、だそうです。
アメリカのカリフォルニア州パサデナで年初に行われるローズ・パレードに2012年と2018年の2度招待され、その際のYouTube動画などの総動画再生回数が軽く1億回を超えています。
ローズ・パレードの長さは、9kmあります。
動画を見ればわかりますが、この距離を、ほとんどダンスに近い動きをしながら旗や楽器をくるくる回して、かつ、一糸乱れずといった体勢で、演奏しながら行進していきます。恐るべき体力であることは、確かです。
でも、あまりに演奏も行進もニコニコと明るく見事なので、その大変さを感じさせません。
見ている方は、もっと見ていたいと感じます。
ご覧になっていない方には、是非一度YouTube等で視聴されることをおすすめします。
DVDもでているようです。
なお、本曲の作曲・編曲は、米グラミー賞ノミネート歴もあるジャズ作曲家、編曲家、指揮者の挾間美帆が担当しています。
本アルバムで、2曲目に入っている " Slingshot " の全曲のピーク値の周波数特性を、下図に示します。
図4. ” Slingshot ” のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
本曲は、他の曲よりも、ピークが大分低く録音されています。出だしからフルサウンドで始まるので、びっくりさせないように、気を使ったのかもしれません。
全体のゲインも低いので、他の曲よりも、ボリュームを上げて聴いたほうがバランスよく聞こえると思います。約6dB程度低い感じですので、音の大きさでいうと、他の約1/2倍ということになります。
いざ、リラを奏でて歌わん ( Traditional )
最後に、8曲目の、 " いざ、リラを奏でて歌わん ( Traditional ) " です。
この曲は、先にも記載したとおり、" 森山良子+中尾幸世+坂本冬美+岩崎良美+清水ミチコ+中村佳穂 "、のアカペラ、つまり無伴奏のコーラス編成となっています。
図5. " いざ、リラを奏でて歌わん ( Traditional ) " のピーク値の周波数特性(同上)
8kHz前後のピークは、エコー/リバーブなどのエフェクターによるものと推定されます。これは、他の曲の中村佳穂のアカペラ部分でも見ることができます。
本曲については、録音がナチュラルで、エフェクターの影響を感じることは、あまりありませんが、効果的に用いられているようです。
ちなみに、88鍵ピアノの最高音C8が、4186.01Hz(A4=440Hzの場合)ですから、自然な状態の人が発声できる主音域ではありません。
なお、800Hzでディップとなっていますが、おそらくこの付近までが、基音で、それ以上のは歌声の倍音成分と思われます。
スピーカーでの試聴
今回は、Z1-Livorno+Z501 と Z800-FW168HRS + Z505-TrentoS とを試聴しました。
この2組の組み合わせについては、まず、価格差がキットも完成品もそれぞれ約5倍、と価格帯が全く異なります。
また、Z505-TrentoSは、極低域の再生が可能なウーファーシステムですので、再生可能な周波数帯域も異なります。一方、今回のアルバムでは、極低域が高い音圧で入っている曲が多いのが大きな特徴となっています。
曲によっては、大きな違いがでることが予想されます。
従って、この2組の試聴は、比較というよりも、Z800+Z505をリファレンスとしたときに、どれぐらい差があるのかを再確認する、というような観点となろうかと思います。
A. Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501について
Z1-LivornoにスーパーツィーターZ501を組合わて試聴しました。
ネットワーク用のコンデンサは、1.2μFに変更しました。
この値は、各自の好みや耳の状態などで決めていきます。Z-1の場合は、0.82~1.5μFの範囲ぐらいがお勧めです。
なお、この場合、スーパーツィーターにコンデンサ1個を直列で接続しますが、-6dB/octのフィルターとなります。この際に、カットオフ周波数;fcは、コンデンサの容量;C1と逆比例の関係になりますので、コンデンサの値が大きいほど、スーパーツィーターのカットオフ周波数が下がります。
つまり、より低い周波数の音まで出すようになり、Z501の再生帯域が低い方に広がるわけです。
従って、例えば、1μFを接続して、高域がうるさいと感じたら、容量をより低い値に変えて、カットオフ周波数を上げます。
高域が物足りないと感じた時は、より高い容量のコンデンサに変えて、カットオフ周波数を下げる方向にします。
B. Z800-FW168HRS + Z505-TrentoS について
Z800は、音工房Zの最高峰のスピーカーです。
2ウェイのバスレフタイプで、形式的には、Z-1と同じです。
ツィーター、ウーファー共に、フォステクスの最高のものを使っています。それぞれ、市販の300万クラスのスピーカーに普通に採用されているユニットです。
Z800は、単体でも30Hz付近まで、ある程度の音圧で再生が可能です。
30Hz付近の音圧も充分高い本曲では、それがよくわかります。
今回は、Z800-FW168HRSに、Z505-TrentoSを組み合わせて試聴しました。
組み合わせる際には、Z800-FW168HRSの背面側のバスレフダクトに、スポンジの詰め物をして疑似密閉型としています。また、Z505は逆相で接続しました。ツイータのアッテネータは表示上のMAXとして最高出力となるようにしています。低域側の高い音圧とのバランス調整のためです。
以下、曲ごとに試聴結果を記載します。
歌よ
Z800-FW168HRS + Z505-TrentoSでの試聴
イントロ部分の低域が響き渡り、次にズドンときます。さらにゴーっという唸りが聴こえます。
様々な低域の音が、それぞれ分離して聴こえてきます。
一方、中村佳穂の歌声はきちんとセンターに定位します。ヴォーカルのエコーが爽やかです。
Z505-TrentoSの本領発揮という印象です。
Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501での試聴
まず、音の広がりを感じます。低域も、ちゃんと出ているようです。この大きさにしてはかなり出ている印象です。もっとも、Z800+Z505で感じることのできたゴーっというような唸りを聴き取ることはできません。
ヴォーカルの声が、柔らかく響き、静寂のなかに浮かび上がるようです。
定位のキッチリ感は、Z800+Z505ほどではありませんが、全体の再生の柔らかな雰囲気がこの曲に合っていると感じました。
心のそばに
Z800-FW168HRS + Z505-TrentoSでの試聴
透明感のあるヴォーカルがスッと入ってきます。
ハープシコードの粒立ちのよい響きが、ストリングスなどの全体に余裕のあるの響きに、浮かび上がります。もちろん低域がその余裕感をゆったりと生み出しています。
全体のキャパに余裕があるためでしょうか、終段に、ジワッと曲が盛り上がっていくのを、とても良く感じ取ることができます。
Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501での試聴
音場が、自然に広がって聴こえます。柔らかで、かつ伸びやかな中村佳穂のヴォーカルがとてもしっくりきます。
ハープシコードやストリングも自然ないい響きです。ただ、Z800+Z505で、感じられた粒立ちの良さと言う印象とは異なります。
全体に音楽的にまとまりのいい音と言う印象を受けます。低域もかなり出ているという印象でした。
はなればなれの君へ(reprise)
Z800-FW168HRS + Z505-TrentoSでの試聴
アカペラで始まります。そのエコーがクリアで、きれいな高域がスーッと消えていきます。
この自然に消えていくのがとてもいい感じです。
ヴォーカルそのものもとてもクリアです。一方、それと重畳して、続くオケの書くパートが効果的に分離して聴こえます。強いヴォーカルの傍らで、各楽器の存在に気付かされます。
後半はオケが中心となりますが、本アルバムのテーマが繰り返され、最後の要所で大太鼓がズンと響きます。
そして、スッと終わります。
Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501での試聴
出だしのアカペラのエコーがフワッとしています。柔らかい感じが伝わってきます。Z800との音の違いは、かなりはっきりと感じます。これは、好みが分かれるかもしれません。
低域は、この曲の音の範囲では、かなりちゃんと再生しているという印象を受けます。終盤の大太鼓の音は、聴こえます。ただ、迫力は、Z800+Z505には及びません。
全体的に、本アルバムの柔らかな雰囲気の再生に、Z1は、とても合っているという印象を受けました。
まとめ
2021年7月18日に公開された日本のアニメーション映画である” 竜とそばかすの姫 ” のサウンドトラック盤をご紹介しました。
本作品は、細田守が監督、脚本、原作を担当しました。
全体の音楽監督は、岩崎太整が担当しており、作曲、編曲は、最近”パプリカ”の編曲でも有名となった若手の現代音楽作曲家の坂東祐大や、ゲーム音楽でも知られるLudvig Forssell、さらに岩崎太整などが行っています。
本作の主人公は歌姫です。声優として、シンガーソングライターでミュージシャンの中村佳穂が配役されています。中村佳穂は、本アルバムでは、自らが歌っている曲の作詞も担当しています。
オーケストラは、Ensemble FOVE(指揮;坂東祐大)。また、DAW(Digital Audio Workstation)ソフトが効果的に用いられています。これらのプログラミングは、Ludvig Forssell、坂東祐大、岩崎太整の3人が行っています。このDAW音源は、極低域の音源などとして、とてもうまく使われています。
さらに、興味深いプレイヤーが数多く演奏しています。
2曲目の " Sling shot " では、マーチバンドで有名な、京都橘高等学校吹奏楽部が、軽やかに演奏しています。
また、8曲目の " いざ、リラを奏でて歌わん ( Traditional ) " では、" 森山良子+中尾幸世+坂本冬美+岩崎良美+清水ミチコ+中村佳穂 "、のアカペラのコーラス編成となっています。
中村佳穂以外のこの5人は、" すず " の母親が所属していた合唱隊員で、その母の死後、" すず " を母親代わりのように見守ってきたメンバーという設定で、合唱隊をまとめるリーダーを森山良子、その他のメンバー役として清水ミチコ、岩崎良美、中尾幸世、坂本冬美が声優として演じています。
本アルバムは、このように、25Hzという極低域を含む曲から、ボーカルとオーケストラのみの曲、マーチング・バンドによる曲、アカペラコーラスなど、様々な音域の音楽性の高い多様な曲が、収録されています。
極低域を含む曲は、Z800-FW168HRS + Z505-TrentoSクラスの再生能力でないと充分には再現できないのは事実で、実際に”歌よ”のイントロ部分などでは、低域が響き渡り、次にズドンときます。さらにゴーっという唸りが聴こえます。様々な低域の音が、それぞれ分離して聴こえてきます。
また、中村佳穂のアカペラのエコーがクリアに爽やかにスーッと消えていくのを再現します。
一方、Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501での試聴においては、唸りの再現などは、そもそもその存在が再生できません。
しかしながら、音場が、自然に広がり、柔らかで、かつ伸びやかな中村佳穂のヴォーカルがとてもしっくりときて、本アルバムの柔らかな雰囲気の再生に、とても合っているという印象も受けました。
CD情報
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関連リンク先
・本アルバム同様、極低域が豊かに含まれる音源集です。
・パッシブ型サブウーファーの使い方をご紹介しています。
・PCオーディオ入門編 2023です。導入しやすく高音質のオーディオ環境のご紹介です。
サブスク音源、驚きのminiPC、最新D級アンプ、音工房Zのスピーカキットなどをご紹介しました。
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