目次
The Christmas Song / Peter White
規格品番:[ SICP5017 ]
本アルバムの概要とPeter Whiteについて
今回は、音工房Zのメルマガ読者様からご紹介頂きましたアルバムの1曲となります。
別のブログでもご紹介しておりますが、ユニークなオーディオシステムを構築されているMA様から教えて頂きました。
Peter Whiteのアルバム、” Songs of the Season " から、" The Christmas Song " です。
なお、日本でのアルバム・タイトルは、”クリスマス・ソング・ブック” となっています。
本アルバムについて
本アルバム、Songs of the Season は、1997年9月30日にColumbia Recordからリリースされました。Billboard Jazz Albumsチャートで、13位となっています。
CDの規格品番は、[ SICP5017 ]です
本アルバムの収録曲を示します。
1 The Christmas Song 4:31
2 Joy To The World/Hark The Herald 3:16
3 Greensleeves (What Child Is This) 4:28
4 RiverBacking Vocals 4:56
5 The First Noel 4:16
6 O'Tannenbaum 4:24
7 O Little Town Of Bethlehem 2:05
8 Jingle Bells 5:38
9 Silent NightBacking Vocals 4:26
10 White Christmas 3:53
ピーター・ホワイト
ピーター・ホワイト(Peter White)は、イギリス、イングランドのルートン出身で1954年9月20日生まれ。スムース・ジャズ界におけるNo.1ギタリストと評されています。また、ピアノ、アコーディオン、ハーモニカのプレイヤーでもあります。
スムース・ジャズは、1990年代にジャンル名として定着しました。1970年代のフュージョン・クロスオーバーから派生したとされており、コンテンポラリー・ジャズに含まれます。ケニー・Gなどがその先駆者といわれています。
聴き心地が良く、テレビやラジオのBGMとして使用されることも多いので、なんとなくどこかで聴いたことがあるという印象をもたれる曲が多いと思います。
じっくりと聴くというよりは、ドライブのBGMに合うイメージの曲調と言えるかと思います。
ピーター・ホワイトは、10代後半に、アル・スチュワートのバックバンドのメンバーとして活動を開始し、1979年から、ロスアンゼルスに移りショット・イン・ザ・ダークというバンドを結成し、音楽出版会社のロブスター・ミュージックを設立しました。
その後、Chase Musicから1990年にリリースされたReveillez-Vousでソロレコーディングのキャリアをスタートしています。
さらに、1991年にSindromeからアルバムを3枚リリースし、1996年からColumbia Recordで6枚、2008年からPeak Recordで1枚の後、2012年からHeads Upと契約し、現在に至っています。
最近は、クリスマスツアーを行うのが恒例となっており、2021年も12月17日にコロラド州のデンバー、また、12月18日に、カリフォルニア州のサクラメントなどで実施されたようです。
本アルバムは、このクリスマスツアーのルーツとなるアルバムの一枚と言えるのかもしれません。
The Christmas Song
今回取り上げる、冒頭の ” The Christmas Song " は、印象的な力強いベースや柔らかに弾むバスドラに負けることなくリリカルに響くギターのシンプルなメロディーラインが、リラックスした雰囲気を奏でてくれます。
時折バックに聴こえる鈴の音が、クリスマスの雰囲気をさりげなく伝えてくれるようです。また、途中に入る柔らかな響きのシンセが、相対的に尖った響きのギターの響きを引き立てています。
本アルバム全体に、言えるのは、メロディーラインは比較的シンプルですが、再生音がワイドレンジで、特に低域側のよく伸びたベースやドラムなどの響きがとても印象的なことです。かなり下の周波数まで出ているようです。それが逆に高域側の伸びやかな響きを際立たせている感じがします。
一聴してさりげないリラックスできるサウンドですが、このアルバムの真価を聴き取るためには、かなり高いレベルの再生システムが必要かもしれません。
本曲のピーク値の周波数特性の特徴
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、ヘッドフォンにより行っています。このモニター用のヘッドフォンには、主にSennheizerのHD-660SとソニーのMDR-M1STを用いました。
本曲のピーク値の周波数特性について
” The Christmas Song " の全曲のピーク値の周波数特性を、下図に示します。
図 1. ” The Christmas Song " のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
この図では、縦軸横軸のオリジナルの数値が小さく、殆ど見えないので補完しています。
縦軸が、音圧で、0dB~-50dB、また、横軸が、25Hz~40kHzとなります。
まず気づくのが、低域側の音圧が高く、右肩下がりの特性となっているということと、全体の音圧は、最高でも-10dB程度と、それほどでもない、ということです。
ただ、再生周波数範囲は高域側、低域側共にかなり広く、特に低域側の50Hz、40Hz、の高い音圧に加え、31.5Hzでも、かなりの値となっています。160Hz以下の低域で50Hzをピークに一群があり、250Hzに全体の最大音圧があります。
この500Hz-160Hz付近が、ピーター・ホワイトのギターの領域のようです。
実際に聴いた印象では、ベースと柔らかな響きにチューニングされたバスドラなどの低音域に、ギターが鮮やかに浮かび上がる感じを受けます。
シンプルな旋律がくっきりと聴こえます。
また、豊かな低域が気分的な安定感を生み出してくれるようです。
全体に淡々と曲が流れるのですが、音のクオリティはかなり高いと言えます。
その他のアルバムの曲の特徴
本アルバムは、Columbia Recordからのリリースでしたが、その後、2008年9月に、レコード会社を移籍し、Peak Recordに移ります。
そこで、リリースしたアルバム " Good Day "は、ビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・アルバム部門で、2位になりました。
アルバム・タイトルと同名の " Good Day "のピーク値の周波数特性を下に示します。
図 2. ” Good Day " のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
その後、2012年から、Heads Upに移籍し、現在に至っています。
2012年3月にリリースした ” Here We Go " から、" My Lucky Day "のピーク値の周波数特性を下に示します。
なお、本アルバムは、ビルボードのコンテンポラリー・ジャズ・アルバム部門で、リリース直後に1位になっています。
図 3. " My Lucky Day " のピーク値の周波数特性(DIGI Checkによる測定値;離散値)
上の2つは、レコード会社が異なりますが、かなり似たプロファイルとなっています。
色々な意味で、このあたりで、ピーター・ホワイトはヒットするパターンを掴んだのかもしれません。
聴いた印象も、豊かな低域にギターの音が通る感じは、基本的には” The Christmas Song "と同じような構成にも感じます。
ただ、” The Christmas Song "にあった30Hz付近の高い音圧が、それほどでもなくなっているのは、一般のオーディオ機器では、わからない領域ではあるのですが、オーディオファンとしては少し残念なようにも思います。
Z-1+スーパートゥイーターZ501での視聴
Z-1にスーパーツィーターZ501を組合わて試聴しました。
ネットワーク用のコンデンサは、標準の2.0μFから、0.82μFに変更しました。
後で出てくるZ800-FW168HRなどと比較すると、1.0~1.2μFでもいいかもしれません。
全体に、柔らかな響きです。さらにややウェットな印象があり、本曲では、通常、最も尖って聴こえるギターの音色も少しおとなしめに鳴ります。
全体の印象としては、ゆったりとした安心して聴いていられる感じがします。
ベースなどの低域は、音源としては本機の再生能力を超えて下までのびていますが、この再生音を聴いている分には音楽的に充分なバランス感とボリューム感があります。さらに、曲の最終部分で、このスピーカーでは、通常あまり感じることのない地響き的な音を少し感じます。
高域も、鈴の音や打楽器の効果音も適度によく鳴り、バランスの良さを感じます。
Z800-FW168HRでの試聴
Z800は、音工房Zの最高峰のスピーカーです。
2ウェイのバスレフタイプで、形式的には、Z-1と同じです。
ツィーター、ウーファー共に、フォステクスの最高のものを使っています。それぞれ、市販の300万クラスのスピーカーに普通に採用されているユニットです。
Z800は、30Hz付近まで、ある程度の音圧で再生が可能です。
30Hz付近の音圧も充分高い本曲では、それがよくわかります。
ギターの音色は、キレがよく、しかも柔らかな印象です。
高域、低域共によく伸びているのが感じられ、音に曇りがありません。
全体として、カリフォルニアのカラッとした気候を感じさせます。
本機は、ともすれば、モニター的といいますか、ややソリッドな印象を与えることが多いのですが、本曲については、適度な柔らかさを感じます。
Z800-FW168HRS + Z505-TrentoS での試聴
Z800-FW168HRSに、Z505-TrentoSを組み合わせて試聴しました。
組み合わせる際には、Z800-FW168HRSの背面側のバスレフダクトに、スポンジの詰め物をして疑似密閉型としています。また、Z505は逆相で接続しました。ツイータのアッテネータは表示上のMAXとして最高出力となるようにしています。低域側の高い音圧とのバランスのためです。
まず、伸びやかなピーター・ホワイトのギターのサウンドが印象的です。高域側も低域側も、どちらも伸びやかに広々と鳴ります。
こもった所が微塵もありません。ナチュラルに上下に伸びている感じがします。
低域側は、余裕のある自然な響きです。ゆったりと空間の広がりを感じます。
Z800-FW168HR単体(通常のバスレフ仕様)でも、低域側では、充分なボリューム感と音圧で、また高域側も伸びやかさを感じましたが、こちらの再生音は、ワイドレンジのスムースサウンドといいますか、ちょっと別次元の印象です。
Z505-TrentoSを加える事による低域の増強を考慮して、単体のZ800-FW168HRとは、ツイータのアッテネータポジションの変更や箱の形式を疑似密閉型にして、バスレフの効果を低減させるなど、全体のバランスを考え変更してあるのですが、それがとてもうまくいっているようです。
Z505-TrentoSを加えることによって、純マグネシウム振動板ツイータであるT250Dの高いポテンシャルがさらに発揮されているのかもしれません。
本曲は、それを感じることができる高レベルの録音と言えるかと思います。
まとめ
Peter Whiteのアルバム、” Songs of the Season " から、" The Christmas Song " をご紹介しました。
1954年生まれのピーター・ホワイトは、70年代のフュージョン/クロスオーバーを経て、スムース・ジャズ界のNo.1ギタリストと評されています。
スムース・ジャズと言われる分野の曲は、聴き心地が良く、テレビやラジオのBGMとして使用されることも多い、どちらかというと一般受けタイプのするジャンルとも言えます。
ピーター・ホワイトは、クリスマスツアーを行うのが最近は恒例となっており、本アルバムは、このクリスマスツアーのルーツとなるアルバムの一枚と言えるのかもしれません。
一方、ピーター・ホワイトのアルバムの録音は、一般に優秀で、下は40Hz程度までかなり高い音圧で入っています。今回ご紹介した" The Christmas Song "では、約30Hzレベルでも、かなり音圧が高く録音されており、また、中高域のしっかりしたピーター・ホワイトのギターの音色とともに、高域側も伸びやかで、オーディオチェック用としても使えるレベルと思われます。
特に、Z800-FW168HRSに、Z505-TrentoSを組み合わせたシステムでの再生音は、低域側、高域側共にナチュラルに伸びやかに響き、本曲の録音レベルの高さを表現してくれました。
軽やかで味わいのあるギターの音色と、柔らかでかつ充分低域側に伸びたリズムセクションからなるピーター・ホワイトの曲は、車のドライブのBGMにもお勧めです。
カーオーディオの音が、普段よりもいい音に聴こえるのではないでしょうか。
CD情報
https://tower.jp/item/39141/Songs-Of-The-Season
https://www.hmv.co.jp/en/artist_Peter-White_000000000012000/item_Songs-Of-The-Season_44584
https://mora.jp/package/43000087/G010001222154F/
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