Z700W-OMMF4MICAのドロンコーン方式の検討

はじめに

前回の検討事項; 前面用と背面用の端子について

Z700W-OMMF4-MICAには、正面側と背面側のスピーカー用に端子がそれぞれプラスとマイナスで計4つあります。

前回は、これらの端子の接続方法について検討をしました。
Z700W-OMMF4MICAの使いこなし その 4-1

その結果、2つのユニットに通電するケースでは、正面側と背面側のユニットを並列正相接続するのが低音増強という観点で最も優れていました。

 

今回の検討について

今回は、背面側のユニットには通電せずに、ドロンコーン(パッシブラジエータ)として使う場合の動作の検討を行います。

この場合の端子接続としては、次の2つがあります。前回を踏襲した記号を使います。

 

D.背面側を開放 前面ユニットのみに接続


E.背面側を短絡 前面ユニットのみに接続

前回、上記D,Eを比較したところ、Z700W-OMMF4-MICAのエンクロージャーにおいては、低域の増強という観点で、D.背面側を開放、の方が良好でした。

したがって、今回は、端子の配線接続を、D.背面側を開放、として、エンクロージャーの他の条件を変えた場合の音の違いについて検討してみたいと思います。

 

 

ドロンコーン方式と確認したいこと

確認したいのは、主に次の2つです。

1. エンクロージャーが密閉型
2. エンクロージャーがバスレフ型

 

密閉型とバスレフ型のエンクロージャーとの組み合わせ

密閉型エンクロージャーの場合

通常、ドロンコーンの場合は、エンクロージャーとして密閉型を用います。
まず、この密閉型の場合の音を確認したいと思います。

 

バスレフ型エンクロージャーの場合

Z700W-OMMF4MICAは、もともとバスレフ型ですが、この場合、バスレフダクトの仕様によっては、ドロンコーンとバスレフダクトが機能しないことも考えられます。

例えば、バスレフダクトが長過ぎたり細過ぎたりして、ダクトの空気抵抗が大き過ぎる場合は、ダクトで空気が流れにくく、密閉動作に近くなると考えられます。

また、逆に短すぎる/太すぎる場合は、空気抵抗が小さく空気の流れはバスレフダクト経由が主となり、ドロンコーンを動かす力が弱まると予想されます。またその場合は、バスレフとしても共振点が高く低音増強の効果は低いと考えられます。

つまりダクト径を一定とした場合、その長さで、音、特に低域側が大きく変わり、かつ低音増強に、より効果的な解があることが予想されますので、ダクトの長さを変えた場合の音について、まずはその変化の傾向を確認したいと思います。

 

比較対象のレファレンスについて

今回、種々の条件のドロンコーンの音を比べるにあたって、基本的な比較対象を、Z700W(S)- OMMF4MICA/Modena(前面;OM-MF4-MICA、背面;Z-Modena mk2)の並列正相接続(ダクト:110mm)として、実際に各ケースを動作させて音を比べてみたいと思います。

ただし、この組み合わせの2ユニット並列接続の場合、シングル駆動に比べて2-2.5dB音圧が増しますので、ほぼ同じ音の大きさに成るようにスピーカーセレクタのプリアンプで調整した上で、比較、試聴します。

 

ドロンコーンの音を確認する

密閉型+ドロンコーンの音

バスレフダクトを吸音材で塞ぎ、擬似的に密閉箱状態にして試聴してみました。

このようなイメージです。

 

この密閉型での使用が、一般的には、通常のドロンコーンの使用形態となります。

これに対して今回のバスレフ型の場合はこのようなイメージです。

 

試聴の結果、比較対象に比べて、密閉型の場合、低域が圧倒的に少ない結果となりました。また、高域もおとなしい印象です。全体に音圧も低いようです。

どうやら、比較対象では、バスレフダクトから背面からの高域成分が結構出ているようです。密閉型にするとそれが抑えられること、また、内圧でスピーカーのピストン運動が抑えられることなどにより音がおとなしくなると考えられます。

この密閉型での音は、比較対象に比べ、高/低共におとなしく、比べると最初は相当物足りない感じもしますが、ある意味素直な音であり、聴いているとこれはこれでバランスのとれたスッキリとした音にも感じました。

ユニットの素性の良さを表していると思います。

 

Z700W-OMMF4MICAと吸音材

密閉型の場合に、高域側がおとなしく感じたのは、逆にバスレフダクトから高域がかなり出ていたということのようです。つまり、Z700W-OMMF4MICAの通常のバスレフ型においては、ユニット背面の吸音材の量を加減することで、全体の中高域の音がかなり変わる可能性があることを示唆しています。

OM-MF4-MICAは、ともすれば、高域がやや過剰な印象もありますので、この吸音材による調整は効果があると考えられます。

 

バスレフ型+ドロンコーンの比較条件の設定

Z700W-OMMF4MICAの使いこなし その1、にてシングル駆動の際のバスレフダクト長さを60mm、また前面+背面のデュアル動作では、110mm、を推奨としたことを踏まえて、バスレフダクト長さを次の4通り設定して、比較してみました。
1. 143mm
2. 110mm
3. 90mm
4. 60mm

 

ドロンコーン+各バスレフダクト長さを変えた場合の音

端子接続をオープンにしてバスレフダクトの長さを変えて試聴した場合の音の印象は、次のような結果でした。

 

バスレフダクト  143mm

143mmは用いているバスレフ用ダクト部品のオリジナルの長さです。

この場合は、低音が出ていないわけではありませんが、かなりハイ上がりな印象でした。どうやらバスレフダクトもドロンコーンも共に駆動力不足であまり効いていないようです。

 

バスレフダクト  110mm

次に、ダクト長さをデュアル駆動の際の推奨値である110mmにしてみました。

この場合、Z700W-OMMF4MICA/Modenaにしては、かなり低い周波数領域(50-60Hz程度?)の低域が聴こえるようです。しかしながら100Hz付近の量感が足りないため、依然として低域不足な印象を受けます。

 

バスレフダクト  90mm

次に、長さを90mmにしてみました。

110mmよりは、低域の厚みと量感がかなり出てきました。ただし、レファレンスとした2ユニット並列駆動には及ばない印象でした。

 

バスレフダクト  60mm

最後に、シングル駆動の場合の推奨値としている60mmにしてみました。

これは、低域の量感的には一番いいかもしれません。ただ、低い周波数側の再生能力という点では、90mmの方が上のようにも感じました。また、この場合でも量感的には、レファレンスには及びませんでした。

 

バスレフ型+ドロンコーンの試聴結果のまとめ

今回のバスレフ型のエンクロージャーでは、低域の増強という観点で、バスレフダクト長さを90-60mm程度にすると、バスレフダクトとドロンコーンとがある程度機能して低音増強効果がでてきました。

実際に試聴中に、背面側のスピーカーユニットを見るとかなり振動しており、バスレフ動作に加え、ドロンコーンとして動作しているのがわかります。

これは、密閉型の場合よりも遥かに効果的でした。

今回の試聴では、バスレフダクトによる効果と、ドロンコーンによる低域増強の効果の周波数帯域をうまく組み合わせることで、相乗効果も期待できるように感じました。

低域の増強への有効性という観点では、ドロンコーンにバスレフ型エンクロージャーを組み合わせ、バスレフダクトの長さを最適化することにより、密閉型よりも、はるかに低域を増強することができるようです。

ただ、今回の背面ユニットのサイズでは、ドロンコーンとしては、サイズが小さすぎるようにも思われます。
より大型の専用ドロンコーンユニットとの組み合わせが、価格的な点でも、より効果的に思われます。

 

 

 

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