開発1 OM-OF101 専用箱 (2021年9月18日)

 毎年夏の恒例になりました、ムックの自作スピーカーユニットですが今年はONKYOさんのスピーカー初採用ということになったようです。すでにスピーカーユニットを入手された方も多いと思いますが↓↓です。

2021 ムック ONKYO OMOF101
https://amzn.to/3DVdLrQ

 

 今回は制作をパスしようかなーと思っていましたが、amazonの評価を見るととてつもなく高評価なので迷っていました。と言いますのも、音工房Zは1つのスピーカー箱を作るのに普通のメーカーの10倍以上の労力をかけて1台を作り上げてゆくので、メインのスピーカーとなる商品は年に3つぐらいが限界なんです。

 細かいアクセサリー系はちょくちょくamazonとからだしていますが、今年のメインSPは↓の2つだけです。

●【限定】Z600-OMMF4
●【限定】Z1000-FE168SSHP/Z701-FE168SSHP 

 

 ここでさらにONKYOの箱を作るとなると2021年は限定しかだしてないやん!!という状況になります。限定商品は莫大なエネルギーを費やして作った箱を毎回絶版にしているようなものなので時間効率的には実に勿体ないです。お客様ニーズもあり売れてくれるので致し方ない部分ではあるのですが、レギュラー商品にもっと力を入れたいと本音では思っています。

 なので最近は限定を出すにしても、なんとか限定製作時に得たノウハウから別のレギュラー商品を作る方向にもってゆけないかと考えています。話が逸れましたが、ONKYOのOMOF101を4セット購入して聞いてみた印象を書きます。

 

ファーストインプレッション

弊社にすでにある8つの箱(4組)に入れて音を聞いてみました。

箱のサイズによって低域は当然変わりますが、高域も大きく変化してきます。

 低域のバランスが変わることに相対的な高域変化ももちろんありますが、それ以上に空気室の吸音処理の影響を受ける振動板・エッジの印象がありました。フルレンジ評価において一番大事な高域の聴感における評価は当初80点ぐらいに思いましたが、ある程度エージングを経た後に聞いてみると、Z601(V2)に入れた高域が最もよく90点ぐらいでした。

 シングルバスレフは吸音材を入れていないため、音量を上げると高域が突き刺さるところがあり85点ぐらいです。Z601(V2)は内部に斜めの仕切りがあるダブルバスレフに近い構造で、ダクトからの高域漏れはワンクッションあるのが大きいのでしょう。低域の評価は弊社で以前に販売していた16センチようの16Lバスレフ箱がピカイチでした。

 雑誌に書いてある評論家さんの作例では5~10L程度のバスレフが多いですが、シングルバスレフでいくのであれば15Lぐらいにしたほうが良い印象があります。そのくらい大きい箱でも駆動できる印象があります。

 もちろんこれは「音」のことだけで言ってまして、実用を考えると15Lの箱はかなり大きいので、部屋のスペースに余裕がある人でないと厳しいのは分かります。弊社で箱を作るとしたらZ601のサイズ拡大版で、15Lのバスレフよりは小さいが、同等レベルの低域を得る。高域は現状よりさらにレベルの高い吸音処理を目指す。

 スペック的には違うのですが、FOSTEXのFE103NVとかと比較しながらやってみたら面白いかなと・・といろいろ妄想しておりましたら作りたい衝動には勝てず、やはり作ることにいたしました(笑)

 出せるのはまだ先になってしまうと思いますが、弊社が箱を出す時には毎回ユニット完売の場合も多いので、是非ユニットだけ確保しておいていただけたらと思います。

2021 ムック ONKYO OMOF101
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開発2 OM-OF101 専用箱 (2021年10月5日)

OM-OF101の素性確認

 先月に一度だけ音の確認のために、弊社にある箱4組に入れてテスト視聴してみましたが、たしかに1つ3500円とは思えないクオリティーの高さ。FOSTEXのユニットとかとは音の方向が異なりますが、、箱の販売を決めました。

 Amazonでは今日見てみたら正規品は完売していて、2万超えのプレミア価格でだしてる業者とかいたりします。こういう転売屋さん本当に勘弁していただきたいです。

OM-OF101 (Amazon)
https://amzn.to/3ohL2Za

 弊社は完成品販売用に少しユニットを確保しましたが、キット用はお客様にユニットをご準備していただこうと思っております。今日の時点で楽天にはまだありましたので、↓で定価で購入しておいていただけたらと思います。

OM-OF101 (楽天)
https://a.r10.to/hym6qB

 

※↑↑も10/9時点では完売しています。ONTOMOさんに問い合わせてみたところ、再販売は日時は確定していないが、検討されているようなので期待して待ちたいと思います。

 

 前回弊社にあるの既存の4つの箱に入れた視聴でなんとなく傾向は分かりましたが、ここから深堀りしてゆくことで最高の1台に仕上げてゆきたいと思います。

4つの既存箱から分かった現時点での方向性

 前回入れた箱は2つのサイズ違いのバスレフ箱と、Z601-Modenaとその似た構造でサイズの大きな箱です。スピーカーユニットの傾向としては、次回のユニットの特性のところでも紹介しますが、、ハイアガリなオーバーダンピングユニットではありません。能率低めで低域が良く出るスピーカーユニットです。

 これまでの経験では、今回のONKYOさんのユニットは音道が2m以上あるようなバックロードは不向きという感じで、シングルバスレフで吸音処理を頑張るか、Z601-Modenaのような音道が短いダブルバスレフ構造が良いかなと思っています。

 前回試した中で、最も低域の印象が良かったのは16Lというサイズが最も大きいシングルバスレフの箱でした。このサイズの低域を小型箱で同等レベルのものを目指すことが目標になろうかと思います。

ユニットのTSとF特調査

 弊社のスタッフがOM-OF101を無響室にて測定したデータとTSパラメーターを測定したユニットの客観的なデータを掲載したページをブログに公開いたしました。次回はこのデータをもとに、ユニットの分析をしてみたいと思います。

ONKYO OM-OF101 辛口レビュー 

 

開発3 OM-OF101 専用箱 (2021年10月13日)

TSパラメーターから音の傾向を知る

前回弊社スタッフが調査したOM-OF101のブログを掲載しましたが、冒頭に掲載しました、FOSTEXの10センチユニットの比較表が秀逸です。

 

 この比較表は分かる人が見ると音を聞かなくてもなんとなく音の傾向が分かってきます。前回私が申し上げた通り低能率で低域が比較的でやすいユニットというのがスペックから読み取れますが、皆様にもおなじみのFOSTEXのユニットとの比較でお話します。

M0

まず振動系の重さを示す数値である、M0がFOSTEXのFE系ユニットの倍近くあります。

ONKYOのOM-OF101のM0 5.0
FOSTEXのFE103NvのM0 2.5 

振動系を重くしますと、音全体のバランスはローブストに、逆に振動系を軽くしますとハイアガリになります。FOSTEXさんのFE系のユニットは低域よりか高域が多いハイアガリ傾向ですが、そのへんが良くわかりますね。

能率(出力音圧レベル)

そして、振動系が重いユニットは能率が低くなります(軽いユニットは能率が高くなります)。能率というのは、アンプのボリューム位置が同じだった場合にどれだけ音量が大きくでるかです。

ONKYOのOM-OF101の出力音圧レベル 86dB/W
FOSTEXのFE103Nvの出力音圧レベル 98.5dB/W 

3dB/W違うとだいたい人間の耳で音量が倍違うと感じられるので大きな差ですね。

Qts(Q0)

続いて、
共振の鋭さを示すQts(Q0)値は、F0のダンピング具合を示します。この数値が低いユニットはオーバーダンピングユニットと呼ばれます。オーバーダンピングユニットは低域がスピーカーユニット側では出にくいので、バックロードのような低域を大きく盛り上げる方式が向きます。

一方で、Qts値が高いユニットは低域が出やすいのでバスレフが向きます。

さらに、Q値が高いユニットですと密閉⇒背面開放⇒平面バフルと低域がでにくい箱とマッチしてゆくことになります。

OMKYOのOM-OF101のQts 0.67
FOSTEXのFE103NvのQts 0.46 
FOSTEXのFE108EΣのQts 0.3 

 私が聞いた感じですと、さすがに平面バフルや背面開放は難しくバスレフが無難なところでしょう。バックロードホーン形式で、出口を絞るBHBS形式の場合は音道が短いダブルバスレフに近い形式がマッチすると思います。

 ちなみにFOSTEXの通年販売しているFEシリーズというのは他社のスピーカーに比べるとですが、基本ハイアガリなオーバーダビング系のスピーカーユニットです。そのオーバーダンピング度合いが、さらに細分化されております。右にゆくほどQtsが低くオーバーダビング傾向となります。

FE103Nv<FE108NS<FE108EΣ

 限定ユニットは以前はオーバーダビング系一色でしたが、最近は必ずしもオーバーダビングではないものも増えてきました。話が逸れましたが、OM-OF101はFEシリーズと比べるとQtsが高めで、非オーバーダビングと言えるかと思います。

Cms

 続いて、今回注目数値はCmsです。これはバネの硬さと柔らかさを示しています。主にダンパーとエッジですね。数値が高いほうが柔らかく、低いと固くなります。ユニットを指で弾いてみると、良く動くものと動きにくいものがありますがこのバネの硬さです。

OMKYOのOM-OF101のCms 0.599
FOSTEEXのFE103NvのCms 1.2 

 触ってみてもわかりますが、FOSTEXのFE103Nvの数値が倍近く違い、実際に触ってみても固めなのがわかります。バネはフラフラすぎても、硬すぎてもダメです。

 私の印象ではバネが良く動いてくれる(高いCms)は細かい音を拾ってくれるが、音の歯切れ感が弱め。硬めのバネのユニット(低Cms)はその逆になります。ここにマグネットの制動が加わってくるので単純にこの数値だけでは音の傾向はわかりませんが、いずれにせよOM-OF101はFOSTEXのFE103Nvに比べてバネは固めで、振動板は重めです。

 この重くて硬いユニットを駆動するのにマグネットがFE103Nvの1.5倍近い重さのものが必要になったと思われます。

F0(Fs)

 最後にユニットの共振周波数です。これは振動板の重さとM0とバネの硬さのCmsで決まります。共振周波数は振動板が重く、バネが柔らかいほど低くなります。この2つの定数でF0が決まります。大口径のユニットは必然的に振動板が重くなりますから、F0が低くなります。

 今回のOM-OF101は重めの振動板ですから、F0はもっと低くても良さそうですが、それ以上にバネ(Cms)が硬いのでF0はFE103Nvとさほど変わらない数値となっています。

OMKYOのOM-OF101のF0 92Hz
FOSTEXのFE103NvのF0 91.8Hz
FOSTEXのFE108EΣF0 77Hz

 ちなみにFOSTEXのオーバーダンピングユニットFE108EΣのF0は77Hzと低いです。これはFE108EΣとFE103Nvと比較したときCmsがFE108EΣのほうが高くフラフラのバネで、しかも振動板M0が重いからです。フルレンジ1発のスピーカーの低域の最下限は箱で決まりますので、スピーカーユニットのF0の数値は私はさほど意識しません。

 スピーカーユニットのパラメーターを分かると設計も面白くなりますので、ご自身で設計をされる方は参考にしてみてください。

 

 

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