Gustard A22の概要

 

 

Gustard について

同社のホームぺージによるとGUSTARDの正式社名は、Shenzhen GE Shi de (or Geshide) Electronics Co., Ltd. です。
GUSTARDは商標です。
本社は中国の深圳市にあり、R&Dをコアとして、デザイン、生産、組み立て、とテスティングを統合しています。
R&D(研究開発)を主としていると明記しているのは、中国のオーディオ系のメーカーとしては異色です。
事業分野は、HiFiオーディオとその関連製品の研究開発と生産、販売とのことです。
製品は、HiFiデコーダー、ヘッドホンアンプ、デジタルネットワークプレイヤー、USBデジタルインターフェース、低位相ノイズクロックと記載されています。

Gustardの読み方

日本への販売代理店と思われるShenzhenaudioのホームページによると、日本語のページに英語読みのガスタードとフランス語の読みのグスタールの2つの読みのサイトがあり、よくわかりません。

ちなみに、gustarというスペイン語の単語があります。”好きにさせる”という意味の動詞です。

 

A22の概要

同社の製品の”A”という型番は、旭化成エレクトロニクス(AKM)のチップを用いたDACということのようです。
本機は、DACチップに、AKMのAK4499を左右独立で計2個使用しており、完全バランス出力構成なのが、最大の特徴といえます。
A22は、入出力用の数種類のI/O(含Blue Tooth)にDAC機能とプリアンプ機能、それと電源が内蔵されているのみで、ヘッドホンアンプや、ネットワーク機能などはありません。

それでいて、サイズが、幅330*奥行260*高さ65MMで、重量が7.5kgとDACとしては、大きく重い仕様となっています。特に、DAC機能のみでこの重量はかなり重いほうではないかと思われます。

A22の特徴

製品としての主な仕様と特徴は以下となります。
価格: $1,238.99(shenzhenaudio)

1. AKMの「AK4499」を左右に各々配置(計2個)、かつ完全に独立して接地することで、相互干渉のない最高のパフォーマンスを得ている。

2. CPLDプログラマブルロジックチップ、独自のロジック機能を持つデジタル集積回路、クロックマネージメント、2ndPLLデジタルシェイピング、DOP復調、PCM/DSDデポップスイッチなどの独自技術を採用。

3. 8チャンネルのハイブリッドディスクリートIV変換回路と独立した加算回路により、AK4499の大電流要求に対応。

4. デジタルシミュレーションには、50Wのオーディオ専用トロイダルトランスを採用し、完全に独立した電源を供給し、相互に干渉しないようにしている。

5. ネイティブ・フルバランス・アーキテクチャーにより、無変換で完全な4ウェイ出力を実現。

6. アナログLPF回路には自社開発のディスクリートラインを採用し、各段のパラメーターを緻密に調整することで、最良の動作状態を実現。

7.  0dB~90dBの計90段階の高音質デジタルボリューム調整に対応、リモコンで簡単にボリューム調整が可能。

8.  フルインターフェイスでDSDハードソリューションに対応。
IISはDDS64、DSD128、DSD256、DSD512のハードソリューションをサポート。
SPDIF、AES/EBUはDSD64、DSD128のハードソリューション(DOPモード)に対応。
オプティカルはDSD64に対応(DOPモード)。
USBはDDS64、DSD128、DSD256、DSD512のハードソリューションに対応。

9.  豊富なデジタルフィルタリング
PCMには、Short Delay Sharp Roll-off/Short Delay Slow Roll-off/Sharp Roll-off/Slow Roll-off/Super Slow Roll-off/Low Dispersion Short Delay Filterの6種類のデジタルフィルタがある。
DSDには、L-BWとH-BWの2種類がある

10.  USBは、XMOS社のUSB AUDIO専用チップ「XMOS 208」を採用し、PCM768 DSD512に対応

11. 画面の明るさは調整可能で、10秒間の操作後に自動的に記憶され、前回の設定を維持するように設定されるなどヒューマンインターフェースを考慮した操作制御を実現。

12.  本体サイズ:幅330*奥行260*高さ65MM(突起物を除く)

13.  パッケージサイズ:長さ420*幅360*高さ175MM

14. 梱包重量:7.5KG

15. 国際電圧:AC100V-240V(手動調整)。

16. 周波数特性20Hz〜20kHz +/-0.08dB

17. ライン出力RCA出力レベル シングルエンド 3.0 Vrms @0dBFS、バランス 6.0 Vrms @0dBFS ・XLRインターフェースの定義。XLRインターフェース定義:米国標準(1グランド、2ホット、3コールド)

A22の外観と機能のレビュー

外観のレビュー

まず、第一印象は、大きい、というイメージです。かつ、重い。7.5kgです。
この大きさと重量は、最近の小さく、軽いDACを見慣れている経験からは、やや異様な感じすらします。

逆に、なんだこれは? という興味もでます。

 

前面パネル

 

前面には、左側に電源スイッチ、右側に回転ノブ(ボリューム機能など)があり、センター右寄りに表示パネルがあります。比較的大きいので、見やすいという印象です。

 

底面側

底面側を示します。4つの頑丈な足がついています。

 

接続端子について

フロントパネル 

フロント側に端子はありません。

 

リアパネル

入出力端子を左から順番に示します

 

1. RCA 非バランス プリアウト出力(左右)

2. XLR バランス プリアウト出力(左右)

3. 上 USB入力(PC用)

4. 下 IIS入力

5. 上(赤キャップ) Blue Tooth アンテナ接続端子

6. 下(赤キャップ) COAXIAL入力端子

7. AES/EBU入力端子

8. Optical入力端子

 

内部構造のレビュー

内部全体

最初に、内部の全体の様子を示します。

右側の電源部と左側のメイン基板の2つのゾーンとなっています。

メイン基板には、DACまわりとプリアンプ、それとBT(BlueTooth)なども、独立のモジュールボードではなく、すべてモジュールもメイン基板へのオンボードになっています。唯一USB関連が、独立のモジュールとして、手前、直角方向に配置されています。基本的に、アナログ信号系の配線は、みあたらないようです。

 

 

電源まわり

右側の電源回りを拡大します。

電源まわりとメイン基板とは、シールド板で区切られています。ノイズ対策に有効と思われます。

また、約8cmΦの大きなトロイダルトランスが2つあります。しっかりとパッキングされており、トランス回りの配線もきちんと整理されている印象です。

内部電源ケーブルの引き回し

電源側からメイン基板への電力配線は、ツイストペアに捩じられて接続されています。

周囲への余分な電磁誘導をキャンセルする効果があると期待できます。

 

メイン基板

電源以外のすべての機能が一枚の基板に整理されてレイアウトされています。

基盤全体の黒色は、ソルダーレジストの色と思われます。基材として高級なBTレジンを使っているという可能性はさすがに低いと想定されますが、定かではありません。

メイン基板は、さらに、左側の信号サイドと、右側の電源回り等に、回路的に隔てられています。
いずれも、すっきりとしたレイアウトの印象です。パーツはいわゆるオーディオ用が多用されています。

左側は、回路的には、左右が完全バランスで、下方向のプリアンプ部につながっているのが、分かります。
対称的な回路構成となっているのが見て取れます。

下側の中央やや右よりに、USBモジュールが直角方向に配置されています。

 

 

DACチップ回り

DACチップ回りの拡大写真です。

今や、超貴重品といえるAK-4499が、左右用に計2個採用されています。

 

BT関連等

数少ない配線の一つとして、BT用の配線がほぼ最短距離で、端子に接続されています。

 

 

 

 

DACの音の評価について

評価のシステム構成                    

以下に示す構成で、試聴を行いました。

構成としては、音源を、PCからのUSB出力とします。また、本機種はヘッドホンアンプが内蔵されていないため、プリアウトのXLR端子からの信号を外部のヘッドホンアンプに接続します。

PC

自作Windows10マシンで、やや古いi5ベースですが、今回の再生ファイルには十分と思われます。

PCアプリ

foobar2000で、CDベースのWAVファイルの再生を行います。44.1kHz/16bitです。

ヘッドホンアンプ

GastardのH16をヘッドホンアンプに用い、XLR接続で使用します。

ヘッドホン

ゼンハイザーのHD 660Sをバランス出力(4.4㎜、5極)で接続します。

 

A22の音の評価

A22の音の評価

各ジャンルの次の4曲について行いました。それぞれの試聴コメントを記載します。

各曲の詳細については、”高音質オーディオソース”シリーズのブログを参照ください。

最初に、Rock You Gentry / Hunter / Jennifer Warnesを試聴しました。まず、初めのベースが、かなり低い音域ですが、弾んでいます。続くジェニファーのボーカルは、さわやかです。全体に中域も案圧が充実しているためでしょうか、ともかく、濃密な感じで、さらに解像度が高い印象です。

次に、弦楽四重奏 第16番/ ベートーベン / Hagen Qualtett を試聴しました。チェロの音が、充実した響きを奏でます。一方、バイオリンの高域も伸びやかです。全体に、強弱のメリハリがあり、ダイナミックレンジが広い印象です。

次に、California Roll Ft. Stevie Wonder / Bush / Snoop Dogを試聴しました。
エレクトリックベースの超低域が、分離良く、響きます。一方、効果音の響きにメリハリがあり、とてもいい感じのリズム感を強調してくれます。

最後に、In The Wee Small Hours (Of the Morning) / Here's To Ben  / Jacinthaを試聴しました。
Jacinthaのボーカルのエコーが心地よくゆったりと響きます。時にその声がエコーの中にも生々しく感じます。続くベースは、低域が響き、ピアノのハイトーンと絡み合います。サックスの力強い太い音も印象的でした。

 

まとめ

GastardのA22のレビューを行いました。同社は、日本では、まだ、知名度が低いと思われますが、いわゆる中華系で、R&D志向を方針に記載している会社です。

まず、サイズと、重量に驚かされます。大きくて、重い。
また、内部をみると、とても整理されてすっきりとしています。ノイズ対策に充分配慮しているのが伺えます。

これらの構成をみると、日本円にして、13万円程度の価格(だんだん値上げしてきています)というのが少し信じられない感じがします。

音は、まず、豊かでキレのよい低域が印象的です。また、中域も充実しており、高い音圧を感じます。高域については、伸びやかです。総じて、ダイナミックレンジの広い忠実度が高い再生音という印象です。

ともかく、どのジャンルでも音楽の世界に引きこんでくれます。

旭化成エレクトロニクスのDACは、AK4499に限らず、電源が大事ということをよく聞きますが、本機は、それに応え、本チップの能力を十分に引き出してくれているように感じられました。

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