目次
Gustard A22の概要
Gustard について
Gustardの読み方
日本への販売代理店と思われるShenzhenaudioのホームページによると、日本語のページに英語読みのガスタードとフランス語の読みのグスタールの2つの読みのサイトがあり、よくわかりません。
ちなみに、gustarというスペイン語の単語があります。”好きにさせる”という意味の動詞です。
A22の外観と機能のレビュー
外観のレビュー
まず、第一印象は、大きい、というイメージです。かつ、重い。7.5kgです。
この大きさと重量は、最近の小さく、軽いDACを見慣れている経験からは、やや異様な感じすらします。
逆に、なんだこれは? という興味もでます。
前面パネル
前面には、左側に電源スイッチ、右側に回転ノブ(ボリューム機能など)があり、センター右寄りに表示パネルがあります。比較的大きいので、見やすいという印象です。
底面側
底面側を示します。4つの頑丈な足がついています。
接続端子について
フロントパネル
フロント側に端子はありません。
リアパネル
入出力端子を左から順番に示します
1. RCA 非バランス プリアウト出力(左右)
2. XLR バランス プリアウト出力(左右)
3. 上 USB入力(PC用)
4. 下 IIS入力
5. 上(赤キャップ) Blue Tooth アンテナ接続端子
6. 下(赤キャップ) COAXIAL入力端子
7. AES/EBU入力端子
8. Optical入力端子
内部構造のレビュー
内部全体
最初に、内部の全体の様子を示します。
右側の電源部と左側のメイン基板の2つのゾーンとなっています。
メイン基板には、DACまわりとプリアンプ、それとBT(BlueTooth)なども、独立のモジュールボードではなく、すべてモジュールもメイン基板へのオンボードになっています。唯一USB関連が、独立のモジュールとして、手前、直角方向に配置されています。基本的に、アナログ信号系の配線は、みあたらないようです。
電源まわり
右側の電源回りを拡大します。
電源まわりとメイン基板とは、シールド板で区切られています。ノイズ対策に有効と思われます。
また、約8cmΦの大きなトロイダルトランスが2つあります。しっかりとパッキングされており、トランス回りの配線もきちんと整理されている印象です。
内部電源ケーブルの引き回し
電源側からメイン基板への電力配線は、ツイストペアに捩じられて接続されています。
周囲への余分な電磁誘導をキャンセルする効果があると期待できます。
メイン基板
電源以外のすべての機能が一枚の基板に整理されてレイアウトされています。
基盤全体の黒色は、ソルダーレジストの色と思われます。基材として高級なBTレジンを使っているという可能性はさすがに低いと想定されますが、定かではありません。
メイン基板は、さらに、左側の信号サイドと、右側の電源回り等に、回路的に隔てられています。
いずれも、すっきりとしたレイアウトの印象です。パーツはいわゆるオーディオ用が多用されています。
左側は、回路的には、左右が完全バランスで、下方向のプリアンプ部につながっているのが、分かります。
対称的な回路構成となっているのが見て取れます。
下側の中央やや右よりに、USBモジュールが直角方向に配置されています。
DACチップ回り
DACチップ回りの拡大写真です。
今や、超貴重品といえるAK-4499が、左右用に計2個採用されています。
BT関連等
数少ない配線の一つとして、BT用の配線がほぼ最短距離で、端子に接続されています。
DACの音の評価について
評価のシステム構成
以下に示す構成で、試聴を行いました。
構成としては、音源を、PCからのUSB出力とします。また、本機種はヘッドホンアンプが内蔵されていないため、プリアウトのXLR端子からの信号を外部のヘッドホンアンプに接続します。
PC
自作Windows10マシンで、やや古いi5ベースですが、今回の再生ファイルには十分と思われます。
PCアプリ
foobar2000で、CDベースのWAVファイルの再生を行います。44.1kHz/16bitです。
ヘッドホンアンプ
GastardのH16をヘッドホンアンプに用い、XLR接続で使用します。
ヘッドホン
ゼンハイザーのHD 660Sをバランス出力(4.4㎜、5極)で接続します。
A22の音の評価
A22の音の評価
各ジャンルの次の4曲について行いました。それぞれの試聴コメントを記載します。
各曲の詳細については、”高音質オーディオソース”シリーズのブログを参照ください。
最初に、Rock You Gentry / Hunter / Jennifer Warnesを試聴しました。まず、初めのベースが、かなり低い音域ですが、弾んでいます。続くジェニファーのボーカルは、さわやかです。全体に中域も案圧が充実しているためでしょうか、ともかく、濃密な感じで、さらに解像度が高い印象です。
次に、弦楽四重奏 第16番/ ベートーベン / Hagen Qualtett を試聴しました。チェロの音が、充実した響きを奏でます。一方、バイオリンの高域も伸びやかです。全体に、強弱のメリハリがあり、ダイナミックレンジが広い印象です。
次に、California Roll Ft. Stevie Wonder / Bush / Snoop Dogを試聴しました。
エレクトリックベースの超低域が、分離良く、響きます。一方、効果音の響きにメリハリがあり、とてもいい感じのリズム感を強調してくれます。
最後に、In The Wee Small Hours (Of the Morning) / Here's To Ben / Jacinthaを試聴しました。
Jacinthaのボーカルのエコーが心地よくゆったりと響きます。時にその声がエコーの中にも生々しく感じます。続くベースは、低域が響き、ピアノのハイトーンと絡み合います。サックスの力強い太い音も印象的でした。
まとめ
GastardのA22のレビューを行いました。同社は、日本では、まだ、知名度が低いと思われますが、いわゆる中華系で、R&D志向を方針に記載している会社です。
まず、サイズと、重量に驚かされます。大きくて、重い。
また、内部をみると、とても整理されてすっきりとしています。ノイズ対策に充分配慮しているのが伺えます。
これらの構成をみると、日本円にして、13万円程度の価格(だんだん値上げしてきています)というのが少し信じられない感じがします。
音は、まず、豊かでキレのよい低域が印象的です。また、中域も充実しており、高い音圧を感じます。高域については、伸びやかです。総じて、ダイナミックレンジの広い忠実度が高い再生音という印象です。
ともかく、どのジャンルでも音楽の世界に引きこんでくれます。
旭化成エレクトロニクスのDACは、AK4499に限らず、電源が大事ということをよく聞きますが、本機は、それに応え、本チップの能力を十分に引き出してくれているように感じられました。