Bebop City / Dusko Goykovich

ビバップ・シティ

  規格品番:[ VQCD-10141]

本アルバムの概要 について

今回ご紹介するのは、ダスコ・ゴイコヴィッチ(Dusko Goikovich)の " Bebop City " です。

試聴したのは、2007年のリマスタリングのSHM-CD版で、オリジナルは、ドイツのエンヤ(ENJA)レーベルから1994年録音で1995年に発売されました。

本アルバムのプレイヤーは、次の6人。

ダスコ・ゴイゴヴィッチ(Dusko Goykovich; tr., f.horn) 1931/10/14 生
ケニー・バロン(Kenny Barron; p.) 1943/6/9 生
ラルフ・ムーア(Ralfh Moore; tenor sax.) 1956/12/24 生
エイブラハム・バートン(Abraham Burton; alto sax.) 1971/3/17 生 
レイ・ドラモンド(Ray Drummond; bass) 1946/11/23 生
アルヴィン・クイーン(Alvin Queen; drums) 1950/8/16 生

という構成です。

ダスコ・ゴイゴヴィッチは、旧ユーゴスラビアのヤイツェ出身で1931年10月14日に生まれました。現在は、ボスニア・ヘルツェゴビナになります。1994年の録音当時は、63歳、現在90歳です。

ベオグラード音楽アカデミー(現セルビアのベオグラード芸術大学)に学んでから西ドイツに移り、プロとして演奏後、1961年30歳でアメリカのバークリー音楽大学の奨学金を得て学びました。

その後、マイルス・デイビス、ディジー・ガレスピー、ソニー・ロリンズなどとも共演、さらに、いくつかのビッグ・バンドでプレイしており、自ら率いてもいます。

本アルバムと同時期の1996年発売のアルバム、"Balkan Connection" by  Dusko Goykovich Big Band などは、彼の得意分野と音楽の傾向を示しているように思われます。
同アルバムも2007年にリマスター版が発売されています。

表題のビバップ(bebop)は、1940-50年代にチャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーなどによって展開されたインプロヴィゼーション(即興演奏)を特徴とするスタイルです。

代理コードや内部転調、テンションを用いて即興演奏を行います。少し乱暴な表現かもしれませんが、今のイメージのジャズらしさの始まり、とも言えるかもしれません。少なくも、上記の単語は今のジャズの教科書の始めの方にでてきます。次の章が、モード奏法という感じでしょうか。

1994年当時で、既に約50年前のオールド・ファッションドスタイルとも言えるのですが、1931年生まれのダスコ・ゴイゴヴィッチとしては、かつて御大達と一緒にプレイした立場として、あえて記録として残したかったということかもしれません。

 

本アルバムの音を聴いて気付かされるのは、トランペットやサックスを支えるベースの刻みと響きです。

ベースのレイ・ドラモンドは、スタンフォードのMBAを取得しており、その縁もあってスタンフォードジャズワークショップなどで教師もしているやや異色のベーシストです。

ちなみに、弟のDavid Drumondは、2020年まで、Googleの持ち株会社であるアルファベットで、上級副社長でした。

本アルバムのドラムス担当でもあるアルヴィン・クイーンと何度も共演しています。

彼のベースとアルヴィンクイーンのドラムスが、アルバム全体をしっかりと支えています。

 

各曲のピーク値の周波数特性の特徴

 各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。

" In the Sign of Libra " のピーク値の連続データの周波数特性について

 本アルバム2曲目の" In the Sign of Libra " 、この全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。


 図 1. "In the Sign of Libra" のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)

 

この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。

全体に、最大のピーク値で-20dBをやや超える程度となっていますが、低域側の音圧が高いのがわかります。

約40Hzぐらいまで、高い音圧でピークが見られます。
これは、主にベースによるものです。ドラムスも少し寄与しています。

曲の冒頭から、ベースの低く深い音色が響きます。このベースに支えられてトランペットとアルト・サックスが交互に鳴り、バックでピアノが奏でるという構図です。

このベースの音が、しっかりと再生できないとこの構図が描ききれません。

 

" Brooklyn Blues " のピーク値の連続データの周波数特性について

次に、アルバム最後の9曲目、" Brooklyn Blues  "のピーク値の連続データの周波数特性を示します。

 図 2. " Brooklyn Blues " のピーク値の連続データの周波数特性

白い点線で示されているカーソルは、約41Hz、コントラバスE線(第4弦)の開放弦でE1の音程に相当します。

全体の形状は、先程の第1図と同じような傾向で、全体に音圧が低い中で、相対的に低域の音圧が高く、前述のように、40Hz程度まで高い音圧で、再生されています。

特に、この曲では、印象的なベースのソロパート部分もあり、この領域の再生能力がとても大事になっています。

 

Z1000-FE108SSHP+スーパートゥイーターZ501での試聴

 

 フォステクスの限定ユニットを用いたZ1000-FE108SSHPにスーパーツィータのZ501(ウォールナットエディション)を組合せてみました。

ネットワーク用のコンデンサは、0.82μFを用いました。Z501の接続は今回は正相に接続しました。

 

アルバムは、トランペットとテナー・サックスによるビックバンド風のオープニングで始まります。ドラムスのシンバルが主にリズムを刻み右に定位します。それとベースが、割合地味にセンターで、同じくリズムを刻みます。こちらの音域はかなり低くなっています。

ピアノが、ソロパートはもちろんその他でもかなり存在感のある印象です。

2曲目は、1曲目とは異なり、しっとりとしたベースとピアノで始まります。
ダスコ・ゴイコヴィッチのトランペットが艷やかに柔らかく響き、エイブラハム・バートンのアルトサックスが、突き刺さるように鳴ります。一方、ベースの音域は相当低く、深い音色で対称的です。

この艶やかさと突き刺さるような音色が、本スピーカーでの再生音の特徴とも言えるかもしれません。本曲では、その対比がとても印象的で効果的です。

また、これらの音色のバックでは、ベースの深い響きがゆったりと鳴ります。
ピアノもとても良い絡みで、自在に鳴り響きます。

それぞれの音色が粒立って聴こえ、調和しています。
名演と言えると思います。

9曲目などはその集大成的な印象です。

 

このアルバムは、ワイドレンジな再生能力のあるシステムであるほど、その味わいが堪能できるようです。

 

 

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