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Symphony No.8[ 千人の交響曲 ] /Mahler /Solty-Chicago et.al
規格品番:[POCL-6001]
本アルバムの概要 について
今回ご紹介するのは、音工房Zの試聴会で、お客様にご持参頂いた音源です。
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮、シカゴ交響楽団他による演奏の "交響曲第8番変ホ長調<千人の交響曲>;グスタフ・マーラー作曲 " です。
DECCA Legendsシリーズのリマスター版を試聴しました。規格品番は、[POCL-6001]です。
" 千人の交響曲 "というのは、マーラー指揮による初演の際の、当時のプロモーターがつけたキャッチのようですが、これは、この曲の演奏者の数の多さを示しています。
それで、とても話題になったようですが、マーラーはこの呼名を認めておらず、嫌悪していたとのことです。ただし、この8番は、マーラーの自作演奏会として、最大の成功を収めました。
本作について、ショルティは、その自叙伝の中で、次の様に語っています。
” この作品が、20世紀初頭に完成されたにも関わらず、私は、マーラーの公共曲第8番が19世紀の最後にして最高作品と考えています。指揮者にとってこの交響曲の難しさは、その壮大さにあります。ある意味で、観たものがそのまま頭にこびりついてしまうような巨大なオペラと同じ類のものだといえます。だから、オペラ指揮者はこの曲や他のオラトリオの作品をとても悠々とした気持ちで指揮できるのです。この録音の中で、全く劇的なスケールでエネルギー、衝動、視野の広さが感じられる、という点がその証拠です。・・・後略 ”
本アルバムでは、演奏メンバーは、シカゴ交響楽団に加え、合唱、及びソリストとなっており、次のように大規模となっています。
合唱は、ウィーン国立歌劇場合唱団、ウィーン楽友協会合唱団、ウィーン少年合唱団の3つの団体。
ソリストは次の8人です。
ヘザー・ハーパー(ソプラノ1)、 ルチア・ポップ(ソプラノ2)、 アーリーン・オジェー(ソプラノ3)
イヴォンヌ・ミントン(アルト1)、 ヘレン・ワッツ(アルト2)
ルネ・コロ(テノール)、 ジョン・シャーリー=カーク(バリトン) 、マルッティ・タルヴェラ(バス/黙想の教父)
入手したアルバムは、Decca Legends 1971と記載されており、デッカ・レジェンド・シリーズとしてリリースされた中の一枚です。
本シリーズは、アナログまたは、デッカ・デジタルスタンダードの48kHz/18bitの情報を、一旦、96kHz/24bitにアップサンプリングして、さらに44.1kHz/16bitに変換してCDとしています。
本アルバムのオリジナルは、1971年8,9月にウィーンで録音されました。ステューダーのC37を使って録音されていますのでアナログ録音です。
リマスタリングされた本アルバム自体は、1999年6月2日のリリースです。
アルバムの写真からの推定ですが、各合唱団のパートは、コンサートホールで録音し、ソリストの録音は、録音スタジオで行われたようです。すなわち、総合的なライブ録音ではありません。各パート毎の録音をミキシングして本作は得られています。
アルバムのライナーノートにあるグラモフォン誌のコメントでは、” ダイナミックなショルティであればこそ成し得たライブ・パフォーマンスのような臨場感。” と述べています。
各曲のピーク値の周波数特性の特徴
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660SとSONYのMDR-M1STを用いました。
" 1. 現れたまえ、創造の主、聖霊よ " の周波数特性について
本アルバムの一曲目、 "1.現れたまえ、創造の主、聖霊よ" です。
図 1. "1.現れたまえ、創造の主、聖霊よ" のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。
約40Hz付近のピークは、曲の冒頭のパイプオルガンによるものです。
録音時間は、1'26''と短いのですが、男声、女声、各楽器がフルで入っています。それぞれがシャウト状態です。ただ、全体の録音レベル自体は、低くおさえられているようです。
"5. 現れたまえ、創造の主、聖霊よ " の周波数特性について
次に、アルバム5曲目、1曲目と同じ題名の"現れたまえ、創造の主、聖霊よ "のFFT(高速フーリエ変換)アプリによる周波数特性を示します。
図 2. " 5. 現れたまえ、創造の主、聖霊よ " のピーク値の連続データの周波数特性
出だしは、1と同様ですが、パイプオルガンはありません。ただ、こちらは、やや長く、だんだんと落ち着いてくるようなイメージです。各ソリストが、目立ちます。
約30Hz付近に比較的大きなピークがあります。また、20Hz台にもなにやら録音されているようです。
" 15. 悔い改むる優しき方々よ " のピーク値の連続データの周波数特性について
次に、アルバムの 15曲目、第2部の" 15.悔い改むる優しき方々よ "の周波数特性を示します。
図 3. " 15.悔い改むる優しき方々よ " のピーク値の連続データの周波数特性
穏やかな雰囲気が曲全体に漂います。テノールがリードして合唱が支えるような曲の構造ですが、各楽器の音域も広く、倍音も高い音圧で入っています。時折地響きのような極低域の音が感じられます。
35Hzにピークがあります。20Hz台にも録音されているようです。全体に抑えられた録音レベルなので、相対的に比較的大きなレベルとなっています。
試聴のためのセッティング
今回ご紹介したショルティ指揮のマーラーの交響曲第8番は、とてもワイドレンジで、音源も数多いのが特徴です。
また、本曲の冒頭には、パイプオルガンも登場します。高域もよく伸びており、倍音も豊かです。
そこで、本曲の試聴では、通常のシステムに加え、スーパーツィーターとサブウーファーを組み合わせたシステムを用いたいと思います。
サブウーファー:Z506-Livornosubについて
サブウーファーで極低域を再生
本音源のような30Hz台、また、20Hz台にも音がはいっているような場合には、通常のメインスピーカーのみでは、再生能力が不十分です。
Z506-Livornosubは、そのようなリソースの再生に対応できる能力をもったパッシブ型のサブウーファーです。
実は、Z506-Livornosubは、案外再生帯域が広く、サブウーファー用にのみ用いるのは、その能力からすれば、少しもったいないような感じもするのですが、、、サブウーファーとして用いる場合は、メインスピーカーの再生をできるだけ邪魔しないように、20-40Hzを中心とした50Hz以下程度の極低域にフォーカスするようにローパスフィルターを設定し、その帯域の再生能力のあるパワーアンプと組み合わせて駆動することを推奨しています。
サブウーファーのためのローパスフィルターとパワーアンプ
例えば、このような組み合わせです。
この組み合わせは、デイトンオーディオのDSP-408をローパスフィルターとして設定して、最新のD級アンプ用デバイスを用いたいわゆる中華デジアンにその出力を接続してZ506-Livornosubを駆動したケースです。
従来のサブウーファー専用パワーアンプ
これまでも、1万円以下の比較的ローコストなサブウーファー用パワーアンプというのはありましたが、前記のような使い方のためには、フィルター特性がやや甘く、どうしてもメインスピーカーとかぶさってしまう傾向にありました。
また、サブウーファー専用の高性能なローパスフィルター内蔵のパワーアンプもありますが、やや価格が高いのと、輸入品が主で入手が少し難しいという事情もあります。
それらを考慮すると、上記の組み合わせは、お勧めです。
設定もWIndowsPCで、無料アプリを使って比較的簡単にできます。
スーパーツィーター:Z501,Z502との組み合わせ
さらに、本音源は、豊かな倍音が含まれており、高域も20kHzまで、相対的に比較的高い音圧、かつDeccaの高い技術で録音されています。
このような音源には、スーパーツィーターを付加することが効果的と思われます。
そこで、音工房ZのスーパーツィーターZ501またはZ502を付加して試聴したいと思います。
次回、試聴編ということで、試聴結果をご紹介したいと思います。
CD情報
アマゾンのリンク先(下記画像をクリック)