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上記ページに、目次として本シリーズの構成を示しました。また、それぞれの記事へリンクを貼っていますので、各回を直接クリックしてご覧頂くことも可能です。

マルチチャンネル再生と音楽ストリーミングサービス
  --- ドルビー・アトモス再生環境の導入  ---

はじめに

今回は、マルチチャンネル再生に対応した音楽ストリーミングサービスのご紹介とそれを再生する環境(システム)の構築と設定について2回に分けてご紹介します。

Apple Music → MacBook Pro → AVアンプ の紹介

具体的には、マルチチャンネル再生のフォーマットとして、ドルビー・アトモス(Dolby Atmos)を取り上げ、それに対応した音楽ストリーミングサービスとして、Apple Music、また、それを再生するシステム構成としては、MacBook ProとAVアンプを接続した事例をご紹介します。

スピーカー構成は、5.0.2chにしてみました。

なお、この組み合わせの場合、MacBook Proの設定がいくつか必要となります。

 

  

図  Dolby Atmos対応のスピーカー構成例(5.0.2ch)

他の方法について

Apple TVを使うと比較的簡単にDolby Atmosが再生できる

実は、価格・性能を考慮すると、Apple Musicの再生環境としては、Apple TV 4K(第2世代)とAVアンプを組み合わせた方法が、おすすめです。

設定も楽ですし、NetflixやAppleTV+(コンテンツ・サービス)、AmazonPrimeVideoなどのドルビー・アトモスに対応した画像配信サービスに接続することも簡単にできます。

MacOSのみでは今は3D再生できない(今後改善か?)

現時点(2022年6月)では、MacOSにどうやらバグがあり、ドルビーアトモスの5.1.2chに一見対応しているように見えますが、実際には、フロントハイト(前方上)の左右のスピーカーアサインが完全にはできません。なぜか同信号はリアのサラウンドから出力されます。

従って、3D化の場合は、実際には、最新のアップミックス技術であるドルビー・サラウンドや、DTS Neural:Xなどを使って、MacBookProからの5.1chをAVアンプで5.1.2ch化するという便宜的な方法となります。

Windows10/11とDolby Atmos

Windows10/11のPCでも可能ですが、以前PCオーディオの項でご紹介したようにWindowsの場合はOSレベルの音楽再生対応が不完全なため諸アプリ/ユーティリティーの導入が必要で、設定項目が多く、またHDMIの制御信号などが電源スイッチを入れる順番で異なって認識されるなどといった不安定要素もあり、あまりおすすめしません。

推奨の機器はApple TV4KかFire TV Stick 4K Max

このように、毎回音出しまでに手間をかけるのであれば、Apple TV4Kで家電的にサクッと接続する方がおすすめです。

Apple TV4Kは、Apple製品としては、異例なほどリーゾナブルな価格であることも、おすすめする一因です。Amazon FireTVなどの競合品を意識した結果かもしれません。また、付属リモコンも操作性が向上しており、なかなか便利です。

また、AmazonのFire TV Stick 4K Maxも、接続後、Apple Musicのアプリをインストールすることで、ほぼ同様に接続して使えます。価格はこちらが一段と安くなっています。こちらは、特にAmazonMusicのハイレゾ再生にも対応できるなどの特徴もあります。基本仕様(CPU、メモリー)の差は価格相応となりますが、操作性もそれほど劣るほどではなく、音楽再生はほぼ同様にできます。

ちなみに、AppleTV4Kの方が、メモリーがはるかに多いのですが、これはどうやらゲーム用として必要なためで、Appleのゲームコンテンツ用のようです。

Dolby Atmos対応の音楽再生という観点からは、このAmazonのFire TV Stick 4K Maxが最もコスパが良いと言えるかもしれません。

 

ということで、以上の内容について、次に順番にご紹介していきます。

まず、音楽ストリーミングサービスの現状をみてみます。

マルチチャンネルに対応した音楽ストリーミングサービスとは

配信サービスによる規格の違い

マルチチャンネルの観点からみると、従来のファイル配信サービスと、最近のストリーミング配信サービスとでは、ファイルフォーマットが異なります。

ファイル配信サービス

ファイル配信のマルチチャンネルは、SACDマルチやLDなどのオリジナルデータをPCMに変換して5.1chや7.1chのデータとして配信します。

ストリーミングサービス

一方、ストリーミング配信では、イマーシブオーディオや空間オーディオと表現されるのがマルチチャンネルに相当します。この形式には、Dolby Atmos、360 Reality Audio、DTS:X、Auro-3Dなどがあります。

中でも、Dolby Atmosが、ストリーミング配信の大手に最も採用されています。

Amazonは、Dolby AtmosとSONYの360 Reality Audioの2方式に対応しています。
Appleは、今のところDolby Atmosのみへの対応ですが、今後増えるかもしれません。

前記の従来型の5.1chや7.1chなどは、水平方向にスピーカーを並べていましたが、イマーシブ/空間は、それに加えて立体方向、例えば、前方の上方向や天井などにもスピーカーを配して、音を3D(立体的)に再生できるようにします。

それにより、イマーシブ(没入感)を産み出す、ということです。

ストリーミングサービスの料金形態

ファイル配信サービスの料金形態は、曲単位、またはアルバム単位で個別に購入する、といういわばCDやDVDと同様の料金体系でした。

一方、ストリーミングサービスは、サブスクリプションサービス、つまり定期購読または定額聴き放題といった形態が普通です。月単位や年間単位での支払いとなります。各社で異なりますが、ハイレゾ/ロスレス対応で大体1000円/月前後となっていますので、使い方によっては従来サービスよりも大幅なコストダウンと言えます。

5.1.2chや5.1.4chとは(ドルビー方式のスピーカーレイアウト)

実は、3Dオーディオの各規格で推奨されているスピーカーレイアウトは、各方式(規格)で異なります。

ただ、現実として、3Dオーディオまたは動画配信の配信先で共通しているフォーマットは、Dolby Atmosのみですので、当面は、本方式の推奨するスピーカーレイアウトを基準としていいと思います。

そこで、ここでは、Dolby Atmosでのスピーカーレイアウトをベースにお話します。

例えば、5.1.2chの場合は、前方左右とセンター、そして斜め後方左右で、水平方向に計5、サブウーファーが1または2(同じ音源で2つから出力)、さらに前方の上方向左右に、のスピーカー配置の場合を表します。上の2つは天井なども可能です。

5.1.4chの場合は、前方上に加えて天井に2個スピーカーなど、上面に計4個配置します。

なお、Dolby Atmosは、従来のマルチチャンネルのいわば上位互換ですので、5.1chや7.1chなどの構成での再生にも対応できます。

空間オーディオはヘッドホン用が主流

ここで、注意しておくことがあります。空間オーディオという表現には、ヘッドホン用またはパソコン用(スピーカー2つ)と、マルチにレイアウトしたスピーカー用との2つがあるのです。

また、どうやらAppleやAmazonは、現時点では、前者のヘッドホン用の空間オーディオをメインとしています。

これは、両社共、Dolby Atmos配信と言っていますが、実は、Dolby Atmosのオリジナル信号を、それぞれ独自のチップ(アルゴリズム)で変換し、ヘッドホン(左右2つの発音体)などでも、立体感を感じさせるようにしています。

この部分が、例えば、AppleとAmazonでは異なり独自方式となっています。

これを実現するために、iPhoneやAndroidで、音源をそれぞれの専用アプリで再生する、という形態をとり、さらにAppleの場合は、それに対応したチップ内蔵のイヤホン/ヘッドホンでないと空間オーディオとして再生できない、という構図になっています。

ちなみに、AmazonMusicUnlimitedは空間オーディオ対応(Dolby Atmosと360 Reality Audioの2方式)となっていますが、今のところ、このヘッドホン対応型のみで、スピーカーのマルチチャンネルには対応していません。

Apple MusicのDolby Atmos

一方、Apple Musicの場合は、リソースとしてMacOSまたは、tvOS(Apple TVのOS)ベースの機器であれば、OSレベルで、マルチチャンネルとDolby Atmosに対応しているので、スピーカーによるマルチチャンネル再生が追加のアプリ無しで比較的容易にできます。

ただし、MacOSでは、Dolby Atmosに相当するチャンネルアサインが、5.1.2chしかありません。
また、tvOSも、最大7.1chや5.1.2chなど計8ch相当にのみ対応しているようです。

なお、接続するAVアンプによっては、その信号を基に、デジタル処理をして独自にチャンネルを拡張できます。ヤマハのシネマDSP HDなどがそれに相当します。

アップミックスサラウンド機能

先に記載したようにMacOSでは、OSのバグで前方上部のスピーカー2つから音をだすことができないので、現状は、3Dオーディオのための信号をだすことが実質できません。

ただし、AVアンプのアップミックスサラウンド機能で、デジタル処理により、各社のアルゴリズムで、5.1.2ch相当の信号を出力することができます。Dolby Surround、DTS Neural:X、Auro-3D(Auro-Matic)などが代表的です。

ちなみに、ドルビーの場合は、名称が、ドルビー・サラウンドという昔あったアナログ形式のアップミックス技術と同じ名称なので勘違いしがちですが、今の技術は、昔とは全く異なります。

Windows10/11の場合

Windows10/11の場合は、マイクロソフトストアから、Dolby Accessというアプリをダウンロードしてインストールすることで、Dolby Atmosへ対応させることができます。ただし基本こちらは有料です。また、ASIO/WASAPI設定や排他処理設定など、設定が必要な項目も多くなります。

日本での音楽ストリーミングサービスの選定

空間オーディオに対応している音楽のストリーミングサービスは、最近増えつつありますが、代表的なのは次の3つになります。

1. Apple Music

2.   Amazon Music Unlimited

3.   Tidal

ただし、Amazonのサービスは、先程のべたように、スピーカーの空間オーディオには、まだ対応していません。AmazonのFire TV Stick 4K Maxでできるかと期待したのですがダメなようです。そもそも現状ではスマートフォンアプリの場合とは異なりテレビの画面に3Dの表示がされません。

また、Tidalは、日本でのサービスを開始していません。そこで、一部ユーザーは自己責任でUSAのアカウントを取得し利用している例もあるようです。

従って、現時点の日本で、スピーカーのマルチチャンネルオーディオに対応しているのは、Apple Musicのみ、ということになります。

今後、AmazonやTidalなどの対応に期待したいところです。

 

また、スピーカーのマルチチャンネル対応という点では、動画配信のストリーミングサービスが先行しています。

例えば、Netflix、U-NEXT、Amazon prime Video、Apple TV+、NeSTREAM LIVEなどがあります。

NeSTREAM LIVEは、音楽ライブを配信するサービスで、都度チケットを購入して視聴するというユニークな形態です。Dolby社が自ら資本参加しており、Dolby Atmosを積極的にアピールしています。

Netflixは、高額の予算で制作した独自の作品を数多くリリースしていますが、そのほとんどがDolby Atmos対応で、音のクオリティと立体的な定位感により、高い臨場感を作り出しています。

 

マルチチャンネル対応の配信サービスの概要説明は以上です。

次回は、Apple Musicをマルチチャンネルで聴く接続方法などについて、具合的に示したいと思います。

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