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50 Ways to Leave Your Lover / Paul Simon
規格品番:[ SICP 5443 ]
本アルバムの概要 について
今回ご紹介するのは、お客様からご紹介された曲となります。オーディオのセッティングを変えた時などに、本曲の冒頭部分から入っているドラムパートを、音と定位の確認に用いていらっしゃるそうです。
Paul Simon(ポール・サイモン)の "50 Ways to Leave Your Lover" (恋人と分かれる50の方法)です。
本曲は、様々なアルバム版がありますが、今回は、本曲が最初に収録されたオリジナル・アルバムの”Still crazy After All These Years" (特の流れに)の復刻版(2004年リマスタリング)をベースにご紹介します。
規格品番は、[ SICP 5443 ]です。
このアルバムは、AOR CITY 1000シリーズの1枚として、定価1,000円(税抜)で販売されています。
本アルバムのオリジナルは、1975年10月に発売されました。サイモン&ガーファンクルの解散が1970年ですので、その5年後になります。2曲目に入っている " My Little Town " では、久々のサイモン&ガーファンクルのデュオを聴くことが出来ます。
当時、まず話題になったのはその点だと思いますが、今、改めて参加ミュージシャンのリストを見てみると、当時のニューヨークの有名なスタジオ・ミュージシャンが多数入っていることがわかります。特にその後、フュージョン系のプレイヤーとして有名になったメンバーが多いようです。
スティーブ・ガット(ds)、リチャード・ティー(p)、ゴードン・エドワーズ(b)、そして、マイケル・ブレッカー(sax)、トニー・レヴィン(b)、フィル・ウッズ(sax)、ボブ・ジェームス(p, string arrange)、などなど、、、
さらに、ソロボーカルにフィービー・スノウやパティー・オースチン。
先に挙げたお客様の基準となっている "50 Ways to Leave Your Lover" のドラムスは、スティーブ・ガットです。また、ベースはトニー・レヴィン。
この2人が、シンクロした実に正確なリズムを刻みます。
また、そのサウンドを活かすべく、かなり低い音域まで収録されています。
ちなみに、6曲目の " Gone at Last "(哀しみにさようなら)は、本アルバムで最初にシングル・カットされましたが、リチャード・ティー(p)とゴードン・エドワーズ(b)による " Stuff " のサウンドそのものです。これに後半、若いフィービー・スノウなどの伸びやかなボーカルも入り、本アルバムの切り込み隊長といった感じで、ちょっと他の曲とは違った雰囲気です。
それ以外の各曲は、一般に比較的音数が少ない印象ですが、かえってリズム・セクションやホーン、ギターなどの各音の粒立ちがいいように感じます。特に、ベースのトニー・レヴィンは、本アルバムでは比較的地味なフレーズまわしですが、それが味わい深さを与えています。
当時の若い名プレーヤーによる一音、一音を確認しながら、広い音域のよく伸びた各音をゆったりと楽しむことのできるアルバムと言えるかと思います。
本曲のピーク値の周波数特性の特徴
各曲のピーク値の周波数特性を測定し、その特徴を検討したいと思います。なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、モニター用のヘッドフォンのSennheizerのHD-660Sを用いました。
全曲のピーク値の連続データの周波数特性について
"50 Ways to Leave Your Lover" の全曲のピーク値の連続データの周波数特性を、下図に示します。
図 1. "50 Ways to Leave Your Lover" のピーク値の周波数特性(Wave Spectra使用)
この図では、縦軸横軸を補完しています。縦軸が音圧で、0dB~-80dB、また、横軸が周波数で、20Hz~20kHzとなります。
全体に、録音レベルが低く最大のピーク値で-20dBとなっており、やや時代を感じさせます。
最近の曲は、デジタルリミッター等をうまく使って、ギリギリのレベルまで入っています。
逆に言えば、当時、リミッターにしても、エフェクター類はすべてアナログ系ですので、多用すると音の劣化に繋がります。良い録音であるほど、ダイナミックレンジを考慮して録音レベルを下げるのは常識という時代です。
一方、横軸方向、周波数特性をみると、低い方まで、よく伸びていることがわかります。
図中の左側の白い点線で示したあたりでストンと落ちていますが、ここの周波数が、34.3Hz(-30.61dB)です。30Hzでも、-40dBの音圧があります。
34Hzから400Hz付近までの平均的な音圧が、ざっと-30dB程度で、低域側の音圧がやや高くなっています。
全体に、高域側に向かうにつれ、なだらかに下降しているプロファイルとなっています。
これまで、高音質CDとしてご紹介してきて、比較的低域の音圧が高い音源に共通の特性と言えます。
これは、部屋の音響特性設計の場合、石井伸一郎氏による ”いい音特性” と同傾向の形状でもあります。
最新の録音の比較例として、スヌープ・ドッグのカリフォルニア・ロール FEAT.スティーヴィー・ワンダーの測定例を示します。
図 2. "カリフォルニア・ロール" のピーク値の周波数特性
最大値が、0dBにかなり近い高音圧ですが、全体のカーブの傾向は先程の "50 Ways to Leave Your Lover" に似ています。ちょうど全体を20dB 持ち上げる感じでしょうか。
明らかに過剰なほど低域の豊かなスヌープ・ドッグの曲と低域側でほとんど引けをとらない感じなのは、曲の印象があまりに違うので少々驚きですが、よく見ると8kHz -15kHz 付近がスヌープ・ドッグの方が平均音圧が高いようです。このあたりが音作りの特徴の一つなのかもしれません。
0-14秒までのピーク値の周波数特性(ドラムスソロ)
さらに、本曲の開始から始まるドラムのソロパートの続く0-14秒の積算データを赤色で示します。
約34Hz-100Hzのピークにドラムス系の音源が寄与しているのがわかります。
図 3. "50 Ways to Leave Your Lover" の0-14秒のピーク値の周波数特性
Z1-Livorno+スーパートゥイーターZ501での試聴
Z1-LivornoにスーパーツィーターZ501を組合せて試聴しました。
ネットワーク用のコンデンサは、1.0μFを用いました。
出だしのドラムは少し柔らかい感じに響きます。最低域は再生しきれていない感じはしますが、ドラムスの各パートの定位感がいい感じです。スネアもZ501により効果的に響きます。1.2μFだと少々存在感がありすぎかもしれません。
全体に落ち着いたトーンで、ポール・サイモンのボーカルがしっくりと馴染みます。ボリュームを高くして聴いても落ち着いたバランスのいい雰囲気はそのままです。
夜、ゆったりと聴くのにお勧めの組合せです。
CD情報