目次
s.m.s.L SU-9の概要
S.m.S.L について
製品分野は、オーディオ用DAC、ステレオヘッドホンアンプ、パワーアンプ等で、2020年に2Wayスピーカーをリリースしています。
組織として、独自のR&D、製造、マーケティングのチームがあります。
SU-9の外観と機能のレビュー
外観のレビュー
前面パネル
前面には、右側にプッシュSW付き回転ノブ(プッシュで機能選択、回転でサブメニュー選択)があり、センターに表示パネルがあります。表示の文字は小さく、離れてリモコンで操作するのは困難です。
入出力の端子はありません。
前面にも背面にも電源スイッチがありません。
リモコンが前提のようです。
底面側
底面側を示します。簡易型のスポンジが3つとシンプルです。
接続端子について
フロントパネル
フロント側に端子はありません。
リアパネル
入出力端子(左から)
1. 電源端子
2. Blue Tooth アンテナ接続端子
3. Optical入力端子(上)
4. USB入力(PC用:下)
5. COAXIAL入力端子
6. XLR バランス プリアウト出力(左右)
7. RCA 非バランス プリアウト出力(左右)
内部構造のレビュー
内部全体
最初に、内部の全体の様子を示します。
電源まわり
電源は、シンプルにスイッチング
メイン基板
基板の色は黒ですが、ソルダーレジストの色と思われます。
メイン基板には、DACまわりとプリアンプ、USBまわりなどすべてオンボードになっています。また、BT(BlueTooth)と思われるモジュールがオンボードで実装されています。
基本的に、アナログ信号系はオンボードで処理され、接続用の配線は無いようです。
DACチップ回り
DACチップ回りの拡大写真です。
ESS社の最高級オーディオ向けDACのES9038PROを1個使用しています。オンボード上にバランス出力のXLRおよび非バランス出力のRCA端子が配置されています
周辺パーツは、PCのマザーボードのような印象です。
基板に実装されたパーツ等の様子は、例えば、同価格帯のGustardのX16などとは、大分違います。
信号処理関連等
DACチップの右側には、STマイクロのARMベースのマイコン、XMOSのUSB用信号処理チップ、BlueTooth モジュールなどが実装されています。水晶発信子は、かなり小型のものが用いられています。
拡大写真です。
STM32-ARMの字がわかるように上の写真と位置を90度回転しています。
これにより、MQAフルデコードにも対応していると推定されます。
DACの音の評価について
評価のシステム構成
試聴では、音源を、PCからのUSB出力とします。また、プリアウトのXLR端子からの信号を外部のヘッドホンアンプに接続します。
PC
自作Windows10マシンで、やや古いi5ベースですが、今回の再生ファイルには十分と思われます。
PCアプリ
foobar2000で、CDベースのWAVファイルの再生を行います。44.1kHz/16bitです。
ヘッドホンアンプ
s.m.s.LのH16をヘッドホンアンプに用い、XLR接続で使用します。
ヘッドホン
ゼンハイザーのHD 660Sをバランス出力(4.4㎜、5極)で接続します。
SU-9の音の評価
SU-9の音の評価
各ジャンルの次の4曲について行いました。
各曲の詳細については、”高音質オーディオソース”シリーズのブログを参照ください。
最初に、Rock You Gentry / Hunter / Jennifer Warnesを試聴しました。まず、始まりのベースの低域をきちんと再生します。弾んだ感じもいい雰囲気です。続くジェニファーのボーカルは、さわやかです。まとまりが良く、キレのよい低域再生もあって音が全体にクリアな印象です。
次に、弦楽四重奏 第16番/ ベートーベン / Hagen Qualtett を試聴しました。バランスの良さを感じます。音に透明感のある印象です。また、バイオリンの広域がパルシブに再生され、ダイナミックレンジが広く感じられます。
次に、California Roll Ft. Stevie Wonder / Bush / Snoop Dogを試聴しました。
エレクトリックベースの超低域が、キレ良く響きます。一方、クラップなどの効果音が歯切れよく、クリアな印象です。
最後に、In The Wee Small Hours (Of the Morning) / Here's To Ben / Jacinthaを試聴しました。
Jacinthaのボーカルのエコーがよく響きます。続くベースも、低域が響き、抜けが良い印象です。全体にクリアな印象で、低域も豊かに再生されています。
まとめ
本機は、徹底的な、低コスト化対策が図られている印象です。外観もシンプルで、電源スイッチがないのも印象的です。
電源に小型のスイッチングタイプのモジュールを内蔵しており、ともかく、発熱があまりありません。電力的にも無駄のない印象です。
メイン基板のレイアウトもかなりシンプルで、DACチップまわりも、ES9038PROを用いた以外はかなりコストダウンを図ったように見えます。
音は、クリアで、分解能が高く、いわゆるモニタータイプの印象です。
案外、低域も豊かですが、ウォームな印象は少なく、低域もキレが良くきちんと出ているという感じです。
ES9038proは、2016年に展開されたDACチップで、この使いこなしについて同社はかなり手慣れている印象を受けました。
電源も含めてデジタル技術を徹底的に採用した高性能のDACマシンといえるかと思います。