Babylon Sisters / Steely Dan    SACD Surround Sound

Gaucho (Hybr)
規格品番:  [0602498605103]

曲と演奏者の概要紹介

今回の曲は、SACD Multi-ch(5.1ch )盤のご紹介です。

曲は、スティーリイ・ダン(Steely Dan) のアルバム、"ガウチョ(Gaucho)" の1曲目に収録されている ”babylon sisters" です。

本アルバム ”Gaucho"は、1977年の” Aja "の次にリリースされました。
" Aja "は、グラミー賞の最優秀録音賞(ノン・クラシカル部門)を受賞しています。
この成功を受けて、1億円近い製作費が投入されて、作られたとのことです。本アルバムもプラチナアルバムを獲得しています。

また、本アルバム発表後、1981年から10年間、Steely Danは活動停止しています。

本アルバムのオリジナルは、1980年の発表となります。今から約40年前ですが、その後リマスター版がCDやSACDなどでいくつか出ています。
今回の試聴盤は、2003年MCAとスタンプされており、通常のCDとSACD、SACD Surround Soundの3つのハイブリッドの輸入盤です。
CD規格品番は、 [0602498605103]となっています。

Amazonの場合では、盤によって、価格が相当ばらついており、また、ハイブリッドではなくSACD(2ch)のみというのもありますので、購入の際は注意が必要です。

 

Steely Dan(スティーリイ・ダン)の、1980年における正式メンバーは、ドナルド・フェイゲン(ボーカル、キーボード)、ウォルター・ベッカー(ベース)の2人ですが、本アルバムの録音の際は、クロスオーバー(フュージョン)系のスタジオミュージシャンが多く参加しています。

ドナルド・フェイゲン(Donald Fagen)とウォルター・ベッカー(Walter Becker)の2人は、もともと作曲家志向で、自分たちの曲を演奏してくれるバンドがなかったので、仕方なくSteely Danを結成した、という話もあります。

ということで、当初、Steely Danには、オリジナルメンバーの2人に加え、他にもバンドメンバーがいたのですが、その演奏力と作曲家志向の2人の理想とするサウンドとの差が軋轢を生み、最後にこの2人が、再びメンバーとして残った、ということのようです。

その遍歴の後、上記のような編成で創られた、”Aja”がブレークしました。

プレーヤーの構成からも言えることですが、本アルバムは、ロックというよりも、フュージョン系の匂いがします。
フュージョン系AOR(Adult Oriented Rock)と言っている人がいますが、なるほど、という感じもします。

ということで、" Gaucho "は、全曲ウォルター・ベッカーとドナルド・フェイゲンの作詞作曲で、アルバムタイトルと同名のGaucho(ガウチョ)だけが、作曲にキース・ジャレットの名前が入っています。キース・ジャレットが、自らの曲に似ていると盗作の訴えを出し、それを2人が認めたためです。

また、Babylon Sistersの演奏メンバーは、次のようにクレジットされています。
本曲の演奏のプレーヤーに2人の名前がありません。ドナルド・フェイゲンがボーカルとして入っているのみと思われます。

Drums: Bernard Purdie
Bass: Chuck Rainey
Electric Piano/Clavinet: Don Grolnick
Guitar: Steve Khan
Percussion: Crusher Bennett
Trumpet/Flügelhorn: Randy Brecker
Tenor/Alto/Clarinet: Tom Scott
Bass Clarinets: George Marge, Walter Kane
Backup Vocals: Leslie Miller, Patti Austin, Toni Wine, Lani Groves, Diva Gray, Gordon Grody
Horns arranged by Rob Mounsey

なお、他の曲は、また、メンバーが異なったりします。
例えば、アルバム全体では、ドラマーだけで、4人がクレジットされています。
ベースは、3人。ギターは、主なメンバーだけでも3人、そして要所要所で+@、などなど。

いわば、作曲家をチームリーダーとするバンドプロジェクトといっていいかと思います。

 

そして、始まる ”babylon sisters” の有名な45秒のイントロ。
贅を極めた100万ドルのイントロ、とおっしゃっている方もいます。

何と言いますか、、、かっこいいです。

 

なお、Steely Danは、それぞれのソロ活動などを経て、1995年に活動を再開します。

しかしながら、ウォルター・ベッカーは、2017年9月3日に進行性の食道癌のため亡くなっています。享年67歳とのことです。

 

特性測定と評価

本曲のピーク値の周波数特性の特徴

下図に、本曲全体のピーク周波数特性を示します。
グラフの縦軸が音圧(dB)、横軸が周波数(対数表記)で、96kHzまで表示しています。


図  ピーク値の周波数特性

 

グラフの数値が小さいので、文章で補足します。

まず、縦軸ですが、一番上が、0dBで、次に、-20,-40,-60で、一番下が-80dB となっています。
次に横軸ですが、一番左が、20Hz、右に向かって、100,1k、10kと記載されています。一番右の赤枠のやや内側の点線が、約100kHz(正確には192/2=96kHz)に相当します。

この測定には、CDデータをWAVに変換したデータを用いました。また、測定は、データをPC上で再生して内部処理で行っています。従って、SACDの実際の値が、特に超高域で異なっているものと推定されます。

 なお、以下記載のある曲と各ピークの確認等については、ヘッドフォンにより行っています。このモニター用のヘッドフォンには、主にSennheizerのHD-660Sを用いました。

また、DACには、GustardのX16、ヘッドホンアンプには、同H16を用いてヘッドフォンも含めフルバランス出力でモニターしています。

 

 この曲のピーク特性全体の特徴は、まず、ワイドレンジであることです。

約40Hzの低域から音程のC7付近の2kHzまでの広い範囲で、-7dBから-20dBの高い音圧で音が入っており、さらに、約10kHz付近まで、-30dB以上の音圧で録音されています。

 

リアルタイムでモニターすると、ボーカルの音圧が高く、1kHz付近は、男性ボーカル発声の倍音がピーク値の記録に相当寄与しています。また、10kHz 付近のピークは、女性コーラスのサ行の音の時に、やはり倍音列として記録されています。

それぞれの楽器の存在感が結構高い中で、ボーカルの役割も重視されているのが分かります。

ここで、10kHz というのは、E9(10548Hz)程度の音程となりますから、単音で人の声が発声できる音程域ではありません。ちなみに、88鍵ピアノの最高音は、C8(4186Hz)です。

同様に、1kHzというのも、C6(1046Hz)ぐらいですので、男性ボーカルの場合、単音だと相当高音域ということになります。実際に、それが記録されているときに聴こえている音程はそれほど高くはありません。

本曲では、全体として、高音域は、16kHz ぐらいまで-40dB以上の音圧で入っていますので、これらは、波形の立ち上がり、立下りに関わっている倍音列と思われます。

つまり、切れのよいスピード感のある音をデータで示していると考えられます。

Babylon Sisters 5.1ch の試聴

Z800-FW168HRS(Front) + Z-Liborno(Center)+Z800(Rear)

 

正面から、キレのよく音圧感のあるバスドラのフィルインが始まります。
2chと同じです。

ただし、空間を感じます。
2chの場合だとあくまで前から、そして続くベースとエレピも、あくまで前面。
そして、やや緊張感を感じさせます。

それが、マルチでは、まず、2次元空間から、3次元の奥行を感じさせます。

そして、サイドギターや、効果音が、一部、後ろからリズムを刻みます。
自然な感じです。

キレはあるのですが、なんとなく、余裕を感じます。

ちなみに、この前からの音と後ろから聞こえる音との前後の分離感、これが、アンプによってやや異なるようです。
この分離感は空間の広がりにつながります。分離感が良いほど、広く感じます。

イントロに続くドナルド・フェイゲンのメインボーカルは、前に定位します。
そして女声のバックコーラスは、横から後ろにかけて、前を包み込むようにサポートします。

全体に感じるのは、伸びやかなリズム感。
一方、2chステレオでのこの曲の感想でよく見る文字は、緊張感と息苦しさ。

マルチチャンネルで聴くと、たしかに、プレイのテンションの高さは感じるのですが、レゲエ的なリズムの刻みが分離してよく聴こえるせいもあるのでしょうか、伸びやかな感じが伝わってきます。

ジャズ系の他のアルバムでも感じたことですが、2chステレオだと、プレイヤーと対峙している感じが、マルチチャンネルだと、音楽の世界に浸れるような印象を受けます。

 

なお、本アルバムは全体に、2chの録音よりも、マルチチャンネルの層のほうが、ボリュームが大きく聞こえます。
フロントの音量設定が同じであれば、それにセンターとリアが加わるので、当たり前かもしれませんが、このアルバムの場合、それがより顕著なようです。

比較試聴に用いた製品の紹介

 今回の試聴に用いた主な製品を、紹介します。

AVアンプ      : TX-RZ830(ONKYO)
ユニバーサルプレーヤー: UBP-X800M2(SONY)

スピーカー:

1.  Z800-FW168HR (フロント、サラウンド)
https://otokoubouz.com/z800/fw168hr.html

2. Z-1-Livorno (S) (センター)
https://otokoubouz.com/z1/livorno.html

3.  Z501を組み合わせ。(C=0.82μF)(センター)

https://otokoubouz.com/z500/501.html

CD情報

https://amzn.to/3tIhnZ9

 

 

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