#オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオ ブログ記事一覧
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上記ページに、目次として本シリーズの構成を示しました。また、それぞれの記事へリンクを貼っていますので、各回を直接クリックしてご覧頂くことも可能です。
目次
はじめに ~音源リソースの進化
高音質リソースの価格破壊
Amazon Musicや、Apple Music、Netflixなどの様々なネット配信が、動画や音楽の分野で、価格破壊を起こし始めています。
我々ユーザーにとっては、高画質/高音質のリソースを、低コストで、簡単に得ることが出来るようになってきている、ということです。
さらに、テレビ放送も、デジタル化とそれに伴う圧縮技術が進み、高音質化してきています。現在は、MPEG2-AACでの放送が地デジやBSで行われており、既に、4k・8kでは、MPEG4-AACと一層の高音質化技術も適用されています。
それを受けて、最近、サウンドバーやAVアンプにMPEG4-AAC対応が先端技術対応としてアナウンスされるようになってきています。
テレビ放送も、高音質の音楽リソースの一つとなってきているのです。
さらに、規格としては、MPEG4-ALSというロスレス方式も準備されています。
コストの観点では、テレビ放送が最も安価なリソースといえるでしょうから、今後に期待したいところです。
いずれにしても、背景にあるのは、デジタル伝送技術の進展と、それとともに進化してきている信号圧縮・伸張技術の進化です。さらに、画像にしても音声にしても、アップコンバートもしくはアップスケーリングと呼ばれる技術により、デジタル信号の信号補完を行い、より高画質、高音質なデータにリアルタイムで変換させる技術も進んできています。
ただ、これらの技術は、現時点では、まだ過渡期でもあり、各企業間の競争も続き、様々な規格や技術が混在しています。
従って、高音質の音楽リソースが既に安く提供されつつあるのですが、手持ちの機器が、規格に対応していなかったり設定が適切でなかったりすると、それを享受することができない、という状況でもあります。
そのような事情で、安価な高音質リソースに興味があっても、ややこしそうなので、ちょっと様子見、という方も多いのではないでしょうか。
マルチチャンネルのリソースが増える
また、これらのリソースでは、従来のステレオ音声の配信に加え、5.1chなどのマルチチャンネルでの配信も始まっています。
こちらは、マルチ(複数)ですので、本質的にch数が増えるにつれ、信号の伝送量が増しますが、5Gなどを背景に、こちらも高音質化が、進む見込みです。
例えば、動画配信のNetflixは、2019年5月から、「高音質オーディオ」と銘打って、一部のコンテンツの音質を大幅に向上させています。
この高音質リソースは、5.1chとドルビーアトモスで、供給されています。
また、2019年9月から開始したAmazon Music HDは、最高で24bit/192kHzのロスレス配信に対応しており、ドルビーアトモス(Dolby Atmos)やSonyの360 Reality Audioコーデックでの3Dオーディオの配信も行われています。ただし、Dolby Atmosは、24bit/48kHz/chの規格となっています。
これらは、いずれも既存の4G-LTEベースですが、5Gが普及すれば、伝送量が飛躍的に増えるので、一層、機能と質の向上が進む可能性もあります。
このような、インフラに近々に見込まれる進化を背景にして、”高音質化”と”マルチチャンネル化”については、既に制定された規格の普及と共に、当面の間、DolbyやDTS、Auro Technologies、Sonyなどといった各社の競争が繰り広げられると思われます。
この分野の本格的な競争が、2019年末から始まった、ともいえるでしょう。
つまり、録音の段階で、マルチのチャンネルに音源が録音されてロスレスで供給される、本当のマルチチャンネルリソースを低コストで得ることができる時代が見え始めている、と言えます。
3Dオーディオの時代へ
さらに、最近では、すでに述べたように、3Dオーディオと言う用語が一般的になりつつあります。
それを実現する先端技術として、オブジェクト・オーディオと呼ばれる技術も出てきています。
主に効果音などの「移動する音」に対して座標情報をもたせておき、再生する現場でスピーカーの数や配置に合わせてリアルタイムに生成する方法です。
いわば、コンピュータにより音場生成をリアルタイムにしていくコンピューティング・オーディオとも言えます。
このオブジェクト(指向)の考え方をベースとしたオブジェクト・オーディオの例としては、前記のDolby Atmosや、DTS:Xなどがあります。
これらは、オブジェクト・ベースとも分類されます。
また、従来のチャンネルを事前に割り振っておくチャンネル・ベースでも、上方向のチャンネルを加えて3Dを実現するAuro3Dなどもあります。これを開発したAuro Technologiesはこれをイマーシブ・オーディオとよんでいます。この言葉は、先に述べたオブジェクト・ベースも含む3Dオーディオの分野で一般的に用いられつつあるようです。
ちなみに、Auro3D方式は、ヨーロッパ(ベルギー)発であり、開発者が音楽家ということもあるのか、コンサートホールでの音の再現性には相当こだわっているようです。
いずれにしても、これらを再生するには、それぞれの規格に対応したデコーダーが必須となります。そこで、それを再生する機器では、Auro3D対応、DolbyAtmos対応、DTS:X対応、、、などという言葉が、カタログに並ぶことになります。同様に、リソースも、どの方式に対応しているのか、確認が必要です。
当然ですが、リソースの方式に再生側が対応していなければ、再生出来ません。残念ながら、現時点では、これはとても大事なことです。
ただし、この信号の再生規格は、いわば、コンピュータのソフトですから、各機器のファームウェアの改良で、後日対応できるようになる、ということも有りえます。
いずれにせよ、3Dオーディオで共通するのは、本当のサラウンドを生み出すには、水平方向だけではなく、上下方向の信号も必要だ、という考え方です。少し補足すると、立体感を出すためには、上からの信号だけではだめで、水平方向のチャネルに下からの反射音の要素を入れることが必要なのだそうです。
さて、これらのように、現時点では、配線用や、信号処理などのための様々な規格に基づく仕様が競争状態で並んでおり、専門用語も多く、また、新たな概念を表す言葉もでてきて、少々わかりにくくなっている状況でもあります。
そのような時代の状況を背景として、”オーディオ愛好家のためのマルチチャンネルオーディオとは?”を、新たなサービスが登場しつつある今、現状の状況を整理しながら、まずはマルチチャンネルオーディオを実践して行きたいと思います。
* なお、"channel"という単語は、英語読みでは、チャネル、ですが、ここでは、従来からの日本語表記の慣習でもあるチャンネルとします。
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