今回も、Z1000/Z702-Potenzaの購入者特典としてお付けしているPDF「ネットワーク使いこなしレポート」から、実際の開発段階で使った特別パターンをひとつ紹介します。

試作試聴会で使用した“ウーファー/ツィーターともに12dB/oct”という構成のネットワークです。

試作時に使用した12dB/octネットワーク

 最終採用こそ見送りましたが、開発終盤まで「このまま採用してもいいのでは」と悩むほど強い魅力がありました。
 このネットワークは、とにかく音の勢いが強く、聴いた瞬間に前へ押し出してくるタイプです。中域の量感と厚みがぐっと増し、まるで高感度のフルレンジスピーカーを聴いているような鳴りっぷりの良さが出ます。
アコースティック楽器の立ち上がりも鋭く、ボーカルの張り出しも実在感が強い。
リズムの反応もスピードが速く、音が“気持ちよく弾む”印象すらありました。
とくに、ジャズやポップスの生々しいアタックが好きな方には刺さる音で、開発チームのあいだでも人気の高いチューニングでした。
フルレンジ好きな方にはぜひ試してもらいたいチューニングです。

 

採用を見送った理由

 魅力が多い一方で、この構成には明確な弱点もありました。
録音によっては高域が少し強めに聴こえることがあったのです。特に、シンバルの倍音成分が多いジャズ系や、弦の情報量が多いクラシックでは、耳に刺激を感じる場面がありました。
また、勢いのある分だけアタック成分の鋭さも増すので、長時間のリスニングだと人によっては少し疲れを感じる可能性もあります。
 ただし、これは逆に「明瞭でキレの良い音」と感じる方も多く、部屋の響きやリスニング距離によって評価が変わるという興味深い面もありました。

 実際、試聴会でも「ライブ感はこちらのほうが好み」と言うお客様もいらっしゃって、好みや環境によっては本採用版以上に魅力を感じる方も十分にいると思います。

 

もうひとつの魅力:厚みとスピード感

 この試作ネットワークの大きな特徴は、クロス周辺のエネルギーがしっかり残るため、音が前へ出てくるように感じられる点です。
ボーカルやピアノはぐっと近くに定位し、芯のある密度感が出ます。
「フルレンジ的な一体感」と「2wayならではの分離感」その両方を同時に実感できる、非常に珍しい鳴り方でした。
音のスピードも速く、アタックの立ち上がりが爽快で、聴いていて楽しくなるタイプの音です。

 開発中、私自身も「細かい理屈は抜きにして、この音は純粋に楽しい」と感じたほどで、Z-Potenzaの潜在能力を別の角度から引き出してくれる貴重なチューニングでした。

 最終採用したネットワークはより長時間聴いても疲れにくく、中高域の繋がりを整えた方向性ですが、今回ご紹介した試作版は“ライブの勢い”を優先した設計です。

 どちらが良い・悪いではなく、完全に方向性の違いと言っていいでしょう。

 

Z1000-Potenza/Z702-Potenza

2025年末の初回販売は終了いたしました。
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