キット
Z700W-OMMF4MICA 
価格26,800円

※スピーカーボックスの組み立て、スピーカーユニットの購入とお取り付けが必要です。

完成品
Z700WS-OMMF4MICA
価格59,800円

※スピーカーユニットの購入とお取り付け
はお客様にお願いする箱だけの完成品の
商品です

販売受付終了いたしました。
在庫のみの販売になります。

目次

OM-MF4-MICAの箱開発1

 少し情報が遅くて恐縮ですが、2022年のステレオ誌のムックはマークオーディオの「OM-MF4-MICA」ということで弊社でも入手しまして音出ししました。今年で4回目ということでさすが高い人気が伺えますね。

 日本でマークオーディオの販売を行っているフィデリティムサウンドの中島様とは開業当初からお付き合いをさせてていただいております。中島様ご自身も一昨年のOM-MF4あたりから、もう別のメーカーのほうが新鮮味があって良いのでは?と考えていたようですが(笑)、、ステレオさんから販売の強烈なオファーがあり根負けして今年も販売になったとのことです。

 あ、そういえば、あのムックの本の中に結構いろんなエンクロージャーを販売しているメーカーさんの広告がでているじゃないですか?ステレオの編集の方からお電話をいただきまして、「音工房さんでも広告だしてくれませんか?」という連絡をいただきました。一度もステレオに広告をだしたことがないなか、弊社を認知していただいていて嬉しい限りです。

 広告は少し検討しましたが最終的には出さないことにしました。

 理由はいくつかありますが、弊社の箱の開発に時間がかかるので、写真掲載までに間に合わないだろうと思ったことが1つ目の理由です。

 弊社の販売方法は皆様もご存知かと思いますが、ユニットに合う箱を作り上げてゆく過程(最短1ヶ月から長くて半年)を全公開しているのを特徴としていてこれを見て欲しいのです!

 広告ですとどうしても写真数枚しか掲載できませんから、他社さんの箱と比較しても何ら代わり映えしない普通の箱ですので心に響くものにはならないのかなと。

 そして、弊社の販売は短期間に絞っておこなうため雑誌の読者様が見たときには「完売!」となっている可能性も多く、あまり雑誌広告とは相性が良いくないと思ったのです。

OM-MF4-MICA ファーストインプレッション&箱の容積テスト

 OM-MF4-MICAはベースは2021年のOM-MF4です。OM-MF4は金属の振動板ですが、OM-MF4-MICAは紙がベースです。

 写真右が2020年のOMMF4。写真左が2022年のOMMF4-MICAです。

 マークオーディオといえば、金属の振動板が特徴のようなメーカーでして、ステレオでだした最初の3回は全て金属振動板でした。ちなみに弊社とのコラボモデルで、現在売り出し中のZ-Bergamoのキット版もユニットは金属系です。

 音工房でも紙の振動板のマークオーディオのモデルは一度も出したことがないので今回初ということになるかと思います。今回のユニットの初音出しは、いつも通り弊社にある箱に入れてみてどのくらいの容積が適切かを知るところからはじめました。

 上の写真は7Lのバスレフ箱にフルレンジ1発のパターンと、約3倍の容積のある22Lの一昨年にだしたZ701-OMMF4に入れてフルレンジ2発+スーパーツィーターを入れて音を出して比較してみました。マークの紙のユニットは、かなり昔にZ701-Modenaのユニットグレードアップという感じでAlpair6Pを使ったことがありました。

 FOSTEXのFE系の高域とは趣向が異なりまして、普通のバスレフでも鳴るのがマークの紙系振動板の特徴でした。FOSTEXのFE系の明るい感じのキャラと対比していうと、少し暗目の落ち着いた感じの音色です。

 今回のOM-MF4-MICAは感想としては、口径が小さいのもありますがマークにしては結構高域がでている、はい上がりユニットのようです。7Lの小型シングルバスレフでは少し煩い印象がありました。

 一方の2発+スーパーツィーターをBHBS箱で鳴らしているZ701-OMMF4は高域の干渉で良い感じで高域を抑えながら、低域も伸びていてバランスが良いです。点数で言えばZ701-OMMF4のユニットを置換するだけでも、85点くらいいってますのでこの箱をダクトとSTのコンデンサー容量を変えて再チューニングするというもありかと思いました。一聴して、シングルバスレフよりかは低域を持ち上げる方式がマッチする印象がありましたので、

701 ダブルバスレフ方式か、
702 S-BHBS方式のどちらかが有力です。

 2発使いも魅力がありますが、どうしてもコストが上がってしまうので迷うところです。1年に1回やっているムックの箱は低コストなエントリーモデルで音工房のシステムの凄さをアピールしたい部分もあるのでコスパは大事なのです。何個か作ってみて方針を決めたいと思います。

 スピーカーユニットの値段は数年前に比べると上がってしまっていますが、ペアでこの価格、このクオリティーなら間違いありません。弊社でもできたら11月中にはキットを発表したいと思いますので、入手しておいていただけたら幸いです。

ユニットの入手は↓↓から

OM-MF4-MICAの箱開発2

OM-MF4-MICA Z702-Modena(V6)に入れる

 7Lの小型のバスレフ箱と、22Lのユニット2発使いのBHBS箱で視聴しました。紙のユニットということもあり金属系よりはい上がり感がありますので、ロードをかける箱がマッチする印象でした。2発使えば10センチ以上の低域がでますのでかなり本格的なシステムになります。

↓に2年前のOMMF4(金属)と今回のOMMF4MICA(紙)をバスレフ箱にいれて無響室で同一の条件で測定したものを比較してみます。

点線が金属、実線が紙(MICA)です。

 200Hz以下はほぼ同じ、2KHzからは2~4dBほど紙のユニットのほうが多いハイアガリな特性となっています。

 ということで、今回は15LあるZ702-Modenaの箱にサブバフルを作っていれてみました。(入れた箱はZ702-Modenaの試作箱ですが、内部の音道は同じものです。)

 サブバフルなしで置換しようとするとビス穴の位置がほんの僅かに違うためビスを斜めに入れなければならず穴が拡大してしまうかもしれません。↓の写真のようにつけてしまえばOKですが少し汚くなってしまいます。

 

Z702-Modena(V6)にOM-MF4-MICAをいれた音レビュー

 鳴りは前回の7Lの箱より約倍の容積がありますから低域は当然でていますが、Z-Modenaに比べて低域は弱くミッドバスが抜けてしまう感じに聞こえました。能率的にはZ-Modenaとさほど大きく変わらないはずなのですが、聴感上は結構違います。高域がMICAのほうが多いからか余計にそう感じてしまうのかもしれません。

 MICAの高域は金属に比べると、気持ちハイアガリ感がありますが、使いやすいユニットで単に箱で低域だけ調整してやれば良いかなという感じです。Z702-Modenaベースに改良を考えたのですが、ここまで微妙だとダクトの変更等でなんとかなるという話ではなく再設計が必要な感じです。

 一昨年にだしたZ701-OMMF4に前回ユニットだけ入れ替えた箱は音が良かったので、2発使いで行こうと思いましたが、、どうしても2発使い+ツィーターとなるとトータルの価格が6万近くになってしまいます。 コンセプト的に1発でもそこそこ鳴るが2発でさらにグレードアップ!というキットにできないかということで頭を捻ってかんがえました。

その結果考えついたのが・・・

 

ユニットをバフルと背板側への2発配置です

 前後2発であれば、背面に蓋をして1発で使うことが可能と思ったのです。試作版のZ702-modenaの箱を改造しました。ターミナル部分の穴をジグソーで拡大してユニットを入れて見ました。

前から見た写真

後ろから見た写真

 音はというと、1発のときに不満だった中低域の量感がまともにでるようになりました!オリジナルのZ702-Modenaより、低域量感が多くでているので少しダクトによる量感調整が必要に感じるくらいでした。フルレンジのスピーカーユニットをダブルに配置する仕様は、一昨年のZ701-OMMF4のバーチカルツインのような上下タイプや、長岡鉄男先生が好んだD77のような左右2発タイプもあります。

 音はすべて違いますが、低域はスピーカーをどこに配置するかに関わらず、並列接続でインピーダンスが半分になり音圧が上昇します。高域は配置方法によって印象がガラリと変わります。

 同一バフル上に2つ並べ、距離が近けれが近いほど高域が干渉で減衰します。そのためツィーターを追加する必要がでてくるケースが多いです(一昨年のはまさにそれでした。)逆にうるさいフルレンジユニットを2発近くに配置しておとなしくすることもできます。

 今回の前・後ろのユニット配置はユニットの距離が遠いため高域の干渉は起きにくく高域の減衰は少ないですが、、低域が増えるので感触的には高域が少なく感じます。音全体の印象としては、高域が1点ではなく前と後ろからでてきますから、音が前後に広がる音場型スピーカーに近い音の出方となります。

 今回の前後2発使いは私の師匠も「リバーシー」という名称で昔から沢山の設計をされていますので、今回私もチャレンジしてみたくなりました。

 今回の15Lですと、ユニットをダブルで使うのなら良いのですが、シングルですと少し大きすぎで、前述のとおり低域が少し微妙です。次回は8Lと10Lの箱に前後にユニットをつけて試作します。 この試作箱で内部音道を決めて、本試作にいく予定です。

 

OM-MF4-MICAの箱開発3

現時点で決定したスピーカーのコンセプト

 商品名まだ確定ではありませんが、Z70◯W-OMMF4MICAで行こうと思っています。ダブルバスレフでいくかBHBSでいくかはまだ未定で次回テストします。Wという表記はスピーカーユニットを2つ使っているという意味です。OM-MF4-MICAはユニットです。

 こちらのユニットは名称が長いので、メール本文ではMICAと省略して書く場合があります。まだ開発中のためこれから変更の可能性もありますが、大まかな商品コンセプトとしては

●MICA1発の小型ダブルバスレフとして鳴らすことができる。この場合は背板のユニット穴は付属のベニヤで塞いで使う。(穴を塞がないで、2個目のユニットを通電させずにドロンコーン動作も可能)

●背面に2発目のユニットをつなぐことがオプション的に可能。ここに使うユニットはMICAでなくてもOKで3つぐらいの候補を提示。

 2発使いにすることで、低域の伸びと量感がアップするのはもちろん、音が前と後ろからでるので音場型スピーカーのような音の出方となります。

 

 ここまでは普通なんですが、今回弊社がだそうとしている設計のミソの部分はターミナルにありまして、上部に2つのターミナルを付属する予定です。前方のターミナルには、フロントのスピーカーと接続、後方のターミナルにはリヤのスピーカーと接続します。

 イメージをイラストにしてみました。

 

●(1)前方だけに接続

 フロントからだけ音がでます。フルレンジ1本の音になります。

 

●(2)後方だけに接続

 リヤだけから音がでます。フルレンジ1本の音になります。

この場合スピーカーを180度回転させてリヤをフロント側にして使います。

リヤにMICA以外のスピーカーを使っている場合、2つのフルレンジの高域を前後回転させるだけで楽しむことができます。バスレフダクトはデフォルトが前の場合と、回転させるとリヤダクトとなります。

 

●(3)前方と後方をWで接続

 ターミナルをジャンパーケーブルで結ぶことで、前と後ろから音がでます。前後に違うスピーカーを使っている場合、どちらのユニットをフロントにするかで音の違いを楽しむことができます。

 前と後ろのユニットを変えたり、どちらかの音をだしたり、出さなかったり、ドロンコーン利用したり、しなかったり、前後をヒックリ返して利用したり・・・・・

 こういういろんな楽しみ方ができるスピーカーキットを考えています。音工房のスピーカーは音重視ですから、1つの仕様を徹底的に作り込むため、、これほど自由度の高い商品はやったことがありませんでした。

 高級品ではない廉価商品ですから、こういうお客様が「遊べる」商品があってもいいかなと。もちろん、音へのこだわりはを捨てたわけではないので期待していてください。

 

前後2発の箱を8つ作る

 前回は702-Modenaの試作版を改造して前後2発で聞いた話を書きました。Z702-Modenaの前後に2つのMICAを入れれば音はそこそこ良いのですが、1発ですと少し容積が大きすぎるのか不発でした。そこで、15LあるZ702-modenaより容積を小さい10Lと8.5Lの箱の試作箱を作って音をだしました。

 いっきに8つの箱を作りました。容積違いのを2つで、同じものを4つです。Z702-Modenaも混じっていますが↓の写真です。

 なぜ同じ容積の箱を4つも作ったかというと内部音道の比較やダクトの調整をする際に同じ容積の箱が比較のために必要になるからです。10Lのサイズは高さが450mm、8.5Lのサイズは高さ300mmサイズです。

 これはデザイン的なものも兼ねての試作でしたが、こうやってみると8LのZ601-Modenaサイズのほうがデザイン的にはマッチするかなという感じがしました。8.5Lの箱はZ601-Modenaより大きいサイズです。視聴してみたところ1発でバランス良く鳴ってくれました!

 ダクトが少し大きかったので、小さいものに変えてみました。このダクト径の大きさデザイン的には格好いいとおもいましたが、少しボンボンいいすぎなので共振点が高すぎのようでした。

 

 Φ50の一回り小さいダクトを強引に差し込んで視聴テストしたところマッチしました。肝心の2発使いの音ですが、当初の予想としては容積が小さすぎて低域が思うように伸びないのでは?と危惧していました。

 今回は、フロントにMICA、リヤにZ-Modenaを入れて視聴したのですが、、8Lでもしっかりローエンドと低域がでました!!

 比較で、Z702-ModenaにMICAを2発入れたものや、1発のZ601-Modenaを設置して聞いてみましたが、この容積でいけそうなのがわかりました。高さ300の箱がデザインと低音がしっかりでて良かったこともあり、、10Lの細長い箱も4つも作ってしまったのですが、ほぼ出番なく廃棄となりました(トホホ)

 次回はこの高さ300の箱での内部音道をいろいろテストして、最適なものにしぼりこもうと思います。

 

OM-MF4-MICAの箱開発4

Wユニットにどの形式の箱が合うか?

 高さ300mm、8.5Lの容積の箱でスピーカーユニットを前と後ろに2つつけた箱で、そこそこ鳴るのがわかりましたので内部の音道調整を行ってゆこうと思います。このサイズは↓のZ601-Modenaより実容積で考えると20%程度大きい箱です。

 スピーカーユニット1発で鳴らすには十分ですし、2発でもそのメリットを活かせるサイズでしょう。今回の箱は利用方法のパターンがあまりに沢山あるので、1つにチューニングを絞れません。しかし箱の内部構造は1つに絞らないといけないのでいつもより難しい仕事になるかもしれません。

今日は、内部の仕切りを変更することで
◯700 シングルバスレフ
◯701 ダブルバスレフ
◯702 S-BHBS
などをためし、ユニットも1発、2発、さらに種類などを変えながらの実験を行います。

シングルバスレフ VS ダブルバスレフ(スピーカーユニット1つ)

 フロントのユニットはOMMF4-MICAに固定。リヤのユニットは蓋をしましてつけていません。比較するスピーカーの内部構造は↓のようなシングルバスレフと、内部に仕切りを持つ単純なダブルバスレフです。

シングルバスレフ

ダブルバスレフ

 このダブルバスレフはZ601-Modenaと似た構造です。このような小型箱で内部仕切りをいれるとローエンドの拡張と合わせて、高域のダクトからの漏れが少なくなります。中域に僅かにディップができます。

 MICAは少々ハイアガリユニットですので、仕切りのないシングルバスレフよりかZ601形式のダブルバスレフのほうが音のバランスは良くなると予想しました。しかし聴感では予想に反し、ダブルバスレフよりかシングルのほうがバランス感が優れていました。

 現状のダブルバスレフは設計が適当なので、女性ボーカルの基音あたりにディップがあるようで少々煩く感じますのでつめは必要のようです。リヤのModenaとMicaの比較でいいますと、低域の量感アップにはModenaのほうが低域量感は良さそうです。

 

ダブルバスレフ  VS S-BHBS(スピーカーユニット1つ)

 同じくフロントのユニットはOMMF4-MICAに固定。リヤのユニットは蓋をしましてつけていません。この小型サイズですと音道を長くしてもなかなか低域が持ち上がらないことが多いのですが短い音道のBHBSでも試してみました。

シングルバスレフ

S-BHBS

 BHBS悪くはないのですがいかんせんこのサイズだと低域拡張の良さが活きてきません。ローエンドは気持ち伸びていますが・・シングルバスレフのほうは、ダクトからの高域の漏れが激しいからかハイアガリで勢いがあります。聞きやすいのはBHBSのほう。ここまではスピーカーユニットを1つだけ利用した場合の感想です。

 バスレフダクトはΦ50でそこそこ短くしないと共振点が低くくなりすぎてスカスカな感じになります。ユニット1つの時と2つの時では第2ダクトの調整は必須になる印象でした。

 

 続いて背面にユニットを入れて並列接続の4Ωにした場合にどうなるかをレビューします。

 

シングルバスレフ VS ダブルバスレフ(スピーカーユニット2つ)

 フロントのユニットはOMMF4-MICAに固定。リヤのユニットはOMMF4-MICAとZ-Modenaの2つを交互にテストしてみました。

シングルバスレフ

ダブルバスレフ

 ユニットを1発で利用した時の良さと、2発の良さがあります。1発の良さはボーカルの定位、音像が小さくリアル。2発の良さは、ローエンドが伸び低域のレンジが拡大すること、音場感が広く感じられることです。

 背面ユニットがOMMF4-MICAの時とZ-Modenaの時の比較は、これで3回目ですがやはり低域は口径違いのためかZ-modenaのほうが低域は良くのびます。

 今回の比較テストでは無響室での測定も行っていますが、やはりZ-Modenaのほうが100~300Hz低域が3dB近く伸びています。

実線Mica 点線Z-Modena

 音色的にはユニットが同一のほうが良いと言われたりするので、ここは評価が分かれるかもしれません。背面ユニットを変えて音の違いを楽しむのは今回の商品の楽しみの一つですので、こちらはいろんな機種を比較してレビューを書きたいと思います。

 ユニットをWで使った場合のシングルバスレフ箱と、ダブルバスレフの箱では音源によりますがシングルバスレフのほうが迫力があります、ローエンドはやはりダブルバスレフのほうがでてる感じです。ダブルバスレフは中域の抜けがさきほど気になったので軽く調整してみましたがあまりうまくいっていません。

 

ダブルバスレフ  VS S-BHBS(スピーカーユニット2つ)

 同じくフロントのユニットはOMOF4-MICAに固定。リヤのユニットはOMOF4-MICAとZ-Modenaの2つを交互にテストしてみました。

 

ダブルバスレフ

S-BHBS

 高域に関しては極端に大きな違いは感じません。低域はBHBS方式のほうが若干下が伸びていてふわっとしていて聞きやすい印象がありました。ダブルバスレフのほうがスッキリしています。リヤのユニットはこれまでと同じく、Z-modenaにすると低域量感が大きくアップする印象。マイカをリヤにつけると低域アップしますが、むしろ音場型を引き立たせるといった印象のほうが強い。

 

まとめ

 どのタイプの箱を採用するか実に迷います。当初は701タイプのダブルバスレフでいこうかと思っていました。 ユニットをシングルにするかダブルにするか、又メーカー違いのユニットも入れるのを想定すると第1ダクトの定数を何を基準にしたら良いのか検討つきません。

 700シリーズのシングルバスレフは、フルレンジでは長くやっていませんでしたが、今回はユニットの数が変わる可能性もあるし、他メーカーのものもはいるのを考えるとシンプルなシングルバスレフでも良いのかなという気がしてきました。

 しかし、フルレンジのシングルバスレフはダクトからの高域漏れがありますからマイカの高域もところどころ気になるところがあります。斜めの桟をかましたり吸音材を入れることで解決できるのでしょうか?

 

OM-MF4-MICAの箱開発5

完成しました

 前回の実験で8.5Lの試作箱を4つ作り、様々な音道を比較テストして視聴しました。テストから本番制作に最も近いかたちで作ったスピーカーが↓です。実は容積をほんの少しアップさせて約9Lとなりました。

 

キット

完成品

 Z601-Modenaが7.5Lですから一回り大きいサイズです。これはもちろん2発での利用を考えてのことです。

 音道もいろいろテストしたのですが、今回は前と後ろにユニットをつけることができるという変則的な箱のためシンプルなZ700バスレフタイプでいくことにしました。

 シングルバスレフではありますが、内部に斜めの仕切りをもちます。一見するとダブルバスレフのように見える方もいるかもしれません。

 インピーダンスを見るとシングルバスレフの山2つとなっていますがほんの僅かに小さい3つ目の山があるのでダブルバスレフの動作が気持ちだけはいっているのかもしれません。

 この仕切りの角度と寸法はいくつか試しまして最も良いものを採用しています。寸法や位置は実物とは違うのですが、イメージとしては↓のような感じです。

 

 内部の仕切り「あり」と「なし」を前回作った4つの試作箱で比較ブラインドテストしまして「斜め仕切りあり」の箱のほうが音が私と青木の聴感で勝りましたので採用を決めました。普通のバスレフとくらべて次のような効果があります。

●スピーカーの背面からでる高域が1つ目の空気室内でワンクッションされてからでるからか高域がうるさくない(第1空気室に吸音材を入れることでさらに効果が高まる)

●斜め仕切り板が音道のような効果を作るからか、低域の出方がダブルバスレフやBHBSのようなソフトで広がりのあるものになった

●箱の真ん中に仕切りをいれることで補強の効果が見込める

 当初はMICAの高域を考えるとダブルバスレフの701で行くのが良いと思っていましたが、高域の処理が斜め仕切板と吸音材でうまくいったことや、Wのユニットを使うことを考えましてシングルバスレフのZ700とすることにしました。

 MDFの試作版とくらべて容積が大きくなったので単純比較はできませんが、低域の伸びの質ともに改善しました。今回は木材の高騰もあり、キットはフロントとリヤのバフルのみホワイトバーチベニヤで、完成品は全てバーチベニヤという仕様になりました。

 

 今回はキット・完成品ともユニットは付きませんのでお客様のほうでご手配をお願いする商品となっています。

 

Z700W-OMMF4MICAの使い方

 これまでのスピーカーと少し違いますため、基本の仕様と楽しみ方を解説します。いろんな楽しみ方があります。事例は使いこなし等をブログで紹介したいと思います。

 スピーカーユニットはフロントかリヤに1つだけつけて利用するシングルバスレフの箱として使うことができます。この場合は付属の板で塞いでご利用いただくのが基本です。

 フロントのユニットは今回OM-MF4-MICAを想定して、バフルの穴はΦ65です。フロントとリヤのスピーカーへは天板のターミナルにそれぞれ接続されています。

前方のターミナルがフロント。
後方のターミナルがリヤです。

フロントからだけ音を出す場合はフロントターミナルとアンプをつなぎます。

リヤの穴は6センチから8センチのユニットを広く利用できるようにΦ75にしています。
(OM-MF4-MICAもぎりぎりですがリヤにも使えます)

8センチのユニットは自作をされている方であればたくさん持っている方も多いと思います。

 Zユーザー様でしたらZ-Modenaをお持ちの方も多いと思うので、リヤに関してはZ-Modenaをお持ちの方はそちらを標準では推奨したいと思います。リヤに使うユニットを単体で使う場合は、フロントに付属の板を塞いで使います。

 スピーカーを180度回転させ(リヤをフロント)にすることで、背面ポートのバスレフ箱としてご利用いただけます。この場合はアンプとリヤのターミナルを結んでください。

 フロントとリヤを同時にWで鳴らす場合は、ターミナルをジャンパーケーブルで結ぶと前後から音を出すことができます↑↑

 この時ご利用いただくユニットは前後とも8Ωのユニットをご利用いただき、並列接続で4Ωになります。ダブル接続にすることで、小型スピーカーでありながらとてもパワフルな低域と前後に高域が拡散する音場タイプのスピーカーになります。4Ωのフルレンジユニットはくれぐれも、並列利では利用しないようにしてください。

 

Z700W(S)-OMMF4MICA 特徴

 

前後配置の音場型SPの特徴

 Z700W-OMMF4MICAは前後にスピーカーユニットを取り付け可能な音場型スピーカーです。フロントとリヤだけでシングル駆動もできる仕組みになっていますが、一番の特徴はやはり前後同時に鳴らす音場型としての楽しみ方です。

 これから何回かに分けて今回のスピーカーの楽しみ方や使いこなし方を掲載してゆきたいと思いますが、ダブル駆動での楽しみ方を中心に書いてゆこうと思います。

 音場型スピーカーというのはいろいろなものを試験してきましたが、ある意味最も「音場型らしくない音場型スピーカー」が今回のフルレンジ前後配置のスピーカーと思います。2chに最も近い音場型と言えば分かりやすいでしょうか?

 音場型で有名なスピーカーといえば例えばBOSEの901のようにフロントに1つ、背面に8個のユニットをつけたスピーカーがありました。コンサートホールでは直接音が1間接音が8の割合であるところからBOSE博士がこのようなシステムを考えたそうです。

 実際に昔に901を聞いたの覚えていますが2chのように音が定位するという感じは乏しく、非常に独特な音といった印象でした。スピーカーユニットを多くすればするほど音場感というかホール感はでる気がしますが、定位感という意味では2chが最強です。

 つい半年ほど前に測定用に12面スピーカーを作ったことがあります。

 

 これも一種の音場型スピーカーに思えますが、定位感はゼロ。イコライジングをかけないと聞けたものではありません。

 弊社のZ700W-OMMF4MICAは前に1つ、後ろに1つのユニットという構成です。2chと比較すると音場型スピーカーであるのは分かりますが、しっかり定位感を感じることができます。ユニットが前に1つ、後ろに1つというシンプルな構成が、音場を創生しながらも適度に定位してくれるのです。オーディオ好きの方にはおそらく、

「初めて音場型スピーカーを好きになれた!」と言ってもらえるのではないかと思っています。

 

Z700W-OMMF4MICAの背面スピーカーについて

 

前後ダブルにユニットを入れた場合の弊社の推奨は

フロント: OM-MF4-MICA
リヤ: Z-Modena

としています。

 当初高域の音色を揃えるために、前後にOM-MF4-MICAを試していましたが、ダブル使いだとハイアガリ傾向が気になったことと、ミッドバスの持ち上がりが8センチのZ-Modenaクラスを使ったほうがバランスが良かったという理由によります。

 Z-Modenaは弊社のユーザー様でしたら現在ご利用していただいているものを外してご利用いただくか、Amazonで単体販売しているものをご利用ください。

Z-Modena(1個)
https://www.amazon.co.jp/dp/B07ZPLFX25?ref=myi_title_dp

 

まあ、ここは好みもありますので背面ユニットを変えた場合の音やレビューを次回から2回に分けて書きたいと思います。そちらを参考にご選択していただけたらと思います。

 

スーパーツィーターいらずの超高域

 OM-MF4-MICAはスーパーツィーターは不要かと思います。つけた場合とつけない場合の差が耳できいてほとんどわかりません。どのくらい超高域が伸びているか、測定してみました。

弊社の50KHzまで測定できる高性能マイクを使って簡易無響室測定したF特が↓です。

いくら6センチフルレンジとはいえこの伸びは驚異的です。もはやスーパーツィーターといっても良いくらいです。

Z501を付け加えてみた実線が、↓です。(点線はMICAのみ)

8KHz以上の帯域はたしかに良くなってはいますね。後日もう少しやってみたいと思いますが、スーパーツィーターはなしで大丈夫と思います。マークオーディオの6センチユニットの超高域の特性の伸びには舌を巻きたくなります。

 

小口径*2の「ウルトラハイスピードサウンド」

 前回フルレンジ前後2発の音場型スピーカーのメリットについて書きました。定位感の全く感じられない音場スピーカーではなく、2chの定位感をぎりぎり残しつつも音場感の良さを楽しめるスピーカーになります。「音場型スピーカー」と聞いた瞬間にアレルギー反応を起こした方にこそ是非聞いてほしいスピーカーです。

 このスピーカーのもう一つのメリットは、「ウルトラハイスピードサウンド」です。

 低域の量感や伸びでは13センチクラスのZ1-Livornoにも勝てませんが、反応速度が全く違います。音の反応速度が、普通のマルチウエイと違うという言葉の意味は、視聴会で是非ご確認ください。

 長岡鉄男先生の10センチのFE108Super+スーパースワンはハイスピードスピーカーでしたが、弊社のZ700W-OMMF4MICAはさらにハイスピードです。ハイスピードですが音のバランスは良いかと思います。

 

Z700W(S)-OMMF4MICA Youtube 

  Z700W-OMOF4MICAの前には主要な6センチのフルレンジを、後ろは8センチの種々フルレンジを取り付けることができます。Z700W-OMMF4MICAのユニット開口径は、前後で違います(前φ65、後φ75)。

  推奨フロントはOM-MF4-MICA推奨リヤはZ-Modenaとしていますが、今日はシングル動作から、ダブル動作でリヤのユニットをいろいろ変えた時の音の変化をYoutube動画でお伝えします。
※後ろのφ75にもStereo誌micaを取り付けていますが、開口とフレームがギリギリです。標準のパッキンに加えて、ゴムシートなどを用意して空気漏れを防ぐ事を推奨します。

 前後ダブルで、音を出す場合は当然ながらフロントのユニットの高域が音全体にとって大事になります。比率でいうと、フロント7:リヤ3ぐらいのような印象があります。

 前後で異なったユニットを使った場合は、スピーカーを180度回転させ、前を後ろにして聞いていただくと大きく印象がかわりますので是非お試しください。

前:OM-MF4-MICA
後:無し(シングル動作)


オススメ度:(これを基準とします)

後ろに開口カバーを取り付けて、フルレンジ1発の音です。若干ハイあがりで少し高音がきつく聴こえる楽曲もあります。小口径スピーカーの利点で音像定位が良く、クッキリとした輪郭で音に力を感じます。低域のダンピングは良いのですが、量感はもう少しでて欲しいところですが、6センチシングルだと精一杯のところです。ダクトは短めにして、ハキハキした低音感に調整して聴きました。

 

 

前:OM-MF4-MICA
後:Z-ModenaMK2

 

 

オススメ度:☆☆☆☆☆ (5)

いろいろ実験しましたが最終的にこれが推奨になりました。

音工房Zオリジナルのユニットを後方に取り付けます。ジャンパーケーブルでつなぎ、並列に接続します。Z-Modenaは高域は自然に減衰し、MICAの利点である良好な音像定位をジャマしません。低域は力強い量感のあるもので、パッと聴きは音工房Zでも上位のスピーカーにも引けを取らないものです。しかしパイプオルガン等の本当にローエンドが重要なソースはそこまではでません。低音の雰囲気は良好です。

すこしハイ落ち、低音が量感多めで聴きやすいZ-Modenaと、ややハイ上がりで低域のレスポンスが良いMICAの組み合わせは一番良いものでした。MICAの高域が気になる時は、180度回転させてZ-Modenaをフロントにすると良いです。Z601-Modenaよりパワフルな低域が楽しめます。

 

 

前:OM-MF4-MICA
後:OM-MF4-MICA

オススメ度:☆☆☆☆★ (4.5)

前後で同じユニットは試される方は多いのではないかと思います。同じユニットなので高域もそれほど濁る事なく素直な印象です。低域もハキハキとしてシングル動作よりも迫力を増します。同じユニットなので、高域の濁りは少なくシングルよりもパワフルで、単純に強化されます。

Z-Modenaに比べるともう少し低音の量感が欲しくなってしまう点だけ気になります。同じユニット同士なので相性の良い組み合わせといえます。良好です。

 

前:OM-MF4-MICA
後:OM-MF4

オススメ度:☆☆☆☆ (4)

2020年発売のStereoムックの付録ユニットです。今年のMICAよりも高域が優しめな印象を受けました。金属振動板のせいなのかハイハットなどの音の輝きが良いです。全体的に能率が低くなるのか、すこしハキハキ度合が落ち、若干音が落ち着く印象でした。

オススメ度に関して後ろmicaよりは柔らかな高音の出方ですが、若干クセのある印象を受けました。低域の量感はZ-Modenaに比べるともう少し欲しくもありますが、ダンピングが良いスピード感のあるものなので、それほど不足に感じられないかもしれません。全体的には良好といえます。

 

前:OM-MF4-MICA
後:FOSTEX FE83NV

オススメ度:☆☆☆★ (3.5)

FOSTEXの8cmユニットで代表的なFE83系の8cmユニットです。

FE83NVになり、FE系の高域の伸びはそのままに、低域を強化したモデルで、音のキャラクターはmicaにかぶるものがあります。聴いてみると、高域はFOSTEXのFEのカラーが付加された感じで、低域はモデナの試聴の時よりかは若干軽めに感じました。

オススメ度に関して
ハイあがり気味の、ある意味FOSTEXらしい高域の出方です。よく通る感じでFEが好きな人には馴染みの良い音です。低域はZ-Modenaほどは量感は出ませんが、足りないというほどではありません。

 

参考までに83Enは↓↓

【音工房Z】Z700WS-OMMF4MICA 前mica 後83En

 

前:OM-MF4-MICA
後:FOSTEX FF85WK

オススメ度:☆☆☆★ (3.5)

FOSTEXの8cmユニットで振動板がグレー、センターキャップがアルミの高級感のあるモデルです。前ユニットと合わせると、若干FF85WKの特徴のある高音が耳につくときがあります。低域は程よくでて、バランス的には悪くありません。

オススメ度に関して
低域はモデナほどは出ていませんが、バランスは良いと思います。FF85WKのアルミのセンターキャップは、特徴的なので、ハマル楽曲ならば良いですが、耳につく場合もあります。小編成のジャズなどは トランペットの金属的な響きと、ウッドベースの、厚みのある音などでは相性は良いでしょう。

前:OM-MF4-MICA
後:FOSTEX P800K

オススメ度:☆☆☆(3)

FOSTEXの高コストパフォーマンスのスピーカーユニットです。他のFOSTEX 8cmユニットと違ってZ700Wとは下穴が合わないので注意が必要です。

P800Kを増設すると単純に低音UPが図れて、音に太さを感じます。

オススメ度に関して
低域は厚みが出ますが、高域は殆ど目立たない印象です。低域は鈍重なイメージで、打ち込みの曲などでは相性は良いですが、アコースティックな楽器の再生だと、物足りない印象があります。

 

オマケ

前:OM-MF4-MICA
後:Z-ModenaMK2
  ドローンコーン(バスレフダクト有)

オススメ度☆☆☆(3)

後ろのユニットをZ-Modenaとして、後ろユニットのターミナルをショートさせドローンコーンとして聴きました。ダクト有りのバージョンで、動作としてはドローンコーンがダクトのような動きな
で、複数のダクトがあるような、複雑な動きになっています。

オススメ度に関して
背面にカバーをとりつけたシングルよりは低音感はありますが、低音の力感が欲しければドローンコーンはあまりオススメできません。低域の増強はあまりありませんが、高域は音が緩くなって聴きやすいので、楽曲によってはアリだと思います。

 

前:OM-MF4-MICA
後:Z-ModenaMK2
  ドローンコーン(ダクト口密閉)

 

オススメ度☆☆★(2.5)

ドローンで密閉箱にすると、低音の量感がバスレフに比べてかなり減ります。完全に密閉よりは低音がありますが、ダクトを使ったバスレフと比較すると、やはり物足りなさを感じてしまいます。

高域は音が若干緩くなる傾向で、聴きやすくなるのは良いのですが、シングルコーンの音像の良さをどちらを取るか、迷うところです。ダクト密閉にすると、それまでいかにダクトからでてきた高域も聞いているというのを認識させられます。

音の出方はクセが出にくいので、その点は良好な印象でした。低域が少ない音源限定ということになるでしょう。

 

Z700W(S)OMMF-MICA 視聴会でのスピーカー解説 Youtube

 

 

Z700W(S)OMMF-MICA 視聴会参加者4名様から動画でご感想を頂戴しました Youtube

 

テキストでのレビューはこちらからご投稿いただいております。【Z700W-OMMF4MICA】と書かれたレビューをご覧ください。

 

 

キット
Z700W-OMMF4MICA 
価格26,800円

※スピーカーボックスの組み立て、スピーカーユニットの購入とお取り付けが必要です。

完成品
Z700WS-OMMF4MICA
価格59,800円

※スピーカーユニットの購入とお取り付け
はお客様にお願いする箱だけの完成品の
商品です

販売受付終了いたしました。
在庫のみの販売になります。

 

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