セミマトリックススピーカー MX-14, MX-15

はじめに

 前回まで、4つのスピーカーユニットを使うマトリックス方式をご紹介し、実験してきましたが、今回は3つのスピーカーを使うMX-14とその縮小版のMX-15を紹介します。

MX-14とMX-15の概要

 MX-14が10cmのフルレンスピーカーを3本使用し、MX-15が8cmのフルレンジスピーカーを3本使います。

 最大の特徴はMX-14,15共に通常の8Ωのインピーダンスのスピーカーユニットが使える事です。
アンプの負荷も前回まで紹介したMX-1,MX-10に比べると低くなって、挑戦しやすいモデルになっています。

 今日はそのセミマトリックスタイプのMX-14とMX-15のポテンシャルをMX-10と比較しながらレビューしたいと思います。

   
 写真1 セミマトリックススピーカーMX-14、MX-15

 右が10cmスピーカー使用のMX-14で、左が8cmスピーカー使用ののMX-15です。

セミマトリックススピーカー MX-14

 MX-14はMX-1と同じく、一体型のスピーカーで、使用ユニットはFostexFE-103が指定されています。

 インターネットの作例を見ますと、その縮小版であるMX-15(FE87 or FE83)の作例が多いですが、MX-10と比較するので同じユニットを使うMX-14も製作しました。

 MX-1のような4本マトリックスでは8Ωのユニットで作製すると合成インピーダンスが2.7Ωになるため、普通のアンプで再生するのは厳しいです。
MX-14は8Ωスピーカー3本で合成インピーダンスを12Ωにした為、アンプの負荷は低くなっています。

 MX-1やMX-10など16Ω系に較べて この新方式マトリックス配線はセミマトリックスと長岡先生は呼んでいます。

MX-14の新方式「セミマトリックス」とは

 この前のMX-1のおさらいなのですが、MX-1,MX-10のマトリックス方式が正面の2つのスピーカーが(L+R)の和信号を再生して、左のスピーカーがが(L-R)の差信号、右のスピーカーが(R-L)の差信号を再生します。それが空間合成され、左耳には2L,右耳には2Rが届く仕組みになっています。

 セミマトリクス方式での信号配分は、正面のスピーカーからは(L+R)、左のスピーカーからは左chの配分が多くなった(2L-R)、右のスピーカーからは右chの配分の多くなった(2R-L)で再生されます。

 MX-14とMX-15は単純に大きさが違うだけなので同時進行で作りました。
組み立てる前の大きさの違いはこんな感じです。

   
写真2 MX-14(10cm) とMX-15(8cm) 用の部材の比較

MX-14, MX-15 とMX10を実際に試聴してみて

各スピーカーの外観比較

 左からMX-15,MX-14,MX-10(上部分のみ)になります。こんなにマトリクススピーカーが揃うのも珍しいかもしれませんね(笑)

   

  写真3 MX-15(左), MX-14(中央), MX-10(右) の外観

 方式の違いにより、MX-10などのマトリクス方式では視聴位置にシビアで、セミマトリクス方式の方がそれよりも若干ゆるく、正面より少し左右にずれても、聴感上はそれほど問題はありませんでした。

 これはセミマトリクスならではの信号配分によるものだと思われますが、ソースもマトリクスと比べると選ばない傾向に感じました。

 間接音が多いソースや、音に広がりのあるオーケストラなどではMX-10等のマトリクス方式の方が有利に感じました。

 MX-14はFE103Solを使っている割には、音に落ち着きが見える印象でした。
FE103Solは若干ハイあがりの傾向なので、それが上手く作用して丁度聞きやすくなっているのでしょう。
ボーカルものや、小規模な演奏などでは定位が良く、ソースによっては、かなりよい雰囲気で聞くことができます。
オーケストラなど大規模なものになると、ソースにもよりますが、音が中心に集まりすぎて広がりが少ない印象のものもありました。

箱の大きさもありますが、オリジナルでは低音域は必要最小限が出ている印象です。

MX-14(オリジナル)の動画

 

 実験で、MX-10のダブルバスレフ箱をMX-14の下にいれたら、良い感じでローエンドが伸びました。

     
写真4 MX-10のダブルバスレフ箱にのせたMX-14

MX-14+ダブルバスレフ箱の動画

 これはかなりイケるのでは・・と、遊びでMX-10改のバックロードホーン箱を下に置いて試聴したところ、パワー感が抜けて、まったくダメな印象になってしまいました。

     
写真5 MX-10のバックロードホーン箱にのせたMX-14

8センチ3つ。MX-15の試聴

 FE83Solらしく、ボーカルものは声がよく通り、若干大人しい音になり聞きやすくなる印象です。

 低域はそれほど出ないので、若干ハイ上がり寄りになります。MX-14と比較してどうしてもスケールは小さくなってしまいます。
高音が美しい器楽曲やボーカルなど、小編成のソースには良いと思いました。

動画:MX-15(オリジナル)

 こちらもダブルバスレフ箱、バックロード箱と試しましたが、両方ともサイズが大きすぎたためか、まったく良くなりませんでした。

 サイズダウンして作り直したとしても、バスレフで低音がそれほど出ないので、
劇的にローエンドを伸ばすのは難しいでしょう。

 それよりもFE83Solの美しい高域を活かしたチューニングを施せば、更に良くなるかもしれません。