MX-10の製作とレビュー

MX-10について

 他のページで既にご紹介している「マトリックススピーカーMX-1」は、優れた作品でしたが、低音の量感がいま一つという側面も否めないものでした。

 長岡先生はその回答として、スピーカースタンド部分を第2空気室としたダブルバスレフ方式の「MX-10」を設計し、見事に低音増強を果たし、これがマトリックススピーカーの完成形だと言われています。 

 今回はそのMX-10を初代MX1と比較しながらレビューをしたいと思います。

    
      写真1 MX-10の外観

MX-1(バスレフ)からMX-10(ダブルバスレフ)へ

 MX-10のベースになったのは、マトリックススピーカーとして長岡先生が最初に紹介したMX-1でした。

 MX-1はバスレフ方式のスピーカーで、特殊な内部配線により、一般的な2chステレオから擬似4chのサラウンド再生を可能にした方式です。

 初代MX-1は、その構造上から低域不足気味でしたので、スタンド部分を第2空気室にしてダブルバスレフ形式とすることで、低音を伸ばしたものがMX-10になります。

 MX-10はスピーカボックス内部がMX-1と違い、3つの部屋に分かれており、前面の2つのスピーカーの後方がダブルバスレフの第1室になっています。
第一室のヘッド部分と第二室のスタンド部分は固定とはなっておらず、自由に回転できる設計になっています。

     
    写真2 MX10の回転できるヘッド部分

 MX-1の試聴の時も感じましたが、マトリックススピーカーは試聴位置がかなり重要で、
リスナーに対し出来るだけ正面を向くようにしないと効果が薄まりますので、簡単に向きをあわせることが出来る設計は、このスピーカーの性格上、重要な事だと思われます。

MX-10の製作

実際の工作については長岡鉄男の図面集、長岡鉄男の傑作スピーカー、などを参考にして製作しました。
(ダクト形状とユニットはオリジナルと異なります)

 15mm厚のパーティクルボードの3x6板で足りる寸法になっています。

 使用するスピーカーユニットはFostex FE103の16オームの指定ですが、今回は限定品のFostexのFE103Solの16オームx4つを取り付けました。

 繊細な高音域まで表現できるユニットなので、環境音が多めのサラウンド効果も期待が持てます。

 ちなみにマトリックス配線はスピーカーの外で結線できるようにしました。

      
    写真3  MX-10の端子とマトリックス配線

 他のスピーカーよりも苦労する点は、天板、地板が特殊な形をしているので、切り出しが若干難しい所ですね。クランプも掛けにくいです。

 しっかりクランプするには「ベルトクランプ」等を使うのが良いかもしれません。

 角の部分は、その構造上空気モレしやすいので、本では水中ボンドというもので行う、という指示でした。

 水中ボンドは2液混合型のエポキシ系のパテのような接着剤で、これを使えばしっかり密閉できます。
水中ボンド:  http://amzn.to/2y57P0l

 自分が作る時は水中ボンド(コーキング)は無かったので木工用ボンドを角に厚く塗って密閉度を挙げました。

    
     写真4  角の部分への接着剤塗布

木の切れ端や割り箸などを使って一度に塗らずに何回にも分けて、裏表から塗ります。

MX-10オリジナルの視聴レビュー

 MX-10を視聴すると中央に置かれている単体のスピーカーだけから鳴っているとは思えない音場感を感じる事ができます。
 音場感の秘密は左右のスピーカーユニットから出る差信号で、環境音などが主に放出されるので、音が立体的に聞こえます。

 MX-1と比較すると、低音はかなり増強され、楽曲の守備範囲はMX-1よりも広くなったのは大きなメリットです。

 ソロのボーカルが中央から聞こえ、ボーカルが中央定位の録音の時にはピッタリはまり良いのですが、若干声質の濁りみたいなものを感じました。

 このMX10だけを単体で聞いている分には、「1つの箱から音がでているのにステレオ感がしっかりでていて凄い!」と思うのですが、セレクターで通常の2chオーディオとの比較をするとやはりどうしても左右の広がり感の部分で劣っているのを感じてしまうのも事実です。

 箱の特徴としては、ダブルバスレフの特徴的な中低域に薄さがあり、アタック感が若干希薄に感じられますが、ローエンドは思い切りよくでています。
これはソースや視聴環境によってはプラスに作用する場合とマイナスに作用する場合があるでしょう。

 しかし初代MX-1と比べたら、低音はかなり増強され不満点は相当解消されたと言っていいと思いました。

 次の節では、このMX10のダブルバスレフをバックロード化した改造版をお披露目したいと思います。と言っても商品販売ではなく実験報告です。
バックロード化で解消したいのはダブルバスレフで薄かった部分の帯域を補うことが目標です。

MX-10改の検討 バックロードホーン、BHBS

MX10改、更なる低音再生能力の向上は可能か?

 長岡鉄男先生のマトリックススピーカーを、MX1、MX10と製作してきました。

 MX10は頭の部分が第1空気室で、胴体の部分が第2空気室で取り外しが可能なダブル
バスレフ型のスピーカーです。
(MX1とMX10の頭の部分はかなり似ています。)

 ここから出てきたアイデアがMX10の胴体部分にバックロードの音道をつけたら面白いのではないか?
と申しますか、少ない手間でバックロード化できないか、と思いまして、別のマトリックススピーカーであるMX-101の下部分の内容積を参考にして製作いたしました。

     
  写真5  MX-10改(バックロードホーン化)

 MX-10をバックロードホーン化するにあたり、MX-101を参考にしたのですが、MX-101の下部分の形は、スワンと形状がほぼおなじです。

 スワン型は製作が面倒なので、ポート毎の内容積、スロート面積、最後の開口面積、折り返し回数などを参考にして、シンプルな箱型のバックロードホーンを設計し、製作しました。

    
  写真6  箱型のバックロードホーン部分の構造

図面も出しますので、MX10をお持ちの方は参考にしていただければ幸いです。
http://z-sound.biz/melmaga/2017/2017-10-10_mx-10_backloud.pdf

(4本利用のマトリックススピーカーは低インピーダンスのスピーカーユニットを使うとアンプ破損の可能性がありますので自己責任で御利用ください)

MX-10へのバックロードホーンの取付と試聴

 MX-10の頭は簡単にすげ替えることが出来るので、ダブルバスレフとバックロードの聴き比べは簡単に比較できます。

      
  写真7 MX-10オリジナル(ダブルバスレフ)

 

    
  写真8 MX-10改(バックロードホーン)

 

 ダブルバスレフ箱はローエンド勝負では一番でしたが、MX1より遥かに低域は多いのですが長く聞いていると中域の抜けが少し気になりだしました。

 バックロード箱はローエンドだけはダブルバスレフに負けますが、全体を見ると中低域の抜けも少なく これまでの中で最も完成度が高かったです。

 正直このレベルであれば商品化も可能と思えるぐらい音もよく、16ΩのFE103がまた出たら真剣にキットで売りたいと思えるレベルです。

 弊社でよく比較で使うB&WのN802と切り替え比較で聞いても遜色なく聞こえます。
これは私がバックロード好きなのも1つあるかとは思いますが・・(笑)

 しかし、いろいろなエンクロージャー形式をやっていますが、バックロードホーンのポテンシャルの高さを改めて感じました。

MX-10へのBHBS箱の取付と試聴

 たまたま、
シングルバスレフ(MX1)
   ⇒ ダブルバスレフ(MX10)
      ⇒ バックロード(MX10改)
と来て、バックロードの設計がうまくハマってくれたのでもう少し改善できないかなと思って、バックロードとダブルバスレフの中間にあたるようなBHBS箱にもチャレンジしました。

 音工房Zのリスニングルームは低音が多くでますので、長岡式のオリジナルだとどうしてもバックロードの中域の癖が、弊社の試聴環境では気になりだしたのです。

     
   写真9  BHBS 開口 2分の1  

 

   
   写真10 BHBS 開口 3分の1

 音を聞いてみると好みもあるところですが、出口を半分ぐらい塞いで聞いたものが私は一番好みで、縦にして2/3ぐらい塞ぐとちょっと量感が少なすぎでした。

MX-10オリジナル vs 改(+バックロードホーン、+BHBS)の試聴比較

 これまでの3つのスピーカーをヘッドホンで比較してみてください。
なお、MX1は過去に作って壊してしまったので、MX10にバスレフダクトをつけています。

MX10(シングルバスレフ)

 

MX10オリジナル(ダブルバスレフ)

 

MX10音工房改(バックロードホーン)

 

MX10音工房改2(簡易式BHBS)