目次
ハイレゾの話-1
-- 普及しない? なぜ?
はじめに
今回は、「ハイレゾ」について、その課題や、現状、今後のあり方などについて、色々と検討してみたいと思います。 目的は、ズバリ、ハイレゾとCDの違いは認識できるのか、です。
ハイレゾとは何なのか? その定義と入手性ついて
少し前に各メーカーが躍起になってハイレゾ推しをしていたのですが、最近は落ち着いてきて、高音質認定シールみたいな様相を呈しています。
高音質の代名詞として現在でもオーディオ機器やソフトでハイレゾを謳っているものが多くあります。実際のところ「ハイレゾオーディオ」とはCDに比べて何が違うのか?
「ハイレゾ」とは一体何なのか、その真相に迫って行きたいと思います。
CDよりも情報量の多い規格がハイレゾ
オーディオデジタルデータとして、CDよりも情報量の多い場合に「ハイレゾ」のデータと認める事をJEITA(電子情報技術産業協会)が定義しています。
これは48kHz/16bitのDAT等も含まれます。(サンプリング周波数がCDの44.1kHzよりも細かい)
ハイレゾの媒体としてはSACDやBR-Audioも含まれます。
ハイレゾに対応する機器側の条件としてJAS(日本オーディオ協会)は再生可能周波数を40kHz以上を目安としています。
よく店で見かける「Hi-Res」シールはJASの認証を得たものになりますね。
ハイレゾの呼称
ハイレゾリューション(高解像度)の略でCDよりも進化した印象を与える用語です。
決してオーディオだけの言葉ではないのですが(古くは映像系でも使われていた)、良くわからないけど良いもの、のように一般的に認知されたといえます。
かつてCDが「デジタル」を強く押し出していたのと似ていますね。
とっつきにくい「ハイレゾ」
アナログディスクからCDに移行するときには、音質以外にも、劣化しない、再生までが簡単であるなど、様々なメリットがあり、アナログディスクをほとんど駆逐しました。
その頃は音楽の再生メディアは限られていましたが、CD以降は記録媒体の多様化やストリーミングの登場などで、ハイレゾはそのうちの1つに過ぎないものでオーディオファン向けのものとなりました。
ハイレゾがなかなか普及しない理由を考えてみます。
ハイレゾが普及しない理由 その1
ハイレゾにするメリットをそもそも感じない。
テレビが白黒からカラーになるくらいのインパクトはハイレゾにはありません。
聴き比べのイベントもあるのですが、耳で聞いて、すべての人間が白黒つけられる差はありません。
ハイレゾが普及しない理由 その2
ダウンロード販売が主である。
ハイレゾ音源がパッケージメディアとして売られるのは稀で、インターネットからのダウンロード販売が主な入手先になります。
CDなどではブックレットも楽しいですが、ダウンロード版のハイレゾは音源のみの場合も多く、割高感があります。
店でパッケージとして音源を買う。というCDまで続いた流通から外れる事となり、
古くからオーディオをやっていた人には非常にとっつきにくいものになっています。
(ハイレゾの中でもSACD、BR-Audio等は店で購入できるのでCDと同じですが・・)
ハイレゾが普及しない理由 その3
再生環境が大きく変わる
アナログディスク、コンパクトディスクはそれぞれに対応したプレーヤーで再生するという1対1のシステムでしたが、ハイレゾは媒体(メディア)の対応する種類が多いので、柔軟な分、分かりにくいものになっています。
ハイレゾデータを出力可能な機器は、すべてプレーヤーになります。
SACD、BRドライブ以外にも、PCや携帯プレーヤー、スマートフォン、ハイレゾ配信サービスの機器(MusicBird)等です。
ハイレゾが普及しない理由 その4
選択できるソースが限られる
DVDからBRの映像コンテンツでもまだ完全に移行できていないように、ハイレゾデータもまだ品揃えが多くありません。
今後増えるのかどうかも不明です。
ハイレゾの話-2
-- 媒体をシンプルに解説します
前の節では、ハイレゾが普及しない理由をいろいろ書きました。
次に、その理由の一つである複雑で多様なハイレゾの媒体について、まずは、現状を極力シンプルに解説してみたいと思います。
ハイレゾのデータ形式としては、大きく2つに分けるとPCM系とDSD系があります。
どちらかというとDSD系の方が音が良いと言われますが、配信される数はPCM系の方が圧倒的に多いです。
はじめに、配信(ダウンロード販売)が多いPCM系から解説します。
PCM系の媒体(リソース)
PCM系は、その品質を、2つの因子で表現します。
1. サンプリング周波数- 単位;◯kHz
2. 量子化ビット数 -単位; ◯bit
◯が大きい程情報量が多くなります。
どちらも値が大きい方が品質が良いのですが、、
ファイルサイズがかなり大きいものになってしまいます。
サンプリング周波数と量子化ビット数の組み合わせの例
サンプリング周波数 : 量子化ビット数
44.1kHz : 16bit
48kHz : 16bit (DAT等)
48kHz : 24bit
96kHz : 24bit(ダウンロード配信で多い)
192kHz : 24bit(ダウンロード配信で多い)
192kHz : 32bit
これ以上のものもあるのですが、まだ一般的ではないようです。
これらで、どのくらいのファイルサイズ差があるか参考として例をあげてみます。
サンプリング周波数、量子化ビット数とファイルサイズとの関係
e-onkyoさんで配信している「ハイレゾ・スイスオルゴールのラ・カンパネラ」をエンコードして比較してみると(wav 192kHz 24bitがオリジナル)次のようになります。
なお、ファイル形式については、後述します。
ファイル形式 | 周波数 | ビット数 | ファイルサイズ | 倍率 | |
1 | wav | 44.1kHz | 16bit | 39.348kB | 1倍 (基準) |
2 | wav | 48kHz | 16bit | 42.803kB | 1.08倍 |
3 | wav | 48kHz | 24bit | 64.242kB | 1.6倍 |
4 | wav | 96kHz | 24bit | 123.483kB | 3.1倍 |
5 | wav | 192kHz | 16bit | 171.311kB | 4.3倍 |
6 | wav | 192kHz | 24bit | 256.966KB | 6.5倍 |
上のファイルからそれぞれの因子毎で比較してみます
サンプリング周波数が2倍になった場合
ファイル形式 : 周波数 : ビット数 :ファイルサイズ :倍率
3. wav : 48kHz : 24bit : 64.242kB : 1
4. wav : 96kHz : 24bit : 123.483kB : 1.9倍
量子化ビット数が16bitから24bitになった場合
ファイル形式: 周波数 : ビット数 :ファイルサイズ :倍率
2. wav : 48kHz : 16bit : 42.803kB : 1
3. wav : 48kHz : 24bit : 64.242kB : 1.5倍
サンプリング周波数とビット数の音質への効果について
前記の結果をみてみると、サンプリング周波数が2倍になるとファイルサイズも2倍近くなりますが、量子化ビットが16bit→24bitだと1.5倍で済んでいます。
それぞれの場合を、青木の実際に試聴した感想では、サンプリング周波数を2倍にするよりも、量子化ビット数を16bitから24bitにした方が音が良くなったように感じました。
もう少し詳しく表現すると、サンプリング周波数は音の細かさ、量子化ビット数は音の迫力に影響するという印象でした。
もちろん単位時間あたりのサンプリングデータ数が多いほど良好な音質になる事は確かですが、ファイルサイズと音質を考えるとき、 インターネットによるダウンロード販売が主なハイレゾデーターの楽曲は、サンプリング周波数にも増して、量子化ビット数にも注目すべきと思いました。
PCMのハイレゾのファイル形式について
ハイレゾのダウンロードサイトで多い形式の「WAV」や「FLAC」などのファイル形式がいろいろ あって、なんだか分かりにくい、どれを選べばよいか分からない場合もあります。
代表的なファイル形式について、説明をします。
WAV:[ワブ、ウェブ]
通常は非圧縮、リニアPCMのサンプリングデータ用のフォーマットとして扱われる。
レコードスタジオで録られたそのままの状態。配信サイトでFlacの次に多い形式
ファイルの拡張子は◯◯.wav
FLAC: [フラック]
ロスレス圧縮された音源
FLACはフリーの可逆圧縮オーディオフォーマット 配信サイトで最も多い形式
ファイルの拡張子は◯◯.flac
ALAC:[アラック、Appleロスレス]
Appleロスレスコーデック
iTunesなどで作成できるコーデックで2011年にオープンソース化したが配信サイトでは少数派。
iTunesで再生できるのはこの形式
ファイルの拡張子は◯◯.m4a
MQA: [エムキューエー]
Master Quality Authenticated
メリディアンオーディオによって開発された 高音質 高圧縮化技術。
配信形式は(352.8kHz/24bit)等、高サンプリングレートの物が多い。
真価を発揮するにはMQA対応の機器が必要。
非対応の機器でも再生できるが、その場合44.1kHz/24bit あるいは48kHz/24bitの出力となる。
ファイル形式はWAV FLAC ALACなどに格納できる。配信サイトではまだ少数派
ァイルの拡張子は格納できる形式に依存する。例えば、flac形式で格納された場合、ファイルの拡張子は◯◯.flac
DSD系について
DSDは音声信号の疎密波の大小を極めて短い時間単位でデジタルデータとしたもの、となります。
DSD系は 2.8MHz 1bit (DSD64) あるいは 5.6MHz 1bit (DSD128) 11.2MHz 1bit(DSD256)と表記されます。
こちらもDSD◯◯ ◯MHz の◯の数字が大きいほど高音質となります。
SACDは DSD2.8MHz 1bit(DSD64)と同等になります。
DSD形式もハイレゾでは多く対応するようになってきました。
再生できる機材があれば、PCMよりもDSDの方が空気感がよく分かる気がします。
DSD系のハイレゾ ファイル形式について
DSF
ソニーがVAIO向けに開発したファイル形式
フォーマット ジャケット写真 アーティスト情報などのメタデータを格納する事が出来るID3v2.3のタグに対応
DFF(DSDIFF)
フィリップスが開発したファイル形式
メタデータの格納方式は曲情報も入れられるが独自形式で一般的ではない。
音楽業界では広く普及しているフォーマットロスレスの圧縮もかける事ができる(DST圧縮)
ファイルの拡張子は◯◯.dff
ダウンロードするならどれがオススメか?
DSD系は再生機器が対応しているならば入手の最有力候補です。
対応していない場合は、ソフトウェア例えばTASCAM Hi-Res Editor、などを使えばPCM系に変換可能です。
(時間はかかりますが・・・)
FLAC、ALACはソフトウェアでWAVに戻すことが出来るので、タグデータなどが入っているFLACを入手してWAVに戻すのが吉です。
ファイル形式の音質に対しての個人的な見解
WAV FLAC ALACの音質差はブラインドで100%当てるのは難しいでしょう。
理論的には機器が可逆データをWAVに戻す際に負荷をかけるので、WAVが音質的に有利と言われています。
青木が個人的に比較試聴した結果、WAV、FLAC、ALACを聴き比べてみると、確かにWAVは生き生きとしていて、FLACは精細だがWAVに比べて若干暗く、ALACは元気は良いのだが、精細感はFLACに劣るような印象があります。
しかしブラインドで分かるほどの違いはないので、それほど気にしていません。
対応する機器やアルバムアート タグ管理が有利なFLAC形式を入手して、気に入った音源だけをWAVで戻すようにしています。
ハイレゾの話-3
-- 違いを認識できる人・できない人
いよいよハイレゾについて最も興味・関心があるであろうテーマにはいってゆきます。
ずばり、「ハイレゾとCDの違いは認識できるのか?」です。
ハイレゾはCDに比べて情報量が多くなりデータとしてみた場合、確実に良くなっている「ハズ」なのですが、人間の知覚として、それが認識できるのかどうかブラインドテストにより音工房Zの一般試聴会の中で実験しました。
(今回の記事は2017年の複数回に渡る実験を元にしています)
ブラインドテスト実験の結果
ブラインドテスト実験の結果は、「少数の人はハイレゾとCD音源の違いを判別できる」、という驚くべきものでした。
音工房Zの製品はハイレゾ対応等を前面に売り出してはいないので、あくまで中立な立場での実験です。
実験のレポートはすでに別のところで何度も出していますが、このブログの最後にダウンロードURLを書きます。
ブラインドテストは試聴会などでたくさんやってきましたが、前提条件次第で結果が大きく変わるものです。
ここでは、まず、そのハイレゾとCDの違いを認識するために必要な条件を書いてみます。
違いがわかるには、音源(ソース)が最重要
ブラインドテストのためのハイレゾソースには2曲使いました。
一つは「超絶のスーパーガムラン マサヤリ」もう一つは「輪廻交響曲」です。
ガムランの方は現地でDSD/11.2MHzで録音したもので、輪廻交響曲はアナログ録音をハイレゾ化したものです。
図1と図2に、それぞれの周波数成分の比較を示します。
測定には、高速リアルタイム スペクトラム・アナライザーソフトのWaveSpectraを用いました。17秒のピークホールドを設定しています。
図1 ガムラン の周波数成分
図2 輪廻交響曲 の周波数成分
ガムランが75kHzまで比較的フラットなのに対し、輪廻交響曲は50kHzあたりから減衰しています。
実際のブラインドテストにおいても、ガムランの方がハイレゾ正解率が高かったです。
この2つのソースは「ハイパーソニックエフェクト」で紹介されており、可聴領域外の40kHzを超える高複雑性超高周波音は人間の脳を活性化させる、との事です。
実験にはそれぞれ192kHz 24bitのハイレゾと44.1kHz 16bitのCD音質のものを用意し比較しました。
スーパーツィーターの導入がキモ
使用した機材は
スピーカー : Z800-FW168HR
スーパーツィーター: Fostex T500MK2
プリアンプ: ACCUPHASE C2410
パワーアンプ: ACCUPHASE A35
DAC: RME FireFace UCX
PC: ASUS U37VC (Foobar2000にて再生)
再生系で一番のキモとなるのは、スーパーツィーターです。
この機材の導入後、ハイレゾ判別の有意差あり(75%以上正解)が出ました。
ガムラン3人 輪廻交響曲1人
機材の説明
スピーカー
Z800にはT250Dというツィーターが搭載されており、うるさくなく、ナチュラルな音質で、ハイレゾ再生に寄与したと感じます。
PC再生系
PCにはごく普通のノートパソコンを利用しており、接続しているDACは業務用のものです。よくスピーカーにハイレゾ対応とか書いてありますが、別段スピーカーに何かしら新しいメカが載っているわけではないのでご注意ください。
ハイレゾは超高域がでるのが一つのメリットですから、今利用しているスピーカーに20KHz以上でているスーパーツィーターを追加すれば基本ハイレゾ対応となります。
人、聞き方等も重要
楽曲の聞き方は人それぞれで、注目しているポイントも違ってきます。
たとえば、今回のハイレゾ再生において「聞き所」によっては判別が難しい場合があります。
今回の実験ではハイレゾのCDの差異ですからCDがどういう音、ハイレゾがどういう音という特徴の記憶を脳に覚えさせねばなりません。
一般参加の実験では、ぶっつけ本番なのでこの点ではかなり難易度が高いはずです。
何回も聞いている楽曲は、脳が細かいところまで覚えてきて、その雰囲気を知覚できるようになるようです。
青木の感覚として、ハイレゾブラインドテストでひっきりなしにガムランを聞いており、楽曲にもだんだん慣れてきて思ったのが、ハイレゾの方には音にまとわりついている「モヤ」みたいなものがあり、柔らかく濃密に聞こえる感じがします。
「モヤ」というのは言い方に語弊があるかもしれませんが、音にまとわりつく細かいベールのようなもので、「生っぽい」といった方が適当かもしれません。
CDが低音質かというと、そうではなくてCDの方がクッキリ聞こえる場合があるので、ある一点の音を定点観測的に聞いて、「モヤ」がかかっているか「クリア」か、で判別したところ、最後の方では7~8割くらいの確率で「ガムラン」に限り正解できていました。
大山もほぼ同じくらいの正解率で判別できており、楽曲に対する慣れはかなり重要な要素だと感じました。
ちなみに「輪廻交響楽」のほうは、最後まで判別できず、それは大山もほとんど同意見でした。 視聴ソースが大事ということです。
ブラインドテストのまとめPDF
PDFレポートはメルマガ読者様限定で配信していますためパスワードをつけています。
PDFをブログやSNS等での直接PDFへのリンクをはっての公開はお控えください。
上記内容にご承諾頂ける方のみPDFをダウンロードしてご覧ください。
ハイレゾの真実
~ブラインドテストを繰り返して分かったハイレゾの本当の実力とは?
http://www.diyloudspeakers.jp/limitedcontents/hires.pdf
ID(ユーザー名):zsound PASS:ooyamaを打ち込めば
閲覧が可能になります。
ハイレゾの話-4
-- ソースの産地
最後に、ハイレゾファイルの中身(音源)の種類について説明したいと思います。
前記のメルマガのブラインドテストに2種類のハイレゾファイルを用意したのには意味があります。
同じハイレゾファイルでも、サンプリング周波数や量子化ビット数よりも大きな問題が確実にあると感じます。
それはハイレゾの「産地」が何処であるか?という事です。
ここでいう「産地」はどこで作られたか?という事ではなくて、どのように録音し、加工されてファイルになったか?という事です。
CDの時代には音質にこだわったソフトは「ADD]「ADD]「DDD」などの表示がありました。
これは、録音、編集、頒布メディアの形式がアナログかデジタルか、で分かるように書いてあったのですが、ハイレゾの場合 まだ決まった形式がないようです。
サンプリング周波数、量子化ビット数の、◯kHz ◯bit、やファイル形式FLAC WAV DFF、などの表示があっても、どのような形での録音(産地)、編集かは、紹介文章から把握するしかないのが現状です。
現状では大まかに分けて「ハイレゾの産地」は、3つの形式に大分できます。
1:マスターデータがハイレゾのもの
2:マスターデータはアナログのもの
3:マスターデータはデジタルだが非ハイレゾのもの(JAS基準)
上の3つはすべてハイレゾ形式ではあるのですが、それぞれのメリット、デメリットを比べてみます。
ハイレゾの産地
1:マスターデータがハイレゾのもの
1は最近につくられたものが多く、「真」のハイレゾはこの形式といえます。
弊社のブラインドテストで用いたガムランの楽曲がこの形式です。
メリットとしては、最近の録音が多く、ハイレゾを意識した高品質な音作りで、本当のハイレゾを堪能するならこの形式がベストといえます。
デメリットは、まだ録音された数は少なく、演奏内容は往年の名盤の方が上の事が多い事です。
音質的には ブラインドで「有意差あり」を確認できたのはこの形式で、品質は音源によるが、鮮烈かつやわらかい印象です。
2:マスターデータはアナログのもの
2は往年の名盤LPや磁気マスターテープ等からハイレゾ録音されてハイレゾ配信されています。
メリットはソースが往年の名盤からなので、たくさんソフトがあり、ハイレゾ配信として一番ボリュームあるのはこの形式です。
慣れ親しんだ音源を最新の機材でハイレゾマスタリングするので、CDを既に持っていても購入する価値があるものもあります。
デメリットとしてレコード、マスターテープからのハイレゾ化は超高周波成分においては、音質に疑問があります。
またCDとの制作の差は、録音機材とエンジニアの音作りの腕によるので、最終的な製品が、かならずしも、旧版(CD)より良いとは限りません。(個人差があります)
音質評価
アナログ的な柔らかさと立ち上がりで、良く作られているファイルは相当に高音質です。
3:マスターデータはデジタルだが非ハイレゾのもの(JAS基準)
3はマスターデータが「JAS」のハイレゾ形式(96kHz 24bit以上)に合わないものをアップサンプリングしてハイレゾファイルにしたものです。
アナログマスターからデジタルに切り替わった時代のものが主にこの形式になり、ハイレゾマスターまでの過渡期のが多く、ハイレゾとして売れないのでアップサンプリングしている。
ただのアップサンプリングではなんの技術もないので音質がよくなるように、なんらかの補完技術を用いて販売している。
メリットとしては、枯れた技術の従来の定評のある機材が使えるので、音が安定し、補完技術によって更に音質を高める事ができます。
マイクロフォンなどは、スピーカーと同じく「特性が良い=音が良い」とは限らないので、出来上がった品質が良ければ、この形式も良いと思います。
デメリットは、CD音質からのハイレゾファイルの場合、積極的に買い直さなければならないか疑問があります。
ハイレゾリマスタリングで必ずしも良くなるとは限らないのは2と同じです。
音質評価
音質としては柔らかく奥行きのある音質に聞こえる。
相当聴き込んだが、ブラインドでは分からないレベルでした。
まとめ
今回はハイレゾの中身を録音の違いに焦点を絞って解説しましたが、
ハイレゾとCDの違いが分かるシステムはかなりハイレベルなシステムにしないと難しいと言えます。
手元で操作して聴き比べると間違えるハズがないくらい差を感じる両者の違いですが、ブラインドで万人が分かる程ではないです。
自分もブラインドで試してみて、自信を打ち砕かれました。(笑)
ハイレゾ=高音質のイメージ戦略よりも、「産地」をしっかり書いて、信頼できるフォーマットになってくれたら良いなと感じます。