FOSTEX FE83-Sol 主観辛口レビュー


FE83-Solの音質評価(素性)

FE83シリーズで限定販売されたSolシリーズの1つ(2016年~2017年の間に販売されていましたが現在は中古でしか入手できません)。剛性のある紙とダンプする紙を二枚を一つの振動板にした二層抄紙技術が採用されています。

2層抄紙の振動板は従来の振動板と比較して低歪で聞きやすい音になりました。2層抄紙は関係ないかもしれませんが、以前のFEシリーズと比較しても高域のハイ上がり傾向は少なくなった印象があります。この音色に慣れてしまうと以前のFEが煩く感じてしまいます。

ただこのFE83Solも他の8センチフルレンジと比較するとハイあがりな性質を持っており、バランスよく性能を活かしたいのであれば、エンクロージャーでの綿密な設計が必要です。

ノーマルのFE83Enを小型バスレフに入れて大音量できくとはっきり煩くなるところが、FE83Solの場合小型バスレフ箱に入れ大音量で聞くとうるさくなるぎりぎりのところに感じます。強力な磁気回路から来るダンピングの良い低音は端切れが良く深いですが、低域量感はそ8センチなのでそれほど多くはありません。

FE83-Solに合うエンクロージャーの考察

FE83-SolのQ値は0.65で、バスレフ向きの特性で、音道が短ければバックロードホーンにも使えそうな値です。あまり音道や容積の大きなバックロードホーンは低域制動できずに膨らみすぎになるでしょう。

FE83-Solの低音はスピードが早いが、量感が少ない為、高音とのバランスがとりにくく、どれだけユニット背圧から来る低音がだせるかにかかっています。

バスレフ箱で作る場合、前面ダクトにして少しでも低音の量感を稼ぎ、バフル面積をできるだけ少なめにして定位を良くし、FE83-Solの良いところを伸ばすようにします。

密閉型で作るのはバスレフよりバランスを取るのが難しく、サブウーファーが必須になると思われます。

FE83Sol+3.65Lバスレフ箱 評価

元気が良いが詰まったような音質になります。箱の内容積が少し小さめなので音の濁りが中高域まで及んでいます。もしもこのサイズで製作したいのであれば、吸音材を多めにして音を落ち着かせた方がよいでしょう。

 

FE83Sol+Z601(v2) ダブルバスレフ箱 評価

3つの中では一番バランスがとれて、かつ音質もよい構成です。低音の量感をよくばるよりかは、短く太いダクトポートで、スカッと低音をスピードよく出す設計がよいでしょう。

とにかくFE83-Solは中域の質感が優秀なので、ダブルバスレフにしたとき、中低域域の落ち込みをできるだけ少なくした方がよいです。(150Hz~350Hz)ページ最下部に動画があります。


FE83Sol+Z701(v3) BHBS箱 評価

少し低域よりの音質になり、中高域の元気がなくなっています。箱が少し大きかったのかもしれません。低域の量感は稼げているので、BHBS方式自体は悪い選択肢でもなさそうです。
Z701(v3)はバックロードホン・バスレフ方式ですが、音道は短めなので、それほどオーバーダンピングでないユニットでも相性が良い場合があります。

ソースごとの相性

・クラシック
Solは美しい音色のする振動板です。細かい表現の再生が得意で、特に小編成やソロなどの楽曲は独壇場と言えます。

クリアな音色と独特の艶がある音がするので、バロック音楽で反応の早い動きを要求するチェンバロなどは美しく軽やかに鳴ります。


・ジャズ
ジャズの再生も良好です。ハイハットなどの煌めきはそれほど鮮明ではありませんが、高域もある程度伸び、低域は量感はありませんが、深みがあるので、それを
補っています。一番特筆すべき点は、やはり中域で8cmの小口径とSol振動板の
艶のある音色で、ボーカルなどの再生は美しいです。

外観のレビュー

フレーム

フレームは通常品のFE83Enと同形状で、違うのは色のみ。
このオレンジ色は最初に出てきたFE103Solの時に結構違和感を感じました。スピーカーユニット単体でこうやって見ると今でも違和感がありますが、、意外とエンクロージャと合わせると違和感がありません。

振動板

振動板はFE83Enのコーン紙から進化したものとなっており、「2層抄紙ESコーン」が採用されている。スペック上ではm0が1.53gと両モデルで同じですが、高剛性化と内部損失を向上したものとなっている。

コーン紙表面をよく見ると製造工程でついたと思われる網目状の模様が確認できる。FE83Enではもう少しなめらか。

エッジはFE83Enとの違いはわかりませんでした。

ダンパー

ダンパーは「ハイ・コンプライアンス コルゲーションダンパー」となっており、FE83Enにくらべて山が小さく、数が多くなっています。(3→4)振動板を前後させた触感ではFE83Enが若干硬めに動く感じでした。

形式はポケットネックダンパーによる3点接着方式でFE83Enと同じです。
ダンパーとフレーム間にゴム材のようなものを挟んで接着されているようです。


磁気回路

マグネット重量は187gとなりFE83Enの140gよりも大型のものが使用されています。
厚みは15.5mmで同じですが、大きさがφ60→φ65と増えています。 


FE83-Sol 客観的情報

歴史

FE83-SolはFostexが限定販売したSolシリーズの中で8cmのフルレンジスピーカーとしてラインナップしました。

8cm口径としては珍しい限定ユニットで、フレームの塗装がSolシリーズのイメージカラーであるカッパーオレンジに塗られていて、よく目立ちます。

SolシリーズではFE103Sol(2015年4月)、FE108Sol(2015年12月)の次の3番目にリリースされました。



価格・概要

標準価格    5,600円 (税別)
発売年     2016年9月中旬
スピーカー形式 8cm口径フルレンジユニット

備考      3000台の限定販売

FE83-Sol スペック詳細

インピーダンス   :8Ω
最低共振周波数   :135Hz
再生周波数帯域     :fo~40kHz
出力音圧レベル     :88dB/1W(m)
入力(MUS.)          :15W(NOM.5W)
m0                     :1.53 g
Q0                    :0.65
マグネット質量     :187g
総重量               :470g
バッフル開口寸法  :φ73

メーカー推奨箱の概要  バスレフ内容積    :4.9 L
                                チューニング周波数(fb)  :89 Hz

mms :1.53 g
Cms  :0.75 mm/N
Fs     :135 Hz
Vas   :0.88 L
Qms  :3.62
Qes   :0.79
Qts    :0.65

音工房Z無響室でのユニットF特・インピーダンス測定

弊社内無響室
測定機器 Etani ASA10MKII


FE83-SolをJIS箱(600L密閉型エンクロージャー)で測定

周波数特性


ユニット~マイク間10cmでの測定結果 2.4kHzあたりに特徴的なディップ
がある。16KHzあたりのピークはうるさい帯域ではなく良いアクセントとなっている。




1m

  インピーダンス特性


Youtube視聴動画 (3.65Lバスレフ箱)

・・・音工房Z内のリスニングルームで録音したものです。ヘッドホン等で
ご視聴ください。


FE83-Sol ダブルバスレフ箱

 

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