FOSTEX FE103NV 辛口レビュー

FE103NVの音質評価(ユニット素性)

2019年に改定されたFOSTEXのFE系シリーズの最新モデルの10センチ版がFE-103NVです。FOSTEXさんのFE系は伝統的にハイ上がり(低域よりか高域が多くでる)傾向のフルレンジスピーカーユニットです。NVシリーズは他の口径もそうですがハイ上がり傾向を抑え、低域が多くでるチューニングに舵を切った印象があります。これはスペック上にも現れています。

FE103E FE103EN
(2009年)
FE103NV
(2019年)
Q0 0.35 0.33 0.46
SPL(1m/1W) 89dB 89dB 88.5dB

 

注目するスペックはQ0と能率です。Q0の値は低域の出方を示す特性ですが、数値が低いほどオーバーダンピング傾向になり低音は出にくいです。この値によってある程度適切なエンクロージャーを推測できます。FE103NVから0.46とFE103NVの0.33から大幅に上がっています。能率が89dBから88.5dBと若干ですが下がっているのもバランス的に高域が出にくく低音が出やすいユニットであることがわかります。

下図はFE103NV(実線)と前作のFE103En(点線)を弊社簡易無響室でユニットをJIS箱に入れて比較したものです。FE103NVは80Hz以下の低域の量感が増えている事がわかりますが、高域はFE103Enのほうが量が多いのがわかります。

実際にFE103NVをいろいろな箱にいれて視聴してみました。高域は自然にでて、明るい音色でFE103Solよりも聴き疲れがしにくいです。どちらかといえばFE103Solのほうがハイ上がり傾向に思えます。中域も張りがあり、FF105WKよりも音が前に来ます。

個人的にはEnからNVへの改定は初めて自作スピーカーを作る方にも使いやすいモデルになったという意味で賛成です。オーバーダンピングのような尖ったユニットは「限定ユニット」や「Σ系ユニット」で棲み分けされるのでしょう。

 

FE103NVに合うエンクロージャーの考察

スピーカーユニットの音のバランス的に低域がよく出るようになったので、シングルバスレフで使っても使いやすくなることが予想されます。

そうは言っても市販の2wayなんかと比べればまだハイ上がりですから、ダブルバスレフや、バックロードホーンにも、音道短めのBHBS(バックロードホーンバスレフ)等にも相性は良さそうです。

さすがに密閉式では低域不足でしょう。密閉の場合は低域がでるサブウーファーの導入は必須になります。

マルチウエイのスコーカーとしても使えそうですが、1.8KHzあたりのデップが大きいのでここを避けてネットワークを組むと良いでしょう。

FE103NV+7(L) [バスレフ箱] 評価

音工房Zがアマゾンで販売している7Lの標準箱にいれて試聴してみました。スリットダクトで共振周波数は90.5Hzです。

ローエンドはそれほど伸びないので、低域中心のソースでは物足りませんが、普通の楽曲ならば、それほど不満がでないバランスです。1つ前のFE103Enのシングルバスレフに比べればやはり低域はよくでている印象があります。

小音量で聞かれる方や低域を求めていない方はこれでも良いと思います。

最下部のリンクから動画を閲覧できます。

 

FE103NV+24(L)BHBS箱 [バックロードホーンバスレフ箱] 評価

BHBS形状の音道の短いもの、比較的長いもので比べてみました。
容積は24Lで、音道が短い方は長さ65cm 長い方は87cmです。

振動板が軽く低域のスピード感のあるFE103NVでは、クリアでスピード重視の短い音道のBHBS箱の方が好印象をもちました。

ローエンドもほどほどに伸びて、よいバランスです。

最下部のリンクから動画を閲覧できます。

ソースごとの相性

・クラシック 

 クリアで繊細であるのにかかわらず、うるさくないので、意外と弦楽器の再生が良好です。

・ジャズ

 パワーのある低音と、中高域が美しいので、バランスのよい自然な 演奏を聴くことができます。

 

・ボーカル

 FE系の繊細さはこのモデルでも引き継がれているので、細かいディティール
 も余すことなく再生してくれます。

外観のレビュー

フレーム

FE103系の伝統ある鉄フレームを採用し、大きさもネジ穴も変わりません。比較的大きめに開けられた長穴は位置が多少ずれてもしっかり固定できる自作向きのもの


伝統のあるFE103系の鉄フレームを採用している。


振動板

FF-WKやFE-Solシリーズのように2層抄紙とはせず、非木材パルプの超叩解ケナフをの長繊維と短繊維を混合することで適度な内部損失と剛性を確保しています。

副材に化学繊維と鉱石を混合することで伝搬速度の向上、高剛性化を達成している。

NVシリーズからハトメレスになり、振動板にかかる余計な重量から解放され、それにより中音域の高調波ひずみの低減につながっている。


振動板表面は副材によるラメのような反射が見られる。

ダンパー

FF-WKシリーズで既に採用されていたポケットネックダンパーを導入し、ボイスコイル・ダンパー・コーン紙を同一円周上で接着する合理的な3点接着方式としている。

前作のEnシリーズからダンパー形状と材料が変更になり直線性の高い振幅特性を実現しています。

磁気回路

φ80の大型フェライトマグネットを使用している。トータルQは0.46となっており、いろいろと潰しの効きそうな(誰にでも使いこなしやすい)ユニットに仕上がっています。

FE103NV 客観的情報

歴史

FE103系の標準販売モデルとして10年近くに渡って販売されていたロングセラーモデルのFE103Enの後継として販売されました。

振動板の材質が一新された他、発売中のFF-WKシリーズの技術を導入し、均一な白い振動板やハトメレス化などから、見た目にも美しいモデルとなっています。

フレームの寸法、ネジ穴等は以前のモデルと変わりなく、安心してユニット交換が楽しめます。


価格・概要

標準価格    \6,800 (税別) 
       
発売年     2019年7月下旬 

スピーカー形式 10cm口径フルレンジユニット

FE103NV スペック詳細

インピーダンス             : 8Ω 
最低共振周波数(Fs)         : 91.8Hz         
再生周波数帯域                : fs~22kHz
出力音圧レベル                : 88.5dB (1m/1W)
定格入力                           : 5W
瞬間最大許容入力(Mus.)  : 15W
ボイスコイル径                : 20mm
バッフル開口寸法             : φ93mm
総重量                               : 566g/個

mms(m0) : 2.5 g
Cms          : 1.2 m/N
Fs(F0)       : 91.8 Hz
Vas           : 4.3 L
Qms          : 5.2 
Qes           : 0.5 
Qts(Q0)     : 0.46

音工房Z無響室でのユニットF特・インピーダンス測定

弊社内無響室
測定機器 Etani ASA10MKII

 

周波数特性


ユニット、マイク間10cmでの測定結果 




ユニット、マイク間 1mでの測定結果 
(簡易無響室の為低域特性は300Hz以下の特性は正確ではありません)

  インピーダンス特性



Youtube視聴動画  

・・・音工房Z内のリスニングルームで録音したものです。ヘッドホン等で
ご視聴ください。


7Lバスレフ箱で再生 (fd:90.5Hz)



24Lバックロードホーンバスレフ箱(音道短い:65cm)で再生




24Lバックロードホーンバスレフ箱(音道長い:87cm)で再生

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