目次
はじめに
audio-technica ATH-M50x
audio-technica ATH-M50xは2014年に発売され、モニター用途として海外でも大変人気のあるモデルです。2019年には全世界累計台数100万台を突破しました。
基本性能が高く、様々なニーズに柔軟に対応できる使い勝手の良さで幅広い人気を獲得しています。ミキシングや片耳モニターが出来るのでDJ用などで重用されています。
audio-technica ATH-M50xの価格と概要
希望小売価格 :実勢価格2万円前後 (2021年1月現在)
型名 :audio-technica ATH-M50x
形式 :密閉ダイナミック型
ドライバーユニット :φ45mm、(CCAWボイスコイル)
最大入力 :1,600mW
インピーダンス :38Ω
音圧感度 :99dB/mW
再生周波数帯域 :15~28,000Hz
コード長 :1.2mストレートコード、1.2mカールコード、3m ストレートコード各付属
質量 :約285g(ケーブル含まず)
発売年 :2014年2月14日
audio-technica AT- M50xの音質評価
audio-technica ATH-M50xの音質
audio-technicaのモニターヘッドホンシリーズにしては珍しい低域の表現に重心をおいたヘッドホン。audio-technicaのヘッドホンらしく繊細さも充分あり、全体的にバランスの良いヘッドホンです。他のaudio-technicaのモニターヘッドホンとは毛色の違う方向性が感じられます。
低域に比べると中高域はあっさり目で硬質だが、よく通るので、非常に聞き取りやすい。高域の伸びはそれほど無いが煩くなく、音のバランスが大変良い機種です。
高域 audio-technicaらしい繊細さは残しつつ煩くない表現。伸びはほどほど中域 若干ナロー気味だがエネルギー感に富み元気がよい。音自体はモニター調でクリア、低域に邪魔されず見通しが良い。アコースティックな楽器などのツヤ感などはそれほど感じられません。
低域 このモデルで特筆すべきは低域の表現。パルシブな低音にもよく反応しノリが良いです。
audio-technica ATH-M50xの外見・機能
audio-technica ATH-M50xの外見
質実剛健なイメージのゴツゴツとした外見。黒の中の銀色がアクセントになっている
(ATH-M50x)
全体的に金属が露出している所は無く、銀色の部分はメッキになっている。高価な材を置いているスタジオなどでは乱暴に扱われても他の機材に傷がつきにくいので安心できる要素でしょう。
ゴツくていかにもタフそうな外見も安心感があります。ハウジングを支えるアームなども太くて、見た目にも耐久性のありそうなパーツ構成になっています。
[ATH-M50xのハウジングとアーム、アーム基部にモデル名がある]
audio-technica ATH-M50xの機能
ヘッドホン装着で大事な事は、右、左を間違えずに装着する事です。この機種ではL・Rがハウジングアームの基部に前後に表示されており、確認しやすいです。
右側前面。銀に黒字は少し暗い場所でも確認が容易なので好印象。
左側前面。後ろからも同様の印があるので装着時に確認がしやすい。
このヘッドホンで特筆すべきは、ヘッドホンハウジングの可動領域が自由な点です。さまざまなスタイルの使い方に柔軟に対応でき、このモデルではないと・・という方もいると思われます。
ヘッドバンドに対し180度回転します。絶妙なテンションがかかっており、勝手に回る事はありません。
外向きにもなります。テンションが4箇所あり、ブラブラする事はありません。
折りたたみもテンションが3箇所あり、通常 90度 収納のようになっていま
す。
[通常]
[90度のテンション時]
テンションはほどほどにかかるので、ヘッドホンをこの状態でも保持できる。
折りたたんだ状態でもテンションがかかる。コンパクトにまとめられる。
ヘッドバンド部にはブランド名が大きく印字されている。
アジャスト部分の目盛りはアルミ製で線が刻印されているもの。長期間の使用でも線が消えることはない。数字が入っているとなお良かった。
左アームの回転するところの付け根には突起部があり、ヘッドホンをかけたままでも容易に左右の確認ができます。
[
パッドは厚みのあるもので、手触りは本皮に近いです。密閉型なので長時間かけると熱がこもります。
LRを逆にしてヘッドホンを装着すると 少し違和感がありますがかけれてしまいます。
このモデルにはケーブルが3種類ついており、用途に合わせて交換可能なのもとても便利です。
左からカールコード1.2m、ストレート3m、ストレート1.2mが付属します。
ヘッドホン側のジャックは回し込んでロックする独自規格のものです。3極の2.5mmピンになっており、いま流行りの4極ではないです。銀色のペイントがされており、しっかりはまったかの確認が容易です。
コネクターはすべて樹脂に覆われているので、機材が傷つく心配がありません。ネジ込み式の6.3mm標準アダプターが1つ付属します。
ロゴの入った合皮製ポーチが付属する。
audio-technica ATH-M50xの構造
audio-technica ATH-M50xは密閉型のダイナミックヘッドホンなので、ハウジングには穴はあいていません。
[audio-technica ATH-M50x]
ユニットはハウジングに対し斜めに取り付けてあり、最近のヘッドホンに多い形状です。
[上からみると斜めに取り付けられているのが分かる]
ユニット前面には共鳴穴があいており、真ん中がドーム状に膨らんでいます。
[センターに膨らみのあるドーム状 プラスチック製]
ハウジング内部上下に7個づつ穴があいており、反対から紙で塞がれています。
ここはイヤーパッド裏側に位置する箇所ですが、サウンドチューニングに影響があるようです。
[上下にあいた7箇所の穴]
まとめ
audio-technica ATH-M50xの良い点
質実剛健を地で行ったような製品で、世界中で売れている理由もわかります。見た目のゴツさとは裏腹に、可動部の自由度が多く 自由度が多くてもぐらつかない気遣い、豊富な付属アクセサリーなど使用者の多用なスタイルを考慮したパッケージングになっています。
もちろん音質面もモニターヘッドホンとして申し分のないものとなっており、元気のよい低音と見通しのよい中高音で満足のいく音質になっています。
audio-technica ATH-M50xの もう一歩な点
もう一歩というか、このヘッドホンの利点でもありますが、あまりシリアスな音質評価には使えなさそうです。ある程度音質が悪い音源でも、それなりに良く聞こえてしまう音の元気の良さがあります。
あとモニターヘッドホンでありがちなのですが、アコースティックな楽器の音色がわかりにくく楽器特有のツヤ感が薄めです。例えばTacetレーベルの「What about this、Mr.paganini?」というCDでは7つの名器といわれるヴァイオリンで同じ曲を聴き比べするのですが、ヴァイオリンの音色の違いが分かりにくかったです。
ヘッドホンの作り自体はゴツくて視認性が良く、プラスチックを多用している割にはギシギシする音も少なくて好印象でした。ほとんどつや消し調になっているのである程度は高級感もあるのですが、人によっては安っぽく感じる事もあるでしょう。個人的にはプラスチック多用は乱雑に扱われるヘッドホンでは他の機材に傷がつかないという意味で評価したいです。
ジャックも樹脂でカバーされていたのは感心しました。しかもヘッドホン側には銀線が入っている凝りようです。
パッドが厚く、長時間かけていると蒸れてしまいます。パッドの質感は素晴らしく良いのですが、通気性がもっと良くなれば快適に使用できると思います。
アジャスターはシンプルな見た目に好感がもてますが、スタジオ使用では不特定多数の人が使うので数字が併記されていれば、もっと使いやすくなりますね。