今回は、Z1000-PotenzaとZ702-Potenzaの心臓部ともいえるネットワーク調整について、少し掘り下げてお話ししたいと思います。
目次
最も時間を費やした工程
今回のスピーカー開発の中で、最も時間を費やしたのがネットワーク調整です。構造や材質の検証よりもはるかに長く、約2ヶ月間、試作と試聴を繰り返しました。
その間に試したパターンはおよそ50種類。
コンデンサーの容量をほんのわずかに変えたり、コイルの巻き線径を変更したり、抵抗を入れてみたり外してみたり──。1つの値を変えるたびに音の定位やバランスが大きく変わるため、毎回慎重に聴き比べを行いました。同軸構造の特性上、わずかな調整が全体の印象を左右してしまうのです。
数値ではなく“音”で決める
ネットワークは計算式通りに組めば動作はします。しかし、「良い音」は数値の正確さだけでは決まりません。実際の箱とユニットを組み合わせた状態で耳で判断しました。
まずは測定値で特性を確認し、その後に聴感で微調整。50パターン以上の中から最終的に残ったのは、ほんの数セットだけでした。中域の厚み、高域の抜け、定位の正確さ、奥行き感――。
どれもトレードオフの関係にあり、バランスを取ることが最大の課題でした。
試聴会での意見を反映
最終候補を3セットに絞り、社内試聴会とお客様参加の試聴会で聴き比べを行いました。
お客様には、どの調整が自然に聴こえるか、どの音が最も「らしい」と感じるかを率直にお聞きしました。その結果、共通して評価が高かったのが現在の標準ネットワークです。
「音の焦点が合っている」
「ボーカルが自然に浮かぶ」
「長く聴いても疲れない」
そんなご意見を多くいただき、この調整値を正式採用としました。
つまり、今のZ1000-Potenza / Z702-Potenzaは、技術者の判断だけでなく、実際にお客様の評価も入れて最終判断をしました。
PDFレポートの価値
試作の中で、最終採用には至らなかったものの「方向性としては非常に良かった」という調整パターンがいくつもありました。それらをまとめたのが、ユニット単体購入者向けの「ネットワーク使いこなしPDFレポート」です。
音の傾向ごとに複数の値を掲載しています。それぞれ実際に測定し、試聴した結果をグラフとコメントで整理しています。このレポートを読めば、ネットワーク調整が音をどう変えるのかを体感的に理解できると思います。
正直なところ、この資料だけでも相当な価値がある内容です。自作派の方には、これを読みながら
コンデンサーの値を変えて聴き比べるだけでも音の奥深さを感じていただけるはずです。
Z1000とZ702の方向性
Z1000-Potenza(完成品)は、この最終ネットワークを固定した仕様で出荷。ムンドルフ製のパーツを使用し、最も完成度の高い音を目指しました。
一方、Z702-Potenza(キット版)は、同じ設計をもとにしながらお客様がDIYで調整できるようにしています。
キットも完成品も同じ数値ですが、キットはSolen製、完成品はMundorf製を採用しています。この2つは至る所で聴き比べを行ってきていますが、今回は結構大きな差が出た印象があります。(試聴会でもそのようなご意見をたくさんいただきました)
Z-Potenzaの特性は非常にリニアで、ネットワーク次第で印象が大きく変化します。そのため、使いこなしレポートを活用すれば、「自分だけのZ-Potenzaサウンド」を作り上げることも可能です。
2025年末の初回販売は終了いたしました。
2026年中にもう一度だけ生産する予定です。
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Z1000-Potenzaの販売ページ
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