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オーバーダンピングではないユニットでの挑戦
今回のBHBSは、オーバーダンピングタイプのウーファーではないユニットを採用したことが最大のポイントでした。
これまでのBHBSシリーズ―たとえばZ1000-FE108SolやZ702-Bergamoは比較的Qtsが低い、制動の強いユニットを組み合わせて設計していました。こうしたユニットは、箱の容積をある程度大きくしても中低域が膨らみにくく、BHBSの共鳴特性を安定して活かすことができます。
しかしZ-Potenzaの場合、ユニット自体が普通のウーファー特性のため過度に制動されていない特性を持っています。そのため、箱を大きくするとミッドバスが過剰に膨らみ、全体のバランスが崩れてしまう。試作段階では容積を段階的に変えながら繰り返し測定を行い、最終的に「16センチユニット用としては最も小型」と言えるサイズに落ち着きました。
この設計は、従来のBHBSとは真逆の発想です。低域を“増やす”のではなく、“抑える”方向にチューニングを進めました。
なぜ小型化が必要だったのか
BHBSとは、内部に設けた経路により背圧を活かし、ホーン・通路・バスレフの特性を合わせて低域を増やす仕組みです。この通路の長さや断面積は、ユニットの共振周波数やQtsと密接に関係し最も適したものを耳で聞きながら決めてゆきます。FOSTEXのオーバーダンピング型ユニットでは、この通路を長く設計することで不足する低域を補う狙いがありました。
しかし今回のユニットは、もともと中低域に豊かなエネルギーを持っており、同じ設計では量感が過多になってしまう。実際、最初の試作機ではミッドバスがふくらみ、ボーカル帯域が前に出すぎて“厚ぼったい音”になりました。そのため、通路容積を少しずつカットし、ホーン出口の位置も再調整。最終的には、これまでの16センチBHBSよりかなり小さな容積に設計しています。数年前に販売したZ1000-FF168SSHPなどと比べると半分程度の容積です。それでもローエンドの伸びは十分に確保でき、中低域が締まって全体の定位がクリアになりました。
BHBSの本質は「量」ではなく「質」
バックロードというと“低音が出る箱”という印象を持たれる方も多いのですが、BHBSの本来の目的はそこではありません。重要なのは、ローエンドを伸ばし、膨らみがちなミッド帯域の量感を落として聴感上フラットにすること。そして時間特性が狂うことがないようにすることです。
今回の設計では、通路を短くしたぶん低域の反応が速く、音の立ち上がりが明瞭。ピアノの低音がブーミーにならず、ベースラインが“点”で見えるように再現されます。
つまり、音の太さを「量」で稼ぐのではなく、正確な制動で「質」を高める方向に振った設計です。結果として、全帯域がすっきりとつながり、同軸構造の定位の良さがより際立ちました。
Z1000 / Z702の基本設計は同じ
エンクロージャー材には18mm厚のホワイトバーチ材を採用。箱のサイズは気持ちだけ完成品のZ1000のほうが大きいですが、内部の基本設計はキットも完成品もほぼ同じになります。
完成品版にはキットにない特徴が若干ございまして、そられは別の機会に書きますが音の基本テイストは同じです。今回のBHBS設計は、“オーバーダンピング型ユニットではない”Z-Potenzaのためにゼロから考えた構造です。箱を小さくすることで、中低域のふくらみを抑え、より精密でスピード感のある低音を実現しました。
16センチ口径としては最小クラスのBHBSながら、その密度と定位はこれまでのモデルを凌駕します。次回はネットワークの特徴について書きます。
2025年末の初回販売は終了いたしました。
2026年中にもう一度だけ生産する予定です。
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Z1000-Potenzaの販売ページ
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