これまで紹介してきた1インチコンプレッションドライバーと、30センチ、38センチウーファーを音工房の無響室にて測定したものを掲載いたします。特性は比較をしやすいように、リファレンスとなるものを決めて他の特性表にはリファレンスを点線で表示しています。ご選択の参考にしてください。
目次
コンプレッションドライバーの特性
1インチコンプレッションドライバーは音工房ZのZ503-Woodhorn1に取り付けてマイクを30センチの距離にて500Hz~20000Hzまでスィープ信号にて測定しています。
(1)JBL 2420 ※こちらの機種をリファレンスにしています
中古でしか入手できませんが、最初音が最も良いと思ったドライバーです。利用帯域である1.5KHzより上は見事にフラットです。音の良さや、特性のフラットさ、長い歴史を考えてもこちらをリファレンスとして他のユニットを比較しながら紹介します。下で紹介する機種の特性の点線はJBL2420、実線はタイトルの機種になります。
(2)JBL 2425J
能率が2420に比べて低めです。2420に比べると利用帯域が多少の凸凹がありますが、これが2425Jの生きの良い音を作っている感じです。
(3)TAD TD2001
2420に結構特性が似ているのが面白いところです。5KHzあたりの気持ちピークと15KHz以上のハイエンドの伸びがあります。結構耳で聴感比較すると「なるほど!」と思える特性です。
(4)FOSTEX D1405
能率が2420に比べると10dBくらい低いのが特徴です。ATTを-5dBぐらいでウーファーとあわせられる唯一のドライバーですね。
(5)B&C SPEAKERS DE250-8
こちら聴感ではランキング外となってしまいましたが、特性だけみると2420に結構特性が近いドライバーかもしれません。5KHzより上はスーパーツィーターで補えばさらに良くなりそうです。
(6)SB-AUDIENCE BIANCO-44CD-T
私が独断で選んだ、廉価なドライバーの第3位でした。5KHzあたりまではほとんど2420と同じ特性でそこから上がいっきに落ちています。スーパーツィーターが必須になる感じですが、LCRで合わすと大変能率が高いものが必要になりそうですね。
(7)SB-AUDIENCE BIANCO-44CD-PK
次に掲載するD290-Py-Bと同じく聴感上のランキング1位の機種でした。能率は若干こちらのほうが低いですが特性は2420に結構似ていて、もしかしたらこっちのほうが2420よりフラットかもしれません。(利用する帯域は1.5KHzより上の部分になりますので、そこがフラットということです)
(8)PRV-AUDIO D290Py-B
こちらは新興ドライバーの2位でしたが、音工房の社内ブラインドテストでは2420を得票で上回りました。1.5KHzより下はネットワークで切りますが綺麗に落ちてくるているのが高評価に繋がったのかもしれません。偶然音が良かった安いユニットは2420に似た特性ですが、振動板素材が違いますから音はかなり違うと思っていただいてよいです。
(9)PRV-AUDIO D280Ti-B
評価の高かったD290-PyBに比べると特性に暴れが多い感じです。
(10)Beyma CD10FE/N
ハイエンドまで伸びていますが、全体的に周波数特性は山谷が多めの特性です。
ウーファーの特性
30センチ、38センチウーファーはJIS箱にいれて測定をします。こちらは20Hzから20000Hzまで測定しています。30センチのリファレンスはDaytonaudioのDSA315-8 38センチのリファレンスはJBL 2331Aとしています。
(1)DAYTON AUDIO DSA315-8
※こちらの機種を30センチリファレンスにしています
38センチを含む全てのウーファーの中でこちらが最も評価の高かったウーファーでした。3KHzから5KHzにとても大きなピークがありますが、1.5KHzから上の高域は12dB/octでおとせばこのピークはほとんど気になりません。クロスがある1~2KHzが盛り上がっていないのがミソでこのウーファーだとだいたいどんなドライバーでも高域は綺麗につながりました。ルックスも良いのでお勧めです。
30センチはこちらをリファレンスとして他のユニットを比較しながら紹介します。下で紹介する機種の特性の点線DSA315-8、実線はタイトルの機種になります。
ちなみに、こちらの機種の能率がだいたい、98dBぐらいとしますと、ドライバーの2420は110dBですので差は12dBぐらいです。その差をATTで落とすことになります。
(2)DAYTON AUDIO DS315-8
機種名が上のものと似ていますが、特性は上記のとおり全く異なります。(1)は振動板がアルミ、こちら(2)は紙となっています。高域のピークの位置が(1)と大きくずれています。こちらはちょうどクロスの1~2KHzが盛り上がってしまっていてドライバーと合わせるとうるさくて仕方ありませんでした。
(3) FOSTEX FW305
FOSTEXの30センチウーファーFW305です。この機種も特性は前機種と似ていてドライバーとクロスしたい帯域が盛り上がっているため、どうしても高域がにぎやかになりがりです。
(1)JBL 2231A ※こちらの機種を38センチリファレンスにしています
前オーナーがエッジを張り替えをされていますから、オリジナルの特性と異なるかもしれません。JIS箱による測定ですのでだら下がり低域特性になっていますが、アルニコマグネットの減磁の問題かミッドバスが薄めでローだけ伸びてる感じがしました。
思ったよりかクロス帯域(1.5KHz)の山は大きくないのには驚きました。30センチと比較すると高域は1.5KHzあたりから落ちてくれているので1インチドライバーと相性が良さそうですが、個人的には30センチウーファーとのほうがバランスは良好かなと思いました。
(2)TAD TL-1601a
特性的にはもしかしたらこちらが一番好ましいかもしれません。試聴した時はもう少しクロス帯域の高域が賑やかでしたので、盛り上がってるかと思いましたが綺麗に落ちています。こちらはいつか2インチドライバーをチャンレンジする時にもう一度使ってみたいとおもいます。
(3)DAYTON AUDIO PN395-8
こちらが低域のミッドバスの力感と高域の繋がりがベストに思いましたが、特性上は結構クロス帯域における高域が多めで難しいユニットな印象な特性です。38センチは測定結果と、試聴した時の音の印象がずれる結果となりました。
Z503-Woodhorn1
https://otokoubouz.com/z500/503woodhorn.html